小さな国の出来事

世界を征服する者

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<海の部隊>1

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ケイブル王国では、最近攻めてきたジャング海国の対処を考えていた。
王都に攻めてくるのであれば、殲滅すればいいが、奴らは村もない場所に海辺に拠点を構えたのである。
そこから攻めてくればいいが、攻めてこず、そこでゆっくりと俺たちが攻めてくるのを待っているのである。
こうなると厄介である。
相手は航海能力が高いこともあり、物資調達には苦労していないようだ。
だが、ケイブル王国には陸・空しかない状態であった。
陸で攻めてもいいが、進行速度が遅くその間に強固な拠点を作られては意味はない。
かといって、空から攻めても、平坦なところはないし、敵の近くで飛び降りたら相手の思うつぼである。
こういう時は大抵、海から攻め、物資調達を断ち、それから陸・海・空、すべてを使って3次元で追い詰めていくことができればいいが、海軍がないケイブル王国にはそんなことはできない。
「といことでロード、何か策はないのか」
「あるにはあるが、そう簡単にできることではない」
「どういうことだ」
「策としては、1番いいのが早急に海軍を作って動くことだ。
だが、これは簡単なことではない。
まず、海について知り、次に船を作り、それを運用して敵と戦う訓練をし、最後に最悪の事態やら、攻め方などいろいろなことを考慮して、勝てるという自信が持てる戦力を調整していくのに最低でも5年以上はかかると思うけど」
「それをどうにかする方法ないのか」
「あれば言ってる」
「何か方法はあるだろ、ロード。
<空の部隊>のようにあんな風に船を作ってお前が知る戦略で攻めればいいじゃないか」
「それは無理。
どんだけでかいものをシールドで作る気だよ。
それに軍艦に関しては大した知識がないんだよ」
「強くなかったのか」
「いや、強かったよ。
でもね、どのように動かしたり、どうやって潮を読んだりするかは知らないんだよ。
大体から戦闘機は主に動かす人は1人か2人だけど、軍艦は動かすだけ何十人も必要になるんだよ」
「噓だろ」
「本当だよ。
だって、舵をとる人、舵をとる方向を決める人、潮流を読む人、敵艦隊と自軍を区別する人、こんな風にいっぱいいるんだよ」
「戦闘機みたいに、あれぐらいの大きさで動かすものはないのか」
「あったけど最近は使われていないと思うよ」
「それは再現できないのか」
「できると思うけどしたくないね」
「何故だ」
「名は回天、通称自爆操縦魚雷。
簡単に言うと爆弾を操縦席の前と後ろに設置して、船に突っ込み自爆して航行機能を破壊する武器であり、潜水艦」
「なんだ、それは、死なないのか」
「100%死ぬよ。
もっと簡単に言うと人の命を引き換えに敵艦隊を倒す潜水艦」
「な、なんでそんなもの作ったの」
「勝つため」
「正気の沙汰じゃねぇだろ」
「知らないよ
ま、そういうものとか、軍艦じゃなくてただたんの船構造なら一部は分かるよ」
「ならそれをシールドで作っ」
「無理だね」
「何故だ」
「船を動かす方法は簡単に言うと全部で4つある。
1つ目は、船の後ろから、水の中でスクリューを回し、機体を動かす方法、まぁこれが一般的なものだ。
2つ目は、船の後ろから、水面より少し上のところに、プロペラもしくはジェット噴射を付けてそれを動力源にして動かす方法
3つ目は、潮流を読んで、それに流されながら操縦する方法
4つ目は、船の上に帆をはりそれに風を当てて進む方法だ
ま、この4つがある。
では、再現可能なのがどれかというと2つ目だ。
だが、これには欠点がある。
それはうるさいだ。
そのため、敵にに近づく前に気づかれてしまう。
それに、作戦中にしゃべっても聞こえないため、事前に考えられた作戦しか実行できず、もしも何かあったときのための対処がしづらい。
わかった?」
「ああ、他3つはなぜできないんだ」
「スクリュー式はまず、どんな形をしているかが詳しく知らない
そしてエンジンがない世界での動かすとなると人力になってしまう」
「それを魔力でできないのか」
「できるのなら簡単だが、魔法で浮かさずに物体を回す方法はないだろ」
「確かに」
「それに3つ目は今は無理だ。
潮流を読んで運転するなんて、がちの精鋭部隊が神経をとがらせて、地形やら風向、風量、海面気圧などから頑張って何とか読んでも、突発の潮流は読めなかったりする。
そんな難しいことができるか、海のことについて最近知った奴じゃ絶対にできやしない。
