好きです、朝比奈先パイ。~元引きこもりの美少年、陽キャヤンキー先輩に溺愛される~

すずなりたま

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44 希、手紙をもらう

 その日はトーマ先輩が『ノンタンが俺を名前で呼んでくれた記念日パーリー』なるものを開催し――夕食を作ったのはオレとすずだし、面子も三人しかいないのだけど――夕食後は朝比奈先輩が買ってくれたお菓子を開封しまくり、話の尽きない面白おかしい夜を過ごしたのだった。平日だけど。
 オレの作った鶏のトマト煮込みはとても好評で嬉しかった。
 次の日の朝、またしても朝比奈先輩は寝坊しているみたいで食堂には現れなかったけども。

「昨日朝比奈先輩がたくさんお菓子買ってくれたから当分買わなくてよさそうだよねぇ。週一くらいで夕食作ってあげるぅ?」
「ま、まあ夕食くらいトーマ先輩が食べたいならいつでも作るけど……」

 もはやすずのトーマ先輩を見る目は、完全にヤンキーから財布だ。

「のんちゃんが一緒だと朝から橘教信者が襲ってこないから快適だよ~」
「もはや宗教扱いなんだね……」

 すずを生徒会に推薦したオレとしては苦労を掛けていることが少し心苦しいけれど、オレ自身が防波堤になれるならこんなに嬉しいことはない。
 そんなことを思いながら靴箱の蓋を開けると。

 ――ひらり

「ん?」

 蓋に挟んであったのか、白い手紙のようなものが足元に落ちてきた。
 手に取り、確認してみる。宛先は――『斉賀希へ』。
 オレで間違いないようだけど、裏を見ても差出人は不明だった。

「のんちゃん、どーしたの?」
「いや、コレが靴箱に挟んであって」
「なにその手紙! まさか、今時ラブレター!? 古典的ぃ~!!」
「差出人不明とかあやしすぎるんだけど……」

 ラブレターなんて貰ったことないけど、そういう浮かれた類のものには見えなかった。
 封筒に装飾はないし、そもそも宛名から呼び捨てなんて不穏すぎるし……。

「早く教室行って読もう! ていうかぼくも読んでいい!?」
「う、うん。イイヨ」

 相変わらず光はないすずの目がキラッキラに輝いている。
 親友が楽しそうで何よりです。
 教室に着き、リュックを置いて一息ついた。
 すずはオレの隣の席のやつの椅子を借りてきて、わくわくしながらオレの手の中を覗き込んだ。

「えーと……『果たし状』」
「は?」

 『果たし状』
 斉賀希、お前に大事な話がある。
 今日の昼休みに一人で屋上に来い。
 他言無用だ、絶対に一人で来い。

 1年B組 清原翠人

「きよはら……なんて読むんだろう。スイト? かな。すず、心当たりある?」
「いやぁ~全然知らない。B組に知り合いなんていないしね」
「うん……」

 すずは最近オレ以外のクラスメイトともよく話すようになっていたから、もしかしてって思ったけど……やっぱり違うクラスとなるとハードルが高い。

「A組ならちーちゃんが探り入れられたけどねぇ」
「同じクラスでも、ハルは知らなそう……」
「それはそーだね」

 それにしても、不躾すぎる内容だ。
 話があるならそっちから足を運ぶべきだし、誰にも言わずに屋上へ来い、だなんて人にものを頼む態度じゃない。
 そもそも『果たし状』て、決闘は法律で禁止されているし。

「別に弱み握られているとか、人質が取られてるわけでもないし、オレ行く必要ないよね」
「行かないの?」
「行かないよぉ……面倒だし。貴重な昼休みが無駄になるのヤだし」

 得体の知れない奴に会いに行く暇があるなら、トーマ先輩に会いたい。

「でも……厄介そうな奴なら最初にガツンと言ってやったほうがよくない? 変に気になるし」
「うーん……でもなぁ」
「ぼくとちーちゃんも付いてくから、今日は屋上でランチしたらよくない? 天気もいいし、一石二鳥!」
「う、うーん……まあ、そうだね」

 一石二鳥かどうかはともかく、すずは今どきこんな時代錯誤な手紙を送ってくる人物に対して興味津々らしい。
 オレはあまり変なヤツには関わりたくないんだけど、親友の好奇心を満たしてあげるために結局行くことにした。
 『絶対に一人で来い』って書いてあるけど、そこまで譲歩してあげる必要はないので強力助っ人こと、すずとハルも連れて。
 差出人のことは知らないけれど、なんとなく何が言いたいのかはいくつか予想が付いている。
 その中でも一番確率が高いのは、オレが執行部に入ったことへの文句だ。
 吉永先生からもトーマ先輩からも『執行部は嫌われ者だ』と言われていたのに、今まで不思議なくらい誰にも何も言われなかった。
 けど、校内放送が終わったのでそろそろ認知されだして、『なんでお前なんかが』という類の文句を言われる頃なんじゃないか――と。
 その他は、すず同様に生徒会の各先輩方ファンからの文句。
 それ以外に心当たりは無かった。

 そして、昼休み。
 購買で惣菜パンと飲み物を買うと、オレ達は奴が待っているであろう屋上へと向かった。
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