140 / 163
最終章 唯一無二
第百三十八話 竜か竜人か
しおりを挟む
「竜に戻れるか? 竜に戻ることが出来て、竜人化試験は完了だ」
ログウェルさんがヒューイに向かって言った。
ヒューイは首をゴキゴキと動かし立ち上がった。そして自分の掌を見詰め、にぎにぎと感触を確かめるように自身の身体を確認していく。
身体を動かし伸ばす。顔を触り、髪を触り確認する。そしてフッと笑い、強気な瞳でログウェルさんを見た。
「あったり前だ!!」
そう声高らかに宣言したヒューイは俺に視線を移すとニッと笑い、そして真剣な表情へと変わり集中する。
ヒューイの身体がぼやけたように見えた。
風? ヒューイから感じる。竜気? 気配の風。ヒューイの身体が光り輝くように煌めいたかと思うと、身体が溶けるかのように竜へと変貌を遂げる。
ヒューイを包んでいた布が風に煽られ舞い落ちる。
一瞬のうちにヒューイは竜の姿へと戻っていた。
「凄い……」
俺だけでなくアンニーナたちやヴィリーたちも感嘆の声を上げる。
「竜の人間化や竜化は初めて見たが凄いもんだな」
ヴィリーはずっと何も言わず見守ってくれていたが、初めて目にした竜人化に感動しているようだった。ロドルガさんも食い入るようにヒューイを見ている。
「よし、これで全ての竜人化試験は完了だ! ヒューイ、お前ももう一人前だな」
そう言ってログウェルさんはヒューイの腕になにかを装着した。
「なんですか、それ」
「これか? これは竜人化したときに自動的に服が装着される魔導具だ」
ブレスレットのような金属製のようなものをヒューイの腕に装着。
「身体の大きさに合わせ伸縮し、竜人のときには服を装着、竜に戻ったときはまた魔導具のなかに魔力として戻る仕組みになっている」
「え、凄っ」
アンニーナが驚きの声を上げた。
そういえば確かに竜人であるログウェルさんやヤグワル団長も手首に同じような魔導具らしきものを装着している。
「俺たちはもうほとんど竜に戻ることはないから必要ないんだがな」
ヤグワル団長が笑いながらそう言った。
確かにヤグワル団長やログウェルさんが竜化したところなんて見たことないしな。
「竜化や竜人化はそれなりに体力を消耗する。だからそんな頻繁に行うやつはいない。一度竜人を選ぶと、もうほぼ竜人のまま、逆に竜に戻るやつは竜騎士と相棒になり、そのままずっと竜のまま、というやつがほとんどだな」
「なるほど」
「ヒューイはどっちを選ぶ?」
ヤグワル団長はヒューイに向かって聞いた。
皆がヒューイを見る。
『俺は……リュシュの相棒だ。竜とか竜人とか関係ねー。竜として必要なら竜になる。竜人として必要なら竜人になる。どちらかとか、体力消耗なんて関係ねーんだよ』
皆が唖然とした顔をしていた。
「ハッ!! アッハッハッハ!! さすがヒューイだな!! お前らしいよ。リュシュ、お前、愛されてんなぁ」
ヤグワル団長が爆笑しながら俺の背中をバシッと叩いた。ぐふっ。
あ、愛されてるって、ちょっと……。
『なんか文句あんのか!!』
ヒューイがキレた。
瞬時に竜人化したかと思うとヤグワル団長の胸ぐらを掴み凄んでいた。おいおい。
「ハハハ、褒めてんだよ。それだけお前らの絆が深いんだろう? まあでも体力消耗し過ぎて、いざと言うときに戦えないなら意味ないからな、気をつけろよ?」
ヤグワル団長はヒューイの手首を握ると、ヒューイが顔を歪めた。ミシッと音を立てそうな勢いで握り締められている。ヤグワル団長……怖っ。
フェイやアンニーナはそのやり取りよりもヒューイの服に興味津々のようだった。瞬時に竜人化したヒューイに見事に装着された服。本当に一瞬で服が出現するんだな。凄いな。
「とりあえず無事竜人化試験は終われたが、ナザンヴィアへの潜入をどうするか作戦を練らないとな」
ヤグワル団長がヒューイの手首を掴みながら俺たちに言った。ヒューイはなんとかヤグワル団長の手を振り払おうとしているのにびくともしていない……。
ナザンヴィアへの潜入……そうなんだよな、それをどうするか。
ヴィリーから隠し通路の話が出る。
「なるほどな……正面突破よりはそのほうが無難だな」
ふむ、とヤグワル団長は腕組みし考えを巡らせる。
「その方向で行くにしても、リュシュ、君、剣や魔法での戦闘訓練をしたほうが良いよ」
「ん?」
フェイが突然そう言葉にした。
ログウェルさんがヒューイに向かって言った。
ヒューイは首をゴキゴキと動かし立ち上がった。そして自分の掌を見詰め、にぎにぎと感触を確かめるように自身の身体を確認していく。
身体を動かし伸ばす。顔を触り、髪を触り確認する。そしてフッと笑い、強気な瞳でログウェルさんを見た。
「あったり前だ!!」
そう声高らかに宣言したヒューイは俺に視線を移すとニッと笑い、そして真剣な表情へと変わり集中する。
ヒューイの身体がぼやけたように見えた。
風? ヒューイから感じる。竜気? 気配の風。ヒューイの身体が光り輝くように煌めいたかと思うと、身体が溶けるかのように竜へと変貌を遂げる。
ヒューイを包んでいた布が風に煽られ舞い落ちる。
一瞬のうちにヒューイは竜の姿へと戻っていた。
「凄い……」
俺だけでなくアンニーナたちやヴィリーたちも感嘆の声を上げる。
「竜の人間化や竜化は初めて見たが凄いもんだな」
ヴィリーはずっと何も言わず見守ってくれていたが、初めて目にした竜人化に感動しているようだった。ロドルガさんも食い入るようにヒューイを見ている。
「よし、これで全ての竜人化試験は完了だ! ヒューイ、お前ももう一人前だな」
そう言ってログウェルさんはヒューイの腕になにかを装着した。
「なんですか、それ」
「これか? これは竜人化したときに自動的に服が装着される魔導具だ」
ブレスレットのような金属製のようなものをヒューイの腕に装着。
「身体の大きさに合わせ伸縮し、竜人のときには服を装着、竜に戻ったときはまた魔導具のなかに魔力として戻る仕組みになっている」
「え、凄っ」
アンニーナが驚きの声を上げた。
そういえば確かに竜人であるログウェルさんやヤグワル団長も手首に同じような魔導具らしきものを装着している。
「俺たちはもうほとんど竜に戻ることはないから必要ないんだがな」
ヤグワル団長が笑いながらそう言った。
確かにヤグワル団長やログウェルさんが竜化したところなんて見たことないしな。
