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しおりを挟む海のの家に着いてもびえびえと泣いてる私を放っておいてくれた。
昔みたいに……いつものように、海のと風のが目の前に座っ………
「なあに~?」
「いえ、ぐすっ!なんでもありませんね」
「そお~?」
「はい」
「ぬ?」
海のが!海のが大人しく!風ののお膝の上で当たり前に!緑茶を飲んでいらっしゃる!
ツンデレなのに!ツンツンなのに!
「写真を撮らないといけないみたいです」
「ぬ?」
「いいよ~?」
ありがとうございます!!!
撮られ慣れている海のは大人しくポーズを取って下さるし、そんな一生懸命な海のに内緒で頭にちゅっ♡とする風のからは写真寄越せよ?なんて圧も感じながら思う存分に撮っていきます!!!
「ふぅ…」
「ぬ?もう良いのか?」
「うん!ありがとう!」
風のにはカメラそのものを渡しておいた。
撮りたくなる瞬間が多いからね!絶対に!
「緑茶いただきます!ごくっごくっ!おいしー!」
「そうじゃろう」
「美味しいね~?」
なぜ、そんなデレデレした海のが見られるようになったか聞いてみたい………
だがしかし、全力で風のに止められている……
それもそうだろうよ。
恥ずかしくなって乗らなくなったらここまでの努力が海に消えちゃうよ。
「海のたちの話、聞きたいなー?」
「先に話せ」
「うん!」
新しい世界になる前の事ではなくて、新しくなった世界、私が閉じ籠もってた間や、この世界に召喚されたのは寂しかったからと説明し、そして出会った人々の中に生まれ変わりがいると信じていると…そして、“正しさ”が生まれてしまったらと怖くて仕方ない事。
全部、怖い気持ちも正直に伝えた。
「ふん!そんな事で悩むなど、ヒナはまだまだじゃの!」
「おっしゃる通りでございます!」
私も風のも臆病だ。
そして、いつだって、どんな怖い事があっても、ツライ事があっても、すぐに前を向いて生き続けている海のには敵わないんだよ。
「生まれ変わりじゃ!そしてなにもかもを己自身で失くした者達じゃ!」
「そうなの?」
「そうじゃ!」
「なんで分かるの?」
私は怖がっているだけ。
生まれ変わりや、正しさなんかも、私の中にある願望や恐怖心だけだとも伝えたはずなのに、どうしてか自信満々でそんな事を言う。
「余は必ず生まれ変わるのじゃ!何度だって生まれ変わってまた……」
「「…」」
「お、覚えておらんでも、また、な、何度だって生まれ変わって…」
「「…」」
「か、風のを…あ、あ、あ、」
「「…」」
「愛してやるのじゃ!風のが寂しくないように愛してやるのじゃ!」
「…」
「お邪魔しましたー」
「ぬ?」
しばらくは海のがなにを言っても家から出て来ないだろうなぁ…と思いながらいつの間にか暗くなった空に浮いて、月に寄り添う。
日本に居た頃のような宇宙は存在しない、上空ギリギリまで行けば魔力の膜で弾かれてしまう。浮いてしまえば月は手の届く場所にあるし、太陽は朝になると明るくなり、夜になると消えていく。
そういう世界。
だけど月はいつだってそこにあり、瞬いている。
太陽の光より弱いから、太陽が出ている間は薄く見える月はいつだってそこにあって、見上げれば必ず月が見えるんだよ。
私が生まれ変わったら……なんて想像もしなかったな。
でもね?
