化け物天使は常識知らず!

ユミグ

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5日後ではなく、4日後に決行となりました。
うん、いいんじゃないかなー?って思うので何も口出ししておりません。
夜だと寝静まり、魔法を使うような人達もいなくなるので朝になりました。

「以上だ」
「ありがとうございます」
「リリースおはよー」
「…」「…」

リリースが野菜を持ってきた後、イセトの手引きで屋敷へ潜入させます。
勝手が分かっているので、誰とも会いません。

「ドキドキ」
「…」「…」

泥棒とか潜入とか1度はしてみたかった!
してるんだろうけど、こういうのじゃないから!
ドキドキしてます!

「泥棒だ、泥棒、ひそひそしなきゃ駄目、………うひゃっ!ドキドキだあ!」
「「…」」

ドキドキが止まらない!!!

イセトが地下へ繋がる鍵を使って開けて、階段を降りる。
転移するだろうし、人数の不安もあるだろうから離れておくのだ。
制御は飾りで出来てるけど、扱いにはちょっと困ってる。

「頑張れー」
「…」「…」

魔石を置いて転移陣の上に2人乗ると、楽々簡単に転移していきました。
私も守りがガチガチなあの部屋へ転移したいと思います!
いざ!泥棒!!!

「動かないで頂けますか?」
「口も塞ぐなー?」
「………」

どうやら一瞬にして捕まえたらしい。
見過ごした………
獣人のおじいさんって感じの人がリリースに捕らえられて、イセトは移動する前に部屋を観察してる。

「「性行為の匂い」」

だろうねぇ。
消す必要もないだろうから、相当な匂いがぷんぷんしてます。

「誰が居ます?」
「ここで聞くより外だ」
「いえ、淫魔の場合面倒です。連絡する品はお持ちですか?」
「調べるか」

正解!正解!大せーかい!
あの日はちょうど、この人の精力が溜まった頃だったの。
あの日行ったらね?誘惑されちゃうかなぁ?って。
私以外のなにかに誘惑されたくなくてね?
んふ♡

「あー…これか?転移陣と同じ文字だ」

文字じゃないよー、体位だよー。

「他にはなさそうですね」
「行くぞ」

1度転移した鍵の部屋に戻ってから次に転移した先はリリースの隠れ家だった。

「いくつか伺いたい事がございます」
「…」
「先王のご落胤ですか?」
「…」

どうやらバーナビーの兄弟らしい。
バーナビーは魔人で、目の前の人は獣人。
魂に性別は決められていない、腹の中で育って初めて分かる事。
だからこそ、アレスは腹に宿ってしばらく経つまで女か確認してから回収していた。
だけど、種族は最初から決められている。
私が磨いている魂は神。
みんなが磨いている魂は、4つの魂。
鬼人・魔人・獣人・竜人だ。
そして、その魂はランダムに落ちていく。
その名の通り落ちていくんだ。
腹に宿った器を求めて落ちる。
だからこそ人種が違う兄弟が生まれ出る、これは世界の常識。
そして、寿命も異なる。
鬼人と獣人は500歳、魔人は800歳、竜人は3000歳。
これはこの国の常識。
他の世界も同じかどうか分からない。
調べようとはしていないから。
まだ全てに関わるかどうかは決められないんだ。

「じいさんだ、使えねぇな」
「そうですね」

どうやら何かを企んでいたらしい。
子どもを作るか、この人がバーナビーの座を奪うか……

うーん。

多分前者だな。
後者だったとしても、今は神が選び天使様を側に置いたのは、バーナビーだ。
神に選ばれし王の座は簡単に奪えない。
奪えたとしても、暴動が起こるだろう。
それほどこの世界の天使様は重大であり、絶対だ。

「連絡はしました」
「こういう時が苦手だ」

そうだねぇ。
迎えが来るまで待つなんて、そわそわしちゃう。

あ。

淫魔が来た………気付いちゃったああああ!!
ああ!早く迎えが来ないかな!?
イセトが誘惑されたら嫌だよ!
はああああん!?
脳内に直接話しかけてるぅぅぅ!

「なにを……ちくしょう!」

うんうん、淫魔は魔力で会話するからね。
魔力の流れを見てるイセトは分かっただろうねぇ。でもねー?

