魔王に転生したけど人間に嫌われ過ぎて辛い!~他の追随を一切許さない最強すぎる魔王は毎日が辛い~

へたまろ

文字の大きさ
59 / 59
魔王編

辛い

しおりを挟む
「よいしょーい!」

 気合を入れて、魔力を手に込める。
 次の瞬間掌から4本の闇の剣が現れ、コウズさんの身体を地面に貼り付けにする。
 一応、身体は傷つけずに無駄の多いローブを。
 なかなか、いろいろと刺激される魔法。
 両手を下に広げて、足を真っすぐに延ばしちょっとだけ足先を前後に交差させる。
 その際に少し宙に浮いて、つま先を伸ばすのがコツ。
 片手の掌から2本ずつ、真っ黒な剣が出てきて相手に向かって飛んでいく見た目はかっこいい魔法。 

 流石に、常時神気を押さえる闇の魔力を纏った剣だ……いくらコウズさんでもこれは抵抗出来ないだろう。

「くっ……またか! お主、何故わしを殺さぬ!」

 コウズさんが地面に縫い付けられたまま、こちらを睨み付ける。
 その表情には、すでに諦めの色が見え始めている。
 ようやく、引いてくれそうだな……

「魔王様!」

 そこにウロ子とムカ娘、さらに3人娘にライ蔵が現れる。

「随分と時間が掛かったな」
「申し訳ありません……思った以上に人間共の抵抗が激しく、至る処にて住民が襲われておりました故」
「構わん! 取りあえず城下町の勇者共の制圧と、あとはそうだな……このじじいを見張っとけ! ってうわっ!」

 そこまで言ったところでいきなりラダ娘が斬りかかって来る。
 そういえば、こいつも勇者だったな。

「うわー! 身体が言う事利かないよー! 魔王死ねー!」
「ラダ娘何を!」

 なにその、大根役者っぷり。
 そして、ムカ娘が本気で驚いているのを見て心配になる……大丈夫かこいつ?
 そんな場合じゃないので、ラダ娘を比較的思いっきりぶん殴る。

「痛すぎる―!」
「うっさい! ふざけてる場合か! お前は無事なんだな?」

 頭を両手で押さえて、ラダ娘が涙目でこちらを見上げてくる。
 まあ、蟷螂女に上目遣いされてもそこままそそられないが。

「ふん! 私のムカ娘様への愛はこんなもので揺らぎませんわ!」

 ああ、完全にムカ娘ポエムの会の筆頭だもんな。
 言うなればムカ娘教の教皇ってとこか?
 若干そら恐ろしいものを想像しつつ、6人に後の事を任せる

「任せてくださいまし! 行くが良い、”刺します娘s”! それとお主らもじゃ!」

 何そのチーム名……”刺します娘s”って……他に名前無かったのか?
 怖いから! なんか、ヤンデル感じがする響きで怖いから!
 3人娘がニヤリと笑ったかと思うと、一気に飛び立つ!
 アン娘も羽を生やす事が出来たのか……何気に高スペックだな……
 その後ろから、この街最強の部隊が追いかけていく。

 カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ

 俺でもあいつらとは肉弾戦したくないな……
 惑う事なき、我が城最強の部隊はお前らだ!
 そう、お前らがナンバー1だ!

「では、私は勇者共の身体の自由を奪って来ます!」

 そうこうしてるうちにウロ子が翼を生やしたアジ・ダハーカ形態に変身すると、上空から石化の視線を送り始める……大丈夫かな? 間違えて住民を石にしたりしないよな……
 一抹の不安を抱きながら、ライ蔵の方に目をやると、無言で頷く。
 うん、コウズさんの見張りはお前に任せた!
 無言でのやり取り。
 信頼しあった幹部とだから出来る、コミュニケーションだな!
 俺が親指を立てると、ニカっと笑って槍を抜いて一気に駆け出して行った。
 ……

「アホ共が! 誰がコウズを見張るんだよ!」
「お主も大変じゃのう……」

 コウズさんが憐れな物を見るような眼で、こっちを見てくる。
 こっち見んな! 埋めるぞ……そうだ、埋めよう!
 仕方が無いから、穴掘ってそこに闇の魔力を流し込んでコウズさんの首から下を埋める。
 さらに闇の格子で辺りを取り囲む。
 さらにその外側を……

「ちょっと待て! どんだけ心配性なんじゃお主は!」

 コウズさんが何か喚いてるけど、まあ慎重に慎重を重ねて悪い事なんか無いしな。
 外側を闇のキューブで包んでから地面ごと上空300mくらいの場所に固定する。
 さらに、迷彩を施しおく。
 これなら大丈夫だろ。
 それから一気に謁見の間まで転移する。

***
「来タナ……タナカ……」
「田中さん! マイさんが!」

 俺の玉座に腰かけ、片手に北条さんを抱いてこっちを見下ろす。
 横で北条さんが、こっちに向かって悲痛な叫びをあげる。
 女神の力を持ってしても抜け出せないのか……
 おー、ラスボス感出てるなー……マイだけど。
 さしずめ、俺は女神を救いに来た勇者か?

