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〃
「千春くん、歌上手なんだね~!!」
「い、いえ……田上さんも大変お上手だと思います」
俺はいつのまにか『千春くん』と名前で呼ばれていた。
田上さんは可愛い女の子で、周りから見られても何の違和感もない。
俺たちはどこにでもいる普通のカップルに見えるのだろう。
ただ、すずといる時のような楽しさは無かった。
相手は友達じゃないのだから、当たり前だけど……。
振られたも同然で、今は他の女の子とデートしているというのに、すずのことばかり想いだすなんて俺も大概女々しい男だな、と自分が嫌になる。
「……くん、千春くん、どうしたの?」
「あっ……すいません、ぼーっとしてました!」
カラオケを出て、近場にある広い公園内を散歩することにした。
ここを歩きたいと言ったのは田上さんだ。
ちなみにカフェやカラオケの支払いは、完全に割り勘だった。
祖母から男が多めに出せと言われていたので多めに出そうとしたら、断られたのだ。
「世の中には男の子にお金をぜーんぶ出させて、自分はお財布すら出さない子もいるけど私はそんなことしないよ。それに千春くんは年下だし」
「そ、そうですか。ありがとうございます……」
財布すら出さないって、凄い人もいるもんだな。あ、でも……
そこで俺は、親友の事を思い出した。
「自分もお金を出したいのに、絶対に出させてもらえない人もいるみたいですよ。俺の友達なんですけど……、彼氏が電車代とか細かいのまで全部出してくれて、ホントに良かったのかなってあとから不安がってました」
のんさんを話のタネにさせてもらおう。
申し訳ないが、俺の周りで彼氏持ちはひとりしかいないのだ。
「それって別の高校の子?」
「あっハイ、そうです。彼氏は俺の学校の先輩ですけど……」
あ、危ない。母が予習させてくれていて(?)助かった。
「私はあんまり良くないと思うなぁ。その先輩だって、毎回だとさすがにイヤになるんじゃない? 振られる前に改めた方がいいと思う」
「振られることは絶対になさそうですね……先輩、その子にかなりベタ惚れなんで」
すずに聞く朝比奈先輩ののんさんへの(お金の)献身っぷりは、もはや『貢ぎ』のレベルだと思われた。
「……でも、お金使わせる女の子って嫌じゃない? プレゼントも高いモノばかり買わせたりして」
「プレゼントは、彼女の欲しい漫画だったそうです」
「漫画!? 彼女オタクなの!?」
「い、いえ。そんなふうな感じでもなくて。それで、さすがに漫画は断ろうとしたら、自分の金は全部自分のために使えって言われて、結局最後まで一円も出させてもらえなかったとか……」
というか最後は、俺とすずまで奢って貰ったしな。
もしや、それも非常識だったのだろうか。
しかし俺は何故、のんさんと朝比奈先輩のことをこんなに詳しく田上さんに説明しているんだろうか(世間話なだけだったのに)
すべてを割り勘で済ませている俺が情けなくなるエピソードじゃないか? 別にいいけど。
「ふーん……トーガクってやっぱり実家がお金持ちのひとが多いのね」
「お、俺は庶民ですけど。奨学金で通ってますし」
「そうなんだ、やっぱり千春くんは頭がいいんだね! 私お金持ちより、そういう人の方が好きだなー」
「どうも……」
「あ、もしかして私のコトもお金目当ての女なんじゃないかと思ってる? そんなことないからね!」
「そんなこと思ってないですよ」
ていうか、今私のこと『も』って言ったな……。
俺の話し方が悪かったせいで、のんさんが男に貢がせる悪い女友達みたいになってしまった。
申し訳ない……。
話すことが何もなくなって、数分ほど無言で公園を歩いていた。
「い、いえ……田上さんも大変お上手だと思います」
俺はいつのまにか『千春くん』と名前で呼ばれていた。
田上さんは可愛い女の子で、周りから見られても何の違和感もない。
俺たちはどこにでもいる普通のカップルに見えるのだろう。
ただ、すずといる時のような楽しさは無かった。
相手は友達じゃないのだから、当たり前だけど……。
振られたも同然で、今は他の女の子とデートしているというのに、すずのことばかり想いだすなんて俺も大概女々しい男だな、と自分が嫌になる。
「……くん、千春くん、どうしたの?」
「あっ……すいません、ぼーっとしてました!」
カラオケを出て、近場にある広い公園内を散歩することにした。
ここを歩きたいと言ったのは田上さんだ。
ちなみにカフェやカラオケの支払いは、完全に割り勘だった。
祖母から男が多めに出せと言われていたので多めに出そうとしたら、断られたのだ。
「世の中には男の子にお金をぜーんぶ出させて、自分はお財布すら出さない子もいるけど私はそんなことしないよ。それに千春くんは年下だし」
「そ、そうですか。ありがとうございます……」
財布すら出さないって、凄い人もいるもんだな。あ、でも……
そこで俺は、親友の事を思い出した。
「自分もお金を出したいのに、絶対に出させてもらえない人もいるみたいですよ。俺の友達なんですけど……、彼氏が電車代とか細かいのまで全部出してくれて、ホントに良かったのかなってあとから不安がってました」
のんさんを話のタネにさせてもらおう。
申し訳ないが、俺の周りで彼氏持ちはひとりしかいないのだ。
「それって別の高校の子?」
「あっハイ、そうです。彼氏は俺の学校の先輩ですけど……」
あ、危ない。母が予習させてくれていて(?)助かった。
「私はあんまり良くないと思うなぁ。その先輩だって、毎回だとさすがにイヤになるんじゃない? 振られる前に改めた方がいいと思う」
「振られることは絶対になさそうですね……先輩、その子にかなりベタ惚れなんで」
すずに聞く朝比奈先輩ののんさんへの(お金の)献身っぷりは、もはや『貢ぎ』のレベルだと思われた。
「……でも、お金使わせる女の子って嫌じゃない? プレゼントも高いモノばかり買わせたりして」
「プレゼントは、彼女の欲しい漫画だったそうです」
「漫画!? 彼女オタクなの!?」
「い、いえ。そんなふうな感じでもなくて。それで、さすがに漫画は断ろうとしたら、自分の金は全部自分のために使えって言われて、結局最後まで一円も出させてもらえなかったとか……」
というか最後は、俺とすずまで奢って貰ったしな。
もしや、それも非常識だったのだろうか。
しかし俺は何故、のんさんと朝比奈先輩のことをこんなに詳しく田上さんに説明しているんだろうか(世間話なだけだったのに)
すべてを割り勘で済ませている俺が情けなくなるエピソードじゃないか? 別にいいけど。
「ふーん……トーガクってやっぱり実家がお金持ちのひとが多いのね」
「お、俺は庶民ですけど。奨学金で通ってますし」
「そうなんだ、やっぱり千春くんは頭がいいんだね! 私お金持ちより、そういう人の方が好きだなー」
「どうも……」
「あ、もしかして私のコトもお金目当ての女なんじゃないかと思ってる? そんなことないからね!」
「そんなこと思ってないですよ」
ていうか、今私のこと『も』って言ったな……。
俺の話し方が悪かったせいで、のんさんが男に貢がせる悪い女友達みたいになってしまった。
申し訳ない……。
話すことが何もなくなって、数分ほど無言で公園を歩いていた。
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