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59 朝比奈兄弟
駅ビルを出ると、外はわりと風が強かった。
スカートがめくりあがらないように気を付けなければ……。(カーディガンで抑えられてあるから、そこまで心配しなくても良さそうだけど)
「んじゃ、次は俺の兄貴の店でも行くか? こっからわりと近いし」
「はいっ。ていうかこんな街の中にお店出してるなんて、お兄さんすごい人なんですね……!」
「ん~まぁ、服貰えるのだけは助かってるかな。それ以外は特に」
「お兄さんの価値……」
15分ほど歩いたところで、トーマ先輩は裏道に入った。
そこはお洒落な服屋や雑貨屋が並ぶ通りで、イマドキ風な若者が多くいた。
オレ達みたいにデート中のカップルや、友達同士で来てる人たちなど……表通りは家族連れの方が目立っていたので、なんだか流れている空気も違う気がする。
「あ、あのお店前にテレビで見たところ! わ、ここもオシャレな店だなぁ……あれ? カフェかと思ったら美容室なんですね」
「俺はこの辺こないだ取り立てで来たなァ。新規の店が多いから、潰れるところもわりと多いんだよ」
「へ、へえー……」
ちょっと聞きたくなかった裏事情だった。光あるところには影あり……。
すると、小洒落たビルの前でトーマ先輩は立ち止まった。
一階は服屋さんになっていて、二階はカフェで……3階は会社か何かな?
「ここ、オヤジの持ちビルのひとつで兄貴の店。一応オリジナルブランド展開してて、結構評判いいっぽいな。つーか俺が今着てる服、兄貴のブランド」
お、お父さんの持ちビルの一つ……?
なんか今サラッとすごいことを聞いた気がするけど、オレ今15歳の高校生。
よく分かんないから聞かなかったことにしておこう。
それより、トーマ先輩のかっこいい服はお兄さんのオリジナルブランドって、そっちの方がオレ的にはすごいと思う! うん!!
「ところでお兄さんって今いくつなんですか!?」
「え? えーと……26か? オレと十歳離れてるから」
お兄さん、26歳! わあ、めちゃくちゃお兄さんだった。そりゃそうか。
どんなひとだろう。自分のブランドを持ってるってことはデザイナーさん?
やっぱりオシャレな人なのかな。
「26で自分のお店を持ってるなんてスゴイです……」
「別に最近は若い経営者多いから珍しくねェけどな。オヤジのビルだからテナント代はタダだし、人並み以上の苦労はしてねェだろうよ」
「な、なるほど……」
余計な情報が入り過ぎて、お兄さんの印象が会う前から下がっていく。
あ、あれかな? 身内だから褒められるのが恥ずかしくてわざと最初に落としてるのかな!?
でも、それってあんまりトーマ先輩らしくないというか……
「いらっしゃいませー……って、柊馬!?」
「よう兄貴、久しぶり」
「久しぶりっていうかお前、この店来るのは開店以来じゃ……」
この人がトーマ先輩のお兄さん……!
お兄さんは、ファッションはさすがにすごくオシャレだった。
どうオシャレなのかオレには説明できないけど、きれいめっていうのか?
