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第15話 魔導具の構造
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ギクリと身体が強張ったが、しかし、もう今さら話を逸らすことなんて出来ない。一度深呼吸をすると、アシェルト様へと振り向いた。緊張しながらもアシェルト様を真っ直ぐに見詰める。
「あ、あの……」
「うん」
「ラシャ様が亡くなった魔導具って……アシェルト様が開発したものなんですか?」
一瞬喉が詰まったが、必死に声を絞り出し、言葉を続けた。胸の奥がなにかに絞め付けられるかのように苦しくなった。知りたい、知りたくない……アシェルト様にそれを聞いてはいけないのでは、といった様々な想いが頭のなかをぐるぐると駆け巡る。
アシェルト様は驚いた様子もなく、小さく溜め息を吐くと苦笑するように話し出す。
「そうだよ。あの魔導具は僕が開発したものだ。ルフィルは知らなかったんだね?」
「は、はい……」
「ごめん、もう知っているのかと思っていた……」
そう言いながらアシェルト様は苦笑する。初めて会いに行った時点で、私が魔導師団で色々と聞き込んでいたことをアシェルト様はなんとなく気付いていた。だから、アシェルト様が開発した魔導具であることも当然知っているものだと思っていたようだ。
「あの魔導具は僕が開発して、使用実験を行い安全性が確認された後、使用許可が出たものだった。だから一応問題はなかったはずなんだ……」
「それなのに暴発した……」
「うん……」
「だからアシェルト様は……その……」
自身の作った魔導具が暴発するはずなどない、と思っているのか、そう聞こうとして言葉に出来なかった。口籠り、言葉にするのを躊躇っていると、アシェルト様は再び苦笑する。
「ルフィルの言いたいことは分かるよ……僕が開発した魔導具だ。そんな魔導具が暴発するはずなんかない。僕自身がそう思っている……。自分の落ち度を認められないから、ラシャが死んだのは誰かに殺されたからだと思いたいだけだろう……そう思っているんでしょ?」
「そ、そんなことは!!」
ないとは言い切れない……。
魔導具の開発をアシェルト様が行ったのなら、自身の作ったものに自信もあるだろうし、暴発するはずがない根拠だってあるのだろう。だからきっとアシェルト様はずっと疑問を感じ、研究を続けているのだろうから……。
しかし、だからこそ、他の人間からすると、暴発した原因は事故以外に考えられなく、アシェルト様がそれを認められないだけではないのか、と思ってしまう……。
そんなことを悶々と考えてしまい、口籠ってしまった。それがアシェルト様を信じていないように思えて、私は居た堪れない気持ちになった。アシェルト様はそんな私の顔を見て、苦笑しながらも頭にポンと手を置き、そっと撫でた。
「ごめん、意地悪な言い方をした」
「い、いえ、私が……私の方こそすみません……アシェルト様を手伝っておきながら、アシェルト様を信じ切れていなかったのかもしれません……」
「うん、それは仕方ないよ。僕がルフィルにちゃんと説明していなかったんだし……ごめんね……」
そう言いながらアシェルト様は眉を下げながら微笑んだ。そして頭を撫でていた手はするりと落ち、私の頬に触れるか触れないかの位置で指が這い、そして離れた。アシェルト様の綺麗でありながらも節張った指が、男の人の手なのだとはっきりと分かりドキリとしてしまう。
「おいで」
アシェルト様は私を研究室に促した。そして、雑然とした机の上を片付け、そこになにやら絵や文字の書かれた紙を広げた。そこには球体の絵が描かれてあり、その球体が半分に割られたような絵や、それらの説明文が書かれたりとしてある。
「これは……例の魔導具の……」
「うん……今までルフィルにしっかりと見せたことはなかったよね……」
そう言いながらアシェルト様は手招きをし、その紙を指差した。
「この魔導具は小型爆弾でね……地雷として設置して魔獣などを討伐するために開発したものなんだ。魔力を限界まで圧縮して、外部からの刺激を受け爆発する仕組みだった」
