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しおりを挟む部屋に戻って寝室に入る、明日起こしてとお願いしてから。
まだわがままでいたい。
だから男の姿になって声を届ける、アレスとは言葉を交わしているから念の為に。
全ての神々…そして精霊と淫魔と悪魔に。
『通達。世界に現れる生物はリヴァ…倒し方は豊潤な魔石だけで作られた武器のみ』
これでいいだろう。
女の姿に戻って裸でベッドにダイブだ。
100万年放置していた全ての世界を大切にするのには遅すぎる。
だけど見た事くらいは伝えよう。
愛しているかなんて分からない。
けれど愛されているから。
「イヴ?」
「ライ…どうしたの?」
「イヴの声だった?」
え!?男の姿だったから分からないと思ったんだけど!?イヴになった方が良かった!?でもでも、全然声違うよ?ちゃんと男の声だよ!?
「え!?バレたかな?ていうかライにも聞こえたの!?」
「うん、聞こえた。バレてないと思うよ?天界に居たけど、わーわーってしてた」
「え?」
「誰だろうって」
ああ、なるほどね。
それはそうだろうな。
世界様と呼ばれる私を認識するまでは何がなんなのか分からないだろう。
「なんで私って分かったの?」
「なんでだろう?」
本能か!ここにも本能が鋭い子が…!産まれたばかりなのに立派になって…!
私には本能も威圧も何もかも分からないんだよ!ここまでくると鈍感という称号が与えられてしまうね!?
「ライは何かしなきゃいけない、こうであるべきだと心に浮かんでこない?」
「うーん…ない!」
「それならいいの、そういう気持ちになったら教えて」
「分かった!」
下着だけ着けてから起き上がって毛づくろいをする。
あ、雷もあげないと。
「あぐっ!リヴァってなあに?」
「なんだろうね、私にもまだ分からないの」
「イヴでも?」
人間なら似たような感じの能力というか、鱗とか耳と尻尾とかあるんだけど…
リヴァって最初からなんか変だし。
あれがそもそもなんなのか…いや、分かるけども。
抑止力だよね、元々生まれるはずだったゼウスの無茶や世界の破滅やらを抑える為に生まれ出たモノ。
「私の魂にはあるけど…外に出て生きているリヴァがなんなのかは分からない」
「ふぅーん、遊べる?」
「気を付けて遊びなさい」
「うん!」
毛づくろいをしたらすぴすぴ言い出したから雷を仕舞ってライにくっついて寝る。
暖かいね。
「ヒナノ!ヒナノ!」
「…」
分かってる…起きる時間なんでしょ?
そんなぴょんぴょん跳ねると私の体が浮かぶからやめて欲しいな?私、酔いとか苦手なの…
ぐるぐると海の渦に入れられないだけマシか…?
「起きる時間だって!」
「なんて格好で寝てやがる」
「…」
なんでアルフが居るんだよ、リンジーはどこだ…
返せ!私のほわほわ時間!
追い出したい…
でも追い出したら強いってバレる!
面倒くせぇなお前!
「着替えさせるぞ」
「…へーき」
「…」
手を伸ばして服を受け取ってから部屋を出て行くまで待つ。
はぁ…やっと出てったよ…
さっさと出て行けよ!さっさと!
「遊んでくる!」
「…まって」
天界に遊びに行くならちょっと危険かもしれない。
「なあに?」
「声で煩くなったのならライの存在が異質に見えるかもしれない。困った事があればすぐに声をかけて」
「えへへー、イヴはお母さんだ!」
「ふふ、愛してるわ。可愛い我が子」
「ライも!」
ライがいなくなって、のそっと起き上がってから身支度を整える。
私もう寝ない。
寝たらアルフがやってくるからな!
そして扉を開けてもアルフだよ。
うんざりだ。
何をしているのかな?リンジー!リンジー!護衛の距離感じゃないと思いますけど、そこんとこどう思ってます!?
「はよ」
「おはよう」
「…」
「…」
退いてくれ!
「リンジー!おはよう!」
「おはよ」
後ろにいないで助けてくれ!いつまで経っても寝室から出れないよ!
もう嫌いって言ってあげようか!?君が仕事なくしたら困ると思ってるから言わないけど、天使様がアルフを嫌いだって声高らかに言ってあげようかな!?
のっっっ……そりと扉の前から退いたアルフは何がしたいのか…
というより、本人も理解出来てないんだろうな。体が勝手に動いてしまうけれど、心はまだ拒絶しようと頑張っている。
それって離れたらそんな事にもならないんじゃねぇ?
「リンジー」
「ん?」
「アルフ変だよ?病気かな?」
「「…」」
流石に馬鹿なヒナノちゃんでも分かるだろう!おかしな行動すぎるよ!最近の君はなぁ!
「少し休ませた方がいいんじゃないかな?」
「「…」」
「本当は護衛なんか居なくてもリンジーだって強いから平気なんでしょ?」
「「…」」
「…アルフ大きいから朝からだとちょっと…びっくりしちゃう…」
「!」
「分かった、ちゃんと俺が行くから」
「うん、ありがと…」
ごめんね?は言いません!突き放した方がいい!もうその方針で行きます!
