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3.バルト海を並び行く幽霊たち
3-12.全速後進
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3-12.全速後進
ダメだ!
霧の中から砲撃されている!
「灯りを消せ! 狙われる」
幽霊船は武装しておらず、相変わらず、骸骨と海の上を、ゆっくりと進んでいる。
この霧の中、光を出すものは、幽霊船の灯りだけとなった。
しかし、我がガレオン船周辺に砲弾が向けられている。
先ほどのように、正確な射撃ではないが、こちらの居場所を把握しているようだ。
「なぜ?」
障害物のない海の上、こちらから見えないのであれば、相手方も見えないはず。
やみくもに撃ってもあたるとは思えない。
「幽霊船が東に進んでいるわ。追いかけるわ」と、エマリーがイライザに指示していた。
確かに、幽霊船を見失う訳にはいかない。すると砲撃がさらに激しくなってきた。
激しく高く舞い上がった水しぶきが、私たちを襲う。
こちらは、コペンハーゲンを出港していた黒船海賊団。
「ハインリッヒッ、かすかだが砲撃が聞えた。戦闘配置、砲撃戦用意だ」と、バーナー・シュバルツが吠えた。
「了解、キャプテン」
「マリーネ、貴族令嬢の船の情報を」
「はい、キャラベル船で霧に紛れるため、白く塗装か布を使っているようです。目視し難いです」
「白いキャラベルか」
「キャプテン。灯りを灯した変なキャラベルがいます」
その頃、私は、砲撃に為すすべなくやられていた。
直撃こそなかったが、水面に着弾した砲弾があげる水しぶきで、全身はびしょぬれであった。それは、他の船員も同じだ。
「ダメだ! 一旦、幽霊船から離れよう。減速」と、私が言うとエマリーが、「良いのか?」というような顔をしたが、手も足も出ないのだ。
イライザが面舵から取舵を取り、船を減速させていた。
すると、それに釣られたのか、幽霊船も左右に船体を振っている。
「なぜ?」
「ミーナ、見た?」
「ああぁ、何故か、幽霊船も減速させている」
「訳は分からんが、幽霊船が何らかのサインを出して、この船の位置を教えているのでは?」
「それはあり得るわね」
「よし、思い切って反転……いや、イライザ、この状況で後進は出来るか?」
「やってみます。マストォー!」と、イライザがマストの角度を指示している。
やがて、白いガレオン船が後進し始めた。
不意を突いたのだろう。
幽霊船の動きが戸惑ったのが分かった。
やはり、その時、砲撃も戸惑ったようだ。
どうやら、幽霊船の指示で砲撃をしているのが分かった。
なら、幽霊船を利用するのだ。盾にするなんて、どうかしら。
ダメだ!
霧の中から砲撃されている!
「灯りを消せ! 狙われる」
幽霊船は武装しておらず、相変わらず、骸骨と海の上を、ゆっくりと進んでいる。
この霧の中、光を出すものは、幽霊船の灯りだけとなった。
しかし、我がガレオン船周辺に砲弾が向けられている。
先ほどのように、正確な射撃ではないが、こちらの居場所を把握しているようだ。
「なぜ?」
障害物のない海の上、こちらから見えないのであれば、相手方も見えないはず。
やみくもに撃ってもあたるとは思えない。
「幽霊船が東に進んでいるわ。追いかけるわ」と、エマリーがイライザに指示していた。
確かに、幽霊船を見失う訳にはいかない。すると砲撃がさらに激しくなってきた。
激しく高く舞い上がった水しぶきが、私たちを襲う。
こちらは、コペンハーゲンを出港していた黒船海賊団。
「ハインリッヒッ、かすかだが砲撃が聞えた。戦闘配置、砲撃戦用意だ」と、バーナー・シュバルツが吠えた。
「了解、キャプテン」
「マリーネ、貴族令嬢の船の情報を」
「はい、キャラベル船で霧に紛れるため、白く塗装か布を使っているようです。目視し難いです」
「白いキャラベルか」
「キャプテン。灯りを灯した変なキャラベルがいます」
その頃、私は、砲撃に為すすべなくやられていた。
直撃こそなかったが、水面に着弾した砲弾があげる水しぶきで、全身はびしょぬれであった。それは、他の船員も同じだ。
「ダメだ! 一旦、幽霊船から離れよう。減速」と、私が言うとエマリーが、「良いのか?」というような顔をしたが、手も足も出ないのだ。
イライザが面舵から取舵を取り、船を減速させていた。
すると、それに釣られたのか、幽霊船も左右に船体を振っている。
「なぜ?」
「ミーナ、見た?」
「ああぁ、何故か、幽霊船も減速させている」
「訳は分からんが、幽霊船が何らかのサインを出して、この船の位置を教えているのでは?」
「それはあり得るわね」
「よし、思い切って反転……いや、イライザ、この状況で後進は出来るか?」
「やってみます。マストォー!」と、イライザがマストの角度を指示している。
やがて、白いガレオン船が後進し始めた。
不意を突いたのだろう。
幽霊船の動きが戸惑ったのが分かった。
やはり、その時、砲撃も戸惑ったようだ。
どうやら、幽霊船の指示で砲撃をしているのが分かった。
なら、幽霊船を利用するのだ。盾にするなんて、どうかしら。
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