好きです、朝比奈先パイ。~元引きこもりの美少年、陽キャヤンキー先輩に溺愛される~

すずなりたま

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 そしてちーちゃんはぼくをもう一度強く抱きしめてきた。
 ぼくもちーちゃんの肩に頭を預けてもたれかかった。

「ちーちゃんて隠れ肉食男子だったんだ……今日のデートでも女の子相手にカマしてきたんでしょ、分かってるんだから!」

 この天然イケメンめ。ああ、天然って怖いな~。
 きっと相手の子にも可愛いですねとかなんとか言ったんだろうな~。

「か、カマす? とりあえず告白は断ってきたけど……」
「! そーなの?」
「じゃなきゃ、すずに好きだって言わない」

 そ、そっか……。
 もしちーちゃんが白百合女の告白を受け入れてたら、ぼくに好きだって言われたところで『俺も好き』とは言わなかったかもしれないってことか。ちーちゃんは誠実だから。
 うわあ、考えると怖っ……。
 今更すぎるけど、もっと早く気持ちを伝えていればよかった。
 そうしたらのんちゃんや朝比奈先輩に迷惑をかけることもなく、ちーちゃんにも……

 ぼくは、反省は直接伝えようと口を開いた。

「ちーちゃん……ぼく、色々とゴメンね」
「何がだ?」
「いや、今まで……その、素直になれなくて……傷付けてた、よね」
「あ……いいんだ別に。こうやってすずと両想いになれたし……」

 そんなことでいいのか。
 本当に優しい。やさしいなあ、ちーちゃんは……。
 
 いや。

「ちっとも良くないよ! のんちゃんにも心配かけちゃったし!!」
「あ、ああ。のんさんは俺たちのことをかなり心配して胸を痛めていたな……今すぐRhineで報告しておこう」
「え?」

 ちーちゃんはサッと尻ポケットからスマホを取り出すと、素早くアプリを起動した。
 は、早ッッ!!

「待ってよ、ぼくが帰ってちゃんと話すから!!」
「いや、すずは照れ屋だから事の顛末がうまく話せないだろう?」
「それちーちゃんが言う!?」

 くそぉぉ―ッ!!
 ぼくのマシンガントークを舐めるなよぉぉ!?
 あ。でも今日この顛末をのんちゃんに話せるか……? ぼく。
 むりむりむり!! 恥ずかしすぎる!!
 これは無理よりの無理ったら無理!! 無理ィィ!! 
 くそう、癪だけどもうちーちゃんの行動は止めないでおこう。
 のんちゃんの方から『ハルから聞いたんだけど、両想いになれたんだね』って知ってる前提で聞かれた方が数倍マシだよ。

「すず……もう一回キスしたい」
「えっ?」

 突然の申し出に、ぼくの中の活火山が再噴火した。
 ちーちゃんは止める間もなくグイグイと距離を詰めてきて、ぼくはいつの間にか手を掴まれていたので逃げることもかなわず。
 いや、全然逃げたくないんだけど身体が勝手にね!?

「ちょ、ちょっともう勘弁して……心臓もたないよ。ちーちゃんはぼくを殺す気なの?」
「俺は今日すずの可愛さに少なくとも三回は死んでるから大丈夫だ」

 イミフ!! いやこれはボケか?
 ツッコミ待ちなのか??

「死んでないでしょ~!! ンッ……」

 突っ込んでる最中にキスされた。
 ちょっとそれはルール違反でしょ、と唇が離れた瞬間にぎろりと睨んだけどまったく効果はなく、むしろ甘すぎる視線と微笑みで軽く流されて、また唇を落とされた。
 それは何回も続いた。
 こんなことされ続けたらぼく、頭がおかしくなる……!!

「ん、ンンッ、んぅ……ちょ、もう……さすがに通報されちゃうよ……っ」

 必死で理性を総動員して、ちーちゃんを止めた。
 なんか役目違うくない!?
 いつも暴走するぼくを止めるのはちーちゃんの方じゃないの!?

「すずが可愛くて止められないんだ」
「もうダメだってば!!ちーちゃんちょっと馬鹿になってない!?」
「恋をすると人は愚かになる……」

 いやホント、その通りだと思うよ。
 けどここは外だし、ぼくは女装なんだよッッ!!
 こんな格好でおまわりさんに怒られたくないし、学校に通報されたくない!
 ぼくの必死の抵抗が伝わったのか、ちーちゃんはキスは止めてくれた。
 けど、またぎゅうっと抱きしめられた。

「ち、ちーちゃぁん……もう」
「ずっとすずを抱きしめたかったんだ。なんだか夢みたいだ」

 夢って……おおげさだなぁ、もう。
 いや、ぼくだってそう思ってたけどさ。

「……ちーちゃんって、意外と強引だよね」

 そういうところも、好きだけど。

「でも今度は普段の格好のすずを抱きしめたい。女装も似合ってるけど」

 それはとても嬉しい言葉だった。
 最初に男でもいいって言ってくれていたけど、ちーちゃんがぼくを抱き締めたりキスをしたりするのに全く抵抗がないのは、ぼくがこんな格好だからじゃないかなって……心の底ではまだ少し思っていた。
 普段の格好のぼくでも抱きしめたいなんて、そんなの断るはずないじゃん!?
 でも。

「……人がいないところでなら、いいよ」

 誰かに見られたりしたら恥ずかしい。
 ぼくがこんなに照れているのは、ここが外だからじゃないか?
 うん、そう思うことにしよう。
 じゃあ今度はぼくからいっぱい近付いてイチャイチャして、ちーちゃんを翻弄させてやるかんなー!!

 ぼくは密かにそう誓ったのだった。
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