 そして、その前で蛇吉と絶倫が片膝を付いている。
 エリーに至っては、壁際で座り込んでいる……意識無さそうだな。
 しかしまあ、とんでも無い魔力を内包しているとは思ったがここまでとは……

「魔王様、申し訳ありません!」
「まさか、たかが人間がここまで強いとは……拙者もまだまだ……」
「フフッ……タカガ魔族ノ分際デ……」

 マイがそう言い放つと、掌から神気を放つ。
 2人が弾き飛ばされて、地面を滑り壁際まで追いやられる。

「ソコデ、壁ト踊ッテロ!」

 それから神気で作りだした剣で二人を磔にする。
 おいおいおい、コウズさんの比じゃねーぞ……
 それどころか城内で鎮圧された勇者達からも神気が集まっているのか、次々とマイに光の玉が集まって来る。

「マイ! 聞こえるか?」
「聞コレテルワヨ! 虫唾ノ走ル声ガ!」

 そう言って、マイがこっちに向かって神気を飛ばす。
 凄いな、それぞれが武器の形をしてる。
 かっこいい。
 でもまあ、避けるまでも無いレベルだ……
 魔人形態の俺の障壁の前には、ちょっとした攻撃くらいじゃ罅も入れられないしな。
 あっさり防がれた事で、マイが片眉を上げる。

「相変ワラズ……出鱈目ナ男……」
「マイさん、何を! きゃあっ!」

 マイが光の檻を作り出して、北条さんを拘束したあとこっちに一足飛びで間を詰める。
 余りの早さに一瞬反応が遅れたが、攻撃が当たる前にマイを転移で部屋の入り口に飛ばすと、自分も転移して玉座に腰かける。
 ふんっ……普通は勇者と魔王ってのはこういうもんだろう……

「マイよ! なにゆえ、もがき生きるのか? 滅びこそ我が喜び。死にゆくものこそ美しい……さあ、我が腕の中で息絶えるが良い!」

 俺がお決まりのセリフを言い放つと、マイがニヤリと笑う。
 それから、持っていた剣を捨てて新たに光を放つ剣を造り出す。

「久シブリネ……長カッタ戦イニ決着ヲ付ヨウ……コノ聖剣アロンダイトで!」

 マイがその場で剣を振るうと、轟音を立てながら光の斬撃が迫って来る。
 また俺の部屋が……
 俺は椅子に座ったまま、その斬撃を城の上空から天に向かうように転移させる。

「クッ! クソガァ! 相変ワラズムカツク野郎ダ! ソノ余裕、消シ去ッテクレル!」

 一気に俺との距離を詰めると、怒涛の斬撃を浴びせてくる。
 その一撃一撃から神気が迸り、ガキンッ、ガキンッっと鈍い音を立てながら俺の障壁にぶつかる。
 障壁をどうにかしたところで、俺の完全状態異常無効をどうにかしないと傷を入れる事は無理なのだが……

「ふーん……この程度なのか?」

 俺が手を翳すと、マイの手からアロンダイトが消える。
 転移で、俺の手に移したのだ。
 それから闇の魔力を流し込む。
 魔剣アロンダイトの完成だ……
 それにしても、この世界は堕天した天使やら、魔剣堕ちした聖武具が良く使われるんだな……
 アロンダイトも、確か魔剣堕ちした剣の一つだったしな。
 俺が片手でその剣を振ると、闇の斬撃が発せられてマイを弾き飛ばす。

「くっ…………タナカ……タナカ……助け……ウワァァァ!」

 一瞬マイの目に正気が戻ったかのように見えたが、さらに光の玉が集まりマイの目から再び光が消える。
 それどころか、黒かった髪の毛が真っ白に変化したかと思うと、鎧と剣が再度具現化される……

「ふう……タナカ……お前を倒す! なんで、私はお前なんかにこだわっていたんだろうな……」

 それからスッキリとした表情でマイが、こっちに言い放つ。
 白い髪……黒髪の魔力全てが神気に転換されたのか……
 それどころか、これ完全に洗脳が終わってる感じだよな。
 目にも光が戻っているし……

