化け物天使は常識知らず!

ユミグ

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「っ」

頬にすりすりして、前から抱き着いてすりすりして、後ろに回って首にぐりぐりして、マーキングしてるような気分ですりすりぐりぐりしてた。

「はっ…」

噛む場所はここらへんかなぁ?

「くんくん…」
「っっ」

匂いを遮断してるの勿体ない…
一回だけ嗅げるように……わあー、凄い興奮だー。なんで興奮?
やっぱり遮断しておこう。うん。

ぐりぐり…すりすり…ぐりぐり…すりすり…

「はっ…、っっ、」

あ。
誰か来た。
宙に浮いてお茶でもしながら見てよー。
おお…!来る人にも足音ない!匂いはあるけど、息遣いも心拍もゆっくりゆっくりしてる。

「大丈夫?」

リリースの事は無視してイセトの所に真っ直ぐ来た魔人は、心の底から心配そうな表情で見てる。

「痛めつけられたかな?こっちに来て?」
「…」

緊張してるイセトがゆっくりと牢屋の扉まで近付くと…

ガシャンッッ!

「息が乱れてる、よくないなぁ?」
「…」

イセトの首を掴んでお仕置きしてる。

「運命にでも会った?」
「…」
「答えて?」
「はい」
「ふぅーん、言ってくれれば良かったのに」

言ったら監禁されそうじゃーん。
イセトの事を愛してるんだねぇ。

「一緒になるの?お前のような奴が?本当のお前を愛せるかな?」
「一緒にはなりません。お相手は魔人なので」
「ああ、それなら良かった」

わぁー、本当に嬉しそうー。
この人がオーナーかな?アルフと互角になれそうだけど、状況次第ではオーナーが上になれそうだ。狡猾な人間って感じ。

「もう抱けないね」
「私にも心がありますから、少し整理する時間が欲しかっただけですよ」
「へぇ?抱けるの?」
「問題ありません」

おお!イセトのベッドシーンが…!
お仕事でするなら大丈夫だよ!むしろるんるんで観察させてもらうよ!

「今まで断った仕事はどうしようか?」
「お好きなように」
「それならちょっと誘惑してもらおうかな?」
「お任せ下さい」

イセトの頬を撫でて美味しそうな表情で、恍惚とした表情で見ながら、“許してあげる”この人は…

「もう二度と僕の事を断らないでね?」
「はい」

好きな子を、イジメてイジメてイジメ抜いて、くしゃくしゃにするのが好きな人だ。
私と気が合うね!
私の姿は全部で3つ。
元々のイヴとしての姿と、今の私と、今の私が男になった姿。
男として形成した性格はもう馴染んでて、男になると相手をへにょへにょにするのが好きなんだよねぇ。

「“アレ”はもう要らないよねぇ?」

リリースを指差しながら言う。

「駒です」
「新しい駒を用意してあるよ」
「面倒な事をするのはやめて頂けますか?オーナーのお陰で随分と忙しいので」
「ふふ…………いいよ」

オーナーは好きな人の側に居なくてもいいタイプらしく、さっさと帰って行った。
牢屋の扉を開けて。
リリースの扉はそのままにして。
それとイセトの手には紙。
ふんふん、次の依頼か。

「置いてっていいぜ?」
「煩いですね」

扉を開けられるのはオーナーと数名だけ。
そういう守りも入ってる。
後ろからイセトの首に腕を回して浮いてる私はリリースの怪我が気になった。

「あー、これ、リリース死んじゃうねぇ」
「っ」
「どうした?」
「毒とー、あと血の流れが止まってないよー、早くしないとねぇー」
「…」

今、イセトが操れてる光のの治癒でも無理かな?まだちゃんと理解してないし。

「……使える物は使ってしまいましょう」
「どうすんだよ」
「開けて頂けますか?」
「無理に決まってんだろ」

んー…私への台詞なんだろうけどー…イセトが開けた事にするなら…んー…どうやって開けようかなぁ?

あ。

隣の牢屋には魔法陣が起動してないな。
牢の中に入って壁をあっち側の魔法陣まで壊してー。

「なにが起こってんだ」
「イセトー、ここに魔力流してー」

イセトも牢の中に入ってきて印のついた場所に魔力を流していく。

「魔法陣よく見てねー?魔法陣に完璧なんて存在しないから。必ず綻びがある場所があり、そこからなら容易く崩れる。魔力があればね?」
「…」

魔力も力も呪いも完璧なんてない。
必ず何処かに穴がある。
でもその穴を小さくすれば分かりにくいし、強い魔法陣には大量の魔力が必要だけど。

「ここか」
「んふふー、イセトが見てるよりもう少し隙間があるから。毎日魔力の流れと自分の魔力の流れを全て理解するように訓練しようね」
「…」

光のが力くれたりしないかなぁ?

