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召喚されたけど引きこもっててもいいですか?
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しおりを挟む「フィフィ大丈夫?私に出来る事ある?」
結局どうすればいいか分からなかったから、フィフィに直接聞く事にした。
「大丈夫だよ!それよりごめんね?ユイの事無視するような感じになっちゃって…」
「ううん、そんな事どうでもいいよ。フィフィが困ってるなら力になりたいなって思っただけだから」
「…ありがとう、でももう会う事もないだろうからこのままでいいよ」
「それならいいんだけど…そうだ!フィフィは家族に会いに行ったり友達と遊んだり出来ないの?」
「え?」
「フィフィはこの国が好きでしょ?会いたい人とか行きたいとことかあるんじゃないかなぁ?って」
「ある……けど」
「行けるなら行って来たらいいよ、あ、そういう意味ならみんなは行きたいところとか我慢してる事とかない?私に付き合わせてばっかりで遠慮してる事とかないかな?」
気付かなかった私もどうかと思うけど、私を守るとか、神官の仕事とかでみんなにお休みがなかったから、たまには羽目を外してもいいと思うんだ。
「俺はユイの傍を離れたくない」
「ダグラスも買い物とか1日1人になりたいとか」
「ない」
「あ、うん…それならいいんだけど」
即答だ…
他国?飛行機に乗って旅行行くなら仕事でも、ちょこっと観光地に行きたいとかないのかな?
「私も必要ない、特に行きたい場所もない。連れていきたいところならあるから浄化が終わったらデートに行きましょう」
「う、うん、楽しみだな」
ネイサンは王族だから、気軽に歩き回れなかったと思うんだけど…いいのかな?
「俺もないよ、それよりユイと2人っきりになりたいな?」
「わ、分かった」
2人きりは嬉しいけど…
エルは美術館?とか、そういう場所に行きたくならないのかな?
「ユイ様をお慕いしております」
「わ、私もリクが好きだよ?」
リクに至っては答えになってるか分からないけど、本当に必要じゃなきゃ私も特に言う事もないんだけど……
私はお家大好き人間だから窮屈に感じないけど、外に出ないとストレス溜まったりしない?
「僕、家族に会いに行ってきてもいい?」
「もちろんだよ!フィフィがしたい事したらいいと思う!家族に会えないのは寂しいもんね?」
「ユイありがとう」
「ううん!許可なんていらないよ!好きな時に好きな人に会いに行こ?フィフィが幸せなら私も幸せだから!ね?」
「うん…」
みんなも特に思う事はないみたいだから、明日から早速数日離れるみたい。
フィフィには遠慮させてたみたいでちょっと反省…
この国に居る間は好きな事たくさんしてもらおう!
**********
次の日朝起きたらフィフィはもう居なくて、こんなに早く出て行くなら起こしてもらえるように頼んでおけば良かったと思った。
「ユイ」
「ん?」
「筋肉がない方が好きか?」
「へあ?」
ダグラスが私を膝の上に乗せながらそんな事を聞いてくる。
「え、と、特にこだわりはない、かな?」
「好きな体はないのか?」
好きな体?
