化け物天使は常識知らず!

ユミグ

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イセトを見送ってアルフの元へ帰ろうか悩んでいる時に声をかけられた。

『来い』
『あ、あの、子どもが一緒でもいいですか?煩ければすぐに消えますから』
『…』

やっぱり駄目かぁ…と、設計図の彼からそれ以上の言葉が返ってこなくて落胆した。

『来い』

いいらしい!

『ありがとうございます、あの部屋に直接転移してもいいですか?』
『…』

私はイセトの新しい雇い主?ワルワルの人に顔を晒しちゃったし、あそこと彼がいる場所はそう遠くないから人に見られたりしてなにかあっても嫌だなぁ…と思う私の元には連絡が届かな………

『まだか』

さすがに分からなかったなぁ!?
行っても良かったんですね!遅くてすみません!

「今から運命の彼に会うの」
「すぴー」

設計図を書く部屋に直接転移した私とニウを一目見てすぐに図案を書き出した彼を見て、やっぱり運命にはキラキラが分からないのか。なんて、最終確認のような事を思った。




お腹が空いたらダイニングに行って私の渡したご飯を食べてる。
ちなみにお皿は纏めて置いておいてくれたので回収しておきました。
渡し忘れたご飯も渡して、今度は魔法で部屋を綺麗にしてから、食べ終わった彼に着いて行ってまた学んでた。
ニウは起きてご飯を食べては私と遊んでを毎日してるけど、煩く思われないみたいで何も言われなかった。
分かりやすい彼の魔力からもなにも感じ取れなかったから大丈夫なんだろう。



しばらくすると眠くなったのか、どこかの部屋に入っていったからその間にご飯を作って、起きてきたらまた後ろから眺めて勉強するを繰り返した。










「え?それで完成ですか?」
「違うけどそうだ」

出来上がった設計図は中途半端に見えるけど、要望通りらしい。

「あの、これならどうするか続き見てもいいですか?」
「金払え」
「この国がどこなのか分からないので、宝石でもいいですか?」
「…」

いいらしい。
宝石を渡したら設計図を魔法で写してから、新たな紙に書き上げていく彼はとっても楽しそう。
最初に書き上げた時間以上にかけて作った設計図はとても美しくて暖かな家だった。
きっと要望通りなら多い柱も、階にある天井の斜めな向きも、ダイニングの使いづらさも採用されないだろう。
でも依頼者の要望通りなんだと分かる。これこそがきっと求めている家なのだと思うけど…伝わらないんだろうな。

「本当に美しいです…」
「…」
「住んでみたら居心地がいいと分かってくれるはずなのに…」
「…」
「綺麗…」
「…」



「なんだい?君」
「「…」」

部屋に人が来てた事にも気付かず夢中になってた私の耳に甘やかな声が届く。

「「「…」」」

え?恋人?恋人なの?
凄い気安く部屋に入ってくるじゃん。
ニウは見えないようにしてるから問題はないけど………
そういえば私天使様じゃん!なんの偽装もしてねぇ!と内心焦ってた。

「こんにちは」
「こんにちは、誰なんだい?」
「弟子」
「え!?君の?」
「ああ」
「淫魔かな?」
「はい」
「…」

驚かなくていいよ!淫魔でもあるけど淫魔じゃないよ!でも天使様だよとも恋人には言えないよ!

「良かった、彼の事勃たせて」
「帰れ」
「はいはい、またね」
「ああ」

どんな関係?仕事仲間なのかな?設計図を受け取ってすぐに帰っちゃった……ていうか勃たないの?もしかして勃たないの?え?もしかして受け!?それはちょっと…いや、この世界でこの身長なら……で、でも、無理!彼は受けでは…!断じて…!

拒否する!

『帰って来い』
『はあい』

アルフに呼ばれたけど、なんかあったっけ?

「呼ばれたので帰ります」
「…」
「また来ますね」
「あぶっ」
「…」

天使様の部屋に入るとリンジーとアルフが揃ってる。

「?」
「どうした」「どうしたの?」

アルフがニウを自然と抱くのも、二人が天使様の部屋に居るのも違和感は感じない。

「着替えないの?」
「そのままでいいよ」

いつもなら軍服を用意したり、化粧道具を用意してるリンジーは紅茶の用意すらしてなくて、それが凄く違和感。

「メナガガルド国から文書が届いた」
「ああ」
「庭園だ、行くぞ」
「あ、ちょっと待って」

服もずっと着替えてなかったと気付いた私はぱぱっと着替えてから……

「あん?」
「……うん、行ける」

アルフに抱っこされて室内庭園に移動しました。
バーナビーもルーシャンもまだいないみたい。どうやら二人は先に読み終えたらしく、後で来るんだって。
そんな事をルーシャンの側仕え、キーンが言いつつ文書を空間収納から取り出した。



バーナビーが生まれる前のスイレナディ王国
はバーナビーの親が王様だった。
どちらも竜人で、運命ではなかったが、とても仲が良く愛し合っていたと、亡くなってしまった両親を思い出しながらそんな事を教えてくれた事がある。
文書に書かれてあるのはメナガガルド前国王が仕出かした事、憶測で動いた流れが書き記してあった。
メナガガルド前国王改めぷるぷる君は、バーナビーの両親が“最初に産んだ子”と出会った事があるという。
それはとても偶然の出来事だった。
小悪党なぷるぷる君は当時、メナガガルド国で人身売買を行っていた。
そして、売られた……いや、自らを売りに来た男が1人いたと。
その男は運命だった竜人を亡くしたばかりの魔人で、魔力量が多かったらしい。
そしてぷるぷる君は“使える”と思った。
売りに来たのは目の前に居る魔人だけ。後ろ盾もなければ、見知った人間もおらず、そしてなにより、外界を…運命以外を知らない。外の世界を知らない無垢な男だった。

