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魔王編
魔王被害遺児が健気で辛い:前編
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「魔王様、子供が迷い込んできたようです」
深夜だというのに、慌てた様子でエリーが部屋の外から声を掛けてくる。
「ふぁぁ……どこの種族だ?」
ついさっき寝入ったばかりで頭がうまく働かねーよ。
種族によっては子供でもキモいの居るからなー。
いや、子供に罪は無いけど……
「人間です!」
「なんだとっ!」
俺は慌てて飛び起きると自分に老化の魔法を掛ける。
俺は寝るときは本来の姿に戻っている……
何故かって? 年寄りは無意味に早く目が覚めるからだよ!
一度深夜の3時に目が覚めて廊下に出たら、警備が軒並みアンデッドだった……
ゴーストにレイス、ソンビにグール、ミイラに、ソンビドッグつれた奴も居たな。
扉の横に居たのが、スカルナイトだった……
扉開けて横見たら骸骨とか、どこのホラーだよ!
目が合った瞬間に思わず悲鳴あげたよ!
あっ、彼に目は無かったけどね!
その悲鳴に魔王城の警戒レベルが一気にマックスになって、おれはスカルナイトに連れられてパニックルームに避難させられた……てか、俺がパニックだよ!
まぁ、深夜でダレてないか試したって事にして誤魔化したが、エリーのジト目頂きました。
有難うございます……本当にね……
「すぐに着替えて向かう!」
俺はエリーに告げると、黒いマントを手に取って……投げ捨てた!
こんなん着て子供に会えるかボケっ!
それから、魔法で服を作り出す。
本当に魔力無双チートやなー……
今日の魔王コーディネート!
水玉のパンツに……下着じゃないよ! ズボンだよ!
白いシャツ!
星柄のマント!
頭には某ネズミ王国の主人公の耳!
子供は皆大好きだよねー?
あー、顔どうしよう……この際老化の魔法じゃなくて、変化の魔法で14~15歳くらいにしとくか……
この格好でジジイとか不気味だもんね?
うん、そうしよう!
着替え完了! レッツラゴー!
ここで対応を間違えなければ、きっと人間の好感度上がるはず! ウッシッシッシ。
「さぁ、行こうか?」
俺が部屋から飛び出すと、すぐ目の前にエリーが居た。
何その目? 文句あんの?
思いっきり子供に媚びてますが何か?
「まっ……また……今日は一段とオシャレ……ですね?」
なんで疑問形?
てか、目を見て言おうか?
照れてるわけじゃないよね?
イタイ子とか思わないで……エリーに嫌われたら魔王傷付いちゃう!
いや、まあ客観的に見たらあれかもしれなけど。
子供受けを狙ったという点では、その気遣いを評価してもらいたいのだが。
「うん、子供はやっぱり第一印象が大事だからね」
この見た目なら、威厳のある言葉遣いは良いだろう。
とりあえず言い訳というか、コーディネートのコンセプトを説明。
エリーがしきりに首を傾げているが、この世界の子供たちの感性は俺のいた日本とは違うのかもしれない。
でも、魔族に人間の子供の好みが分かるとも思えない。
だから、とりあえず押し通した。
それから、エリーを伴って応接室へと向かう。
廊下ですれ違う部下達の視線が痛いぜ!
「あれ……魔王様だよな?」
「ちげーよ! きっとピエロでも雇ったんじゃねーの?」
「だよね……あれが魔王様なら……俺この仕事やめるわ……」
妙に人間臭い事言うのね……あぁ、アンデッドだから元は人間なのか?
てか、こんなアンデッドの巣窟に子供が一人……ニゲテ―! 全力でニゲテ―!
あまりにも周りの視線や、ひそひそ話が冷ややかで辛い……
なので指をパチンとならして、エリーと一緒に応接室前に転移しました!
「きゃっ! 転移されるなら、先に言ってくださいよ! もうっ!」
エリーちゃんのふくれっ面頂きました!
てか、怒ってほっぺた膨らます女の子今時いるのな?
いや、ここの時代設定分かんないから今時とかないか。
「お待たせ……ってうわぁ!」
俺がノックして中に入ると、目の前にアルファブラッドが居た……
こえーよ!
お前、顔が接客向きじゃねーんだから、来客対応とかしてんじゃねーぞ!
