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第三章:王都学園編~初年度後期~
閑話:3-3 エレオス、エレオール兄妹
俺はエレオス。
スペアステージア家の嫡男だ。
といっても、まだ公爵と俺の間には父がいるがな。
だから継ぐとしても、当分先の話だ。
そして、俺には双子の妹もいる。
可愛げのない妹だが、それでも俺にとっては大事なパートナーだ。
しかし……転生者である俺を、王族のスペア如きにするなど。
あの神もふざけたことをしてくれる。
しかし、神は言った。
俺に使命はないと。
なら、なぜこの世界に産んだのだと言いたかったが。
次いで発せられた言葉が無ければ、殴りかかっていたかもしれない。
自由に生きろと……
なるほど……これから始まるのが、俺の物語ってことだ。
敷かれたレールの上をただ歩くのではなく、俺が作っていくということか……
面白い。
気に入った!
何か神に思惑があっても構わない。
その上を越えていけばいいだけだ。
これは俺の物語だ!
そして、この物語の主人公は俺だ!
そう思っていたのだが……なかなか、上手くいかないものだ。
スペアステージア家が閉鎖的過ぎるということもあるが、数代前から玉座を狙うような動きをしていたと。
で……現在、ステージア王家の警戒心はかなり……かなぁり高まっていると。
楽観的で軽率で杜撰な先祖に、思うところしかない。
そして、レオハート家が邪魔だな。
王家の盾であり、我らを牽制するために創られた家か……
そう思っていたのだがな。
ただ妹曰く、エルザという令嬢がいるらしいが、悪役令嬢らしい。
ふっ……ふはは、ふははははは!
なるほど、面白いじゃないか。
ちゃんと、分かりやすい敵役まで用意してくれるなんて。
「お兄ちゃんさぁ……拗らせすぎだよ。部屋で笑いの三段活用とか、どれだけ闇を抱えてたの? 前世で」
「分かってないな、エレオール。この世に生まれ落ちたからには何かを成して名を残したいというのは、男として当然のことではないか! ましてや、転生ともなれば……な?」
「はいはい、男って馬鹿ね……とでも言って欲しいの? じゃあ、前世では何を成したのかなぁ?」
「ぐっ……」
この妹だが……なんと、こいつも、転生者だった。
もしかして、妹が主人公では? と一瞬、悪い予感が脳裏を過ったが。
こういった性格だ。
主人公なわけがない。
「ねぇ? 何した人なのかな? 悪いことで名を残したりはしてないよね?」
言えない。
虐められていて、ネットにいじめっ子の個人情報を乗せて、学校に爆破予告したとか。
あと、いじめっ子の殺害予告も。
それで、普通に警察に捕まったとか。
別に、本気でやるわけじゃなかったんだ。
ただ、現状をどうにかしたくて……結果、退学になったのは俺だった。
自殺する度胸も無かったけど、いじめっ子共の報復が怖くて……
普段通らない道を通ったら……後ろから。
「ふっ……語るほどのことではない。だが、日本各地を騒がせたことだけは伝えておこう」
「ふーん、別に興味ないけどさ」
くっ……本当に、可愛げが無いやつだ。
妹ってのは、無条件に可愛いものだと思ってた。
ちょっと生意気なくらいが、良いって。
生意気な妹は、ただムカつくだけだった。
双子だからかな?
歳が離れてたら、可愛いのか?
