好きです、朝比奈先パイ。~元引きこもりの美少年、陽キャヤンキー先輩に溺愛される~

すずなりたま

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73 千春、秘密をバラされる

「そーいやハルちん、こないだの白百合の女子に返事したのか?」
「!? ちょっ……」
「あ」

 森君のその一言で、リビングが一瞬にして静まり返った。
 俺たちだけの秘密にしてほしいと言ったのに……。
 わざとじゃないのは分かるけど、何すずの前で盛大に暴露してくれてるんだ!
 シーンとしたのは束の間、次の瞬間ワッと盛り上がった。

「ちょ、何々、白百合女子って何!?」
「東雲ぇ!! 何、お前告白されたの!? なんで黙ってたんだよ!? つかなんでテツだけ知ってんだよ!?」

 上妻君と一之瀬君は物凄い勢いで食い付いてきた。すずは無言で驚いている。
 ああもう、白状するしかないのか……。

「ご、ごめーんハルちん、内緒って言われてたの忘れてた……」
「い、いいんだ。よく考えてみれば、内緒にする必要は全然無かったし」

 森君は申し訳なさそうな顔で、俺の代わりに経緯を簡単にみんなに説明してくれた。
 俺が電車の中で痴漢に遭っていた白百合女子校の人を助けたこと。
 数日後、その人に駅で手紙を渡されたこと。
 それを森くんが偶然見ていたこと。
 俺が内緒にしてくれ、と言ったこと……。

「それだよ! なんで内緒なんだよ?」
「……こんな風に俺らに騒がれるのが嫌だったんじゃね?」
「あ、そっか。そうだな。悪いな東雲」

 一之瀬君、ナイスフォロー(?)だ。
 でもどういう反応をしたらいいのか分からない……。

「俺らはともかく、山田と斉賀も知らなかったのか?」
「知らないねぇ~」

 なんだかすずの方を見れない……恐いし、バツが悪い気がする。

「だ、黙っててすまない、すず。その、なんていうか……」

 うまい言い訳が一つも思い浮かばない。
 すずは今、どんな顔で俺を見ているんだろう。

「……ねぇちーちゃん、その子と今のぼく、どっちが可愛い?」
「え!?」

 反射的にすずの顔を見たら……笑っていた。俺が黙っていたことなんてなんともないって顔だ。
 内緒にしていたことを、怒ってないのか?

「どっちがって……すずに決まってる」

 ん? ここは即答してよかったのだろうか。

「うふふ、ありがとう。素直に喜んでおくね。――別に内緒にしてたからってぼくものんちゃんも怒んないよ。ちーちゃんのことだから照れてただけなんでしょ? それで、もう返事はしたの? そっちの方が気になるー」
「い、いや、まだだ……」
「向こうも待ってるかもしれないし、返事は早めにした方がいいよ」
「わかった……」

 かなり意外だったのだが、「付き合っちゃいないよ!」的なことは一言も言われなかった。
 すずにも、上妻君にも、一之瀬君にも。
 みんな、俺が内緒にしていた理由を汲んで気を使ってくれてるのだろうか。

「しっかし、アレだな。痴漢から助けるとかマジカッコイイじゃん東雲」
「ああ、そんなんされたら俺だって惚れるわ」
「潤に惚れられたって嬉しくともなんともねぇだろ……」

 たしかに嬉しくはない。一之瀬君はイケメンだけど。

「あははっ! でもさぁ、ピンチなとこ助けられたりなんかしたら好きになっちゃうのも無理ないよね。ちーちゃん何気にイケメンだしさぁ。……ていうかみんな盛り上がってるとこ悪いけど、早くのんちゃんを追いかけないと見失っちゃうんじゃない?」
「あ、そうだった!」

 俺がイケメン!? すずやのんさんより少し背が高いだけだ。
 あとは多少勉強はできるが顔の造形は平々凡々、運動神経もまあまあ出来る方だがクソコミュ障だからイケメンの素養はゼロだ。
 すずは目が悪かったのか……。

「ちーちゃんも早くっ」
「あ、ああ」

 俺達はのんさんを追いかける準備をし、佳織さんにお礼を言って急いで森君の家を出た。
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