「世界は、私が救う!」

 それから剣を持っていない手をこちらに向けて、光の波動をこっちに向かって放つと障壁が掻き消される。
 そして、目の前に一瞬で移動して斬りかかって来る。
 初めて当てられたな……
 といっても、ダメージは無いけどな。

「ふーん……でもそれで救われるのは世界じゃなくて人間だけだろ?」
「ふんっ、この世界には人間さえ居れば十分じゃないのか?」
「いーや、魔族も人間も全てを救ってみせろよ! 勇者なんだろ? 魔王の俺でも出来るぞ? そして……俺はお前を救う」

 マイの神気に向かって、闇の魔力をさらに凝縮してダークマターを作り出して包み込む。

「クッ……邪魔するな!」

 マイが振りほどこうと剣を振るうが、剣が徐々に崩れていく。
 光を奪われ、神気を奪われ、形を維持するのも難しくなってきたみたいだな。

「流石魔王様です!」

 絶倫がこちらを見て、賛辞を送ってくるが、そんな事したら……

「うっさい! 黙れ変態!」

 マイが片手でかろうじて、神気を放って絶倫にぶつける。
 折角見逃して貰ってるのに、自ら注目を向けるとかアホだろ。

「バカでゴザル」

 うちの頭脳代表が、脳筋トップ3の一角に馬鹿にされてるのは中々に面白いな。
 さてと……

「他所に気を向けるとは余裕だな……」

 マイの気がそれた瞬間に、一気にダークマターの量を増やして神気を奪いに行く。
 さらに新たに注入さらる神気も、ダークマターによって掻き消す。
 これでじき、マイも正気に戻るだろう……
 突如マイが頭を押さえて蹲る。
 どうやら、なんとかなりそうだな……

「なんで……なんで邪魔するの……私はマイ・ノースフィールド……キタノマイ……本当なら私が魔王で、貴方が勇者になるはずだったのに……」

 どういう事だ?

「前世でもずっと、ずっと見守って来たのに……私の手からスルリと抜け落ちて、先に行っちゃうなんてさ……」

 マイの言っている意味が分からない……

「こんなに見た目が変わってたら……分からないよね……」

 見た目? 前世? 見守って来た?……

「私はいらない子……私はいらない子……ああああああああああ!」

 なんだ、意識が混濁しているのか?

「おいっ! マイどうした! マイ!」

 俺は慌ててダークマターを解除する。
 その瞬間を狙って神気の光がマイに殺到するが、それらを全て消し去るとマイに駆け寄る。

「田中……逃げて……頭が……! 頭がああああ!」
「マイ? マイどうした!」

 次の瞬間背後に、とんでも無い魔力を感じて振り返る。
 そこには、中野が黒い球を持って立っている。
 こいつ……

「ふん……余計な事は言わなくていいんですよ? それにしても本当に想定外の男ですよ貴方は……」
「中野!」

 取り合えず即座に魔力をたっぷりと込めた衝撃波を放つと、中野の顔が思いっきりのけぞる。
 流石に、この状況だ。
 誰が、糸ひいてたかなんて考えるまでもない。
 こいつは、とんだラスボスだな。
 大魔王らしくて、良いじゃないか。

「なっ! 僕が避けられなかっただって?」

 中野が口から血を流しながら、驚愕の表情を浮かべる。
 あれっ?
 こいつ弱くね?
 キタよりは遥かに強いけど、暴走マイよりは弱い気がする。
 そんな訳ないか。
 魔人形態にすらなってないもんな。

「本当にやっかいな男だよ……でも、僕にはまだまだ切り札がってうわっ!」
「黙れ! 帰れボケー!」

 チッ! 避けられたか。
 なんか言い出したから、不意打ちでもう一発衝撃波を放ってやったがちょっと距離が遠すぎたか……
 まあ、油断というか、そのままで嘗めプかまそうってんなら上等。
 変身させる隙すら与えずに、ボコボコにしよう。

「喋ってる途中にってうわっ!」
「黙って殴られとけ!」
「ブハッ!」

 俺は魔法で中野を目の前に転移させると、思いっきりぶん殴る。
 中野がキリモミ状態で吹っ飛んでいく。

「なっ……僕を転移させるだと! それに、たかが魔王の分際で、大魔王たる僕を殴るなんて不敬な!」
「ふんっ、ならたった今から俺が大魔王だな……」

 そう言って、中野の前まで歩いて行くと。
 中野がヒイッと小さく叫び声をあげて蹲る。
 そこに容赦なく蹴りを叩き込む。

「グッ……くっそ……こいつ、魔神……いや邪神レベルじゃないか……」
「だ~か~ら~! 黙れよ~……この茶番、お前が仕組んだんだろ? 女神連れ去ったらどうなるか知ってたんだろ? だから、あっさりと俺に北条さんを譲ったんじゃないのか? どうなんだよ? ハッキリ言えよゴルァッ!」

 俺がしゃがんで中野の頭を掴むと、顔面を何度も地面に叩き付ける。

「ウッ! ヒッ、ブッ! グハッ! ヤメ! やめろっ! ちょっ! やめっ!」

 中野の顔面がどんどん腫れ上がっていく。
 勿論、叩き付ける地面は魔力で強化済みだ。
 そして俺の腕力も強化済みだ。
 さらに!

