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第4章《旅立ち~獣人国ガルヴィオ》編
第137話 ガルヴィオの船
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お腹が満たされた後は、露店を色々眺めながら港のほうへと歩いて行く。店にはなんだか見たことがないような置物やら、変わった形の武器やらが置いてあったりと、ディノやイーザンも気になるものに吸い寄せられるように、あちこちで足を止めていた。
露店に時間を掛け過ぎて、昼になってしまいそうな時間となり、慌てて港へと向かう。遠目で見ていたときには分からなかったが、実際港まで来てみると、とてつもなく広いことが分かった。
何隻もの船が停泊してあり、そのなかでもひと際大きい船、おそらくあれがガルヴィオの船なのだろう。
一番左端の船着き場へ停泊しているその船は圧倒的に大きく、近寄るとその大きさがなおさら分かる。首が痛くなりそうなほど見上げないと、一番上まで見ることが出来ない。建物何階分の高さがあるのかしら……今まで見たことのある建物よりも圧倒的に高い。
長さもとてつもなく長く、船の最後尾が遠目にしか見えない。形自体は所謂、帆船と言われるものかしら。巨大な帆らしきものが見える。でも……風を利用して進むのならアシェルーダの船と同じよね? アシェルーダの船と違うところといえば……。
他の停泊している船と見比べてみる。そうするとなにやら船の形状がなんだか違う? それに帆の先端、一番上になにやら大きな魔石のようなものが……。船首の部分にもなにやら魔石……?
試しに魔石感知を行ってみた。するとなんだか不思議な魔石の気配を感じる。
なんだろう、これ……普通の魔石とはなんか違うような? いや、普通の魔石ではあるのかな……付与している魔力がなにやら特殊? うーん、分からない……。しかもとてつもなく大きそうな魔石の気配……。これだけの大きな船を動かす魔石、ということかしら……。
ん? でもなんだか、今見えるだけの魔石の数じゃないような……。あちこちから魔石の気配を感じる。
この船自体が……魔導具のような……?
こんな大きい船でもし万が一攻めて来られたら、そりゃ勝てないわよね……。魔導研究所で聞いた三国均衡の話を思い出した。こんなものを造れる国がアシェルーダを攻めてこない理由。それはアシェルーダが聖女を輩出する国だからと言っていた。それによって三国の均衡が保たれている、と。
「すっごい船ねぇ。一体どうやったらこんな大きい船を動かせるんだか」
リラーナが船を見上げながら感心していた。完全に魔導具師の顔付きになっている。構造が気になるんだろうなぁ、と夢中な顔のリラーナに笑いそうになってしまう。
「本で勉強はしたことがあるけれど、アシェルーダの船はこんなに大きくないしね。動力部を見せてもらいたいわぁ」
リラーナがずっとブツブツ言っている。それに全員で笑いながら、ディノは作業をしている船員に声を掛けられないかと近付いて行った。
船を見ていると何人もの船員が忙しそうに動いている。その船員たちはやはりというかなんというか獣人たち。様々な耳を持つ獣人。毛色も様々だ。
ディノは船から降りて来た一人の獣人に声を掛ける。
「なあ、すまん、この船ってなかを見せてもらったり、乗せてもらったりとかって出来ないか?」
猫の耳のようなそうでないような、金髪に近い茶色の髪と耳を持った獣人は、怪訝な顔をしてディノを見た。頭一つ分ほど背が高いため、その獣人はディノを見下ろしている。太く屈強な腕で、肩に大きな木箱を担ぎ上げたまま、獣のように鋭い目でこちらを一瞥した。
「はぁ? そんなの無理に決まってるだろ」
「ハハハ……だよな」
やっぱりそんな簡単に見せてくれるわけないわよね……そう分かっていてもがっくり。リラーナも内部を見せてもらえないことにがっかりしているようだ。
