異世界に召喚されて中世欧州っぽい異世界っぽく色々な冒険者と過ごす日本人の更に異世界の魔王の物語

へたまろ

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第3章:ジュブナイルとチョコのダンジョン攻略

第15話:レアモンスターってレアじゃないの?

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「ということで」

 何がということでなのか分からない。
 35階層、モンスタールームに突っ込まれてどうにか乗り切って座り込んでいる俺とチョコを、良い笑顔で見降ろすカナタ。
 もはや偶然、罠を踏んだ結果モンスタールームに飛ばされたとは思わない。
 確実に踏んできている。
 いや、カナタが踏みにいってる。
 モンスタールームに転移させられる罠を。

「いま、ジュブナイルさんがレベル41で、チョコが32だっけ?」
「ああ、そうだな」
「なんで、知ってるんですか?」
「突っ込むな。体力の無駄だ。こいつは、そういう生き物なんだ」

 普通に考えれば分かる。
 俺たちは、こいつを守るような立ち回りをしたことがない。
 ということは、こいつはここに自力で立っているということ。
 それが出来るやつということだ。

 無傷で、体力全開の状態で。
 
「ちょっと、レベルの伸びが悪いからさ……」
「ゴクリ」

 1オクターブ下げた……いや、歳不相応の低めの渋い声色に思わず2人揃って、生唾を飲む。

「ここらで、レアモンスターと変異種を狩って一気に戦力強化を図ろうか?」
「言ってる意味が分かりません。レアモンスターは希少な存在だから希少種レアモンスターと呼ばれてるんですよ? そこらへんにいるもんじゃ……」

 チョコが眉を寄せて訝し気な表情で、首を傾げながらカナタに諭すように言葉を投げかける。
 それに対して、カナタは人差し指を立ててチッチッチと左右に振る。
 俺は……まあ、なんとなくいるんだろうなと思ったので、あえて何も言わない。

 こいつの中で、俺たちがそのレアモンスターを狩るのは決定しているのだろう。
 
「いるんだなぁ、それが」
「えっ?」
「しかも、変異種のマウンテンベアを従えたすっごいのが」
「……帰して」

 チョコが呟いた小さな声の望みは、カナタには届かなかったらしい。

「えいっ!」

 そして、壁の一部を押すとそこが凹んで俺たちを光が包み込む。
 転移の罠か……もはや、移動手段でしかない……か。

「チョコ、構えろ」

「はいっ!」

 真っ暗闇の部屋の中で、無数に光る赤い眼。
 そのいやらしく得物を品定めするような視線は、俺たちが戦闘準備するのを……
 いま、ゆっくりと視線を動かしてカナタを見た瞬間に、慌てて俺たちに照準を合わせなかったか?

 俺たちが武器を構えると、周囲の壁に掛けられたトーチに手前から順に火が灯っていく。
 手前から奥に。
 そして、ゆっくりと群れが灯りに照らし出され……一番奥まで灯りが届くと天井がうっすらと光を放つ。

 うん……いちゃ、だめなやつが居た。
 手前のマウンテンベアはまだいい。
 手が4本あるが、気にしたらだめだ。
 身体も一回りでかいけど、まあ……あれだ。
 無理だ……

 いや、それ以上に無理なやつ。
 エンペラーダンジョンベア。
 街とか滅ぼしちゃうやつ。
 災害、災厄。
 体高4m?
 立ち上がったら10mくらいになりそうな、あれ。
 魔法とか使っちゃうし、身体強化まで使ってくる。

「帰して」
「さて、頑張ってあの毛玉を狩ろう!」

 俺の心からの願いは、カナタの耳に届かなかったらしい。

 結果……死んだ。
 確実にチョコも俺も死んだ。
 はずなのに、最後に立っていたのは俺たちだった。
 言ってる意味が分からないかもしれないが、そういうことだ。
 最後に立っていたものが、勝者だ。

 勝者?
 チョコが内臓を撒き散らして、上半身と下半身がバラバラになったあたりから記憶が。
 首に何か触れたと思ったら視界が横向きになって、目の前で俺の首の無い身体がゆっくりと倒れていたのも見た気が。

 後ろを振り返る。
 カナタがバトンのように杖を振り回している。
 何かを司っているというか……
 女神さまが祈るような姿勢をしているモニュメントのついた、杖。
 というか、ロッド?

 次の瞬間、そのロッドが粉々に砕け散った。

「流石に421回も蘇生させたら壊れるか。あとで、直しとかないと」

 聞き間違いかな?
 聞き間違いだよね?
 蘇生?
 それ本当なら、そのロッドって教会本部にないとダメなやつじゃ?
 教皇様みたいな人が、儀式用に使うような……

 うん、きっとおちゃめなジョークだろう。

「ジュブナイルさん、生きてたんですか? 身体が3つくらいに切り別れてたと思うんですけど?」

 チョコよ……余計なことを言うな。
 なんか、そんなようなことがあったような気がしてきたじゃないか。

「てめぇ、ぶっころす!」

 あっ、どうなったのか、何をされたのかどうやら身体が覚えてたようだ。
 気が付けば自分でもびっくりするような物騒な言葉を吐きながら、拳が勝手にカナタに殴りかかっていた。

「やっぱり完全蘇生って凄いね。元気、元気」

 そして、ありえない轟音を響かせながら振るわれた拳を、あっさりと避けられる。

「てめっ、何が元気だこのやろう! 黙って殴らせろ! というか、危険だと判断したら帰るつったろ! もう帰るぞ!」
「なんで?」

 俺の言葉に、カナタがピタッと止まってキョトンと首を傾げる。
 そして俺の拳がカナタの顔に……
 なんで、避けねーんだよ!
 あぶねーだろ!
 どうにか自制心で拳を止めることが出来た俺って、凄いと思う。
 こんなの当たったら、カナタの頭が潰れたトマトになる。

「レベルが倍になって、ようやく55階層目指せるようになったのに?」
「凄いです! 私、レベルが73もあります!」
「え?」

 どうやら俺たちのやってきたことは、無駄じゃなかったようだ。
 俺のレベルも80に。
 やばくね?
 S級冒険者いけちゃうんじゃね?

「おっさん冒険者の星になるんじゃないの? 仲間達に自慢してもらえるような、そして彼らの誇りになれるように頑張ってるんじゃなかったの?」
「まあ……」
「体中あちこちガタが来て、それでも後進の育成に力を入れたりしてさ……志半ばで散った仲間たちの生きた証になりたかったんでしょ?」
「なんで……ギルマスの野郎か!」

 カナタが聞いた風な口を開いているが、確かに俺にはその思いがずっとあったのは嘘じゃない。
 俺が……何かを成した時に、過去の仲間たちの事を後輩に自慢すれば、そいつらが確かに居たという証明のようになると。
 俺と同じようにくすぶっている連中、また若い連中が壁にぶつかったときに、その壁をぶちやぶった前例として支えになれる。
 そう思って、未練だと分かっていても引退を先延ばしにしてきた。

 それをなんで、こいつが……

「おじさん……僕を、ダンジョンの最下層に連れてって!」

 イラッ。
 胸の前で、腕を組んでこっちを見上げてくるカナタに、何故か殺意が。

「まあいいや、はいレアドロップ」
 
 そう言って、渡されたのは……熊の掌だった。
 いや、美味しいらしいけど。
 もっと、こう装備的な何かが……
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