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√エリザベース act.2
② 木から紙を作りますわ!
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「そもそも紙がとっても高価なご時世ピコ。遊びで使うなんてとんでもないピコ」
エリザベースの日記帳も実はすごく貴重品なんだよね……。マリーヤもきっとフランポフルトで入手したものを、大事に使ってるんだろうな。
「だったらもう……紙を作るしかない!!」
「無茶だピコ~~。だいたい紙って、何でできてるピコ?」
「そりゃぁ……」
歩きながら話していたら、自宅(豪邸)に着きましたわ。さて私のお部屋へと。
「木でしょ!!!」
部屋の扉を開けたら、クローゼットからなだれ出ていました。木材3ヶ月分。
「ピータンのくれた木材は針葉樹のもので、丈夫な紙を作るのに適しているピコ~~」
「善は急げ! 図書館で紙の作り方調べてきますわ!!」
いろいろ調べた結果、このご時世での紙の原材料は、亜麻、綿、木綿らしいですの。
「木から紙って実は近代的な方法だったピコね~~」
「でも一冊だけ、木から作れば良くね?と学者が妄想で書いた本がありまして、それ現代人から見てもまさにビンゴでしたので、参考にしたいと思いますわ」
「よくそんなの見つけたピコ~~。エリザベースの能力、実はポテンシャル高いピコね」
さて、あらかじめ準備しておかなくてはいけないものが。
「セバスサン! カモン!」
「お呼びでございますか、お嬢様」
「あら、訛りがなくなっているわね」
「セバスサンもあれから駅前留学してたピコ」
駅前で標準語習ってたの??
「セバスサン、私、水酸化ナトリウムが欲しいですわ」
「……そんなモノ要求するお嬢様初めて見たピコ」
「主な発生源は一部の海藻と沿岸植物の灰ですわ。この妄想本に詳しく書かれているので、用意頼みましたわ!」
「お任せください」
セバスサンも訛りがなくなったら、だいぶイケメン度上がった~~。
「もう見境ないピコ……。そこまで焦らなくても大丈夫ピコよ……」
作業着に着替えてきましたわ。まずこの木材を細かく砕き、木材チップにします。
「街の公園の、広々としたところで作業を行いましょう」
「豪邸の庭があるピコ~~?」
「お父様お母様に見つかったら止められますわ!」
「市民に見つかる方が問題あるピコ……」
そして私は何日も何日も、木材チップ製作に精を出したのですわ。
「肉体労働、しんどいです……」
なにより孤独な作業がツラみですの……(市民の観客はいないでもないですが)
マリーヤの方ではみんなで和気あいあいと楽しくやっていたから、落差がツラみ……。エリザベースのこと手伝ってくれる友達、ひとりもいないの?
「社交場での友情なんて、あってないようなものピコ。昨日の友は今日の敵。何か借りたら何十倍にして返せと言われる世界ピコ。軒を貸したら母屋を取られる世界ピコ!」
社交界、こっわ! やっぱりあっちに転生一択じゃん、こんなの。
「確かにぼっちからぼっちに転生なんて、夢のカケラもないピコね」
「はい! チップと水酸化ナトリウムを用意したので、ここ公園で煮沸しますわ!」
「もう悪役令嬢じゃなくて普通に悪役の魔女みたいピコ」
「これらを煮込んで煮込んで、いっひっひっひっひ。じゃなくて、おーほっほっほっほ。繊維がばらばらになりましたわ! そこからごみなどを取り除いて、パルプの出来上がりですの~~!」
パルプは聞いたことある! 製紙工場に社会見学行った時聞いた。あぁ、社会見学も嫌だったなぁ。
「ぼっちは学校行事全部嫌いだもんね。やっぱりマリーヤに転生がいいピコっ…」
もらい泣きしないで。作業、続けるわよ。
「そうしたら水に溶とかしたパルプを網の上に広げ、繊維を重ね合わせますの。最後にローラーで水気を絞りドライヤーで乾かしたら出来上がり~~」
「ドライヤーまだ存在しないピコ。電化製品に頼るなピコ」
「ええっ貴婦人の縦ロールはどうやって……。ちなみにエリザベースはウイッグでした」
「ヅラだったピコか~~」
言い方っ!