 ジューーーーーーー

「熱いーーー! なんで? うぎゃぁぁぁぁ!」

 地面に熱を持たせて、中野の顔面を押し付ける。
 肉の焦げる音と、匂いが辺りを包み込む。
 炎熱耐性? んなもん、関係ないよ?
 俺が燃やしてんだ。
 それで燃えないってのは、異常だよね?
 じゃあ、状態異常無効さんのお仕事だわ。

「お前さー……何してくれてんの? うちの国に? あっ? コラッ!」

 つか、城下町も甚大な被害を受けてるし。
 誰が修理すると思ってんだ?
 せっかくこないだ、マイと二人で直した公園もボロボロだろうな。
 本気で腹立ってきた。

 取り合えず顔を思いっきり片手で持ち上げて、睨み付ける。
 うわっ、ひでえ面だな!

 再度地面に顔面を叩き付けると、中野の後頭部を踏み付ける……ジューという音がして、湯気が上がっている。
 まあここまで非道になれるのも、こいつが痛みなんて微塵も感じてないからだけどな。
 凄いよ大魔王様の超回復。

「ググググ……調子に乗りやがって……マイ!」

 地面に踏み付けられている中野の左手から魔力が放たれるのを感じると、少し遅れて誰かが俺に抱き着く。
 おう、微妙に柔らかい。
 その一瞬の隙をついて、中野が俺の手から抜け出す。
 振り返ると、マイが俺に抱き着いている。
 いま、そんな場合じゃないんだけど……

 そして俺たちの背後に立つ中野の持つ黒い球から、マイに向けて精神支配が行われているのを感じ取った。
 ちっ、飛びかかろうと思ったけど、即座に転移で逃げられた。
 行先は、こいつが居城を構えてる中央の世界か?

『フフフ! 田中お前、最高だよ! 僕が居なかったら間違いなく、この世界は全てお前のものだろうな! だが、これでチェックメイトだ!』
『待てコラッ!』

 俺も転移で、中野の後を追おうと気配を探るが、それより先にマイの異変に気付く……

「タナカ~……ごめん……私……」

 やべー、これ神気も魔力も生命力もオーバーヒートしてんじゃん。
 大爆発まったなしだな。

「おいっ! マイしっかりしろ! 神気を押さえろ!」
「無理……もう、止められない……」
「くそっ、マイ!」

 俺もマイを抱きしめて魔力で包み込んで暴発を抑え込もうとするが、収まる気配が一向もない……
 絶妙に魔力で神気がコーティンぐされて、闇の魔力で抑え込むこともできない。

『やめろ! おいっ! 中野! 止めさせろ! こんな事しても無駄だから!』
『ふん、魔王級の勇者の神気の暴発だ。いかに田中さんでも防げないでしょう……それじゃぁ、死んでください』

 それから、完全に中野との交信が途絶える。
 視線を下に落とすと、マイが涙でグシャグシャになった顔をこっちに向けて悲しそうに微笑む。

「ふふふ……本当にタナカの腕の中で息絶えるなんてね……こんな事になってほんとうゴメン……でも、死にたくないよーーーーー」

 次の瞬間マイの身体が光に包まれたかと思うと、辺りを膨大な神気の渦が包み込み激しく光を放って爆発する。

「マイーーーーー!」

 全力で爆発の衝撃を抑え込むが、爆発の原因までは守り切れない。
 そして、マイの身体が一瞬で弾ける

(ごめんね……いちゃん……)

 頭が真っ白になったまま、俺は地面に膝を付く。
 俺の身体に傷は一つもついていない。
 だから、無駄だと言ったのに……

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 何も考えられなくなって、空に向かって叫ぶしかなかった。「よいしょーい!」

 気合を入れて、魔力を手に込める。
 次の瞬間掌から4本の闇の剣が現れ、コウズさんの身体を地面に貼り付けにする。
 一応、身体は傷つけずに無駄の多いローブを。
 なかなか、いろいろと刺激される魔法。
 両手を下に広げて、足を真っすぐに延ばしちょっとだけ足先を前後に交差させる。
 その際に少し宙に浮いて、つま先を伸ばすのがコツ。
 片手の掌から2本ずつ、真っ黒な剣が出てきて相手に向かって飛んでいく見た目はかっこいい魔法。 