「会いに行ってみたいんだ」

酒を飲ませ、“秘密事”や“隠し事”なんかも知らない純朴な表情でそう言いながら、無垢な男は卵の殻を取り出した。
この世界では卵として生まれてきた子の両親が魔力を毎日流してあげなければならない。そんな知識が広がっている。
だからこそ、卵の殻には両親の魔力があると、会いに…一度も会った事のない両親に会ってみたいと無垢な男は言った。
初めて言葉を交わしたのは運命。
初めてのぬくもりを知ったのは運命。
初めて愛を知ったのも運命。
無垢な男は運命が用意した“巣”から運命が死ぬまで出た事がない。
運命に囲われてた事にも気付いていなかった…いや、その時も気付いてすらいなかった。
そんな無垢な男は運命が死んでしまう時に、“真実”を教えてくれたと言う。

『後悔はしていないんだ…だが私が死んでしまえば……親に会いに行くんだ……私にはもう飛ぶ事が出来ず送ってあげられないが……親に……』

そうして伝えられた言葉と渡された卵の殻。
メナガガルド国とスイレナディ国は遠い。
外に出た無垢な男は初めてお金が必要だと知った。だから売りに行ったのだ、自分自身を。それがどういう意味かさえ理解していないほどの男。
簡単に酔い潰れた男の手から卵の殻を奪い、寝ている間に売り飛ばした。
ぷるぷる君にとってそれが真実かどうかなんてどうでも良かった。だが、そんな夢みたいな話を聞いてチャンスだと思ったらしい。
スイレナディ国王の子を育てれば…あるいは騙せばいい。
上手い事いけば金が手に入る。
そんな穴だらけの思惑と、ずさんな計画に巻き込まれたのは………

「お前はスイレナディ国王の子だ」
「はい」

親から売られた竜人の子どもたちだった。
洗脳のような言葉を毎日吐き、使えるようになるまで叩き込んだ。
仕事も手伝わせた、その間にぷるぷる君は売られた子どもたちの鱗を無理矢理奪い、飲み込んでいたが………ここからは私の憶測になる。
多分、4つ以上飲み込もうとしたんだろう、ぷるぷる君は。
だが、肉体が拒絶し吐き出してしまったんだと思う。
書かれている内容を細かく見ていると、小悪党は途中、子どもばかりを専門に売りに出していたから、あれこれ試してたんじゃないかな?でもねぇ?人によって増幅する魔力量は決まっているし、鱗の力も強い為、4つ以上は飲めなかったんだと思うよ。
ぷるぷる君は竜人の子どもたちを洗脳する事に成功した。
だけど、1人の竜人の子どもは運命に出会ってしまったんだよ。
それで全ての計画が終わってしまった。
オーナーが現れてしまったから。
竜人の子どもは仕事を立派にやり遂げ、なんならぷるぷる君より頭が良く、人望もある立派な子になり、運命も手に入れた竜人はある日、ぷるぷる君に詰め寄った。

『どうして両親の魔力が籠もった聖杯を盗ませたんですか?』

そんな事を聞かれてしまったんだよ。
バーナビー達は毎日、神に祈りを捧げる。
国によって祈り方は違えど、祈るんだ。
だってアレスは度々世界に降り立っては遊んで帰るし?天使様なんていう存在を召喚するから神様がいらっしゃる!なんて事実を疑う人間は居ないからこそ祈りが深くなるんだろう。
そして、その当時バーナビーの両親は祈りの際は必ず、聖杯に触れていた。
それをニセモノとすり替えさせたんだと、そしてその魔力と洗脳させたどれかの竜人の子の魔力を無垢な男から奪った卵の殻に移した。
だってねぇ?誰の事も信用してないんだし?無垢な男が伝えた言葉は真実でも、目の前に居る男が王の子どもとして認識してもらわないと困るし?
魔力量は多かったぷるぷる君はオーナーの愛を殺した。
まぁ、あっさりと殺した。だってもう必要なかったんだもん。
その頃には強い力で国を脅し、自身が国王となれる算段まで立っていた。
だからね?
そんな忘れていた、どうでもいい話が漏れるのは困ると…あっさりと殺しちゃったんだろうねぇ。
これで安心安全!なんて思ってたぷるぷる君は天使様が俺の元に来ないなんて…!なんでだよ!なんて愚痴ってたらしい。
幸い天使様は魔人だし、俺の性技か、金か娯楽か、まぁ、窮屈そうに暮らしてる馬鹿な女を懐柔しようと、またまた稚拙な考えで会いに来たらしいよ?
そしたらねぇ?
昔のオイタがバレちゃって?あせあせしちゃってつい殺そうとしちゃって?なんでか、畏怖を強く感じる神に怒られちゃって?怖いよー…ぷるぷるするよぉ…!なんて事になっちゃったんだとか。
ちなみに殺さず幽閉する事にした。とは記載されているけど、殺せない。の間違いでしょ?
そんなねぇ?
あまりにも私の気に食わない事をした人間そう簡単に死なせるとでも思う?
もちろんご飯が与えられなかったら3食昼寝付きの首輪をつけてあげたよぉ?死に至る怪我なんかしちゃえば治るし?自死も出来ないようにしてあるし?なんなら健康で寿命まで生きられるよ?良かったね!

あ、そうそう。

ちゃんと夢見を良くするようにお昼寝の時には拷問されてるような夢も見せてるからバッチリだ!
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