ちなみに、アルファブラッドにはスッピンと名付けた。
本人は意味に関しては理解してなさそうだが、これはまた大器晩成型の強そうな名前だと喜んでた。
いろいろなジョブの特性を引き継ぎつつ、装備制限がなくなりそうな予感がするとか。
その結果、なんでも訓練にも身が入って部下が嬉しくない悲鳴をあげてるとか、あげてないとか……魔族って不思議。
「びぇぇぇぇぇ!」
「うぉぉぃ!」
俺の顔を見るなり、小さな女の子が泣きながらスッピンにしがみ付く……何故?
スッピンと俺なら、どう見ても俺の方がマシだろう!
「大丈夫だから……こちらが魔王様だよ! 見た目は怖いかもしれないけど、とても寛大な心をお持ちな方だから安心して」
てめぇぇぇが、言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
スッピンミイラより怖いとかヤメテ!
スッピンが女の子の背中を優しく叩いて落ち着かせる。
少し落ち着いたかなと思ったら、女の子はこっちを見てスッピンの背中に隠れる。
もうヤメテ! 魔王のライフはゼロよ!
「ほらあ……そんな恰好してたら、そりゃ普通子供は怯えますよ」
えっ? エリー……
それ先に言ってくれないかな?
てか、あれっ? このマントとか……耳とか……子供受け抜群じゃないの?
世界観の違い?
「子供攫いの道化師の物語に出てくる、悪いピエロの格好そのままじゃないですか」
そ……それ、最初に見た時に言ってくれないかな?
てか、その物語は、人間にも魔族にも有名なのか?
「言うことを聞かない子を躾けるときの、定番の物語です」
うわぁ……知らなかったとはいえ、なんて格好を……
教えてくれても、良かったと思うんだけど。
「子……子供相手にも、容赦ないなと感心してましたので」
それで、引いてた感じになったのね。
最低じゃん、俺。
それから女の子が慣れてくれるまで……1時間掛かった。
ちなみに老化の魔法使ったら、おじいちゃんみたいって少し笑顔で話してくれるようになった。
無駄な努力だったぜ!
「ところで、貴女お名前は?」
エリーが、しゃがみ込んで子供の目線に合わせて話しかける。
手には飴を持っている。
主と違って、出来る側近だぜ!
飴とか、どこで仕入れたんだろう?
「チビコ……」
親御さん……
そりゃ生まれた時は小さいかもしれないけど、あっちゅーまにデカくなるんだぜ?
もっとちゃんとした、名前考えたげて!
大きな棒のついた飴を舐めてる姿は、チビコちゃんって名前にぴったりだけど。
「チビコちゃんね、良い名前ねー」
嘘つけエリー! おまっ! 白々しいにも程があるぞ!
エリーが微笑ましいものを見るように、チビコに慈愛の笑みを浮かべて頭を撫でている。
チビコもまんざらじゃない顔しないで……俺の価値観が音を立てて崩れてく。
俺……この世界でやってけるのかしら? 誰か……教えて……
「うんっ、パパが付けてくれたの!」
良い笑顔ね。
なんか、どうでも良くなってきた。
「そう、それでパパかママはどこにいるのかな?」
エリーがチビコちゃんに優しく問いかける。
今度は手にオレンジジュースを持っている……ちょっと、それ俺一回も飲んだ事ないんだけど?
最初の頃なんて、美女の生き血やら龍の血とかっていう、おどろおどろしい飲み物しかだしてくれてないよね?
酒飲みたいって言って、ようやくワインが出てきたけど。
生き血入りの。
かなり、きつい飲み物だった。
そして、普通にオレンジジュースとかあったのね……辛い……
「パパ……死んじゃった……魔王に殺されたの……お祭りで……」
それは、まあ……うん。
はい、お約束ですね……
てかこら! スッピン! 何お前さりげなくチビコちゃんに同情して潤んでだよ!
肌カッサカッサに乾いてるくせに!
「あらあら、それは辛かったわねぇ……じゃぁ、そんな所にチビコちゃんは何しに来たのかな? もしかして、迷子かな?」
エリー、グイグイ行くな……
「あのね……あのね……パパの形見残ってないかなーって……怖かったけど……パパの物が欲しかったの……だから下さいってお願いに来たの……」
そのために、こんな森の奥深い魔王領まで来たのか……ええ子やー。
よく見たら体中擦り傷だらけだし、あまり食べてないのか子供にしてはやつれてる感がある。
おいちゃん、涙出てきたよ……
スッピン号泣してるよ! これで、肌戻らないのかな?