 流石に、常時神気を押さえる闇の魔力を纏った剣だ……いくらコウズさんでもこれは抵抗出来ないだろう。

「くっ……またか! お主、何故わしを殺さぬ!」

 コウズさんが地面に縫い付けられたまま、こちらを睨み付ける。
 その表情には、すでに諦めの色が見え始めている。
 ようやく、引いてくれそうだな……

「魔王様!」

 そこにウロ子とムカ娘、さらに3人娘にライ蔵が現れる。

「随分と時間が掛かったな」
「申し訳ありません……思った以上に人間共の抵抗が激しく、至る処にて住民が襲われておりました故」
「構わん! 取りあえず城下町の勇者共の制圧と、あとはそうだな……このじじいを見張っとけ! ってうわっ!」

 そこまで言ったところでいきなりラダ娘が斬りかかって来る。
 そういえば、こいつも勇者だったな。

「うわー! 身体が言う事利かないよー! 魔王死ねー!」
「ラダ娘何を!」

 なにその、大根役者っぷり。
 そして、ムカ娘が本気で驚いているのを見て心配になる……大丈夫かこいつ?
 そんな場合じゃないので、ラダ娘を比較的思いっきりぶん殴る。

「痛すぎる―!」
「うっさい! ふざけてる場合か! お前は無事なんだな?」

 頭を両手で押さえて、ラダ娘が涙目でこちらを見上げてくる。
 まあ、蟷螂女に上目遣いされてもそこままそそられないが。

「ふん! 私のムカ娘様への愛はこんなもので揺らぎませんわ!」

 ああ、完全にムカ娘ポエムの会の筆頭だもんな。
 言うなればムカ娘教の教皇ってとこか?
 若干そら恐ろしいものを想像しつつ、6人に後の事を任せる

「任せてくださいまし! 行くが良い、”刺します娘s”! それとお主らもじゃ!」

 何そのチーム名……”刺します娘s”って……他に名前無かったのか?
 怖いから! なんか、ヤンデル感じがする響きで怖いから!
 3人娘がニヤリと笑ったかと思うと、一気に飛び立つ!
 アン娘も羽を生やす事が出来たのか……何気に高スペックだな……
 その後ろから、この街最強の部隊が追いかけていく。

 カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ

 俺でもあいつらとは肉弾戦したくないな……
 惑う事なき、我が城最強の部隊はお前らだ!
 そう、お前らがナンバー1だ!

「では、私は勇者共の身体の自由を奪って来ます!」

 そうこうしてるうちにウロ子が翼を生やしたアジ・ダハーカ形態に変身すると、上空から石化の視線を送り始める……大丈夫かな? 間違えて住民を石にしたりしないよな……
 一抹の不安を抱きながら、ライ蔵の方に目をやると、無言で頷く。
 うん、コウズさんの見張りはお前に任せた!
 無言でのやり取り。
 信頼しあった幹部とだから出来る、コミュニケーションだな!
 俺が親指を立てると、ニカっと笑って槍を抜いて一気に駆け出して行った。
 ……

「アホ共が! 誰がコウズを見張るんだよ!」
「お主も大変じゃのう……」

 コウズさんが憐れな物を見るような眼で、こっちを見てくる。
 こっち見んな! 埋めるぞ……そうだ、埋めよう!
 仕方が無いから、穴掘ってそこに闇の魔力を流し込んでコウズさんの首から下を埋める。
 さらに闇の格子で辺りを取り囲む。
 さらにその外側を……

「ちょっと待て! どんだけ心配性なんじゃお主は!」

 コウズさんが何か喚いてるけど、まあ慎重に慎重を重ねて悪い事なんか無いしな。
 外側を闇のキューブで包んでから地面ごと上空300mくらいの場所に固定する。
 さらに、迷彩を施しおく。
 これなら大丈夫だろ。
 それから一気に謁見の間まで転移する。

***
「来タナ……タナカ……」
「田中さん! マイさんが!」

 俺の玉座に腰かけ、片手に北条さんを抱いてこっちを見下ろす。
 横で北条さんが、こっちに向かって悲痛な叫びをあげる。
 女神の力を持ってしても抜け出せないのか……
 おー、ラスボス感出てるなー……マイだけど。
 さしずめ、俺は女神を救いに来た勇者か?

