幽現学園S

たけこゆき

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第2章 孤軍奮闘

第11話 リスキーなお願い

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目が覚めてしまった。
正直に言えば、全然寝ることが出来なかった。

困ったものだ。
起きてしまったものは仕方がない。
壁にかかっている時計は五時を指しており、二度寝してたら学校に遅れそうだ。
私は話す内容を頭でまとめ、朝の訪れを待った。

ちゅんちゅん

朝だ。
私は横で寝ているレモンとライチを起こし、学校へ行く支度を促す。
いつも通りのことだ。二人はぎりぎり間で眠っていようとするから、私が起こさないといけないのだ。


「もう少しだけ寝かせてよー」
「うるさいわねえ」

文句を言いながらも二人が起きてくる。
よしきた。
私は二人が起きてくる直前に作っておいたスクランブルエッグを二人の前に差し出す。

「ごめんごめん、朝食作っといたから許してちょ」
「わーい、スクランブルエッグだー」
「テキトーな人間なのに料理は上手いのよねえ、うらやましいわ」
「ちょっと!テキトーな人間わは余計だろ!」
「事実を言ったまでよ」
「うぐぐぐぐぐ…」

二人の機嫌が戻ってきたようだ。
なりよりである。
三人で朝食を食べ、準備を整えて学校へと向かう。
まつりちゃんたちと話すことができるのは放課後だから、それまでは待とう。
聞いてくれるといいな、私の話。


キーンコーンカーンコーン

最後のチャイムが鳴った。
授業が終わり、気づけば放課後を迎えていた。
あっという間である。

しばらくすると、まつりがやってきた。

「やっほー!キウイ、元気にしてたかー?」
「元気にしてたぜー。そっちこそ元気にしてた?」
「もちろんさ!週末は忙しかったけどね」
「マジ!?なにかあった?」
「唐傘の女の子と出会ってね、片目を探してたのさ。その途中トラブルとか事件もあって」

まつりは週末のエピソードについて事細かに話してくれた。
まつりと話すのは楽しいなあ。

ん??
ちょっとまてよ。
大事なこと忘れてないか。

そうである。
まつりにある話をするために来たのだ。

「まつり、こっちも話があって」
「ん?なになに?聞かせてよ」

ごめん。
まつりみたいに楽しい話じゃないんだ。
今からする話は。

私は大きく息を吸って話し始めた。

私たちのこと。突然変異のこと。人為的かもしれないこと。

その一つ一つをまつりは真剣に聞いてくれた。
私の話をすべて聞き終えたあとで、まつりはこう言った。

「キウイが言いたいことは分かる。やりたいことも分かる。でも。」

でも。でも?

「あなたがやろうとしてることは、人為的であった場合ハイリスク過ぎる。」

だからやめておきなさい。あなたが傷つくのを見たくないから。
まつりはそういった。

ありがとう。
聞いてくれてありがとう。

それでも。
私は調べたいんだ。
みんなに意見聞いときながら結局聞かない形になるが、それでいい。
私が答えを見つけるから。
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