好きです、朝比奈先パイ。~元引きこもりの美少年、陽キャヤンキー先輩に溺愛される~

すずなりたま

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「んじゃーノンタン、中入ろうぜ」
「はいっ」

 オレ達は、外装も内装もオシャレなカフェに入った。
 中にいる客はほとんど女同士かカップルで、きっと男同士の客はオレとトーマ先輩だけだろう。もっともオレ達も、今は普通のカップルにしか見えてないだろうけど……。
 水とメニューを持ってきてくれた女性店員さんも、オレが男だということは気付いていないみたいだ。(というかトーマ先輩に見惚れていて、オレのことはチラっとしか見ていない……)

「おーいノンタン。メニュー決まったか? 俺はAランチのセットにするぜ、デザートは付けなくていいわ」
「え、トーマ先輩この超美味しそうなケーキ食べないんですか……!? セットで頼むとちょっと安いですよ?」
「甘いモンは苦手だからなァ……あ、なんなら俺のデザートもノンタンにやるよ」
「え!? そんな、わざわざ頼んでもらうのは……!」
「はは、『いいんですか?』って顔に書いてンぞ」
「うぅ……」

 まったくその通りだったので、オレは顔を赤くして俯いてしまった。
 そうしてるうちにトーマ先輩は店員さんを呼んで、Aランチセットのデザート付きを二つ――ケーキの種類は変えて――サクッと注文していた。
 は、早い……。そしてさっきの人とは違う店員さんは、またしてもトーマ先輩に見惚れていた。
 ワイルド系イケメンモテるな。

 けど、そんな彼女たちの熱い視線をトーマ先輩は気付いていないのか、わざとなのかまるっと無視して、オレを見ていた。

「はー……、ノンタン可愛いなァー……」

 頬杖をつきながら、しみじみと言ってるし……。
 他の女の子を気にされるよりはマシだけど、さすがにちょっと見られすぎてて恥ずかしい。

「……トーマ先輩は、こういう格好の子が好きなんですか?」
「いや? 別にそういうワケでは。ノンタンがそういう格好してるから可愛いんだよ。つまり可愛いのは格好じゃなくてノンタンだな」
「……っっ」

 自分から聞いたくせに、照れて俯いてしまった。
 今日のトーマ先輩は、いつもより輪をかけてストレートだ……。
 それにしても、トーマ先輩は今まで彼女が可愛い格好してきたらいつもこんな風に褒め殺してたのかなぁ……悪い人だ。
 オレも、あまり本気で受け取らない方がいいのかも……。

「あ、言っとくけど今までこんな可愛いって連呼したことはねェからな。ノンタンだから言ってるし」
「……!」

 トーマ先輩、エスパーなのか!?
 オレの考えてたことを見透かされてしまった。もしや顔に出てた?

「Aランチセットでーす」
「はっ」

 店員さんがご飯を持ってきてくれたので、とりあえず食べることにした。
Aランチはハンバーグだ。スープ、サラダ、飲みもの、デザート付き。
 うーん、普通に美味しい……!

「トーマ先輩、美味しいですね」
「ンまいけど、俺はノンタンの手作りごはんの方がいいかな~」
「いや、それはさすがに……」

 オレもお世辞だって分かるぞー……嬉しいけど。

「まじまじ。俺、バイトの関係で夕食は出前とか外食が多いけど、マジでノンタンの手作りに勝るもんナシだぜ」
「そんなもんですか……?」

 外食とか出前のほうが普通においしそうだけど、それに慣れたら手作りの味が恋しくなるものなのかな。
 オレはハンバーグ定食を食べたあと、更にデザートのケーキも二つ軽く平らげてしまった。別腹というやつです。
 トーマ先輩はブラックコーヒーを飲みながら、そんなオレを楽しそうに――ややげんなりしながら見ていた。

「よくあんな甘そうなケーキ二つも食えンなァ……しかもメシのあとに」
「甘いモノは別腹ですよ。オレまだ食べれますもん」
「マジか、普通にすげえな」

 あ、でも次食べるなら別のスイーツがいいかも……。
 でもすごく美味しかった、季節のフルーツタルトとミルクレープ。
 今度はすずと一緒に来ようかな。

「んじゃ、そろそろ出るか」
「あ、出る前にトイレ行ってきてもいいですか?」
「おー、行って来い」

 佳織さんに言われた通り、食べた後はリップを塗り直さないと。
 少し躊躇しながら、女性マークの付いた方のトイレに入った。
 なんか緊張する……誰も入ってきませんように!
 女子トイレってわざわざコットンとか綿棒まで置いてるんだ。『化粧室』と言うだけあるなぁ。
 男性用トイレとの違いにカルチャーショックを受けながら、オレはグロスを塗りなおした。
 あと、髪も少し整えてっと……。
 トイレから出て席に戻ろうとしたら、出口からトーマ先輩に呼ばれた。

「ノンタン、行くぜー」
「えっ、トーマ先輩、お会計は……?」
「もう済ませたぞ」
「えっ、えっ、おいくらでした!?」
「気にすんなって。俺バイトしてっし、オゴリだよ」
「そんなの悪いです! だってオレ、デザート二つも食べたのに……」
「いいからいいから。そこ邪魔だから早く行くぞォ」
「あっ、すいません!」

 オレの後ろには会計待ちの女性二人組がいたので、オレは慌ててトーマ先輩の方に駆け寄った。
 その人たちは道を塞いでいたオレを怒ってるような様子はなく、むしろ微笑ましいといった目線を向けていた。

「ありがとうございました~。――ふふ、とっても可愛らしい彼女さんですね。自分のことオレって言ってる女の子は初めて見ました」
「だってよノンタン」
「お、おばあちゃんも自分のことオレっていう人結構いますよ……?」

 店員さんに突っ込まれて、よく分からない反論をしてしまった。
 これじゃ自分をおばあちゃんだと言ってるようなものでは……? まあいいか。
 
「それはそうと……トーマ先輩、本当にいいんですか? お金」
「いいっていいって。今日もノンタンがめちゃくちゃ可愛いから、俺にもカッコつけさせてくれよ」
「トーマ先輩もいつもよりカッコイイですよ?」
「そりゃー嬉しいけど、そういうことじゃなくってなァ」

 じゃあどういうことなんだろう。オレ、奢られてもいいのかな?
 帰ったらすずに聞いてみよう……。
 そしてこの行動がアウトだったら、後でトーマ先輩に半分払おう。

「んじゃあ、その……ごちそうさまでした」
「ン、それでヨシ。どういたしまして」

 人生で初めてのデートだから、分からないことがいっぱいだ。
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