 そして、その前で蛇吉と絶倫が片膝を付いている。
 エリーに至っては、壁際で座り込んでいる……意識無さそうだな。
 しかしまあ、とんでも無い魔力を内包しているとは思ったがここまでとは……

「魔王様、申し訳ありません!」
「まさか、たかが人間がここまで強いとは……拙者もまだまだ……」
「フフッ……タカガ魔族ノ分際デ……」

 マイがそう言い放つと、掌から神気を放つ。
 2人が弾き飛ばされて、地面を滑り壁際まで追いやられる。

「ソコデ、壁ト踊ッテロ!」

 それから神気で作りだした剣で二人を磔にする。
 おいおいおい、コウズさんの比じゃねーぞ……
 それどころか城内で鎮圧された勇者達からも神気が集まっているのか、次々とマイに光の玉が集まって来る。

「マイ! 聞こえるか?」
「聞コレテルワヨ! 虫唾ノ走ル声ガ!」

 そう言って、マイがこっちに向かって神気を飛ばす。
 凄いな、それぞれが武器の形をしてる。
 かっこいい。
 でもまあ、避けるまでも無いレベルだ……
 魔人形態の俺の障壁の前には、ちょっとした攻撃くらいじゃ罅も入れられないしな。
 あっさり防がれた事で、マイが片眉を上げる。

「相変ワラズ……出鱈目ナ男……」
「マイさん、何を! きゃあっ!」

 マイが光の檻を作り出して、北条さんを拘束したあとこっちに一足飛びで間を詰める。
 余りの早さに一瞬反応が遅れたが、攻撃が当たる前にマイを転移で部屋の入り口に飛ばすと、自分も転移して玉座に腰かける。
 ふんっ……普通は勇者と魔王ってのはこういうもんだろう……

「マイよ! なにゆえ、もがき生きるのか? 滅びこそ我が喜び。死にゆくものこそ美しい……さあ、我が腕の中で息絶えるが良い!」

 俺がお決まりのセリフを言い放つと、マイがニヤリと笑う。
 それから、持っていた剣を捨てて新たに光を放つ剣を造り出す。

「久シブリネ……長カッタ戦イニ決着ヲ付ヨウ……コノ聖剣アロンダイトで!」

 マイがその場で剣を振るうと、轟音を立てながら光の斬撃が迫って来る。
 また俺の部屋が……
 俺は椅子に座ったまま、その斬撃を城の上空から天に向かうように転移させる。

「クッ! クソガァ! 相変ワラズムカツク野郎ダ! ソノ余裕、消シ去ッテクレル!」

 一気に俺との距離を詰めると、怒涛の斬撃を浴びせてくる。
 その一撃一撃から神気が迸り、ガキンッ、ガキンッっと鈍い音を立てながら俺の障壁にぶつかる。
 障壁をどうにかしたところで、俺の完全状態異常無効をどうにかしないと傷を入れる事は無理なのだが……

「ふーん……この程度なのか?」

 俺が手を翳すと、マイの手からアロンダイトが消える。
 転移で、俺の手に移したのだ。
 それから闇の魔力を流し込む。
 魔剣アロンダイトの完成だ……
 それにしても、この世界は堕天した天使やら、魔剣堕ちした聖武具が良く使われるんだな……
 アロンダイトも、確か魔剣堕ちした剣の一つだったしな。
 俺が片手でその剣を振ると、闇の斬撃が発せられてマイを弾き飛ばす。

「くっ…………タナカ……タナカ……助け……ウワァァァ!」

 一瞬マイの目に正気が戻ったかのように見えたが、さらに光の玉が集まりマイの目から再び光が消える。
 それどころか、黒かった髪の毛が真っ白に変化したかと思うと、鎧と剣が再度具現化される……

「ふう……タナカ……お前を倒す! なんで、私はお前なんかにこだわっていたんだろうな……」

 それからスッキリとした表情でマイが、こっちに言い放つ。
 白い髪……黒髪の魔力全てが神気に転換されたのか……
 それどころか、これ完全に洗脳が終わってる感じだよな。
 目にも光が戻っているし……

「世界は、私が救う!」

 それから剣を持っていない手をこちらに向けて、光の波動をこっちに向かって放つと障壁が掻き消される。
 そして、目の前に一瞬で移動して斬りかかって来る。
 初めて当てられたな……
 といっても、ダメージは無いけどな。

「ふーん……でもそれで救われるのは世界じゃなくて人間だけだろ?」
「ふんっ、この世界には人間さえ居れば十分じゃないのか?」
「いーや、魔族も人間も全てを救ってみせろよ! 勇者なんだろ? 魔王の俺でも出来るぞ? そして……俺はお前を救う」

