【完結】元ドラゴンは竜騎士をめざす ~無能と呼ばれた男が国で唯一無二になるまでの話

樹結理(きゆり)

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第一章《旅立ち~試験》編

第二十三話 模擬戦二日目!!魔法!

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「十七、十八、来い!!」

 昨日と同じように大声で呼ばれ席を立つ。

「「頑張れ」」

 二人とも笑顔で応援してくれる。キーアは相変わらず外で模擬戦を見物しているようだ。控えの間を出たり入ったりしてやがる。自由だな、おい。

 同じように呼ばれて立ち上がった男。

 う、うわぁぁ、嫌だ……。
 めちゃくちゃガタイの良いいかつい男が出て来た……。男はギロリとこちらを一睨みしてからゆっくりと演習場へと向かう。

 な、なんだよ……、そんな睨まなくても……。背後からはまた違う視線がグサグサ刺さるし……はぁぁあ……。



「魔法模擬戦は魔法のみで五分間!! それ以外を使った場合は失格! 昨日と同様に相手を殺した場合も失格! あまりに力の差がある場合の中断も昨日と同じだ! 以上だ、では位置に付け!」

 昨日と同様に二十歩ほどの距離を開け対面して立つ。


「開始!!」


 まずはこの男がなんの魔法を使うかだ!

 男の様子を伺う。
 男は合図と同時に魔力を掌に集め始めた。よし、ちゃんと魔力の動きを感じられる!

 男は両腕を前に伸ばし掌をこちらに翳した。掌により一層の魔力が集まる。

 これ、みんな無意識にやってんだよなぁ、なんでそんなこと出来るのに、みんな魔力を感じないんだろうな。

 なんてことを考えていると男が掌から握り拳ほどの大きさの氷弾を打ち出した。

「うわっつ!!」

 出て来る瞬間の掌の向きから身体を動かしそれを避ける。思わず変な声出しちゃったよ。

 こいつは氷使いかー、今まで炎ばかりで訓練していたからなぁ、さて、どうする。

 男は連続で氷弾を打って来る。それをなんとか躱すが、ひたすら躱すだけ。疲れるだけなんだよ!

「お前! 馬鹿にしてんのか!! 逃げてばかりじゃなく戦え!!」
「…………」

 いや、馬鹿にしてません。逃げるしかないんだから仕方ないじゃん!!
 俺だって戦えるもんなら戦いたいよ!! でも躱すしか能がないんだよ!!

 あぁ、ヤグワル団長や試験官の視線が痛い……。なにやってんだ、こいつ、みたいな目。居たたまれない……。俺だって魔法使ってみたかったんだー!!

 よっ! ほっ! そりゃ! と躱す躱す。自分でもなんかアホみたいだな、と苦笑する。
 逃げてばかりも疲れるし息が上がる。そして相手の男はこれまた怒りが頂点に達しそうな顔……。

「いい加減にしろよ……」

 男の怒りがー!!

 次の一弾を躱したとき、足元が滑り思わず手を付き膝を付いてしまった。ヤバい!!
 男はニヤッとし、すかさず次の氷弾を打つ。やべっ!

 なんとか受け身を取り転がるようにそれを避ける。が、そのまま身体が滑る滑る。ん?

 気付けば周りの足元は男の氷弾が撃ち込まれたせいで、氷の床と化していた。それで滑ったのか! まずいじゃん! 俺の周り氷だらけ! そら滑るわ!

 魔法の氷は普通の氷よりも溶けにくい。しばらくは凍り付いたままだ。このままいくと足場がなくなってしまう。

 なんとか足場を! とすでに疲れている身体を無理矢理動かし、男の周りを円を描くように走り回る。躱した氷弾はさらに氷を広げ、どんどんと足元を奪って行く。

 このままいくとヤバいな。時間切れより前にやられてしまう。

「…………、よし」

 ここは気張りますか!!

 氷弾を躱し、一気に方向転換! 男に向かって全速力で駆け寄る!!

「!?」

 男は急にこちらへ向かってくる俺に驚いた顔をし慌てて氷弾を再び打つ。

「うおっ!」

 辛うじてそれを躱し、崩れた体勢のまま男の足元へ滑り込む!!
 さらに驚いた男は足元の俺に向かって氷弾を撃ち込んだ!

 しかしそれは想定済み!! 男の脚を掴み、それを起点にぐるんと方向転換し、滑り込んだ方向と真逆の方向へと立ち上がった。

 男は自分の打った氷弾を足元に被弾し、一気に凍り付いた床と俺が脚にしがみつき起点にしたせいで、バランスを崩しひっくり返った。

「ぐはっ」

 どうやら豪快にひっくり返り背中を強打したようだ。ご、ごめん……。男はうめき声を上げたのち、ゆらりと立ち上がった。

「な、舐めたマネしやがって……ゆ、許さねー!!」

 男が怒り心頭で怒声を上げた。



「そこまで!!」



 うっはー! また相手を怒らせただけで終わっちゃったよ!! おぉぉう、どうしよ、これ。

「ふざけんなー!! あんなの勝負じゃねー!! あいつはなんにもしてないだろうが!! ただ逃げてただけじゃねーか!! こんなので模擬戦て言えるのかよ!!」

 ご、ごもっともです……。

「まあな、十八番、お前なんで魔法を使わなかった?」

 ヤグワル団長は俺に向かって聞いた。やっぱり見逃してはもらえないか……。
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