「あれー?お友達?」

まぁ、来るよねぇ…

「しばらくは…ごほっ、無理だと伝えただろう?」

おじいさんが追い払おうとしてる。
いい子だねぇ。

「いいじゃん、果実持って来たんだよ!好きでしょ?」

あー…んー…

その果実…私の果実です。
私のというか…果実を、リクを取り込んじゃったせいで天界に生えている私の…うん、私の果実です。

………

いいんだけどね。
みんなの果実だもんね。
でも、天界に行けたの?出入り自由なの?今って。

「ね?お友達?」
「そうですね」
「ふぅーん…嘘ばっかりだね?人間って」
「「っ」」

まぁ、そうなるよねぇ。
でも…誘惑しないでくれて良かった。

イセトは…

「ぐあっ!」

吹き飛ばされてるけど、うん、良かったぁ。
大体、イセトに出会ってすぐ目がハートにならない淫魔っていうのは、愛を持ち一途になってるか、うおっ、こっちに飛ばさないでー、私にぶつかると違和感でしょー?
えーと…えーと…そうそう、なにか目的がある場合だ。
このおじいさんは精力が少ない。
昔は多かったのかもしれないけど、今は少ない。それなのに、側に居て果実を渡しにだけ来るっていうのは…

「チャールズになにしようとしたのよ」

まぁ、愛だろうなぁ。
イセトは魔力制御を解除して、最大限の力で戦うようだ。

「おい!淫魔!」
「んー?」

淫魔に声をかけたリリースは………
うん?リヴァの花を持ってる。
ん?なんで?
土がついてるから消滅しないんだろうけど、なんでなの?なんでリヴァ?

「ふんっ!そんなので魅了されるなら、とっくにその男食べてる!」

そうだろうなぁ。
にしても、魅了か……
なるほど、うん。まぁ、えーと…魅了されたいから淫魔達は望んで、むしろわくわくで引っかかるけど、こういう場合はなぁ…

うん。

「頑張れー」

ふん?

ああ、殺されそう。
圧倒的に淫魔が強い、扱いを分かってるし魔力量も桁違い。

「死ね」
「待て!ラナ!やめるんだ!」
「なんでよ!」
「お前に人殺しなんてさせたくない!」

やだ、愛だねぇ。
あ、イセトが魔力制御戻した。

「じゃぁどうすんのよ!」
「私を使う気だ、しばらくは生かされるだろう。大丈夫だ、場所が変わるだけだよラナ」
「それでいいの!?チャールズはずっとずっと閉じ込められてた!私が出そうとしても拒絶して…!もっと綺麗な場所たくさん…!あるんだ!!!」

なるほどねぇ。
歴史書は見た。
バーナビーの兄なんて何処にも書いてない。
本当に兄弟かどうかは分からないけど、バーナビーさえ知らないと思う。
なんで子爵に隠されてるのかは知らないけど、それを良しとした理由があるんだろうな。

「いいんだ、ラナが側に居てくれるだろう?」
「当たり前じゃん!」
「ずっと側に居てくれるんだ、それ以外なにを望む」
「………もっと自分の為に生きてよ」
「生きてるさ」

ふむ。
どうやらイセト達は助かったみたい。
淫魔はおじいさんに抱き着いて、誰も近付かないように膜を張ってる。

あ。

「淫魔?………ふぅーん」

オーナーだ。
お迎えご苦労さまですー。

「使えないなぁ」

そうでしょうねぇ。
子孫を…という意味なら淫魔としかしないんじゃない?

「一応持って帰るかな?ね?今まで居た場所よりはいいところだよ?どうかな?」
「………好きにしろ」
「それにしても……本当に王の兄なの?」
「…」

おじいさん的には兄だと思ってるみたい。
でも、オーナーは心底不思議そうだからもしかしたら真実は違うのかもね。

「淫魔も一緒?」
「当たり前じゃん!」
「敵にしたくはないからねー、好きな物を用意するよ」

いざとなったら淫魔がどうにかするだろう。
だけどねぇ?
愛する者の言う通り動く淫魔は…ちょーっと、甘いかなぁ?