 マイの神気に向かって、闇の魔力をさらに凝縮してダークマターを作り出して包み込む。

「クッ……邪魔するな!」

 マイが振りほどこうと剣を振るうが、剣が徐々に崩れていく。
 光を奪われ、神気を奪われ、形を維持するのも難しくなってきたみたいだな。

「流石魔王様です!」

 絶倫がこちらを見て、賛辞を送ってくるが、そんな事したら……

「うっさい! 黙れ変態!」

 マイが片手でかろうじて、神気を放って絶倫にぶつける。
 折角見逃して貰ってるのに、自ら注目を向けるとかアホだろ。

「バカでゴザル」

 うちの頭脳代表が、脳筋トップ3の一角に馬鹿にされてるのは中々に面白いな。
 さてと……

「他所に気を向けるとは余裕だな……」

 マイの気がそれた瞬間に、一気にダークマターの量を増やして神気を奪いに行く。
 さらに新たに注入さらる神気も、ダークマターによって掻き消す。
 これでじき、マイも正気に戻るだろう……
 突如マイが頭を押さえて蹲る。
 どうやら、なんとかなりそうだな……

「なんで……なんで邪魔するの……私はマイ・ノースフィールド……キタノマイ……本当なら私が魔王で、貴方が勇者になるはずだったのに……」

 どういう事だ?

「前世でもずっと、ずっと見守って来たのに……私の手からスルリと抜け落ちて、先に行っちゃうなんてさ……」

 マイの言っている意味が分からない……

「こんなに見た目が変わってたら……分からないよね……」

 見た目? 前世? 見守って来た?……

「私はいらない子……私はいらない子……ああああああああああ!」

 なんだ、意識が混濁しているのか?

「おいっ! マイどうした! マイ!」

 俺は慌ててダークマターを解除する。
 その瞬間を狙って神気の光がマイに殺到するが、それらを全て消し去るとマイに駆け寄る。

「田中……逃げて……頭が……! 頭がああああ!」
「マイ? マイどうした!」

 次の瞬間背後に、とんでも無い魔力を感じて振り返る。
 そこには、中野が黒い球を持って立っている。
 こいつ……

「ふん……余計な事は言わなくていいんですよ? それにしても本当に想定外の男ですよ貴方は……」
「中野!」

 取り合えず即座に魔力をたっぷりと込めた衝撃波を放つと、中野の顔が思いっきりのけぞる。
 流石に、この状況だ。
 誰が、糸ひいてたかなんて考えるまでもない。
 こいつは、とんだラスボスだな。
 大魔王らしくて、良いじゃないか。

「なっ! 僕が避けられなかっただって?」

 中野が口から血を流しながら、驚愕の表情を浮かべる。
 あれっ?
 こいつ弱くね?
 キタよりは遥かに強いけど、暴走マイよりは弱い気がする。
 そんな訳ないか。
 魔人形態にすらなってないもんな。

「本当にやっかいな男だよ……でも、僕にはまだまだ切り札がってうわっ!」
「黙れ! 帰れボケー!」

 チッ! 避けられたか。
 なんか言い出したから、不意打ちでもう一発衝撃波を放ってやったがちょっと距離が遠すぎたか……
 まあ、油断というか、そのままで嘗めプかまそうってんなら上等。
 変身させる隙すら与えずに、ボコボコにしよう。

「喋ってる途中にってうわっ!」
「黙って殴られとけ!」
「ブハッ!」

 俺は魔法で中野を目の前に転移させると、思いっきりぶん殴る。
 中野がキリモミ状態で吹っ飛んでいく。

「なっ……僕を転移させるだと! それに、たかが魔王の分際で、大魔王たる僕を殴るなんて不敬な!」
「ふんっ、ならたった今から俺が大魔王だな……」

 そう言って、中野の前まで歩いて行くと。
 中野がヒイッと小さく叫び声をあげて蹲る。
 そこに容赦なく蹴りを叩き込む。

「グッ……くっそ……こいつ、魔神……いや邪神レベルじゃないか……」
「だ~か~ら~! 黙れよ~……この茶番、お前が仕組んだんだろ? 女神連れ去ったらどうなるか知ってたんだろ? だから、あっさりと俺に北条さんを譲ったんじゃないのか? どうなんだよ? ハッキリ言えよゴルァッ!」

 俺がしゃがんで中野の頭を掴むと、顔面を何度も地面に叩き付ける。

「ウッ! ヒッ、ブッ! グハッ! ヤメ! やめろっ! ちょっ! やめっ!」

 中野の顔面がどんどん腫れ上がっていく。
 勿論、叩き付ける地面は魔力で強化済みだ。
 そして俺の腕力も強化済みだ。
 さらに!