私はもう生まれ変わったんだよ?果実を口にした時に……堕ちて、堕ちて、どこまでも堕ちて……記憶がなくなって、人間だと勘違いした私は………
うん、愛したよ。
愛したんだ。
みんなを、愛して、慈しんだよ。
姿形が変わっただけの私は魂までは変わっていない。
でも、みんなが私を純粋に愛する事に邪魔だと思ったら、魂までも変えて会いに来てくれた。
うん、そうやって信じよう。
また不安になる時もあるだろうけど………
今は見えている事実だけを見て感じよう。
「時の」
「ふあぁぁ~…なんだよ?」
時のは私が選んだ人間のうちの1人。
理《ことわり》も、召喚も、空間も、全て悪魔に協力してもらって探し出した。
悪魔に魂は見れないけれど、人を見抜く事は得意。
だからこそ、時の器となる者には怠惰で惰性な人間を選びお願いした。
時のは唯一、変わっていない。
他の器達は死にたくなったら呼んでと伝えてあるから、その都度殺し、新たな器を探しているけれど、時のはたまに遊びに出ては時の空間で眠る。そんな人生が楽しいみたい。
「変わりは」
「なんも変わんねぇなー」
「そう」
「それだけかよ?」
「ええ」
「久しぶりに悪魔と遊んでくるわ」
時の管理者にしか出来ない事がある。
それは時を戻す事。
私は時をイジるような可能性がある者を選びたくなかった。
だから選定には時間をかけた。時を戻す事は私が固く禁じている事の1つだから。
そして、未来とは当たり前のように変わっていく。
だが、枝分かれした未来が数千も出来てしまうような事は、私の世界になってからはない。幾何もの未来が出来てしまえば、混乱を引き起こす。だから、時の管理を注視している。
いくつも未来や過去を作ってしまうような事にはなっていないらしく、時のは悪魔の元へと遊びに行った。
私自身で時の空間には行かないように、私から守る強固な結界を張ってある。
いつか時を戻したいと思っても戻せないように、そんな事をしてしまう私にならないように制限をかけている……それも破り方は知ってるからあんまり頼りないけどね。
“人生は一度きり”この言葉は心に深く刻んでいる。
だって私はなんでもできてしまう。
なんでも選択できてしまう。
全ての世界を“お遊び”の場にしないように、私の為に禁じているんだ。
初めて私はアルフの家へと入った。
なんとなく?
顔を見に?
「…」
「驚かすんじゃねぇよ」
こんな小屋みたいな場所には誰でも入れるよ?そんな重装備?いくつも魔法陣を展開してナイフを飛ばさなくても………
「なんだよ」
「怒ってる」
「当たり前だろ、いつになったらお前は素直になんだ」
そういう事。
私は私の恐怖に気付いていなかった頃から、アルフに怖がるなと言われていた。
「どこの部屋なら空いてる?」
「あん?住むのか?」
そんなうきうきるんるんで聞かないで下さい。
うきうきしながら部屋を案内しなくても……なんもねぇな!?この家!ベッド以外ないの!?必要にならない!?
「ここだ、寝室は同じだ」
「馬鹿かお前は」
「あん?うおっ!?」
私の全てを書いた本を、空いてる部屋にバサバサと積み上げていった。
「どう思うか教えて」
「全部か!?」
「うん」
「全部か!?」
うんって言ったじゃん。
「ちなみにアルフはアダムだと思ってる」
「あん?」
「生まれ変わりだと信じてる」
「…」
「相談したいの」
「分かった」
「読み終わったら教えて」
「全部か!?」
全部だっつってんだよ。
「面倒な事をお願いしてごめんね」
「………家で可愛くなるんじゃねぇよ」
「うん」
「………出てけ、理性はそこまでねぇ」
「うん」
「………はぁ…寝るぞ」
「うん、寝顔見てる」
「………ちゅーするか?」
「ううん、したくない」
「なんでだよ!?」
ちょっぴり怖くなくなってもちゅーしたいと思えない私はアルフの………
「「…」」
寝顔を見ようと思ったのに、なんでかガンガンに開いている瞼を、
「ふぅー…」
「あ?………すー…すー…」
睡眠の粉を吹いて強制的に寝かせた。
朝になるのはあっという間だ。
アダムのように満足するまで寝顔を見る事は叶わない。
「アダム……」
「すー…すー…」
正しさを取り除いたアダムはなにを選択する?
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