それに4つ目の方法は風向きさえわかればどうにかなるが、風が吹かなければ意味がないし、それに帆を張ったりといろいろとめんどくさいことをたくさんする必要がある」
「じゃぁどうするんだよ」
「簡単なことだろ。
敵兵を買収すればいいだけだ。
もしくは海賊をね。
ってことでうちの領地に入ってきている海賊は」
「2つか3つかぐらいだろうな。
まさかまたお前がやるのか」
「やりたくてもできないよ」
「部隊が大きくなりすぎる。
ってことで他の人を選んで、出来たら水に特性がある人で、父さん選んで」
「お前らでしゃべっておいて、いきなり無茶ぶりをするな」
「いいじゃないか。
それにこういうことは軍隊を持たない人間が、判断したほうがいいじゃないの」
「確かにそうだが」
「てっことでよろしく」
「分かったよ。
といっても水といえば、」
バタ~ン
「それは何といっても私よ」
「シェリル姉さん?」
「そなの」
「それは間違ってない」
「何、男だけ楽しそうな話をしているのよ」
「楽しいことだけじゃないんだけどね」
「じゃぁ1つ質問、あなたは船に乗っています。
敵艦隊に囲まれて、あなたの船は身動きできない状態です。
あなたはどうしますか」
「ん~、やっぱり、敵艦隊をぶっ潰す?」
「どうやって」
「<ウオーター ランス>でぶち抜く」
「それができないほど硬かったら」
「そしたら、波を高波にする」
「それだと、こっちも巻き込まれて転覆するぞ」
「じゃぁ、自分のところは水柱を使って浮かして、相手のところに渦巻きを作って鎮める。
これでいいでしょ」
「それを一番最初に思いつくようにしないとね」
「それは訓練すればできるようになるだろ」
「後は海賊の野郎になめられないようにな」
「ロード、シェリルを舐めないほうがいいぞ。
痛い目見るぞ」
「大丈夫よ。
シェリル姉さん、雑魚だし」
「なんて言ったの、ロード」
「事実、僕より弱いんだから」
「もう許さない。
私と戦いなさい」
「いいよ。
最近暇だったもんだから」
<ウオーター ボール>
<シールド>
「あまいわね」
<ウオーター ランス>
<シールド>
「飛び散った水から、<ランス>を作るのはいいけど数が少ないよ」
<アース ランス><起動返還>
<シールド>
「それでは意味はない」
ロードの<アース ランス>は<シールド>をよけて横から攻撃した。
「つっ」
<ウオーター ピラー>
<起動返還>
「また」
<シールド ボール>
<圧縮>
パリン
「えっ」
<解除>
どす
「だから言ったのに」
<パーフェクト ヒール>
「何したのよ」
「簡単なことだ。
<アース ランス>を1憶分の1まで圧縮して一時的に圧力を1億倍にし、シールドを割り、戻して、姉さんを貫いた」
「何が簡単よ。
圧力を1億倍って」
「圧縮すればその分表面積は減る。
それを利用しただけだ。
これぐらい常識範囲だろ」
「いいや」
「え~、この世界はどんだけ科学が発展していないんだ。」
「お前の前世が異常なんだよ。
で、どういう意味か説明しろ」
「簡単に言うと、例えば直方体のものを運ぶとき広い面積を下にしたほうが運びやすいだろ」
「確かにそうだな」
「あれはなんでたと思う」
「物質の重さが変わるから」
「なわけなことあるか」
「だってそうじゃないのか、縦にすると横より重く感じるじゃないか。
不思議現象のことだろ」
「そんなものはない。
じゃぁ、トランポリンの上とか布団の上で立って乗った時と、寝転がって乗ったとき、沈みぐらいはどっちが大きい?」
「それは立って乗ったとき」
「だよな。
これでわかったろ。
重さは同じなのに表面積が増えることによって沈み込みが減ることが、その沈み込みが圧力なんだよ」
「多分分かった」
「これと同じ原理を使って、水の上に浮いているのが船だからな」
「えっ」
「えっ、じゃないよ。
まさか船が浮く原理さえも知らずに作ろうとしていたの」
「原理なんてないだろ。
浮くものは浮くんだから。
だから木で作ったりすんだろ」
「は~、僕たちの世界には鉄の船だってあったよ。
まるで江戸時代の世界にいる感じじゃないか」
「言っとくけど鉄は沈むぞ」
「水に触れる量が多くなったら」
「浮くのか」
「浮くよ。
当たり前じゃないか。
木であっても縦のまま水の中に入れてみろ、沈むだろうが」
「確かに」
「それと一緒なんだから、まったく
本当に学校首席で卒業するつもりなの、シーザス兄さん」
「一つ聞くがその理論は何歳のころに知った」
「えーと、じゅう、13のころだね」
「お前たちの教育課程そんな難しいことを覚えるのか」
「そうだね。それにこれはまだ義務教育の範囲だけどね」
「えっ」
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