少し長めの茶髪でたれ目で、なんだか少し女性的な感じ。ワイルド系のトーマ先輩とは真逆な雰囲気を醸し出している。
身長は同じくらい……いや、トーマ先輩の方が若干高い。
「――ところで柊馬、そっちのお嬢さんは?」
お兄さんの目線がオレの方に向けられて、ドキッとした。
「あ、ノンタン紹介するわ。俺の兄貴の朝比奈爽馬だ。サワヤカな馬って呼べよ。で、兄貴、こっちは俺の後輩で恋人のノンタン」
「さ、斉賀希です。トーマ先輩にはいつもすごくお世話になっています……よろしくお願いします」
恋人の兄弟に挨拶するって、想像した以上に緊張する。
粗相しないようにしなきゃ。
「よろしくね、柊馬の兄の爽やかな馬ですー……って誰が馬だ! それより、むちゃくちゃ可愛い子じゃないか! おい柊馬! どうしたんだ!?」
「何がだよ、うるせーな爽やかな馬」
「それもうヤメロ! 俺もノッたけど! だからこんな可愛い子とどこで知り合ったんだ? ていうか付き合ってるって……あ、脅しか? 脅してるのか? そうなんだろ!? きみ、このバカに何て脅されてるんだ?」
「な、何も脅されていませんけど……」
なんか、いきなりお兄さんのテンションがおかしくなったんだけど。
見た目はひたすら優しそうだけど、ノリツッコミしてたから実は面白い人なのかもしれない。
めちゃくちゃ滑ってるけど。
「はぁ? 人聞きの悪ぃこと言うなって。つうか後輩だって言ってンだろ、知り合ったのは学校だよ」
「後輩っておまえ、トーガクは男子校だろうが!! ……ん?」
あ、もしかしてお兄さんもトーガクの出身者なのか……って、どうしよう。
わりとマズイ流れじゃないか? これ。
お兄さんは、黙ってオレの方を見つめた。
オレとお兄さんの間に、なんともいえない空気が流れる。
「兄貴知らねぇの? トーガクは今年から共学になったンだぜ」
「!?」
「え……し、知らなかった。だ、だよな! こんな可愛い子が男子なわけないよな……って、それは別にいいんだよ! それより希ちゃん、考え直した方がいいよ。実の兄貴が言うのもなんだけど、この弟のいいところは腕っぷしが強いってところと金の計算が早いだけで、あとは一般人以下というかむしろクズというか、ただの最低野郎だ。傷つく前に考え直しなさい」
ひ、ひどい言われようだ……。
ていうか爽馬さん、トーガクが共学になったってアッサリ信じたな。オレ、実は男なんですっていつネタバラシすればいいんだろう。
「あァ? なンだよ兄貴、可愛い弟にそこまで言うこたぁねーだろ!」
「誰だ可愛いんだ、誰が! 百歩譲って由真はまだ可愛いけどな! なぜなら妹だからだ!!」
そして暴言をあまり気にしてないトーマ先輩もすごい。
妹さん、名前『ゆま』っていうんだな。可愛い。
かっこいいお兄さんが二人もいて羨ましいな、ゆまちゃん。
スカートがめくりあがらないように気を付けなければ……。(カーディガンで抑えられてあるから、そこまで心配しなくても良さそうだけど)
「んじゃ、次は俺の兄貴の店でも行くか? こっからわりと近いし」
「はいっ。ていうかこんな街の中にお店出してるなんて、お兄さんすごい人なんですね……!」
「ん~まぁ、服貰えるのだけは助かってるかな。それ以外は特に」
「お兄さんの価値……」
15分ほど歩いたところで、トーマ先輩は裏道に入った。
そこはお洒落な服屋や雑貨屋が並ぶ通りで、イマドキ風な若者が多くいた。
オレ達みたいにデート中のカップルや、友達同士で来てる人たちなど……表通りは家族連れの方が目立っていたので、なんだか流れている空気も違う気がする。
「あ、あのお店前にテレビで見たところ! わ、ここもオシャレな店だなぁ……あれ? カフェかと思ったら美容室なんですね」
「俺はこの辺こないだ取り立てで来たなァ。新規の店が多いから、潰れるところもわりと多いんだよ」
「へ、へえー……」
ちょっと聞きたくなかった裏事情だった。光あるところには影あり……。
すると、小洒落たビルの前でトーマ先輩は立ち止まった。
一階は服屋さんになっていて、二階はカフェで……3階は会社か何かな?
「ここ、オヤジの持ちビルのひとつで兄貴の店。一応オリジナルブランド展開してて、結構評判いいっぽいな。つーか俺が今着てる服、兄貴のブランド」
お、お父さんの持ちビルの一つ……?