「いいか? 妹よ。この世界には、二種類の人間がいる」
「本当に、凄いよ。よく、ここまで染まり切れるものだと、感心しちゃうね」
いちいち、茶化してくるのも腹立たしい。
しかし、役に立つ知識も色々と持っているのだ。
特に、この世界のことには詳しいからな。
敵対は愚策だ。
「使うものと、使われるものだ」
「ふーん……あれ、昔気質の職人さんとかは? 自分で店を持ってるタイプの。でもって名工で、売る相手を選べるレベルの」
「それは……使う方か?」
「でも、弟子を取らない人だったら? 一人で、全部やるタイプの」
「人のために何かを作って商売をしているなら……使われるタイプ?」
「好きなことをして、それを欲しがる人に気分で売ったり売らなかったりするのに?」
「じゃ……じゃあ、欲しがっている相手を使うから、使う側?」
えっと……うん、三種類だ。
この世界には、三種類の人間がいるんだな。
「赤ちゃんは?」
むぅ。
また、難しいことを。
「つ……使う側だろう。親や、周囲の人間をこき使ってるじゃないか」
「でも、別に意思を持ってやらせてるわけじゃないよね? 使ってるわけじゃなくない?」
「ぐぬぬぬ……」
また、負けてしまった。
妹には口では勝てないので、他を頑張るつもりだ。
勉強では学年トップを取ってやろう。
実技関連も、トップを目指すか。
それに領内の軍備増強は、妹がやってしまったし。
好みのマッチョ軍団を作ると言って、集団でレベル上げの地獄の猛特訓なんかもしてたな。
なかなか精強な軍隊が出来て、じじいも喜んでやがった。
スペアステージア公爵か……いつかは、俺のもんになるんだけどな。
「雑魚が、気持ち悪い笑いを浮かべるなよな」
「なんで、うちの妹はこんなに口が悪いんだ」
二人の時だけだけど。
人がいるときは、完ぺきな令嬢を演じ切る。
しかも、お兄ちゃん大好きな妹という設定で。
正直、裏を知ってる身としては、思うところがある。
だから一度暴露したら、皆の前でポロポロと泣き出しやがった。
しかも、さめざめとした感じで。
俺の好感度が、急転直下だったよ。
で、裏でボッコボコにやられた。
顔がパンパンに腫れあがって、身体中痣だらけになった。
これは証拠になると思ったら、回復魔法で治されたさ。
「妹にやられたって、誰に泣きつくつもりだったのかな? 情けないにもほどがあるわね。でも、残念……傷も痣もどっかいっちゃったね? これなら何度でも何度でも、殴れちゃうと思わない? 次やったら……分かってるよな? あぁ?」
見事な土下座を決めることになったけどな。
妹のレベル……妹直属のマッチョ部隊よりも遥かに高かった。
くそっ……俺は嫡男だから、色々と教育関連で自分の時間がもらえないんだよ。
それに対して、妹は花よ蝶よと育てられつつ、なおかつ我儘だって聞いてもらえる立場だ。
「だから、私が泣いただけでお兄さまが悪者にされるんだよ。変に拗らせて、偉そうにしてるから……私は全員に味方をしてもらえるように動いてるからね? 人は一人では生きてけないの? 知ってる?」
「しかし……」
「その大言壮語も、家の人には好意的に受け入れられてるから詰んでるよね? 将来の公爵としての資質を認められて……結果、手助けはしてくれども、甘やかしてくれる人は皆無になってハードモードじゃん」
ぐぬぬぬ……
そんな妹だが、先日まで王都のステージア王立学園に来年の入学の手続きのために行っていた。
そこから帰ってきてから、どうも様子がおかしい。
いや、身分至上主義派の連中が、あれこれと世話を焼いて接待もしてくれたはずだが。
険しい顔をしたり、頬を赤らめたりする。
凄く気持ち悪いです。
はい。
「エルザ様……実物は、凄く綺麗で素敵な方でした」
「ん? 悪役令嬢じゃないのか?」
「まさに、悪の華といった容姿でしたが……凄く、お優しい方でした」
「そ……そうか。でも、敵なんだろ?」
「もともと、身分至上主義派を牛耳るはずだったレオハート家に代わって、うちがその立場に居ますからね……もしかしたら、何かが変わったのかもしれませんね」
それは、良い事なのだろうか?
悪い事なのだろうか?
「それと……正直、私じゃ足元にも及びませんよ。レベル的に」
「ん? お前、レベル500超えてなかったっけ?」
「ええ、ポンコツお兄さまと違って、常に備えてましたから」
「酷い言われようだ」
「でも、エルザ様は……遥か、上をいってそうでしたね」
へぇ……それ、やばくね?
面白くなってきたな……とは言えない。
ただでさえ、妹に手も足も出ないのに。
それより強いとか……そんなのと、今後敵対していくのか?
