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しおりを挟む「「「すぴー」」」
私が作業している横に置いてあるベッドで寝ているのはライとクロノスとアルフ。
「お前寝室にいねぇな?」
アルフにおやすみなさいをした後、寝室の扉を閉めてすぐに家へと戻った私とクロノスの元に、割とすぐ来たアルフがそんな事を言い放った。
「好きにしてていーよ」
「なんだここ、工房か?」
「家の一室」
「これが!?」
たくさんあるよ。
私は手ずからが好きだ。
だから色んな物を作れるようにと、たくさんの工房?がある。
「本当になんでもいいの?」
「はい」
クロノスへの贈り物は卵型の置き物ではなくとも、私の手作りならなんでもいいらしい。
なので、とりあえずはピアスを作るけど、それ以外にも色々作ろうと思う。
可愛い我が子が嬉しそうにしてるから、なんでも作りたくなっちゃう。
「おい!ヒナノ!あれはなんだ!?」
どうやらおうち探索をしてたらしいアルフとライが戻ってきた。
「どれよ」
「ぴょんぴょん飯が出てくるやつだ!」
ええ?そんなのあったっけ?
作業台から目を離してアルフとライを見ると全身真っ白になってる。
洗浄魔法って知ってるかな?
「うん、麺を作る装置かな?」
「あれすげぇな!」
「思いっきり飛んできた!」
それは多分、ライが必要以上の魔力を流したからじゃないかな?
「ライ!次はあっちだ!」
「いーよ!」
探索に戻ったアルフたちがいつ戻って来たのか知らないけど、すぴすぴとベッドで仲良く寝てる。
起きたアルフにどうやって帰んだ?と聞かれて、それもそうだとアルフの実家付近に行って、アルフの家まで案内してもらった。
そこに帰れるように鍵をもう一度変えていた所で誘拐犯が現れた。
「ふふ♡」
「ズルいわよ!あんた!」
光のと炎のがとても楽しそうに私の腕を掴んでいます。
「少しヒナノ様を借りますわ」
「あん?」
拉致されました。
「こちらがいいのです!それと設計図はこれを」
どうやら建てたい場所も設計図も持ってる光のと、まだ設計図がなくてムキー!としてる炎の。
「私だって早く家が欲しいわ!」
「あら、お願いすればいいじゃありませんか」
「してるわよ!」
設計図なしでもなんとなく伝えてくれたらいいんだけど…まぁ、いいか。
言い合ってる精霊達を無視して、設計図を確認していく。
「え?」
「どうされました?」
私はなんでも吸収した。
知識も力も魔力も吸収して、学んだ。
それでも敵わない人間が居るのだ。
技術も、構想も、なにもかもが敵わない人間は当たり前にいる。
そんな事を思わせてくれる設計図だった。
美しくて、でも中途半端な設計図。
「光の…これ、途中で口出した?」
「?ええ、細かくお願いしましたわ」
だからだ。
こんな中途半端な出来だと思えるのは。
私のように無から有を生み出して、要はズルのような建物は、造りに足らない柱なんかも必要としない。
魔法陣も描かれているから、支える支柱なんかも最小限にされている設計図は、多分“間違い”だ。
光のが願う、光のが好む設計図を作り上げた物を光のは気に入らなかったんだろう。
だから口を出した。
だけど、必要なんだよ。
家を造るには、邪魔だと思えるような柱も、壁の高さも。
それでも、光のに…依頼者が好む理想の設計図を作ろうとしているのが分かる。
「光のには対価を貰おうかな」
「まぁ♡」
「この人間、紹介して」
「そんな事ですの?あちらですわ」
その人間が居る場所を教えてもらった。
おでこにちょんっと指を当てて詳細な居場所を。
「ここに建てるよー?」
「お願いしますわ♡」
どうやら闇のと住まう家らしい。
設計図通りに建てたけど、まだ違うんだろうと思ったから中に入って改造していく。
「まぁ♡まぁ♡」
あれ?炎のが居ないな?
拗ねちゃったのかな?さっきまで一緒に探索してたのに。
「あ、でも……どうしましょう……」
「住んでみて変えたい所があったら変えるから」
「ありがとうございます♡」
雰囲気に合った家具やらもぱぱっと創って部屋に戻ったら夜に近い時間だった。ううん、光のはこだわりが強いん。
「夜会だ」
「そうだった」
ちょうど私に連絡しようとしたのか、手に石と私が着るだろう軍服を持ってたのでその場で着替………
「変態」
「なんでだよ」
早速習得した着替えの陣をアルフにかけられて、ぱぱっと着替えさせられた。
「クロノスは?」
「知らねぇ」
ううん、最近私の周りが自由だよぉ。
私としては楽なんだけど、いいのかなぁ?