『淫魔ー?天使様だよー?お願いがあるんだけどなぁ?』
『あは♡やら』
『やらなーい、いい媚薬と交換』

ビタバレティモ国王の側にいる淫魔にお願いしちゃおう。
イセトの仕事は終わったみたいだし、この後どうなろうとどうでもいいだろう。

『それで我慢してあげる♡』
『ありがと。今、光の線飛ばしてるー、この先にいる淫魔に愛する人間が居てねー?二人が幸せになれるように協力してくれないかなぁ?』
『あー、あの子ね。私も相談に乗ってたの、今行くわ』
『今は捕らわれてるからなー』
『えー?他の人間がいない時に行く、私の顔バレると相手してくれないから』
『ありがとー、よろしく』

ビタバレティモ国王の淫魔だと有名なんだろう。
他所で“イケナイ事♡”でもすると、おあすげを食らうんだな。

「お疲れ様」
「…」

どうやらおじいさんたちは連れてきた人間に任せるらしい。
イセトの頬を掴んで話してるオーナーは、楽しそうだねぇ?

「聞いたよ?運命が天使だって」
「…」
「駒を使ってわざわざ城に入ったんだってね?どうだった?」
「馬鹿な人間でした」

この間リリースの隠れ家に行った時、オーナーの匂いがしてたもんねぇ。
脅されたのかな?
でもそれくらいしか言ってないね。
ありがとう!リリース!

「へぇ?いいの?」
「………運命ですから」
「うん」
「惹かれる心は一生あるでしょう」
「うん」
「馬鹿な人間には興味がないですし、天使様とは関わりのない人間です」
「そうだろうね」

あ、頬に傷はつけないで!
気に食わないから!やめて!

「天使を殺してもいい?」
「っっ………ギリッ」
「ふふ」

おお、本気で腹が立ってるぞ。
私が死ぬの嫌なんだ………

私も死なれるの嫌いだよ。

「冗談」
「…」
「さすがに僕も天使を殺せるほど強くないよ」

そうだろうね。
アルフになんとか勝てても、私に近付く頃には息絶えてるんじゃない?

「撤収だ」
「はい」

どうやら長い仕事が終わったみたい。



ああ、ちなみに後日、おじいさんは行方不明にさせたと淫魔から言われた。
淫魔世界に連れて行ったそうだよ。
あの世界を統べる王にも許可を取って。
綺麗な景色をたくさん見せてる頃なんじゃないかな?
それと、おじいさんが言うには幼い頃からあの部屋に閉じ込められていたそうで、親の顔も、バーナビーの事も見た事がないんだって。それでも、王の子どもだと、小さな頃に、まだ転移陣を使わず直接仕えていた執事か誰かに言われたんだと。
だから本当の所は誰にも分からない。



ここからは蝶々を使って得た事実。
世界からあのおじいさんをフォーカスして盗み見た。
あのおじいさんは子爵の先代との間に生まれた子ども。
先代は大の獣人嫌いだった。

それだけ。

それだけであの部屋に閉じ込め、永遠に出さないようにした。
執事がおじいさんに伝えた台詞は、外に興味を持った小さな子どもに“罪”を植え付ける為。
『王の子どもです、ですが邪魔になったんですよ。あなたの事が。あなたのように不出来で無器用な人間が国を背負うのは困ると、だから“捨てた”んです』
そんな言葉を吐いたのは、先代子爵の指示。
そうして自ら部屋に閉じこもり、出会った淫魔との日々だけがあのおじいさんの全て。
本当にバーナビーの兄弟なら会わせたんだけど…現実は違った。
そういう終わり。




ちなみに!あの果実!アレスが渡してるらしいよ!?なんならこの世界に女がいないのはあの淫魔が、「私以外の女が生まれる場所なんて嫌!」と、昔に言った事で回収しているんだとか……。
淫魔にコロコロと転がされてるアレスに、女がいてもいいよ。と言ってほしいと頼んだ。
そんなお遊びで言い放った言葉を本気に捉えないで!アレス!
惚れてるのか分からないけど、今のところアレスは果実係だよ?

アレスに伝える代わりに果実をたくさん渡したら喜んでた。
うん、果実はね、みんなのだから、うん。

いいんだよ………
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