てか、その目から出てる水分は体のどこに蓄えられてたのかな? 魔族って……本当に不思議。
「取りあえず、その子に食事と部屋を与えよ! こんな時間まで起きてるのはあまり良くないしな。明日改めて詳しい話を聞こう。」
こんな憔悴しきった状態で、このまま話を続けるのも酷だからね。
疎外感とか、眠気が理由じゃないよ。
彼女の為だよ。
「畏まりました……それでは、軽食と部屋を与えましょう……」
エリーがそう言うと、部屋の外にいる見張りのレイスに何やら告げる。
食事と部屋の手配だろう。
人間のご飯作れる奴、うちに居るのかな?
まぁ、オレンジジュースが出るくらいだし大丈夫か……俺もそれ飲みたい……
「チビコちゃん? 今日はもう疲れてるでしょうから、明日詳しく話を聞くわよ。一人で寝れる?」
「うん……でも本当は怖いから……眠るまでスッピンさんと一緒……ダメ?」
そんな上目遣いでお願いされたら断れませんよ!
てか、そこでなんでスッピンなのかな!
そこは普通エリーやろ!
この世界の子供の感性が分からない……
「私で宜しければ、今日は警備は部下に任せて彼女に付いていようかと……」
おまわりさんコイツです!
「スッピンなら、女の子同士だし安心ね……」
えぇぇぇ! スッピンってメス?
アルファブラッドて名前だから、男だと思ってた……
いつからアルファブラッドという名が男名だと錯覚していた?
的な目でこっち見んなお前ら! つってもこの部屋にはスッピンと、エリーしか……あれっ? 何故かチビコの視線からも先のセリフが聞こえる気がする……
この世界感に付いていけなくて辛い……
ちなみにスッピンからは包み込むような優しくて暖かいオーラがにじみ出てて、まるで日の光のような印象を受けたらしい。
いや、そいつ日光苦手な人なんだけど?
チビコちゃん曰く村の神父様よりも安心感と神々しさを感じるって、もしかしてスッピンって即身仏か何かかな?
深夜だというのに、慌てた様子でエリーが部屋の外から声を掛けてくる。
「ふぁぁ……どこの種族だ?」
ついさっき寝入ったばかりで頭がうまく働かねーよ。
種族によっては子供でもキモいの居るからなー。
いや、子供に罪は無いけど……
「人間です!」
「なんだとっ!」
俺は慌てて飛び起きると自分に老化の魔法を掛ける。
俺は寝るときは本来の姿に戻っている……
何故かって? 年寄りは無意味に早く目が覚めるからだよ!
一度深夜の3時に目が覚めて廊下に出たら、警備が軒並みアンデッドだった……
ゴーストにレイス、ソンビにグール、ミイラに、ソンビドッグつれた奴も居たな。
扉の横に居たのが、スカルナイトだった……
扉開けて横見たら骸骨とか、どこのホラーだよ!
目が合った瞬間に思わず悲鳴あげたよ!
あっ、彼に目は無かったけどね!
その悲鳴に魔王城の警戒レベルが一気にマックスになって、おれはスカルナイトに連れられてパニックルームに避難させられた……てか、俺がパニックだよ!
まぁ、深夜でダレてないか試したって事にして誤魔化したが、エリーのジト目頂きました。
有難うございます……本当にね……
「すぐに着替えて向かう!」
俺はエリーに告げると、黒いマントを手に取って……投げ捨てた!
こんなん着て子供に会えるかボケっ!
それから、魔法で服を作り出す。
本当に魔力無双チートやなー……
今日の魔王コーディネート!
水玉のパンツに……下着じゃないよ! ズボンだよ!
白いシャツ!
星柄のマント!
頭には某ネズミ王国の主人公の耳!
子供は皆大好きだよねー?
あー、顔どうしよう……この際老化の魔法じゃなくて、変化の魔法で14~15歳くらいにしとくか……
この格好でジジイとか不気味だもんね?
うん、そうしよう!
着替え完了! レッツラゴー!