君、なんか近い!距離が近いよ!?
「屈めばいいか?」
そういう事じゃねぇ!
なに…を…して……
「アルフ?」
「ん?」
………
なんか、アタックしようとしてないかこいつ…
いや、気のせい!
うん!気のせいだな!
「…屈まなくても平気だよ」
「分かった」
立ち上がったアルフは私を見てる。
ちゃんと見てる。
あ、あれ?
さっきまでは拒絶の姿勢が見えていたけどな?………うん?
「ご、ご飯食べたい」
「用意してあるよ」
「うん…」
リンジーに話しかけよう、リンジーにお世話してもらってリンジーにおやすみの挨拶をしよう!
アルフは見ない事にした!
「リンジー、今日から着替えは自分でするね!」
「「…」」
あ、そうそう。
リヴァイアサンの花なんだけど、ただ生えてるだけらしい、多分そう。
リヴァイアサンが顕現するまで分かんないけど、綺麗な花って感じ。
念の為に蝶々を飛ばして監視してるけど異変なし。
もぐもぐと今日も美味しいご飯を食べてると精霊の気配がした。
それだけじゃない。
んん?呪い?
神からの呪いを受けてる子だ、なんかしたのかな?
「もう!最近は森に来なくてつまらないわ!」
「「炎の」」
アルフとリンジーが突然現れた精霊に声をかけている。
腰まである赤髪赤目の美丈夫で化粧が上手な炎の精霊…
精霊のチビ…人型の精霊ではなくてふよふよと光の粒みたいに精霊毎の性質を持つ子達をチビと呼んでいるんだけど、チビにはたくさんの種類が居るのは見て知ってた。
だけどやっぱりびっくりする、炎の精霊なんて知らない。
他の精霊達も…
どこまで世界は変わっているのか…それとも世界が変わっているのではなく、アダムだけの世界が弱すぎたのか…
どちらにせよ知らない事なんてまだまだたくさんありそうだ。
「なあに?この子が天使様なの?」
なんだっけ、こういう人…
ああ、オカマだ。
「はじめまして!ヒナノって言います!」
ついでに呪いはなんで受けてるか教えてもらってもいいかな?
「ふぅーん…弱そうね」
呪いの内容が分からないなぁ…もぐもぐ食べてみれば分かるし…その後、返す事も出来るからとりあえず取り込んでみる?
いや、今取り込んだらバレそうだからあとででいいか。
一応他にも呪いがないか探ってみるか…
うーん…一人いるな。
この国にいる、人間だ。
よく生きてられるな…呪いが軽いのか?もしかしたら呪いに感情が籠もってないから辛うじて…?でもそろそろ死にそうな程に弱ってる…
蝶々でも飛ばして世界から呪いを受けている子の過去を見てみるか。
蝶々は便利だ。
世界の過去、現在なら見れる。
見てみたいのなら、その何かにフォーカスして探ればなんでも分かってしまう。未来以外なら。
「それならオレンジのチークの方が似合いそう」
「そうかしら?少し派手な気もするのよ」
「その格好なら派手な方が似合うよ!私の化粧品使ってみて?」
「あら♡あらあらあら♡なあに!可愛いわぁ!」
世界が新しくなって収納にあった全てもなくなってしまった。
大切な品も全て。
死に方を研究している間も悪魔とだけは関わったりしていた。
その時に、色々と息抜きで作っていた物。
洋服も化粧品も緑茶もコーヒーも大好きな食材のチョキチョも。
作っている間は無になれて好きだから。
「そこじゃなくて、頬のもう少し上……貸して?」
炎のに似合う化粧を仕上げていく。
チークだけじゃなくて、他にも足して……
「見てみ……鏡どうぞ」
うっかり水鏡を出そうとしちゃった…
本当……もう少し魔力があるように見せれば良かったよ…
「まあ!綺麗だわ!」
「ほんと、いつもより可愛い」
「あら♡リンジーいい男ね♡」
「化粧品あげる」
「こんなにたくさん…!お礼はなにがいいかしら?加護?」
「いらないよ、お近付きの印に」
「もう…!いい女ね!伴侶になって!」
「あ゙あ゙!?」
「「…」」
アルフ…君、もう少し抑えてくれるかな?
鈍感なフリをするのも限度があるからね?
「ならなーい!伴侶とか興味ないの」
「残念だわぁ…」
「「…」」
ちなみに炎のには気付かれたからね?
私が運命かどうかは分からないだろうけど、気がある事はバレたよ?
やめてね?これ以上はやめてね?
「ヒナノはお酒…あ!いけない!アルフに伝える事があったのよ」
「なんだよ」
「暗黒はリヴァという名前で、豊潤な魔石だけで作られた武器なら倒せるらしいわ」
「「!?」」
言いに来たのか。
いい子だねぇ。
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