 ジューーーーーーー

「熱いーーー! なんで? うぎゃぁぁぁぁ!」

 地面に熱を持たせて、中野の顔面を押し付ける。
 肉の焦げる音と、匂いが辺りを包み込む。
 炎熱耐性? んなもん、関係ないよ?
 俺が燃やしてんだ。
 それで燃えないってのは、異常だよね?
 じゃあ、状態異常無効さんのお仕事だわ。

「お前さー……何してくれてんの? うちの国に? あっ? コラッ!」

 つか、城下町も甚大な被害を受けてるし。
 誰が修理すると思ってんだ?
 せっかくこないだ、マイと二人で直した公園もボロボロだろうな。
 本気で腹立ってきた。

 取り合えず顔を思いっきり片手で持ち上げて、睨み付ける。
 うわっ、ひでえ面だな!

 再度地面に顔面を叩き付けると、中野の後頭部を踏み付ける……ジューという音がして、湯気が上がっている。
 まあここまで非道になれるのも、こいつが痛みなんて微塵も感じてないからだけどな。
 凄いよ大魔王様の超回復。

「ググググ……調子に乗りやがって……マイ!」

 地面に踏み付けられている中野の左手から魔力が放たれるのを感じると、少し遅れて誰かが俺に抱き着く。
 おう、微妙に柔らかい。
 その一瞬の隙をついて、中野が俺の手から抜け出す。
 振り返ると、マイが俺に抱き着いている。
 いま、そんな場合じゃないんだけど……

 そして俺たちの背後に立つ中野の持つ黒い球から、マイに向けて精神支配が行われているのを感じ取った。
 ちっ、飛びかかろうと思ったけど、即座に転移で逃げられた。
 行先は、こいつが居城を構えてる中央の世界か?

『フフフ! 田中お前、最高だよ! 僕が居なかったら間違いなく、この世界は全てお前のものだろうな! だが、これでチェックメイトだ!』
『待てコラッ!』

 俺も転移で、中野の後を追おうと気配を探るが、それより先にマイの異変に気付く……

「タナカ~……ごめん……私……」

 やべー、これ神気も魔力も生命力もオーバーヒートしてんじゃん。
 大爆発まったなしだな。

「おいっ! マイしっかりしろ! 神気を押さえろ!」
「無理……もう、止められない……」
「くそっ、マイ!」

 俺もマイを抱きしめて魔力で包み込んで暴発を抑え込もうとするが、収まる気配が一向もない……
 絶妙に魔力で神気がコーティンぐされて、闇の魔力で抑え込むこともできない。

『やめろ! おいっ! 中野! 止めさせろ! こんな事しても無駄だから!』
『ふん、魔王級の勇者の神気の暴発だ。いかに田中さんでも防げないでしょう……それじゃぁ、死んでください』

 それから、完全に中野との交信が途絶える。
 視線を下に落とすと、マイが涙でグシャグシャになった顔をこっちに向けて悲しそうに微笑む。

「ふふふ……本当にタナカの腕の中で息絶えるなんてね……こんな事になってほんとうゴメン……でも、死にたくないよーーーーー」

 次の瞬間マイの身体が光に包まれたかと思うと、辺りを膨大な神気の渦が包み込み激しく光を放って爆発する。

「マイーーーーー!」

 全力で爆発の衝撃を抑え込むが、爆発の原因までは守り切れない。
 そして、マイの身体が一瞬で弾ける

(ごめんね……いちゃん……)

 頭が真っ白になったまま、俺は地面に膝を付く。
 俺の身体に傷は一つもついていない。
 だから、無駄だと言ったのに……

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 何も考えられなくなって、空に向かって叫ぶしかなかった。
しおりを挟む
感想 3

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(3件)

Hakaidar01
2022.09.29 Hakaidar01

面白いです。ぜひ続きを。

解除
のぶ
2022.09.10 のぶ

1話目から笑っちゃったのでお気に入りにさせていただきました。今後も楽しみにしています

2022.09.11 へたまろ

笑ってくださり、ありがとうございます!
時に全力、時に仕方なくシリアス進行のこの作品に是非最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。
宜しくお願いします。
感想もありがとうございます。

解除
ちびたん
2022.09.10 ちびたん

魔王様が不憫すぎて辛い😢
クスッと笑ってしまったから
お気に入りしました( ̄∇ ̄)ハハッ
続きが楽しみです。


***勇者よ!ノリノリで
黒騎士をやっているが( ´艸`)
それで良いのか?

2022.09.10 へたまろ

初感想ありがとうございます(*´▽`*)
個性豊かな登場人物、笑いあり、涙あり(?)のこの作品を楽しんで頂けると嬉しいです。
宜しくお願いしますm(__)m
残念勇者カイン……主要キャラに大抜擢!

解除

あなたにおすすめの小説

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。