好きに生きろと言われても、自由に生きられるわけじゃないのか。
「エルザ様は何者にも縛られず、思うままに行動をしてました。その姿が美しく、凛々しいのです」
そうか……エルザは、自由に生きられるのか。
悪役令嬢だもんね。
好き勝手してる人だもんね。
悪いことが自由にできる立場だったら、それ以外のことは大抵自由にできるよね。
うちも公爵家だけど、個人の力量も大事なのか。
レベル上げ、したいんだけど。
秒刻みで、色々な授業や稽古が入ってるし。
うちに付いている貴族との、謁見とかもあるし。
あれ?
結構、俺窮屈な感じじゃない?
「拗らせたまんまのロールプレイみたいなことをして、強キャラ感出すからじゃん。自業自得でしょ? この世界の人達はそういう耐性ないから。本気ですげー奴が生まれたって思われても、しょうがなくない?」
「うん……それで、チヤホヤされて気持ちよくなった部分は、大いにある!」
「まあ、憧れは分かるけどさ……私という同郷者がいて、よくやり切ったと思うよ。中学二年生の麻疹的妄言症候群の症例の例文の引用乱発」
「いや……最初はネタだったんだけどさ。反応が良すぎて」
「発症したと」
「はい、まあ……そうです」
いや、まあ……まだ、言ってみたいセリフ集を全部回収してないけどね。
妹の居ないところで言っても、全部妹の耳に入るんだよね。
伝える人に悪気は無いんだ。
ただ、エレオス様がこのようなことをおっしゃってました。
凄く立派なお言葉で、流石は将来の公爵様です的な感じでね。
俺の凄いところを妹に、アピールしてくれるわけさ。
結果、からかわれるネタが常に提供されているわけで。
妹にこうやって、いじられて……馬鹿にされて……これ、なんてご褒美状態。
そして、これをご褒美だと思えるのは、妹のいないやつだけだと分かったよ。
リアルな妹をゲットして。
いや、めちゃくちゃ美少女なんだけどね。
生まれた時から一緒にいて、血が繋がってるとさ。
そういう感情が、微塵も湧き上がらないというか。
友達が、凄く可愛い美少女な妹のことをブス呼ばわりしてた気持ちが理解できたというか。
その時は俺がお前の立場ならば、全力で妹を愛でることができるとかって思ってたけど。
うん……無理だ。
エレオールに対して肉親の情はもてるけど、それ以上は無理だ。
あくまで、家族として愛せるが……小憎たらしい気持ちも大きくなってるぞ。
「あぁ、エルザ様……もう一度、お会いしたいです……何故、私は一年も後に生まれてしまったのでしょう」
そして、妹が違う意味で拗らせたっぽい。
どうしよう。
「エルザ様、めっちゃ推せる!」
「いや、お前チャールズとかいう未来の剣聖狙いだったじゃん」
「ええ? チャールズって現時点でレベル50もないのに? レイチェルより弱いし! エルザ様しか勝たん!」
何を言ってるんだこいつは。
「エルザが勝ったら、レオハート家……ひいては王家の勝利じゃないか! うちの没落ルートだぞそれ!」
「ぐぬぬ……ダリウスめぇ」
「いや、お前そもそも女だし」
「ダリウス邪魔! てか、エルザ様の横に立つ資格もない、ポンコツのチョロ男が! さっさと、聖女と正規ルートいっとけや、このダボがぁ!」
「いや、口悪いなこの公爵令嬢」
「うっさい、黙れ! 無能!」
「えぇ……」
「ああ、お姉さま……」
「いや、お前には俺という兄しかおらんが? 無言で溜息を吐くな!」
違う意味で、王家に敵意を抱いたっぽいけど。
相変わらず失礼だな。
本当に妹という生き物が可愛いなんてことは、現実でありえるのだろうか?