ここで対応を間違えなければ、きっと人間の好感度上がるはず! ウッシッシッシ。
「さぁ、行こうか?」
俺が部屋から飛び出すと、すぐ目の前にエリーが居た。
何その目? 文句あんの?
思いっきり子供に媚びてますが何か?
「まっ……また……今日は一段とオシャレ……ですね?」
なんで疑問形?
てか、目を見て言おうか?
照れてるわけじゃないよね?
イタイ子とか思わないで……エリーに嫌われたら魔王傷付いちゃう!
いや、まあ客観的に見たらあれかもしれなけど。
子供受けを狙ったという点では、その気遣いを評価してもらいたいのだが。
「うん、子供はやっぱり第一印象が大事だからね」
この見た目なら、威厳のある言葉遣いは良いだろう。
とりあえず言い訳というか、コーディネートのコンセプトを説明。
エリーがしきりに首を傾げているが、この世界の子供たちの感性は俺のいた日本とは違うのかもしれない。
でも、魔族に人間の子供の好みが分かるとも思えない。
だから、とりあえず押し通した。
それから、エリーを伴って応接室へと向かう。
廊下ですれ違う部下達の視線が痛いぜ!
「あれ……魔王様だよな?」
「ちげーよ! きっとピエロでも雇ったんじゃねーの?」
「だよね……あれが魔王様なら……俺この仕事やめるわ……」
妙に人間臭い事言うのね……あぁ、アンデッドだから元は人間なのか?
てか、こんなアンデッドの巣窟に子供が一人……ニゲテ―! 全力でニゲテ―!
あまりにも周りの視線や、ひそひそ話が冷ややかで辛い……
なので指をパチンとならして、エリーと一緒に応接室前に転移しました!
「きゃっ! 転移されるなら、先に言ってくださいよ! もうっ!」
エリーちゃんのふくれっ面頂きました!
てか、怒ってほっぺた膨らます女の子今時いるのな?
いや、ここの時代設定分かんないから今時とかないか。
「お待たせ……ってうわぁ!」
俺がノックして中に入ると、目の前にアルファブラッドが居た……
こえーよ!
お前、顔が接客向きじゃねーんだから、来客対応とかしてんじゃねーぞ!
ちなみに、アルファブラッドにはスッピンと名付けた。
本人は意味に関しては理解してなさそうだが、これはまた大器晩成型の強そうな名前だと喜んでた。
いろいろなジョブの特性を引き継ぎつつ、装備制限がなくなりそうな予感がするとか。
その結果、なんでも訓練にも身が入って部下が嬉しくない悲鳴をあげてるとか、あげてないとか……魔族って不思議。
「びぇぇぇぇぇ!」
「うぉぉぃ!」
俺の顔を見るなり、小さな女の子が泣きながらスッピンにしがみ付く……何故?
スッピンと俺なら、どう見ても俺の方がマシだろう!
「大丈夫だから……こちらが魔王様だよ! 見た目は怖いかもしれないけど、とても寛大な心をお持ちな方だから安心して」
てめぇぇぇが、言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
スッピンミイラより怖いとかヤメテ!
スッピンが女の子の背中を優しく叩いて落ち着かせる。
少し落ち着いたかなと思ったら、女の子はこっちを見てスッピンの背中に隠れる。
もうヤメテ! 魔王のライフはゼロよ!
「ほらあ……そんな恰好してたら、そりゃ普通子供は怯えますよ」
えっ? エリー……
それ先に言ってくれないかな?
てか、あれっ? このマントとか……耳とか……子供受け抜群じゃないの?
世界観の違い?
「子供攫いの道化師の物語に出てくる、悪いピエロの格好そのままじゃないですか」
そ……それ、最初に見た時に言ってくれないかな?
てか、その物語は、人間にも魔族にも有名なのか?
「言うことを聞かない子を躾けるときの、定番の物語です」
うわぁ……知らなかったとはいえ、なんて格好を……
教えてくれても、良かったと思うんだけど。
「子……子供相手にも、容赦ないなと感心してましたので」
それで、引いてた感じになったのね。
最低じゃん、俺。
それから女の子が慣れてくれるまで……1時間掛かった。
ちなみに老化の魔法使ったら、おじいちゃんみたいって少し笑顔で話してくれるようになった。
無駄な努力だったぜ!