部屋には他の護衛も他の側仕えも入ってこないし……いいのか?
「化粧しとけ」
「うん」
いいか。
*********************************
人と関わるよりも本が好きで、静かな場所を好む天使様。という話を知らない人間はいないみたい。
そのお陰で夜会なんかも滅多に参加しなくていいらしいけど、公爵の伴侶に会ったのって最近だよね?夜会したよね?とか思いながら、一言二言話して去っていく貴族達と喋ってた。
「あ!コーニーのお父さん!」
「お、お久しぶりでございます。前回は誠に…」
天使様の街歩きを一緒にした竜人の子ども、コーニーの両親が挨拶しにきてくれた!
「コーニーは元気ですか?」
「はい、それはもう……困りますね、子どもというのは」
相変わらず元気いっぱいらしい。
「座りますか?」
「よ、よろしいのです、か?」
「いいですよ?」
「し、失礼、んんっ!、失礼致します」
ささっとクロノスが用意してくれた席に座るコーニーの両親。
「じーさんに怒られましたか?」
「ああ、はい、ふふ、それはもう」
花を育ててるじーさんにはやっぱり叱られたらしい。
思い出しても、ざんばらに切られた花々は叱られるに値すると分かる。
「コーニーに会えるのが楽しみです」
「あの子も喜びますよ、天使様と神獣様と遊んで頂いた日々を思い出しては、せがまれているんです」
「いつでもいいですよ?私は本を読んでいるだけなので」
「「ありがとうございます」」
ううん、別に私は子どもが好きな訳ではないのだよ。
周りの声は拾ってるから、そんな子どもを連れてくれば…!なんて会話はやめてくれるかな?
コーニーと遊んだ事は周知の事実らしく、そんな会話に花を咲かせ……ないでくれ。
「私の庭を作ってもらったんです」
「聞き及んでおります」
天使様情報回覧板でもあるのかい?
「花が咲きますから、その時はじーさんも一緒に見に来て下さると嬉しいです」
「ふふ、はい。必ず」
そうだ、庭の横に大木でも生やしちゃおうかな?
寄りかかって本でも読もう。
ん?
「またお話して下さいね」
「楽しいお時間をありがとうございました、失礼致します」
どうやら警戒しなければならない人が居るらしい。
私を包むアルフの魔力がピリピリしだした。
お?
久しぶりー!元気だったー?
「ご挨拶を申し上げます。ケント・マニング子爵と甥のスタントンでございます」
「はい」
イセトが執事をしていた屋敷の旦那様、マニング子爵は顔を真っ青にしながら挨拶をしに来ました。
その横には柔らかな笑みを浮かべてる人間はアルフが警戒する人間らしい。
人懐っこそうな笑みを携え、紫色の瞳を囲うフチは垂れ下がり、白銀の髪はいつ切ったの?切らないの?海のくらいの長さを目指してるの?みたいな髪を首元で縛り、2メートルはありそうなスラッとした体型をしている……
オーナーじゃぁん!久しぶりー!元気そうだねー?子爵を脅して甥という事にしたのかな?それとも甥なのは本当なのかな?
「こちらは我が領地で生産しているワインでございます、良ければ召し上がって下さい」
「ありがとうございます」
貴族の間ではアルフが運命だと…というか、城にいる者なら知らない人間などもう居ないのかも?
アルフは部屋の外でも好き勝手にしてるし。
だからオーナーも知ってるだろうなぁ。
クロノスがワインを注いで私に手渡してくれるから飲んでみるけど、んー!やっぱりこの世界って美味しいねぇ。
「甥はカルレー商会という事業を最近受け継ぎましてね」
ああ、ね。
イセトが偽の商会を作って、私に会いに来た商会を本物にしたのか。
という事は、バーナビーが気に入ってる服もイセトじゃなくてオーナーが仕入れた物なのかもしれないなぁ。
「機会があれば是非に」
おお、オーナーが喋ったぞ。
「はい」
にしても羨ましいな。
私は知ってるから怪しい奴だぞ!なんて分かるけど、なんでアルフは分かるんだ。
本能羨ましいぞ!
接触したかっただけなのか、去って行った二人を見てるのはアルフ。
なにがしたいんだろうねぇ?
私が来る前からイセトは子爵に接触していた。
これはオーナーの予定通りの動きなのか。
それとも利用して、私を殺しに来たのか。
ま、いいか。
イセトの仕事は邪魔しないように黙っておこう。うん。
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