アシェルト様が指差す絵には、円の中心に核があり、そこに魔力を圧縮させてあることを示していた。
「でも持ち運びのときに爆発したら元も子もないから、作動させるときに少しの魔力を送ってから設置させる仕組みになっていたんだ。しかしあのときはラシャが持った途端に爆発した……あの魔導具はそんな爆発の仕方をするはずがないんだよ……」
「…………」
なにも言葉に出来なかった。アシェルト様の辛そうな顔が私の胸の奥を抉った。アシェルト様の辛い記憶を無理矢理呼び起こさせてしまった。前に進んでもらいたいのだから、それを避けて通れないことは分かっている。でも……やはりこんな辛そうな顔をさせたくもない。
しかし、私がそんなことを考えていると、アシェルト様は深く息を吐くと顔を上げた。そこには強い瞳があった。前へと進む、その強い意志を感じた。アシェルト様自身が前へと進もうとしている……それを感じる。
予想外にアシェルト様の強さを感じ、こうして前へと進もうとしていることに嬉しくなりながらも、戸惑いも感じ、どう声を掛けたら良いのか分からなくなった。
「しかも、あの魔導具は……本来なら僕が使うはずだった魔導具だ……あのときラシャは……なにか気付いていたのかもしれない……そうでないと、わざわざ僕の魔導具と交換するはずがないんだ……」
「ラシャ様はなにかに気付いていた?」
「本来なら自分専用の魔導具しか使うことはない。それをわざわざ僕のものと交換したんだ。なにかあったとしか思えない……魔導具の不備でなかろうと、その異常に気付けなかった僕には責任がある……僕がラシャを殺したも同然なんだよ……」
「アシェルト様が殺したなんてそんなことあるはずないじゃないですか!!」
自嘲気味に笑ったアシェルト様の姿が悲痛に思えて叫んだ。この人はいつまで自分を責めるんだろうか。前へと進んで欲しいのは、戒めのように自身を責め続けるためじゃない。
ラシャ様の命を奪ったのは魔導具であってアシェルト様ではないというのに。いくら魔導具を開発したのがアシェルト様だろうと、完璧なものなどないだろう。事故などないほうがいいに決まってはいるが、そんなもの完全に防ぎ切れるかなんて分からない。それに……
「あ、あの……」
「うん」
「ラシャ様が亡くなった魔導具って……アシェルト様が開発したものなんですか?」
一瞬喉が詰まったが、必死に声を絞り出し、言葉を続けた。胸の奥がなにかに絞め付けられるかのように苦しくなった。知りたい、知りたくない……アシェルト様にそれを聞いてはいけないのでは、といった様々な想いが頭のなかをぐるぐると駆け巡る。
アシェルト様は驚いた様子もなく、小さく溜め息を吐くと苦笑するように話し出す。
「そうだよ。あの魔導具は僕が開発したものだ。ルフィルは知らなかったんだね?」
「は、はい……」
「ごめん、もう知っているのかと思っていた……」
そう言いながらアシェルト様は苦笑する。初めて会いに行った時点で、私が魔導師団で色々と聞き込んでいたことをアシェルト様はなんとなく気付いていた。だから、アシェルト様が開発した魔導具であることも当然知っているものだと思っていたようだ。
「あの魔導具は僕が開発して、使用実験を行い安全性が確認された後、使用許可が出たものだった。だから一応問題はなかったはずなんだ……」
「それなのに暴発した……」
「うん……」
「だからアシェルト様は……その……」
自身の作った魔導具が暴発するはずなどない、と思っているのか、そう聞こうとして言葉に出来なかった。口籠り、言葉にするのを躊躇っていると、アシェルト様は再び苦笑する。
「ルフィルの言いたいことは分かるよ……僕が開発した魔導具だ。そんな魔導具が暴発するはずなんかない。僕自身がそう思っている……。自分の落ち度を認められないから、ラシャが死んだのは誰かに殺されたからだと思いたいだけだろう……そう思っているんでしょ?」
「そ、そんなことは!!」
ないとは言い切れない……。
魔導具の開発をアシェルト様が行ったのなら、自身の作ったものに自信もあるだろうし、暴発するはずがない根拠だってあるのだろう。だからきっとアシェルト様はずっと疑問を感じ、研究を続けているのだろうから……。