あ。

ドンッッッ!!!

ううん、荒々しいです。イセト様。

「すげぇな」
「あ、イセトにはまだ無理ー、私が治しちゃっていい?」
「コク」

了承を頂けたので、おでこゴチンして肉体を治していく。

「お、まえ……すげぇな…」
「ありがとー」
「構いませんよ、転移します」

イセトが転移した先に転移したら、さっき支度するように来てた家?倉庫?のような場所に着いた。

「あー…死ぬかと思った」
「巻き込みました」
「構わねぇよ、それにしても相変わらず嫌われてんなー」
「気に食わないんでしょう」
「ええ?2人ともそれ本心で言ってる?オーナーってイセトの事めちゃくちゃ愛してるよ?」
「っっ………は?」
「どうした?」

気付いてなかったみたい。
好きな子に意地悪しちゃう人って見た事なかったのかな?

「本気で言ってます?」
「なにがだ?」
「本気だよー、好きな子をけちょんけちょんにして踏みつけるのがだあいすきな人」
「………」
「おい、大丈夫か?」
「リリースにも姿を現せますか?」
「声も?」
「お願いします」
「誰かいん……天使か?」
「はーい!天使様ですよー!」
「うあっ!?」

イセトの怪我も完璧に治ってないから治して、前からぎゅぅぎゅぅと抱き着いてる私の髪を撫でながらリリースに説明してた。
ついでにオーナーがイセトを愛してる事実も伝えてるぅ。
あ、2人ともご飯まだだよね?サンドイッチ食べる?あ、お水も?食べ終わったらコーヒー飲む?あ、リリースはコーヒーよりココアが好きなんだねぇ。どうぞ?

  



「で?抱くのか?」
「んひゃぁぁぁ♡」
「ん?」
「……しますよ、運命も喜んでますし」
「なんで喜んでんだ?」
「リリースにも聞きたかったんだよねぇ!イセトってどんな抱き方する?やっぱり性処理的な態度だけど、気持ち良くしてくれるタイプ?」
「……おやめ下さい」
「なんだ、見た事あんのか」
「んふ♡ないよ」
「…」「…」

リリースとも、もう少しお話したかったんだけど、そろそろ仕事の時間なんだって、執事の。
大変だよねぇ。
今日?の夜には誘惑わくわくだし。



執事の部屋に戻ったらすぐに仕事じゃなくて、少し横になるらしく、私も横になってイセトの胸元にぐりぐりする。

「はぁ…ヤりたい」
「ふへ」

私を抱きたいんじゃなくてヤりたいんだって。んふ♡

「イセト素敵」
「匂いは出せますか?」
「出せませんよ、淫魔でもあるので出したら気絶しちゃいます」
「耐性はありますよ」
「そこら辺の淫魔とは異なりますよ、精神異常を簡単に引き起こしますね」
「………はぁ」
「ふふ、お手伝いくらいならしますよ?」
「…」

んん!悩んでるぅ!

「夜まで遊んでいて下さい」

どうやら使ってはくれないようだ!

「他の人としたらやだ」
「っっ~、な、は、発散していいと言ったではないですか…」
「仕事ならいいし、愛してる者とするのもいいよ?でも、なんとも思ってない、仕事でもない人を性処理に使わないで?」

ちょこっとイセトの事を好きになった私は仕事以外で誰かを抱くのは嫌になった。

「っっ~~、あなたを抱いてしまったら仕事が出来そうにない!」
「ふへ」

私がイセトを愛せるか分からない、こんなわがままな奴を好きになり続けてくれるかも分からない。運命だけど、イセトは抗え、そして選べる数少ない人間なんだと気付いた。
だからこそ、今は誰でも抱ける。
そしてイセトもまた、今のイセトにとって私は邪魔だ。
イセトの人生には…今のところ運命は邪魔でしかならない。
だから何もしないし、我慢出来ている。
私を抱いてしまったら、本当に誰も抱けない、触れられない程になる。と、傲慢にもそう思う。ううん、そう思いたい。

「はぁ…分かりました」
「えへへ、わがまま聞いてくれてありがと。遊んでくるね?」
「はい……もう少しだけ」
「うん」

本当に少しだけ。

少しだけイセトと一緒に居た。
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