「竜化や竜人化はそれなりに体力を消耗する。だからそんな頻繁に行うやつはいない。一度竜人を選ぶと、もうほぼ竜人のまま、逆に竜に戻るやつは竜騎士と相棒になり、そのままずっと竜のまま、というやつがほとんどだな」
「なるほど」
「ヒューイはどっちを選ぶ?」
ヤグワル団長はヒューイに向かって聞いた。
皆がヒューイを見る。
『俺は……リュシュの相棒だ。竜とか竜人とか関係ねー。竜として必要なら竜になる。竜人として必要なら竜人になる。どちらかとか、体力消耗なんて関係ねーんだよ』
皆が唖然とした顔をしていた。
「ハッ!! アッハッハッハ!! さすがヒューイだな!! お前らしいよ。リュシュ、お前、愛されてんなぁ」
ヤグワル団長が爆笑しながら俺の背中をバシッと叩いた。ぐふっ。
あ、愛されてるって、ちょっと……。
『なんか文句あんのか!!』
ヒューイがキレた。
瞬時に竜人化したかと思うとヤグワル団長の胸ぐらを掴み凄んでいた。おいおい。
「ハハハ、褒めてんだよ。それだけお前らの絆が深いんだろう? まあでも体力消耗し過ぎて、いざと言うときに戦えないなら意味ないからな、気をつけろよ?」
ヤグワル団長はヒューイの手首を握ると、ヒューイが顔を歪めた。ミシッと音を立てそうな勢いで握り締められている。ヤグワル団長……怖っ。
フェイやアンニーナはそのやり取りよりもヒューイの服に興味津々のようだった。瞬時に竜人化したヒューイに見事に装着された服。本当に一瞬で服が出現するんだな。凄いな。
「とりあえず無事竜人化試験は終われたが、ナザンヴィアへの潜入をどうするか作戦を練らないとな」
ヤグワル団長がヒューイの手首を掴みながら俺たちに言った。ヒューイはなんとかヤグワル団長の手を振り払おうとしているのにびくともしていない……。
ナザンヴィアへの潜入……そうなんだよな、それをどうするか。
ヴィリーから隠し通路の話が出る。
「なるほどな……正面突破よりはそのほうが無難だな」
ふむ、とヤグワル団長は腕組みし考えを巡らせる。
「その方向で行くにしても、リュシュ、君、剣や魔法での戦闘訓練をしたほうが良いよ」
「ん?」
フェイが突然そう言葉にした。
20
あなたにおすすめの小説
【完結】無能と婚約破棄された令嬢、辺境で最強魔導士として覚醒しました
東野あさひ
ファンタジー
無能の烙印、婚約破棄、そして辺境追放――。でもそれ、全部“勘違い”でした。
王国随一の名門貴族令嬢ノクティア・エルヴァーンは、魔力がないと断定され、婚約を破棄されて辺境へと追放された。
だが、誰も知らなかった――彼女が「古代魔術」の適性を持つ唯一の魔導士であることを。
行き着いた先は魔物の脅威に晒されるグランツ砦。
冷徹な司令官カイラスとの出会いをきっかけに、彼女の眠っていた力が次第に目を覚まし始める。
無能令嬢と嘲笑された少女が、辺境で覚醒し、最強へと駆け上がる――!
王都の者たちよ、見ていなさい。今度は私が、あなたたちを見下ろす番です。
これは、“追放令嬢”が辺境から世界を変える、痛快ざまぁ×覚醒ファンタジー。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
精霊に愛される(呪いにもにた愛)少女~全属性の加護を貰う~
如月花恋
ファンタジー
今この世界にはたくさんの精霊がいる
その精霊達から生まれた瞬間に加護を貰う
稀に2つ以上の属性の2体の精霊から加護を貰うことがある
まぁ大体は親の属性を受け継ぐのだが…
だが…全属性の加護を貰うなど不可能とされてきた…
そんな時に生まれたシャルロッテ
全属性の加護を持つ少女
いったいこれからどうなるのか…
冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~
eggy
ファンタジー
もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。
村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。
ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。
しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。
まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。
幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。
「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー
芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。
42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。
下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。
約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。
それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。
一話当たりは短いです。
通勤通学の合間などにどうぞ。
あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。
完結しました。
白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます
時岡継美
ファンタジー
初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。
侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。
しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?
他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。
誤字脱字報告ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる