好きです、朝比奈先パイ。~元引きこもりの美少年、陽キャヤンキー先輩に溺愛される~

すずなりたま

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「のんちゃん、落ち着いて」
「! すず……」

 いつの間にか目の前にはすずがいて、オレの両手を握ってくれていた。
 すずに見つめられると、だんだん気持ちが落ち着いてくる。

「のんちゃん、正直になっていいんだよ。何であんな奴に遠慮してるの? ケンカを売られたのはこっちなんだから、正々堂々と『じゃあ死ね!』とか言ってもいいんだよ?」

 す、すずはメンタルが強すぎるよぉ……。

「おいこら黒目ぱっつんこけし! やっぱりてめーが一番ムカつく!!」
「うるさいよ、清原~」

 清原君が反論し、二小山先輩が抑えた。

「のんちゃんは優しいから悩むと思うけど……たとえば友達と同じ人を好きになっちゃった場合、必ずどっちかが傷つかなきゃいけない。わかるよね?」
「……うん」
「のんちゃんは清原の気持ちが分かるから何も言えないんでしょ? でも今はそんなこと考えなくていいんだよ。今清原は朝比奈先輩の舎弟になりたいだけかもしれないけど、今後朝比奈先輩を好きになって恋のライバルになったらどうする?」
「えっ」

 清原君が、オレみたいに憧れを通り越してトーマ先輩を好きになってしまう……ってこと?

「そんなのやだ」
「うん。だからここで芽を潰しておかなきゃ! 後悔するのは自分なんだから。のんちゃんには今までそういうのは無縁だったかもしれないけど、ちょっとはズルくならなきゃダメだよ」

 時々物騒な言葉が入るけど――さっき清原君は実際つばめ先輩に目潰しされてたから、芽を目と聞き間違えた――すずの言葉は素直にオレの中に入ってきた。
 少しくらい、ズルくなってもいいんだ。
 自分のことを一番に考えてもいいんだ。

「……わかった。ありがとう、すず」
「うんっ」

 めちゃくちゃ頼りになる、オレの親友……。

「恋人片無しだな、柊馬。大体希に勝負なんかさせずにお前がなんとかすればすむ話じゃないか? この役立たず、甲斐性無し」
「う……だって俺のために戦うノンタンが見たかったっていうか……それにしても妬けンなぁ、やっぱり俺の最大のライバルはこけしっちかァ」

 トーマ先輩とつばめ先輩がそんな会話をしてるとは露知らず、オレは清原君に向き合った。

「オレが勝ったら、オレがトーマ先輩と付き合ってるのを清原君に認めてもらう! そしてトーマ先輩の舎弟になることは諦めてもらう!」
「はっ、上等だぜ! じゃあオレが勝ったらお前は朝比奈先輩と別れるんだろうな!?」
「それは無理! オレが負けたら、これから清原君にどれだけウザいこと言われても我慢する」
「それって今と同じじゃねーか!?」

 でも、条件なんてそれしか思い浮かばないから……。
 それにオレは絶対に負けない!!
 オレは二小山先輩にアイコンタクトを送り、準備ができたと頷いた。

「じゃあ、いざ尋常に勝負!!……ところで何で勝負をするの? え、オセロ? 地味だね……」

 オセロは清原君の予想通り、囲碁部にあったらしい。
 やはりオセロ部と間違って入部しちゃった人用だろうか。
 まぁそんなことはどうでもいいけど。(実はちょっと気になるけど)

「じゃあ俺が黒な! なぜなら黒の方がカッコイイからだ!!」
「む……オレは白のほうが好きだし! べー!」

 どっちの色だろうが負ける気はしない。
 士気を高めるため、オレはオレにできる最大の意地悪をしてやった。
 これくらいは許されるだろう。

「あっ、てめー今あっかんべーしやがったな!? クソ生意気な野郎だぜ! 一面真っ黒にしてやらぁ!!」
「オレだって負けないから!!」
「なんか平和な対決だねぇ。んーと、考える時間は10秒までにしよっか。じゃ、開始~!」

 なんとなく流れで審判をしてくれることになった二小山先輩の合図で、ゆるっとオセロ対決は始まった。
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