雨宮卯月は腐男子である

すずなりたま

文字の大きさ
141 / 150

「ついでに洗濯機の使い方とアイロンのかけ方なんかを教えて貰えると有難いのだが……出来るか?」

   母は明日着る制服のシャツのアイロンをかけてくれていなかった。父のことが余程心配だったのだろう。
   まあアイロンなんぞかけなくても死にはしないが、ヲタクなうえに清潔感がないというのはさすがに気になるからな……。

「うん、お安い御用だよ。これを機に隆星くんも毎日自分でやるようにしたらどう?」
「う……うむ……」
「生活力を付けてたほうが、大学生になって一人暮らししたいと思ったときに親に聞いてもらいやすいと思うよ」
「……なるほどな」

   たしかに今の状態の拙者は、(別に一人暮らしをしたいとも思っていないが)このままだと将来は俗に言う『子供部屋おじさん』まっしぐらだ。それはいやだ。



   他にも八代に色々なことを聞いているうちに、気付けば時刻は8時を回っていた。

「わ、もうこんな時間か」
「えらい長時間引き止めて悪かったな」
「大丈夫だよ、部活やってた時はもっと遅くなることがたまにあったし……」
「サッカー部やべぇな」
「うん。だからもうちょっとだけ居ても……いい?」

   いきなりグッと顔を近付けてそう言われたので、少し驚いて反射的に「おん」と答えてしまった。
   拙者は別に構わないが、こいつはいいのだろうか。明日はまだ平日ど真ん中だぞ。

「じゃあ、隆星くんの部屋で少しお喋りしたいな」
「わ……わかった」

   部屋、散らかってないといいでござるけど……。

   二階の拙者の部屋は案の定散らかっていたが、足の踏み場がないということはない。大体あこりんグッズを手放してからは部屋はなかなかに殺風景なのだ。

   あこりん……あんなに好きだったのに、今度は鈴木亜子の顔が思い浮かんできてなんだか急に左頬が痛みだした。最悪だ。
   これならまだあのトーガクの陽キャヤンキー(朝比奈)の顔が浮かぶ方がナンボかマシでござる……。

「隆星くんどうしたの?   なんかすごい渋い顔してるけど」
「いや……なんでもない」

   拙者は口直しのつもりで八代の顔をちらりと見た。……なんかボヤけてんな。そういえば予備のメガネを未だにかけていなかったことを思い出した。

「お前がずっと一緒にいてくれたから、メガネのことを忘れていたでござる」
「え……」
「今日は色々と世話になったな」

   拙者は予備メガネを探すべく、机の引き出しを漁り始めた。ついこないだ使ったばかりだから、たしかここら辺に置いたような──

「……隆星くん」
「お?」

   いつの間にか拙者の真後ろに八代がピタリとくっつくように立っていて、右手を上からギュッと掴まれた。
感想 7

あなたにおすすめの小説

今さら嘘とは言いにくい

藤掛ヒメノ@Pro-ZELO
BL
オレ、蓮田陽介と大津晃は、同じ独身男子寮に住む仲間だ。学生気分も抜けずに互いにイタズラばかりしている。 ある日、オレは酔いつぶれた晃に、「酔った勢いでヤっちゃったドッキリ」を仕掛けた。 驚くアイツの顔を見て笑ってやろうと思ったのに、目が覚めた晃が発したのは、「責任取る」の一言で――。 真面目な返事をする晃に、今さら嘘とは言いにくくて……。 イタズラから始まる、ハイテンション誤解ラブコメ!

【完結済】俺のモノだと言わない彼氏

竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?! ■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。

【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話

須宮りんこ
BL
【あらすじ】 高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。 二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。 そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。 青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。 けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――? ※本編完結済み。後日談連載中。

ガラス玉のように

イケのタコ
BL
クール美形×平凡 成績共に運動神経も平凡と、そつなくのびのびと暮らしていたスズ。そんな中突然、親の転勤が決まる。 親と一緒に外国に行くのか、それとも知人宅にで生活するのかを、どっちかを選択する事になったスズ。 とりあえず、お試しで一週間だけ知人宅にお邪魔する事になった。 圧倒されるような日本家屋に驚きつつ、なぜか知人宅には学校一番イケメンとらいわれる有名な三船がいた。 スズは三船とは会話をしたことがなく、気まずいながらも挨拶をする。しかし三船の方は傲慢な態度を取り印象は最悪。 ここで暮らして行けるのか。悩んでいると母の友人であり知人の、義宗に「三船は不器用だから長めに見てやって」と気長に判断してほしいと言われる。 三船に嫌われていては判断するもないと思うがとスズは思う。それでも優しい義宗が言った通りに気長がに気楽にしようと心がける。 しかし、スズが待ち受けているのは日常ではなく波乱。 三船との衝突。そして、この家の秘密と真実に立ち向かうことになるスズだった。

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

【完結】期限付きの恋人契約〜あと一年で終わるはずだったのに〜

なの
BL
「俺と恋人になってくれ。期限は一年」 男子校に通う高校二年の白石悠真は、地味で真面目なクラスメイト。 ある日、学年一の人気者・神谷蓮に、いきなりそんな宣言をされる。 冗談だと思っていたのに、毎日放課後を一緒に過ごし、弁当を交換し、祭りにも行くうちに――蓮は悠真の中で、ただのクラスメイトじゃなくなっていた。 しかし、期限の日が近づく頃、蓮の笑顔の裏に隠された秘密が明らかになる。 「俺、後悔しないようにしてんだ」 その言葉の意味を知ったとき、悠真は――。 笑い合った日々も、すれ違った夜も、全部まとめて好きだ。 一年だけのはずだった契約は、運命を変える恋になる。 青春BL小説カップにエントリーしてます。応援よろしくお願いします。 本文は完結済みですが、番外編も投稿しますので、よければお読みください。

【完結】幼馴染に告白されたけれど、実は俺の方がずっと前から好きだったんです 〜初恋のあわい~

上杉
BL
ずっとお前のことが好きだったんだ。 ある日、突然告白された西脇新汰(にしわきあらた)は驚いた。何故ならその相手は幼馴染の清宮理久(きよみやりく)だったから。思わずパニックになり新汰が返答できずにいると、理久はこう続ける。 「驚いていると思う。だけど少しずつ意識してほしい」 そう言って普段から次々とアプローチを繰り返してくるようになったが、実は新汰の方が昔から理久のことが好きで、それは今も続いている初恋だった。 完全に返答のタイミングを失ってしまった新汰が、気持ちを伝え完全な両想いになる日はやって来るのか? 初めから好き同士の高校生が送る青春小説です!お楽しみ下さい。

兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?

perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。 その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。 彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。 ……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。 口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。 ――「光希、俺はお前が好きだ。」 次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。