「まぁとにかく一枚、微妙なのができたけど……。こんなんやってられるか――っ!!」
「ちゃぶ台の代わりに公園に持ちこんだ作業テーブルひっくり返したピコ」
だってこれ、ここまでものすごく時間と労力消費していますの。
「ビンゴは諦めるピコよ……」
「あ、あの!」
ん? そこに声をかけてくる、ひとりのご老人。
「あなたは、もしやあの時の……」
どこかでお会いしたことありましたっけ?
「あなたは?」
「私は通りすがりの者ですが、あなたは演劇に代役で出てくださった、あの時の通りすがりの方ですな!?」
あああ通りすがりの運命の出会いの人ぉ??
「あの時は、私の主催する演劇にて代役で演じてくださって本当に助かりました。劇の後お礼をしたいと思ったのですが、カビローンロンの着ぐるみの中は既にもぬけの空だったので……」
エリザベース……舞台上で着ぐるみ着てたのに、なんで社交界で噂になっちゃったの??
「滲み出る何かがあったピコよきっと……」
「今からでも、何かお礼をさせていただけませんでしょうか。ところで、こちらで何をなさっているのでしょう?」
「ええと、かくかくじかじか……」
「おお、それでしたら我が家は製紙工場を営んでおりますので、力になれると思いますよ」
「えええ!? やったぁ――!!」
あと35行早く登場して欲しかった……。
「紙づくりは通りすがりのご老人にお任せすることになったので、今度はビンゴカードに印字するためのアイテムを作りますわ!」
「活版印刷の技術は存在するピコよ?」
「一枚ずつ違う数字の並びに印刷しなきゃいけないから! 自分でやった方が安心できますわ!」
「もっと他人を信じてピコ……」
「残りの木材で、1~75の数字はんこを作りますわ」
「なんでまた公園でツナギ着てるピコ……?」
「ドレスで自室に引きこもって木彫りなんて、絵ヅラに問題アリですわ!」
「縦ロールが公園で作業着で木彫りも絵ヅラ的に不安だピコ」
エリザベースの日記帳も実はすごく貴重品なんだよね……。マリーヤもきっとフランポフルトで入手したものを、大事に使ってるんだろうな。
「だったらもう……紙を作るしかない!!」
「無茶だピコ~~。だいたい紙って、何でできてるピコ?」
「そりゃぁ……」
歩きながら話していたら、自宅(豪邸)に着きましたわ。さて私のお部屋へと。
「木でしょ!!!」
部屋の扉を開けたら、クローゼットからなだれ出ていました。木材3ヶ月分。
「ピータンのくれた木材は針葉樹のもので、丈夫な紙を作るのに適しているピコ~~」
「善は急げ! 図書館で紙の作り方調べてきますわ!!」
いろいろ調べた結果、このご時世での紙の原材料は、亜麻、綿、木綿らしいですの。
「木から紙って実は近代的な方法だったピコね~~」
「でも一冊だけ、木から作れば良くね?と学者が妄想で書いた本がありまして、それ現代人から見てもまさにビンゴでしたので、参考にしたいと思いますわ」
「よくそんなの見つけたピコ~~。エリザベースの能力、実はポテンシャル高いピコね」
さて、あらかじめ準備しておかなくてはいけないものが。
「セバスサン! カモン!」
「お呼びでございますか、お嬢様」
「あら、訛りがなくなっているわね」
「セバスサンもあれから駅前留学してたピコ」
駅前で標準語習ってたの??