「この船っていつまで停泊してるんだ?」
「ん? 昨日着いたばかりだからな、まだ十日ほどはいるんじゃないか? もう少し長くなるかもしれんが」
十日か……それまでになんとかこの船に乗せてもらえる伝手が出来ないかしら。ディノは私たちを振り返り頷いた。
「船長か誰か責任者に会わせてもらうことも出来ないか?」
「船長なぁ……なんだお前ら、そんなに船に乗りたいのか?」
「あぁ、ガルヴィオに行ってみたいんだ。なんとかならないか?」
「アハハ、ガルヴィオに来たいのか! うーん、どうだろうなぁ、俺にはなんとも分からんが、船長は難しいだろうなぁ。厳しい人だし」
「そうか……」
全員でがっくりしていると、それを見て苦笑する船員。
「あの人ならもしかすると、だが……まあ無理だろうな」
「あの人?」
「あー、忘れてくれ。面白いことが大好きな人がいるんだがな。でもだからといって、外交でもない他国の人間を乗せることなんてまずないさ」
「…………」
面白いことが大好きな人……その人に会えたらもしかしたら? いや、でも面白いからって他国の人間をいきなり自国に連れて行ったりはしないか。船の構造だって、そんな大事な部分を他国の人間に簡単に見せたりしないわよね。
「もう良いだろ、仕事中だ」
「あ、あぁ、すまん。ありがとう」
ディノが片手を挙げお礼を言い私たちも頭を下げると、その船員は片手を軽く振って作業に戻っていった。
「さて、どうしたもんかなぁ」
「さっき言ってた面白いことが好きな人って、その人には会えないかなぁ」
「どうだろうな、今の口ぶりじゃ、その人に会えたにしても、やはり外交以外で他国の人間を入国はさせてくれなさそうだしな」
「船の内部見たかったなー」
リラーナは明らかに、「船に乗る」という行為より「船の内部を見学する」に意識が変わっているのことに笑ってしまう。
「まあ、もう少し様子を見てみたらどうだ。十日は猶予があるわけだしな」
イーザンが少し考えた後そう呟いた。
「そうだよね……、まだもう少し時間があるから……街で情報を集めつつ、毎日ここに顔を出してみるとか、かな」
皆が頷き、とりあえず今日はこの後どうする、となったため、せっかくだからとアランの店に行ってみることになった。
露店に時間を掛け過ぎて、昼になってしまいそうな時間となり、慌てて港へと向かう。遠目で見ていたときには分からなかったが、実際港まで来てみると、とてつもなく広いことが分かった。
何隻もの船が停泊してあり、そのなかでもひと際大きい船、おそらくあれがガルヴィオの船なのだろう。
一番左端の船着き場へ停泊しているその船は圧倒的に大きく、近寄るとその大きさがなおさら分かる。首が痛くなりそうなほど見上げないと、一番上まで見ることが出来ない。建物何階分の高さがあるのかしら……今まで見たことのある建物よりも圧倒的に高い。
長さもとてつもなく長く、船の最後尾が遠目にしか見えない。形自体は所謂、帆船と言われるものかしら。巨大な帆らしきものが見える。でも……風を利用して進むのならアシェルーダの船と同じよね? アシェルーダの船と違うところといえば……。
他の停泊している船と見比べてみる。そうするとなにやら船の形状がなんだか違う? それに帆の先端、一番上になにやら大きな魔石のようなものが……。船首の部分にもなにやら魔石……?
試しに魔石感知を行ってみた。するとなんだか不思議な魔石の気配を感じる。
なんだろう、これ……普通の魔石とはなんか違うような? いや、普通の魔石ではあるのかな……付与している魔力がなにやら特殊? うーん、分からない……。しかもとてつもなく大きそうな魔石の気配……。これだけの大きな船を動かす魔石、ということかしら……。
ん? でもなんだか、今見えるだけの魔石の数じゃないような……。あちこちから魔石の気配を感じる。
この船自体が……魔導具のような……?
