好きです、朝比奈先パイ。~元引きこもりの美少年、陽キャヤンキー先輩に溺愛される~

すずなりたま

文字の大きさ
91 / 256

52 希、デートに来ていく服がない

 無事囲碁部に入部し、生徒会執行部関連の仕事も特にはなく、数日は平穏に過ぎて行った。
 そして週末、金曜日の朝。
 いつものようにすずと食堂に行き、そこでトーマ先輩に会って一緒に朝食を食べた。
 そのまま3人一緒に登校し、靴箱のところで2年のトーマ先輩と別れる際、トーマ先輩が言った。

「ノンタン、明日デートしようぜ! 週末遊ぼうって前に約束してただろ? 待ち合わせは11時な。俺は今夜もバイトで実家に泊まるからよ、場所は駅前でいいか?」
「えっ、あっ、ハイ」
「行きたい所とかあったらRhineで教えてくれな。あ、別に何も用事なくてもRhineしてくれていいぜ! そんじゃーなァ」
「は、はい、じゃあ……」

 サクサク話を進めるトーマ先輩のノリについ流されて、簡単にOKと返事をしてしまった。
 そういえばすっかり忘れてたけど、前にデートしようって言われて凄く嬉しかったんだ。
 そのときは。
 いや、もちろん今も嬉しいに決まっている。
 大好きなトーマ先輩と休日デートなんて、学校と寮以外で会って遊ぶなんて夢みたいだ。
 嬉しい、けど……。

 ここで一つ問題が発生。

「へえ~、のんちゃん明日朝比奈先輩とデートなんだ。どこ行くの? ぼくもちーちゃん誘って遊びに行こうかなぁ。偶然会ったりしたら面白いよねー」

 どうしよう……どうすればいいんだ。

「のんちゃん? どうしたの」
「すず、どうしよう……オレ、デ―トに着て行く服が無い」
「ええっ!?」

 デートって何を着ていけばいいんだ?
 休日なんだから制服というわけにもいかないし、かと言ってオレがいつも着てる部屋着で行くわけにもいかない。
 もちろん普段着はあるけれど、それを好きな人とのデートで着るか? と自問すればナシよりのナシだ。
 地味だし、多分中学生にしか見えない。

「今日の放課後に買いに行く? 先輩たちには悪いけど部活はお休みしてさ」
「月末だし、服とか買う余裕無い……」
「わあ、同じく金欠~」
 
 そんなこんなで悩んでいたら、あっというまに昼休み。
 今日はC組の教室で、すずとハルの三人で弁当を食べていた。

「すずお願い、よく分かんないけどオシャレな服持ってたら明日一日だけ貸して! 後からクリーニングして返すから!」
「のんちゃん、大根農家の三男坊がオシャレな服なんて持ってると思うの?」

 ものすごい真顔で言われた。
 別に大根農家でもオシャレな服を持ってる人はいるんじゃないのか?

「じゃあハル。なんかオシャレな服持ってたら……」
「す、すまないのんさん。俺はオシャレとか本当に疎くて。私服は全て母親チョイスなんだ。センスがいいのか悪いのか自分では判断ができない」
「うううう」

 どうしよう、他にオレに服貸してくれそうな人なんていない。
 生徒会や囲碁部の先輩たちにこんなことを相談するわけにもいかないし……(そもそもみんなオレより背が高いのでサイズが合わさなそうという問題もある)
 ちなみにオレの私服もハル同様に母親チョイスが多い。
 引きこもりで外出なんてほとんどしなかったから、服なんて着れたらいいや~くらいの気持ちだったのだ、ずっと。
 
「何々、なんか暗いぞ君達~? 斉賀、何か悩みごとでもあんの?」
「上妻君!」

 最近仲良くなったクラスメイトの三人組、上妻君と森君、一之瀬君が弁当を持参してオレたちのところへやってきた。

「それがねーファッションの話なんだけど……」
「ファッション?」
「服がどしたん?」

 そうだ、この人たちなら絶対オシャレな服を持ってそうだ!!
 いや、持っているに違いない、陽キャだし!
 いきなり服を貸してくれなんてすごく不躾なお願いだと思うけど、もう明日のことなのでなりふり構っていられないのだ。
 そんなわけで、オレは三人にも相談してみた。

「デートに着ていくカッコイイ服か……俺、カッコイイジャージなら何着か持ってるぜ!」
「じゃ、じゃーじ……」

 ジャージって、部屋着の部類では……?
 いや、それは陰キャの発想で元々は運動着なんだ、つまり外で着る服!
 運動だけじゃなくてデートにも使えるなんて知らなかった!!
感想 0

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

水泳部合宿

RIKUTO
BL
とある田舎の高校にかよう目立たない男子高校生は、快活な水泳部員に半ば強引に合宿に参加する。

どうせ全部、知ってるくせに。

楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】 親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。 飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。 ※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?