まあ、王家と本気でことを構える気になったっぽいのは良いことなのか、悪いことなのか。
取り敢えず、妹の部屋に大きなエルザの似顔絵があった。
うーん……冷たい印象を受けるけど、滅茶苦茶美少女だ。
スペアステージア家の嫡男だ。
といっても、まだ公爵と俺の間には父がいるがな。
だから継ぐとしても、当分先の話だ。
そして、俺には双子の妹もいる。
可愛げのない妹だが、それでも俺にとっては大事なパートナーだ。
しかし……転生者である俺を、王族のスペア如きにするなど。
あの神もふざけたことをしてくれる。
しかし、神は言った。
俺に使命はないと。
なら、なぜこの世界に産んだのだと言いたかったが。
次いで発せられた言葉が無ければ、殴りかかっていたかもしれない。
自由に生きろと……
なるほど……これから始まるのが、俺の物語ってことだ。
敷かれたレールの上をただ歩くのではなく、俺が作っていくということか……
面白い。
気に入った!
何か神に思惑があっても構わない。
その上を越えていけばいいだけだ。
これは俺の物語だ!
そして、この物語の主人公は俺だ!
そう思っていたのだが……なかなか、上手くいかないものだ。
スペアステージア家が閉鎖的過ぎるということもあるが、数代前から玉座を狙うような動きをしていたと。
で……現在、ステージア王家の警戒心はかなり……かなぁり高まっていると。
楽観的で軽率で杜撰な先祖に、思うところしかない。
そして、レオハート家が邪魔だな。
王家の盾であり、我らを牽制するために創られた家か……
そう思っていたのだがな。
ただ妹曰く、エルザという令嬢がいるらしいが、悪役令嬢らしい。
ふっ……ふはは、ふははははは!
なるほど、面白いじゃないか。
ちゃんと、分かりやすい敵役まで用意してくれるなんて。
「お兄ちゃんさぁ……拗らせすぎだよ。部屋で笑いの三段活用とか、どれだけ闇を抱えてたの? 前世で」
「分かってないな、エレオール。この世に生まれ落ちたからには何かを成して名を残したいというのは、男として当然のことではないか! ましてや、転生ともなれば……な?」
「はいはい、男って馬鹿ね……とでも言って欲しいの? じゃあ、前世では何を成したのかなぁ?」
「ぐっ……」
この妹だが……なんと、こいつも、転生者だった。
もしかして、妹が主人公では? と一瞬、悪い予感が脳裏を過ったが。
こういった性格だ。
主人公なわけがない。
「ねぇ? 何した人なのかな? 悪いことで名を残したりはしてないよね?」
言えない。
虐められていて、ネットにいじめっ子の個人情報を乗せて、学校に爆破予告したとか。
あと、いじめっ子の殺害予告も。
それで、普通に警察に捕まったとか。
別に、本気でやるわけじゃなかったんだ。
ただ、現状をどうにかしたくて……結果、退学になったのは俺だった。
自殺する度胸も無かったけど、いじめっ子共の報復が怖くて……
普段通らない道を通ったら……後ろから。
「ふっ……語るほどのことではない。だが、日本各地を騒がせたことだけは伝えておこう」
「ふーん、別に興味ないけどさ」
くっ……本当に、可愛げが無いやつだ。
妹ってのは、無条件に可愛いものだと思ってた。
ちょっと生意気なくらいが、良いって。
生意気な妹は、ただムカつくだけだった。
双子だからかな?
歳が離れてたら、可愛いのか?
