【2章完結】これは暴走愛あふれる王子が私を呪縛から解き放つ幸せな結婚でした。~王子妃は副業で多忙につき夫の分かりやすい溺愛に気付かない~

松ノ木るな

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ボリジの章

プロローグ

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『君が欲しい!』

 出し抜けに私をベッドに押し倒し、彼は強い語気で言い放った。

 月白のシーツに散らばる花ぶさが甘い香りを放ち、私たちふたりをそっと包む。

────こんな真下かくどから見ても綺麗な人……その髪のツヤ、手を伸ばしたら掴める星くずみたい。

『君に拒否権は多分ない』

 た、多分?

『あげたいところだがあげられない!』
『は、はい』

 見惚れている場合じゃない。

 大丈夫、この状態で拒否権発動できるとは思わない。

 今宵、彼と私の交差した世界線においてたった一度きりの、記念すべき夜。
 俗に言う、「新婚初夜」だ。

 私は祖国で政治利用に価値を見出された娘。
 嫁ぎ先のここでは、隣国からの花嫁、という名の人質。

 この方の機嫌を損ねるような真似はできない。何が起ころうとも、粛々と受け入れるつもり。

 この一夜を失敗するわけにいかないのだから。

 だけど……ちょっと……

 真上からの威圧力がすごい!

 がばっ! と上に乗り込んでこられて、ベッドの天蓋が見えない。

 視界がひとりの男性で埋まって……これがまた、すさまじく美しい。こんな綺麗な殿方、生まれて初めてお会いした。絹糸さながらの銀髪が、キラキラ煌めいて天の河の流れのよう。

 緻密に計算してつくられた、彫刻にも引けを取らないお顔立ちに。
 凛々しく猛々しい体つき。
 まさか神話に出てくる白銀の、狼の化身かしら。

 なのに瞳は優しげなお色。透明感あふれるスカイブルーの瞳に私が映って……私も空色の世界に溶けていく。

 ぎゅっとシーツを掴んだこの指が、だんだん緩んでしまう。もしかしてこの美しい幻獣に力を吸い取られてる?

 もう逃げられない。

 いっさい反抗しませんから、せめて、ここで何をどうすればいいのか教えてもらえないかしら。私、初夜のお作法も習ってこなかったから……。

 こんな私でも理解できるように、明確にお伝えくだされば……

『君を王立学院中等部、国際交流科の言語文化専任教師に任命する!』

『は、はい!』

 <いっさい反抗しません>の誓いを胸に、即答した。

 え? ま、まぁ、文句なしに明確でした。

 でしたけど、教師? なんのお話ですか??






☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°

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