しかし、だからこそ、他の人間からすると、暴発した原因は事故以外に考えられなく、アシェルト様がそれを認められないだけではないのか、と思ってしまう……。
そんなことを悶々と考えてしまい、口籠ってしまった。それがアシェルト様を信じていないように思えて、私は居た堪れない気持ちになった。アシェルト様はそんな私の顔を見て、苦笑しながらも頭にポンと手を置き、そっと撫でた。
「ごめん、意地悪な言い方をした」
「い、いえ、私が……私の方こそすみません……アシェルト様を手伝っておきながら、アシェルト様を信じ切れていなかったのかもしれません……」
「うん、それは仕方ないよ。僕がルフィルにちゃんと説明していなかったんだし……ごめんね……」
そう言いながらアシェルト様は眉を下げながら微笑んだ。そして頭を撫でていた手はするりと落ち、私の頬に触れるか触れないかの位置で指が這い、そして離れた。アシェルト様の綺麗でありながらも節張った指が、男の人の手なのだとはっきりと分かりドキリとしてしまう。
「おいで」
アシェルト様は私を研究室に促した。そして、雑然とした机の上を片付け、そこになにやら絵や文字の書かれた紙を広げた。そこには球体の絵が描かれてあり、その球体が半分に割られたような絵や、それらの説明文が書かれたりとしてある。
「これは……例の魔導具の……」
「うん……今までルフィルにしっかりと見せたことはなかったよね……」
そう言いながらアシェルト様は手招きをし、その紙を指差した。
「この魔導具は小型爆弾でね……地雷として設置して魔獣などを討伐するために開発したものなんだ。魔力を限界まで圧縮して、外部からの刺激を受け爆発する仕組みだった」
アシェルト様が指差す絵には、円の中心に核があり、そこに魔力を圧縮させてあることを示していた。
「でも持ち運びのときに爆発したら元も子もないから、作動させるときに少しの魔力を送ってから設置させる仕組みになっていたんだ。しかしあのときはラシャが持った途端に爆発した……あの魔導具はそんな爆発の仕方をするはずがないんだよ……」
「…………」
なにも言葉に出来なかった。アシェルト様の辛そうな顔が私の胸の奥を抉った。アシェルト様の辛い記憶を無理矢理呼び起こさせてしまった。前に進んでもらいたいのだから、それを避けて通れないことは分かっている。でも……やはりこんな辛そうな顔をさせたくもない。
しかし、私がそんなことを考えていると、アシェルト様は深く息を吐くと顔を上げた。そこには強い瞳があった。前へと進む、その強い意志を感じた。アシェルト様自身が前へと進もうとしている……それを感じる。
予想外にアシェルト様の強さを感じ、こうして前へと進もうとしていることに嬉しくなりながらも、戸惑いも感じ、どう声を掛けたら良いのか分からなくなった。
「しかも、あの魔導具は……本来なら僕が使うはずだった魔導具だ……あのときラシャは……なにか気付いていたのかもしれない……そうでないと、わざわざ僕の魔導具と交換するはずがないんだ……」
「ラシャ様はなにかに気付いていた?」
「本来なら自分専用の魔導具しか使うことはない。それをわざわざ僕のものと交換したんだ。なにかあったとしか思えない……魔導具の不備でなかろうと、その異常に気付けなかった僕には責任がある……僕がラシャを殺したも同然なんだよ……」
「アシェルト様が殺したなんてそんなことあるはずないじゃないですか!!」
自嘲気味に笑ったアシェルト様の姿が悲痛に思えて叫んだ。この人はいつまで自分を責めるんだろうか。前へと進んで欲しいのは、戒めのように自身を責め続けるためじゃない。
ラシャ様の命を奪ったのは魔導具であってアシェルト様ではないというのに。いくら魔導具を開発したのがアシェルト様だろうと、完璧なものなどないだろう。事故などないほうがいいに決まってはいるが、そんなもの完全に防ぎ切れるかなんて分からない。それに……
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