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第8話:王様がおかしくなった【豚に剣の何が分かる】(騎士団長)
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国王陛下が孤児を二人引き連れて、我が騎士団の訓練場にやってきた。
「団長、この子たちを鍛えてやってくれ」
何を馬鹿なことを。
私の目の前にいる二人はまだ、四歳くらいの子供だ。
二人とも首を傾げて、キョトンとした様子で私を見ている。
剣を持つことすら、危ういほどに華奢な身体つき。
訓練用の木剣すら、重くてまともに振るえないだろう。
「そう呆れた顔をするな。将来の私のロイヤルガードにする予定だからな。それなりに才能は保証する」
いや、陛下に剣の何が分かるというのだ。
最近こそ、鍛錬を始めたようだが。
今までさんざん怠惰な生活を送り、国政も部下任せにしていたぐーたら国王。
チビマール王国史上、最悪の愚王と呼ばれた男のくせに。
だから私は近衛の話を蹴って王室の剣ではなく、チビマール王国の剣になることにしたというのに。
そんな男が才能を保証? 笑わせる。
とうとう、気でも触れたか?
そういえば、熱病を患ってからいよいよおかしくなったと皆が言っていた。
王子の教育を早める計画も出ていたな。
まだ、殿下は7歳だというのに、難儀なことだ。
とりあえず、最初は剣を持たせて少し離れた場所で素振りをさせていた。
しばらくしたら疲れて飽きて、放り出すと思っていた。
「じゃあ、上から下に振り続けろ」
返事は無い。
コクリと頷くだけ。
まあ身ぎれいにしているからか、可愛くはある。
町の浮浪児共も、清潔にすれば見られなくはないのか。
私も、何人か手の届く範囲で雇うか……屋敷の管理は無理でも、雑事くらいは任せられるだろう。
……馬鹿なことを考えた。
如何考えても、教育が大変だ。
2時間経ったのに、彼らはまだ素振りをしていた。
疲れた様子はあるけども、剣筋はだいぶ良くなっている。
時々、アドバイスはしていたからか。
「もう、良いぞ」
私の言葉に、2人がコクリと頷く。
ふむ……可愛いかもしれない。
双子だろう。
同じ顔の幼い子が、同じような仕草をするのは見ていて滑稽で愛らしくもあるのか。
***
次の日、2人の素振りは前日よりも、だいぶ見られるものになっていた。
身体づくりをメインにするために、無茶はさせない。
食事もきちんともらえているのか、相変わらずガリガリだけど顔色は良い。
うん、今日も素振りだ。
1ヶ月が過ぎた。
陛下の見る目は確かだったのだろうか?
この双子は、教えたことをすぐに覚える。
理解が早い。
そして、見せてやると細かい部分を修正して、より私の動きに合わせてくる。
一度、我が国でも最高と謳われる剣術道場の指南役を招いて、この子らを見てもらった。
私の私費だ。
安くない出費だったが、ついでに私や部下たちも見てもらえたからよしとしよう。
滅茶苦茶、強請られた。
この2人を引き取らせて欲しいと。
陛下が「えー……やだ」と一蹴していた。
その後、定期的に先生が訓練を見に来ることになった。
主に、双子のだけど。
……うん、何故だ?
何故、陛下は分かったのだろうか……
とにかく将来有望な騎士と、高名な剣術指南役の定期訓練。
有益だったとしか、言わざるを得ない。
でもなぁ……如何して子供の才能を見抜けたのか。
不思議なこともあると思ったが、陛下にも何か一つでも良いところがあったのだと少しホッとした。
「団長、この子たちを鍛えてやってくれ」
何を馬鹿なことを。
私の目の前にいる二人はまだ、四歳くらいの子供だ。
二人とも首を傾げて、キョトンとした様子で私を見ている。
剣を持つことすら、危ういほどに華奢な身体つき。
訓練用の木剣すら、重くてまともに振るえないだろう。
「そう呆れた顔をするな。将来の私のロイヤルガードにする予定だからな。それなりに才能は保証する」
いや、陛下に剣の何が分かるというのだ。
最近こそ、鍛錬を始めたようだが。
今までさんざん怠惰な生活を送り、国政も部下任せにしていたぐーたら国王。
チビマール王国史上、最悪の愚王と呼ばれた男のくせに。
だから私は近衛の話を蹴って王室の剣ではなく、チビマール王国の剣になることにしたというのに。
そんな男が才能を保証? 笑わせる。
とうとう、気でも触れたか?
そういえば、熱病を患ってからいよいよおかしくなったと皆が言っていた。
王子の教育を早める計画も出ていたな。
まだ、殿下は7歳だというのに、難儀なことだ。
とりあえず、最初は剣を持たせて少し離れた場所で素振りをさせていた。
しばらくしたら疲れて飽きて、放り出すと思っていた。
「じゃあ、上から下に振り続けろ」
返事は無い。
コクリと頷くだけ。
まあ身ぎれいにしているからか、可愛くはある。
町の浮浪児共も、清潔にすれば見られなくはないのか。
私も、何人か手の届く範囲で雇うか……屋敷の管理は無理でも、雑事くらいは任せられるだろう。
……馬鹿なことを考えた。
如何考えても、教育が大変だ。
2時間経ったのに、彼らはまだ素振りをしていた。
疲れた様子はあるけども、剣筋はだいぶ良くなっている。
時々、アドバイスはしていたからか。
「もう、良いぞ」
私の言葉に、2人がコクリと頷く。
ふむ……可愛いかもしれない。
双子だろう。
同じ顔の幼い子が、同じような仕草をするのは見ていて滑稽で愛らしくもあるのか。
***
次の日、2人の素振りは前日よりも、だいぶ見られるものになっていた。
身体づくりをメインにするために、無茶はさせない。
食事もきちんともらえているのか、相変わらずガリガリだけど顔色は良い。
うん、今日も素振りだ。
1ヶ月が過ぎた。
陛下の見る目は確かだったのだろうか?
この双子は、教えたことをすぐに覚える。
理解が早い。
そして、見せてやると細かい部分を修正して、より私の動きに合わせてくる。
一度、我が国でも最高と謳われる剣術道場の指南役を招いて、この子らを見てもらった。
私の私費だ。
安くない出費だったが、ついでに私や部下たちも見てもらえたからよしとしよう。
滅茶苦茶、強請られた。
この2人を引き取らせて欲しいと。
陛下が「えー……やだ」と一蹴していた。
その後、定期的に先生が訓練を見に来ることになった。
主に、双子のだけど。
……うん、何故だ?
何故、陛下は分かったのだろうか……
とにかく将来有望な騎士と、高名な剣術指南役の定期訓練。
有益だったとしか、言わざるを得ない。
でもなぁ……如何して子供の才能を見抜けたのか。
不思議なこともあると思ったが、陛下にも何か一つでも良いところがあったのだと少しホッとした。
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