「ところで、貴女お名前は?」
エリーが、しゃがみ込んで子供の目線に合わせて話しかける。
手には飴を持っている。
主と違って、出来る側近だぜ!
飴とか、どこで仕入れたんだろう?
「チビコ……」
親御さん……
そりゃ生まれた時は小さいかもしれないけど、あっちゅーまにデカくなるんだぜ?
もっとちゃんとした、名前考えたげて!
大きな棒のついた飴を舐めてる姿は、チビコちゃんって名前にぴったりだけど。
「チビコちゃんね、良い名前ねー」
嘘つけエリー! おまっ! 白々しいにも程があるぞ!
エリーが微笑ましいものを見るように、チビコに慈愛の笑みを浮かべて頭を撫でている。
チビコもまんざらじゃない顔しないで……俺の価値観が音を立てて崩れてく。
俺……この世界でやってけるのかしら? 誰か……教えて……
「うんっ、パパが付けてくれたの!」
良い笑顔ね。
なんか、どうでも良くなってきた。
「そう、それでパパかママはどこにいるのかな?」
エリーがチビコちゃんに優しく問いかける。
今度は手にオレンジジュースを持っている……ちょっと、それ俺一回も飲んだ事ないんだけど?
最初の頃なんて、美女の生き血やら龍の血とかっていう、おどろおどろしい飲み物しかだしてくれてないよね?
酒飲みたいって言って、ようやくワインが出てきたけど。
生き血入りの。
かなり、きつい飲み物だった。
そして、普通にオレンジジュースとかあったのね……辛い……
「パパ……死んじゃった……魔王に殺されたの……お祭りで……」
それは、まあ……うん。
はい、お約束ですね……
てかこら! スッピン! 何お前さりげなくチビコちゃんに同情して潤んでだよ!
肌カッサカッサに乾いてるくせに!
「あらあら、それは辛かったわねぇ……じゃぁ、そんな所にチビコちゃんは何しに来たのかな? もしかして、迷子かな?」
エリー、グイグイ行くな……
「あのね……あのね……パパの形見残ってないかなーって……怖かったけど……パパの物が欲しかったの……だから下さいってお願いに来たの……」
そのために、こんな森の奥深い魔王領まで来たのか……ええ子やー。
よく見たら体中擦り傷だらけだし、あまり食べてないのか子供にしてはやつれてる感がある。
おいちゃん、涙出てきたよ……
スッピン号泣してるよ! これで、肌戻らないのかな?
てか、その目から出てる水分は体のどこに蓄えられてたのかな? 魔族って……本当に不思議。
「取りあえず、その子に食事と部屋を与えよ! こんな時間まで起きてるのはあまり良くないしな。明日改めて詳しい話を聞こう。」
こんな憔悴しきった状態で、このまま話を続けるのも酷だからね。
疎外感とか、眠気が理由じゃないよ。
彼女の為だよ。
「畏まりました……それでは、軽食と部屋を与えましょう……」
エリーがそう言うと、部屋の外にいる見張りのレイスに何やら告げる。
食事と部屋の手配だろう。
人間のご飯作れる奴、うちに居るのかな?
まぁ、オレンジジュースが出るくらいだし大丈夫か……俺もそれ飲みたい……
「チビコちゃん? 今日はもう疲れてるでしょうから、明日詳しく話を聞くわよ。一人で寝れる?」
「うん……でも本当は怖いから……眠るまでスッピンさんと一緒……ダメ?」
そんな上目遣いでお願いされたら断れませんよ!
てか、そこでなんでスッピンなのかな!
そこは普通エリーやろ!
この世界の子供の感性が分からない……
「私で宜しければ、今日は警備は部下に任せて彼女に付いていようかと……」
おまわりさんコイツです!
「スッピンなら、女の子同士だし安心ね……」
えぇぇぇ! スッピンってメス?
アルファブラッドて名前だから、男だと思ってた……
いつからアルファブラッドという名が男名だと錯覚していた?
的な目でこっち見んなお前ら! つってもこの部屋にはスッピンと、エリーしか……あれっ? 何故かチビコの視線からも先のセリフが聞こえる気がする……
この世界感に付いていけなくて辛い……
ちなみにスッピンからは包み込むような優しくて暖かいオーラがにじみ出てて、まるで日の光のような印象を受けたらしい。
いや、そいつ日光苦手な人なんだけど?
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