「セバスサン、私、水酸化ナトリウムが欲しいですわ」
「……そんなモノ要求するお嬢様初めて見たピコ」
「主な発生源は一部の海藻と沿岸植物の灰ですわ。この妄想本に詳しく書かれているので、用意頼みましたわ!」
「お任せください」
セバスサンも訛りがなくなったら、だいぶイケメン度上がった~~。
「もう見境ないピコ……。そこまで焦らなくても大丈夫ピコよ……」
作業着に着替えてきましたわ。まずこの木材を細かく砕き、木材チップにします。
「街の公園の、広々としたところで作業を行いましょう」
「豪邸の庭があるピコ~~?」
「お父様お母様に見つかったら止められますわ!」
「市民に見つかる方が問題あるピコ……」
そして私は何日も何日も、木材チップ製作に精を出したのですわ。
「肉体労働、しんどいです……」
なにより孤独な作業がツラみですの……(市民の観客はいないでもないですが)
マリーヤの方ではみんなで和気あいあいと楽しくやっていたから、落差がツラみ……。エリザベースのこと手伝ってくれる友達、ひとりもいないの?
「社交場での友情なんて、あってないようなものピコ。昨日の友は今日の敵。何か借りたら何十倍にして返せと言われる世界ピコ。軒を貸したら母屋を取られる世界ピコ!」
社交界、こっわ! やっぱりあっちに転生一択じゃん、こんなの。
「確かにぼっちからぼっちに転生なんて、夢のカケラもないピコね」
「はい! チップと水酸化ナトリウムを用意したので、ここ公園で煮沸しますわ!」
「もう悪役令嬢じゃなくて普通に悪役の魔女みたいピコ」
「これらを煮込んで煮込んで、いっひっひっひっひ。じゃなくて、おーほっほっほっほ。繊維がばらばらになりましたわ! そこからごみなどを取り除いて、パルプの出来上がりですの~~!」
パルプは聞いたことある! 製紙工場に社会見学行った時聞いた。あぁ、社会見学も嫌だったなぁ。
「ぼっちは学校行事全部嫌いだもんね。やっぱりマリーヤに転生がいいピコっ…」
もらい泣きしないで。作業、続けるわよ。
「そうしたら水に溶とかしたパルプを網の上に広げ、繊維を重ね合わせますの。最後にローラーで水気を絞りドライヤーで乾かしたら出来上がり~~」
「ドライヤーまだ存在しないピコ。電化製品に頼るなピコ」
「ええっ貴婦人の縦ロールはどうやって……。ちなみにエリザベースはウイッグでした」
「ヅラだったピコか~~」
言い方っ!
「まぁとにかく一枚、微妙なのができたけど……。こんなんやってられるか――っ!!」
「ちゃぶ台の代わりに公園に持ちこんだ作業テーブルひっくり返したピコ」
だってこれ、ここまでものすごく時間と労力消費していますの。
「ビンゴは諦めるピコよ……」
「あ、あの!」
ん? そこに声をかけてくる、ひとりのご老人。
「あなたは、もしやあの時の……」
どこかでお会いしたことありましたっけ?
「あなたは?」
「私は通りすがりの者ですが、あなたは演劇に代役で出てくださった、あの時の通りすがりの方ですな!?」
あああ通りすがりの運命の出会いの人ぉ??
「あの時は、私の主催する演劇にて代役で演じてくださって本当に助かりました。劇の後お礼をしたいと思ったのですが、カビローンロンの着ぐるみの中は既にもぬけの空だったので……」
エリザベース……舞台上で着ぐるみ着てたのに、なんで社交界で噂になっちゃったの??
「滲み出る何かがあったピコよきっと……」
「今からでも、何かお礼をさせていただけませんでしょうか。ところで、こちらで何をなさっているのでしょう?」
「ええと、かくかくじかじか……」
「おお、それでしたら我が家は製紙工場を営んでおりますので、力になれると思いますよ」
「えええ!? やったぁ――!!」
あと35行早く登場して欲しかった……。
「紙づくりは通りすがりのご老人にお任せすることになったので、今度はビンゴカードに印字するためのアイテムを作りますわ!」
「活版印刷の技術は存在するピコよ?」
「一枚ずつ違う数字の並びに印刷しなきゃいけないから! 自分でやった方が安心できますわ!」
「もっと他人を信じてピコ……」
「残りの木材で、1~75の数字はんこを作りますわ」
「なんでまた公園でツナギ着てるピコ……?」
「ドレスで自室に引きこもって木彫りなんて、絵ヅラに問題アリですわ!」
「縦ロールが公園で作業着で木彫りも絵ヅラ的に不安だピコ」
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