「いいか? 妹よ。この世界には、二種類の人間がいる」
「本当に、凄いよ。よく、ここまで染まり切れるものだと、感心しちゃうね」
いちいち、茶化してくるのも腹立たしい。
しかし、役に立つ知識も色々と持っているのだ。
特に、この世界のことには詳しいからな。
敵対は愚策だ。
「使うものと、使われるものだ」
「ふーん……あれ、昔気質の職人さんとかは? 自分で店を持ってるタイプの。でもって名工で、売る相手を選べるレベルの」
「それは……使う方か?」
「でも、弟子を取らない人だったら? 一人で、全部やるタイプの」
「人のために何かを作って商売をしているなら……使われるタイプ?」
「好きなことをして、それを欲しがる人に気分で売ったり売らなかったりするのに?」
「じゃ……じゃあ、欲しがっている相手を使うから、使う側?」
えっと……うん、三種類だ。
この世界には、三種類の人間がいるんだな。
「赤ちゃんは?」
むぅ。
また、難しいことを。
「つ……使う側だろう。親や、周囲の人間をこき使ってるじゃないか」
「でも、別に意思を持ってやらせてるわけじゃないよね? 使ってるわけじゃなくない?」
「ぐぬぬぬ……」
また、負けてしまった。
妹には口では勝てないので、他を頑張るつもりだ。
勉強では学年トップを取ってやろう。
実技関連も、トップを目指すか。
それに領内の軍備増強は、妹がやってしまったし。
好みのマッチョ軍団を作ると言って、集団でレベル上げの地獄の猛特訓なんかもしてたな。
なかなか精強な軍隊が出来て、じじいも喜んでやがった。
スペアステージア公爵か……いつかは、俺のもんになるんだけどな。
「雑魚が、気持ち悪い笑いを浮かべるなよな」
「なんで、うちの妹はこんなに口が悪いんだ」
二人の時だけだけど。
人がいるときは、完ぺきな令嬢を演じ切る。
しかも、お兄ちゃん大好きな妹という設定で。
正直、裏を知ってる身としては、思うところがある。
だから一度暴露したら、皆の前でポロポロと泣き出しやがった。
しかも、さめざめとした感じで。
俺の好感度が、急転直下だったよ。
で、裏でボッコボコにやられた。
顔がパンパンに腫れあがって、身体中痣だらけになった。
これは証拠になると思ったら、回復魔法で治されたさ。
「妹にやられたって、誰に泣きつくつもりだったのかな? 情けないにもほどがあるわね。でも、残念……傷も痣もどっかいっちゃったね? これなら何度でも何度でも、殴れちゃうと思わない? 次やったら……分かってるよな? あぁ?」
見事な土下座を決めることになったけどな。
妹のレベル……妹直属のマッチョ部隊よりも遥かに高かった。
くそっ……俺は嫡男だから、色々と教育関連で自分の時間がもらえないんだよ。
それに対して、妹は花よ蝶よと育てられつつ、なおかつ我儘だって聞いてもらえる立場だ。
「だから、私が泣いただけでお兄さまが悪者にされるんだよ。変に拗らせて、偉そうにしてるから……私は全員に味方をしてもらえるように動いてるからね? 人は一人では生きてけないの? 知ってる?」
「しかし……」
「その大言壮語も、家の人には好意的に受け入れられてるから詰んでるよね? 将来の公爵としての資質を認められて……結果、手助けはしてくれども、甘やかしてくれる人は皆無になってハードモードじゃん」
ぐぬぬぬ……
そんな妹だが、先日まで王都のステージア王立学園に来年の入学の手続きのために行っていた。
そこから帰ってきてから、どうも様子がおかしい。
いや、身分至上主義派の連中が、あれこれと世話を焼いて接待もしてくれたはずだが。
険しい顔をしたり、頬を赤らめたりする。
凄く気持ち悪いです。
はい。
「エルザ様……実物は、凄く綺麗で素敵な方でした」
「ん? 悪役令嬢じゃないのか?」
「まさに、悪の華といった容姿でしたが……凄く、お優しい方でした」
「そ……そうか。でも、敵なんだろ?」
「もともと、身分至上主義派を牛耳るはずだったレオハート家に代わって、うちがその立場に居ますからね……もしかしたら、何かが変わったのかもしれませんね」
それは、良い事なのだろうか?
悪い事なのだろうか?
「それと……正直、私じゃ足元にも及びませんよ。レベル的に」
「ん? お前、レベル500超えてなかったっけ?」
「ええ、ポンコツお兄さまと違って、常に備えてましたから」
「酷い言われようだ」
「でも、エルザ様は……遥か、上をいってそうでしたね」
へぇ……それ、やばくね?
面白くなってきたな……とは言えない。
ただでさえ、妹に手も足も出ないのに。
それより強いとか……そんなのと、今後敵対していくのか?
好きに生きろと言われても、自由に生きられるわけじゃないのか。
「エルザ様は何者にも縛られず、思うままに行動をしてました。その姿が美しく、凛々しいのです」
そうか……エルザは、自由に生きられるのか。
悪役令嬢だもんね。
好き勝手してる人だもんね。
悪いことが自由にできる立場だったら、それ以外のことは大抵自由にできるよね。
うちも公爵家だけど、個人の力量も大事なのか。
レベル上げ、したいんだけど。
秒刻みで、色々な授業や稽古が入ってるし。
うちに付いている貴族との、謁見とかもあるし。
あれ?