なんか今サラッとすごいことを聞いた気がするけど、オレ今15歳の高校生。
よく分かんないから聞かなかったことにしておこう。
それより、トーマ先輩のかっこいい服はお兄さんのオリジナルブランドって、そっちの方がオレ的にはすごいと思う! うん!!
「ところでお兄さんって今いくつなんですか!?」
「え? えーと……26か? オレと十歳離れてるから」
お兄さん、26歳! わあ、めちゃくちゃお兄さんだった。そりゃそうか。
どんなひとだろう。自分のブランドを持ってるってことはデザイナーさん?
やっぱりオシャレな人なのかな。
「26で自分のお店を持ってるなんてスゴイです……」
「別に最近は若い経営者多いから珍しくねェけどな。オヤジのビルだからテナント代はタダだし、人並み以上の苦労はしてねェだろうよ」
「な、なるほど……」
余計な情報が入り過ぎて、お兄さんの印象が会う前から下がっていく。
あ、あれかな? 身内だから褒められるのが恥ずかしくてわざと最初に落としてるのかな!?
でも、それってあんまりトーマ先輩らしくないというか……
「いらっしゃいませー……って、柊馬!?」
「よう兄貴、久しぶり」
「久しぶりっていうかお前、この店来るのは開店以来じゃ……」
この人がトーマ先輩のお兄さん……!
お兄さんは、ファッションはさすがにすごくオシャレだった。
どうオシャレなのかオレには説明できないけど、きれいめっていうのか?
少し長めの茶髪でたれ目で、なんだか少し女性的な感じ。ワイルド系のトーマ先輩とは真逆な雰囲気を醸し出している。
身長は同じくらい……いや、トーマ先輩の方が若干高い。
「――ところで柊馬、そっちのお嬢さんは?」
お兄さんの目線がオレの方に向けられて、ドキッとした。
「あ、ノンタン紹介するわ。俺の兄貴の朝比奈爽馬だ。サワヤカな馬って呼べよ。で、兄貴、こっちは俺の後輩で恋人のノンタン」
「さ、斉賀希です。トーマ先輩にはいつもすごくお世話になっています……よろしくお願いします」
恋人の兄弟に挨拶するって、想像した以上に緊張する。
粗相しないようにしなきゃ。
「よろしくね、柊馬の兄の爽やかな馬ですー……って誰が馬だ! それより、むちゃくちゃ可愛い子じゃないか! おい柊馬! どうしたんだ!?」
「何がだよ、うるせーな爽やかな馬」
「それもうヤメロ! 俺もノッたけど! だからこんな可愛い子とどこで知り合ったんだ? ていうか付き合ってるって……あ、脅しか? 脅してるのか? そうなんだろ!? きみ、このバカに何て脅されてるんだ?」
「な、何も脅されていませんけど……」
なんか、いきなりお兄さんのテンションがおかしくなったんだけど。
見た目はひたすら優しそうだけど、ノリツッコミしてたから実は面白い人なのかもしれない。
めちゃくちゃ滑ってるけど。
「はぁ? 人聞きの悪ぃこと言うなって。つうか後輩だって言ってンだろ、知り合ったのは学校だよ」
「後輩っておまえ、トーガクは男子校だろうが!! ……ん?」
あ、もしかしてお兄さんもトーガクの出身者なのか……って、どうしよう。
わりとマズイ流れじゃないか? これ。
お兄さんは、黙ってオレの方を見つめた。
オレとお兄さんの間に、なんともいえない空気が流れる。
「兄貴知らねぇの? トーガクは今年から共学になったンだぜ」
「!?」
「え……し、知らなかった。だ、だよな! こんな可愛い子が男子なわけないよな……って、それは別にいいんだよ! それより希ちゃん、考え直した方がいいよ。実の兄貴が言うのもなんだけど、この弟のいいところは腕っぷしが強いってところと金の計算が早いだけで、あとは一般人以下というかむしろクズというか、ただの最低野郎だ。傷つく前に考え直しなさい」
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「誰だ可愛いんだ、誰が! 百歩譲って由真はまだ可愛いけどな! なぜなら妹だからだ!!」
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