好きです、朝比奈先パイ。~元引きこもりの美少年、陽キャヤンキー先輩に溺愛される~

すずなりたま

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65 反省会

 オレはゆっくりとソファーに座り、自分が思った以上に緊張していることを知った。
 というか緊張と期待が入り混じって、よく分からない。
 正直に言って、そういう行為をすることが怖くないと言ったらウソになるけど、オレももっと近づきたいんだ、トーマ先輩に。
 心だけじゃなくて、身体も。
 そう思ったら……

「ノンタンおまたせ~、あっっまいカフェオレ作ったぜィ」
「あ、ありがとうございますっ! あの、わざわざ牛乳とお砂糖買ってくれたんですか!?」

 どっちも絶対トーマ先輩の生活には必要なさそうなものなのに。
 というかこの部屋、調理器具や炊飯器などの調理家電はほとんどなくて、唯一あるのが湯沸し器だ。
 トーマ先輩は食べ物はほぼ外か食堂で済ませて、気が向いた時に部屋でコーヒーと水を飲むらしい。(あとカップ麺。だから部屋の隅にはそれらと水のペットボトル段ボールが積み重なっている)
 なんだかオトナみたいだなぁ、とまた精神的年齢差を感じた。

「まあ隠さずに言うとノンタンのためだよな! ブラックコーヒーしかねェから俺の部屋来るのヤダって思われたら嫌だし」
「そ、そんなワガママ言いませんよ……」

 必要なら、持参すればいいんだし。

「別にワガママじゃねェよ、俺のできる最低限のもてなしってやつ。俺はノンタンみてェにうまいメシは作れねェからなー」
「あ、ありがとうございます……」

 オレも別にたいしたものが作れるわけじゃないのに(料理の腕は多分すずの方がずーっと上だ)そんな風に言ってもらえると、毎日作ってあげたいなって気持ちになる。
 それこそ、今日トーマ先輩が言ってくれた『結婚』という言葉が……思い浮かんで……その……

「うぉっ、ノンタンなんでいきなり顔真っ赤!? カフェオレが熱すぎたか!? それとも部屋が暑い!?」
「い、いいえ! なんでもありません!!」
「そっか?」

 やばいやばい、思い出すたびに赤面してしまう。
 必死で赤みを消すために呼吸を整えていると、トーマ先輩がゆっくりと口を開いた。

「じゃあ、今日の反省会すっか!」
「へ? は、反省会??」

 その口から出た意外すぎる言葉に、オレは思わず面食らった。
 今日のってことは、デートの反省会ってことだよな? え、普通のカップルって毎回そんなことやってるんだろうか……知らなかった。

「ああ別にノンタンは反省するとこねーけど、あ、一個だけあるか。まあいいや、それはあとで言う。……さっきの夕食のとき、俺デリカシーなさすぎて悪かったなぁと思って。ノンタンからももう一回チハルに謝ってくんねェかな」
「え? あっ……」

 トーマ先輩がすずの前で、ハルがすずを好きなんじゃないかって指摘したことか。
 オレもあれには驚いて、ついトーマ先輩のジャケットを引っ張ってしまったっけ。

「でも絶対、チハルはスズシロのことが好きだと思うんだけどなァ」

 二人から否定されたけど、トーマ先輩は全然信じていないらしい。

「それはオレもそう思います。けど、それを本人が伝えるのはそれぞれタイミングがありますから……」
「そうなんだよな! そこが俺にはよく分かんなくてあんな風に言っちまって、マジで少し反省してる。――俺は好きだと思ったらすぐに伝えるし、悩んでる時間とか無駄だと思う派だからよォ」
「……」

 たしかにトーマ先輩の行動はめちゃくちゃ早かった。
 オレが自分の気持ちに気付いてなかったのに、それすら見抜いたうえでオレに伝えてくれたんだ。
 でも、あのときもし……

「トーマ先輩、オレにフラれるとかは思ってなかったんですか? ヒトメボレだったのでそれはありえないんですけど……もし! もしオレが全然トーマ先輩のこと好きじゃなかったとしたら、好きだって言うのこわくないですか……?」
「べつに」
「べつに!?」

 すげえ。
 フラれるのが全然怖くないとかすげえ。
 言葉が荒くなるけど、この人まじですげえ……。
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