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しおりを挟む「運命に呼ばれちゃった」
「伺っております」
「ふふ、困ったなぁ?」
「………すぴ」
嘘寝を始めちゃったクロノスは私の側から離れたくないみたい。
眠っちゃった事にして、私のお腹に抱き着いて不自然にすぴすぴと口に出す。
ライはどこかへ遊びに行った。
自由気ままなライは毎日楽しく遊び、たくさんの秘密を共有していそうだ。
「長く一緒に眠る?」
「すぴっ!………」
考え中らしい。
『ヒナノ?』
『うん、大切な用事が終わらないから行けない。ごめんなさい』
『………』
イセトは執事の仕事が終わったんだろう。
次の仕事は誘惑だ。
私が見ていたいと言ったから呼んでくれてるんだけど、可愛く、傷付き、私が植え付けてしまったトラウマを抱える愛しい子を離す事も出来ない。
「一緒に……」
「…」
「………隠れてますから」
「…」
「その……離れたくありません」
「イセトの、運命の事を先に話すね」
「はい」
「イセトだけには見せていいから」
「はい」
イセトへの気持ち、生まれ変わりだと信じてる私の思い込み、イセトの仕事や、イセトに嘘をつきたくない気持ちや、私がどうしてアレスの世界に召喚されたのかを説明した。
*********************************
「あっ……あっ……ぼくっ、あっ……ぁぁっっ…!!」
「どうした?」
「うれし、うれし、くて、あっ、あっ、」
「俺も」
クロノスは行かない選択をした。
イセトの職業に、理解はしているけれど、やはり人が死んでしまうような場面に立ち会いたくないと。
愛しているからこそ、“死”を見たくないと。
『見届けるべきでしょうか』
と、頑張りたいという意思表示をするかのように、強い瞳で見つめてきたクロノスに、そんな事ない。嫌な事から目を背けても、理解出来ず暴言を吐いたって苦しめたっていいんだよ。と伝えた。
神や私が毎日隅々まで世界を確認して、殺し合うような事をやめさせるように動かなければ、自然とイセトのような職業も出てくると、それはとても“世界”だと思っているから。
そして生活の全てを仕事に充てているイセトを尊敬している。
そういう気持ちも伝えた。
でも、どう受け取るかは心によって違うからいいんだよ。とも伝えておいたよ。
イセトの魂は覚えさせておいたから、しばらくは私が近くにいる時は来ないと思う。
「あっ…!……ま、まだ、だめ、なの?」
「だーめ、最初なんだから優しくしたいんだ」
「でも、ひあぁっ…!?」
「かあわいい」
ちなみにイセトは性行為真っ只中でした。
どうやら幻惑を使って抱いている男の恋しい人間に擬態しているみたい。
イセトが抱かれる時ってあるのかなあ♡!?
あ。
「駄目だねぇ」
「…」
「耳なんてないように見えてるんだから、避けるような事はしちゃ駄目だなぁ…騙すなら細部まで騙さないとねぇ?その子今、違和感持ったの気付いたでしょう?」
「…」
今回イセトに依頼された内容は、至極簡単。
目の前に居る男を抱く。それだけ。
恋している相手に擬態しているイセトにはそれだけの内容が書かれている。
でも、離れで人の気配がする。
血の匂いもしてるな。
どうやらあっちが本命らしい。
目の前の男は薬を流してる。
媚薬だ。
違法ではないけれど、取り扱いは厳重にされてある薬が大量に必要なんだろう。
護衛やら目の前の男が恋している用心棒やらも殺してる頃だ。
イセトが抱くのは発見が遅くなるようにだな。
明日の昼頃まで寝ていればいい。
「ほら、もっと抱き着け」
「うんっ!」
いい子なイセトは仕事熱心だ。
あとで耳をたくさん触ってあげよう。
ちなみに、イセトが抱く理由なんてない。
私がこの世界で生きる人間でもこんな依頼は出さない。
男も殺すか、薬の耐性があるこの男にも効く薬を飲ませればいいだけ。
オーナーの“お仕置き”だろうなぁ…
「また、でちゃ、あぁぁぁっっ!」
「ん、ツライか?」
「はぁっ、はぁっ、んーん、でも、さびしいなぁ…」
「挿れていいか?」
「ん、きて」
監視されてる事はイセトも気付いてる。
イセトが本当に抱けるかどうか。
これが本当の牢屋だ。
今、イセトは死を握られている。
出来なければ死ぬ。
運命に抗い、抱けるかどうか。
見定められているんだ。
「あぁ゙ぁ゙ぁ゙っ!?」
「わりっ、とめらん、ねぇ」
「いい、いい、から、きて、ね?」
「あー…くそっ!好きだ、好きなんだよ、ずっと」
「んっ、僕もだよぉ!」
にしても………
オーナーも悪趣味だなぁ。
匂い消しはみんな持ってるんだろうけど、オーナーは興奮しながら監視してる。
運命を手に入れず、自ら不幸へと落ちているように見えているイセトを随分と………
気に入ってますねぇ。
私とは異なるな。
男の私はあくまで、幸福に落として私だけを見つめて、私だけに執着するようにぐちゃぐちゃにする。
オーナーはイセトが心から嫌がる事がだあい好き。
そして、絶望に落ちた瞬間…
首輪を着けるか……オーナー自身の手で殺すか。
どちらを選びたいか悩み中かな?
「ああああっっ!おが、おかしく、な゙っ…!」
「もっと俺に狂ってくれっ」
「あぐぅ゙ぅ゙ぅ゙ぅ゙っっ…!」
「くっ!出る!」
「ひああぁぁぁぁっっ!?」
オーナーと酒でも飲んでイセトの事、聞いてみたいな。
オーナーにはどんなイセトに見えてるんだろう。
あ、さすがにね?邪魔になると思ってね?イセトにも姿は見えないようにしてるよ?さっき話した声以外は分からないようにしてるよ?
それにしても、来た瞬間私の方を見たけど。
なんだろ?魂にでも反応しちゃうのかな?
神でもないのにね。
ふふ、変なの。
「5回?」
「6回ですね」
「合格」
「…」
「返事は?」
「ありがとうございます」
気絶した男の横に現れたのはオーナー。
何回射精したのかわざわざ問いただしてる。
6回シたのにまだまだ有り余ってるイセトの精力は強いねぇ…
「本当に運命だったの?」
「はい」
「へぇー?」
ああ、喜んじゃって。
不幸を選んだイセトを心底嬉しがってる。
「誰?」
「…」
「だあれ?」
「…」
「ふぅーん?ま、いいよ」
「…」
「天使様だよー!イセトの不幸が楽しそうだね!オーナー!首輪にしたの?それとも殺す事にしたの?ああ!まだ足りないのかぁ…もっともっと不幸になって欲しいんだね!愛だね!」
「…」
イセトには姿を見えるようにした。
仕事内容を考えるとオーナーのような人間が好ましいけど、ちょおっと執着しすぎかなぁ?と思ってねぇ?
「どうしたの?」
「私は……私は……いえ、なんでもありません」
「そお?」
「はい、失礼します」
「ふふ、うん」
イセトはどうやら不幸を演じる事に決めたらしい。
ヒントは与えたから好きに騙すんだろうけど……でもねぇ?
オーナーの方が上手《うわて》だよぉ?
イセトが自分の魔力で転移した場所は相変わらず執事の屋敷だった。
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