こんな大きい船でもし万が一攻めて来られたら、そりゃ勝てないわよね……。魔導研究所で聞いた三国均衡の話を思い出した。こんなものを造れる国がアシェルーダを攻めてこない理由。それはアシェルーダが聖女を輩出する国だからと言っていた。それによって三国の均衡が保たれている、と。
「すっごい船ねぇ。一体どうやったらこんな大きい船を動かせるんだか」
リラーナが船を見上げながら感心していた。完全に魔導具師の顔付きになっている。構造が気になるんだろうなぁ、と夢中な顔のリラーナに笑いそうになってしまう。
「本で勉強はしたことがあるけれど、アシェルーダの船はこんなに大きくないしね。動力部を見せてもらいたいわぁ」
リラーナがずっとブツブツ言っている。それに全員で笑いながら、ディノは作業をしている船員に声を掛けられないかと近付いて行った。
船を見ていると何人もの船員が忙しそうに動いている。その船員たちはやはりというかなんというか獣人たち。様々な耳を持つ獣人。毛色も様々だ。
ディノは船から降りて来た一人の獣人に声を掛ける。
「なあ、すまん、この船ってなかを見せてもらったり、乗せてもらったりとかって出来ないか?」
猫の耳のようなそうでないような、金髪に近い茶色の髪と耳を持った獣人は、怪訝な顔をしてディノを見た。頭一つ分ほど背が高いため、その獣人はディノを見下ろしている。太く屈強な腕で、肩に大きな木箱を担ぎ上げたまま、獣のように鋭い目でこちらを一瞥した。
「はぁ? そんなの無理に決まってるだろ」
「ハハハ……だよな」
やっぱりそんな簡単に見せてくれるわけないわよね……そう分かっていてもがっくり。リラーナも内部を見せてもらえないことにがっかりしているようだ。
「この船っていつまで停泊してるんだ?」
「ん? 昨日着いたばかりだからな、まだ十日ほどはいるんじゃないか? もう少し長くなるかもしれんが」
十日か……それまでになんとかこの船に乗せてもらえる伝手が出来ないかしら。ディノは私たちを振り返り頷いた。
「船長か誰か責任者に会わせてもらうことも出来ないか?」
「船長なぁ……なんだお前ら、そんなに船に乗りたいのか?」
「あぁ、ガルヴィオに行ってみたいんだ。なんとかならないか?」
「アハハ、ガルヴィオに来たいのか! うーん、どうだろうなぁ、俺にはなんとも分からんが、船長は難しいだろうなぁ。厳しい人だし」
「そうか……」
全員でがっくりしていると、それを見て苦笑する船員。
「あの人ならもしかすると、だが……まあ無理だろうな」
「あの人?」
「あー、忘れてくれ。面白いことが大好きな人がいるんだがな。でもだからといって、外交でもない他国の人間を乗せることなんてまずないさ」
「…………」
面白いことが大好きな人……その人に会えたらもしかしたら? いや、でも面白いからって他国の人間をいきなり自国に連れて行ったりはしないか。船の構造だって、そんな大事な部分を他国の人間に簡単に見せたりしないわよね。
「もう良いだろ、仕事中だ」
「あ、あぁ、すまん。ありがとう」
ディノが片手を挙げお礼を言い私たちも頭を下げると、その船員は片手を軽く振って作業に戻っていった。
「さて、どうしたもんかなぁ」
「さっき言ってた面白いことが好きな人って、その人には会えないかなぁ」
「どうだろうな、今の口ぶりじゃ、その人に会えたにしても、やはり外交以外で他国の人間を入国はさせてくれなさそうだしな」
「船の内部見たかったなー」
リラーナは明らかに、「船に乗る」という行為より「船の内部を見学する」に意識が変わっているのことに笑ってしまう。
「まあ、もう少し様子を見てみたらどうだ。十日は猶予があるわけだしな」
イーザンが少し考えた後そう呟いた。
「そうだよね……、まだもう少し時間があるから……街で情報を集めつつ、毎日ここに顔を出してみるとか、かな」
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