結構、俺窮屈な感じじゃない?
「拗らせたまんまのロールプレイみたいなことをして、強キャラ感出すからじゃん。自業自得でしょ? この世界の人達はそういう耐性ないから。本気ですげー奴が生まれたって思われても、しょうがなくない?」
「うん……それで、チヤホヤされて気持ちよくなった部分は、大いにある!」
「まあ、憧れは分かるけどさ……私という同郷者がいて、よくやり切ったと思うよ。中学二年生の麻疹的妄言症候群の症例の例文の引用乱発」
「いや……最初はネタだったんだけどさ。反応が良すぎて」
「発症したと」
「はい、まあ……そうです」
いや、まあ……まだ、言ってみたいセリフ集を全部回収してないけどね。
妹の居ないところで言っても、全部妹の耳に入るんだよね。
伝える人に悪気は無いんだ。
ただ、エレオス様がこのようなことをおっしゃってました。
凄く立派なお言葉で、流石は将来の公爵様です的な感じでね。
俺の凄いところを妹に、アピールしてくれるわけさ。
結果、からかわれるネタが常に提供されているわけで。
妹にこうやって、いじられて……馬鹿にされて……これ、なんてご褒美状態。
そして、これをご褒美だと思えるのは、妹のいないやつだけだと分かったよ。
リアルな妹をゲットして。
いや、めちゃくちゃ美少女なんだけどね。
生まれた時から一緒にいて、血が繋がってるとさ。
そういう感情が、微塵も湧き上がらないというか。
友達が、凄く可愛い美少女な妹のことをブス呼ばわりしてた気持ちが理解できたというか。
その時は俺がお前の立場ならば、全力で妹を愛でることができるとかって思ってたけど。
うん……無理だ。
エレオールに対して肉親の情はもてるけど、それ以上は無理だ。
あくまで、家族として愛せるが……小憎たらしい気持ちも大きくなってるぞ。
「あぁ、エルザ様……もう一度、お会いしたいです……何故、私は一年も後に生まれてしまったのでしょう」
そして、妹が違う意味で拗らせたっぽい。
どうしよう。
「エルザ様、めっちゃ推せる!」
「いや、お前チャールズとかいう未来の剣聖狙いだったじゃん」
「ええ? チャールズって現時点でレベル50もないのに? レイチェルより弱いし! エルザ様しか勝たん!」
何を言ってるんだこいつは。
「エルザが勝ったら、レオハート家……ひいては王家の勝利じゃないか! うちの没落ルートだぞそれ!」
「ぐぬぬ……ダリウスめぇ」
「いや、お前そもそも女だし」
「ダリウス邪魔! てか、エルザ様の横に立つ資格もない、ポンコツのチョロ男が! さっさと、聖女と正規ルートいっとけや、このダボがぁ!」
「いや、口悪いなこの公爵令嬢」
「うっさい、黙れ! 無能!」
「えぇ……」
「ああ、お姉さま……」
「いや、お前には俺という兄しかおらんが? 無言で溜息を吐くな!」
違う意味で、王家に敵意を抱いたっぽいけど。
相変わらず失礼だな。
本当に妹という生き物が可愛いなんてことは、現実でありえるのだろうか?
まあ、王家と本気でことを構える気になったっぽいのは良いことなのか、悪いことなのか。
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……のに。
「お腹すいた」
そう言って現れたのは、最上位の英雄レオン。
強いのに生活力ゼロ、距離感ゼロ、甘え方だけは一流。
手当てすれば「危ない」と囲い込み、
看病すれば抱きしめて離さず、
ついには――
「君が、俺の帰る場所」
拾ってない。飼ってない。
ただ世話を焼いただけなのに、英雄が毎日“帰ってくる”ようになりました。
無自覚世話焼き受付嬢 × 甘えた天然英雄の
距離感バグ甘々ラブコメ、開幕!
⭐︎火木土21:20更新ー本編8話+後日談9話⭐︎