ううーん…………
考えた事もなかったなぁ。
「ないかなぁ?ダグラスの体に包まれてると安心するし大好きだけど、筋肉がなくなっても別に好きには変わりないと思うし……うーん、好きな体かぁ、考えた事なかったなぁ」
「そうか、それならいい」
「うん?」
唐突に変な事を聞いてきたダグラスは私の髪を撫でながら、鼻歌でも歌いそうなくらい機嫌が良さそうにしていて既に、どうでも良さそうだ。
「そういえば、お父さん達は元気?お手紙はここにも届く?」
「ああ、読むか?」
「う、ううん!大丈夫!手紙が届くならいいの」
「そうか」
ダグラスのお父さん達には会った事はないけど、ブルームフィールド国にある実家は浄化の範囲外だったから、浄化されている範囲内からゆっくりと野宿しながら、行く先が浄化されるのを待ち、また進むって事をした。
エルと違って平民の家は安全性から考慮して泊まる事は出来ないと言われ、そんな方法を取ったけど、一番近くに寄った時にダグラスだけ顔見せの為実家に帰った事があった。
その時に事情を説明したらせめて手紙くらい寄越せと言われたらしく、それから手紙のやり取りをしているらしい。
あ、ちなみにダグラスの両親は2人とも男らしく、そんな事も珍しくないみたいで聞いた時はびっくりした。
元々孤児だったダグラスを引き取ったのが今の両親で、手っ取り早くお金を稼いで親孝行する為に守護神官になった。という、なんとも俗物な神官だとか言われていたらしいけど、私はいまいち宗教というものにハマれないから、そっちの方が私的に心情は理解しやすかった。
「あ、でも」
「どうした」
「手紙、もらってみたい、かも?」
「両親に言っておく」
「あ、違う違う!いや、違うっていうのも失礼かも?あ、いや、でもそういう意味じゃなくって」
「落ち着け」
「う、うん……えっと、ダグラスから手紙もらってみたいなー?って思って」
「………………俺から?」
「あ、いや、面倒ならいいんだよ!?ほら、私達って毎日一緒に居るから手紙なんか書かなくても、別にその場で言えるからね!?別にダグラスの両親羨ましいなぁ…なんて思った訳、ではあるけど別にそんなに無理して欲しい訳でもなくてね!?」
「書く」
「あ、で、でも、面倒だったり」
「しない、書く」
「う、うん………………えへへ、嬉しい」
「っ…ユイは?」
「んえ?」
「ユイも手紙を書いてくれ」
「ええ!?私手紙なんか書いた事ないんだけど!」
「大丈夫、どんなのでも大切にする」
「う………なんかプレッシャーが凄い……」
「ユイ様戻りました、困ったお顔をされておりますが、何を話されていたのですか?」
リクが神官の仕事から戻って来た。
神殿に居る時はみんな神殿内の仕事をしてる。
私も手伝ってみたいけど、聖女がうろついてるのも困るだろうなと思って諦めた。
「リクおかえり、手紙をね?もらった事がないからもらってみたいなーって」
「私もユイ様に手紙を差し上げてもよろしいですか?」
「うん!嬉しい!」
「私もユイ様からの返事が楽しみです」
「……うん?」
「もしかして私は…愛する妻に一生手紙がもらえない夫として生きていくのでしょうか?」
「う”……か、書く、書きます!で、でも、あんまり期待しないでね?手紙なんて書いた事ないんだから」
「期待しております」
「あう…」
「ユイ様から頂ける物は全て大切なのですから」
「……あい」
リクは逃げ場がないような会話に繋げていくのが得意だ………そんなところも好きだけど。
今日のお昼ご飯は2人とするみたい。
ネイサンはどの神殿に行っても忙しそう、どこに行っても頼られる存在なんだなぁって思う。
みんなもそうだけど貴族とか神官とかになれるんだからやっぱり頭がいい。
そんなに素敵な旦那様達を捕まえられたのは本当異世界マジックと心の中で呼んでる。
「もぐ……ん!便箋!」
「便箋?」
「行商人を呼びましょう」
「ありがとうリク!せっかくだからみんな宛てに書く可愛い便箋欲しい!」
「でしたら我々も一緒に選びましょう」
「ああ」
「ふふ、贈る相手が目の前に居るのに一緒に選ぶって変な感じ」
「楽しみですね」「楽しみだな」
「ふふ、うん!」
明後日には毛糸と一緒に便箋も見せてもらえるようお願いした。
バーズリー国は寒いところだから、ニット帽でも編んでみようかな?と、エルに相談したら、エルもニット帽は編んだ事がないらしく、これから一緒に勉強する予定。
猫耳ニット帽を目標にしています!
31歳になりましたが、異世界マジックなのか老けが見当たらないので許して欲しいと思います!
「ユイ様」
「ん?」
食事が終わりダグラスが行商人への言付けに出ている2人きりの時にリクから声をかけられた。
「この国は少し雰囲気が異常です、警戒して下さい」
「……分かった、特に気を付けないといけない事ってある?」
「今のところはありません…ただ、私達の頼みであっても、この国に居る時は聖女として判断して頂けるようにして下さると助かります」
「聖女として…」
「私もユイ様を精一杯お守り致します。ですから、私の事も守って下さいますか?」
「当たり前だよ!守るよ!みんな守る、私の大切な旦那様達だもん!」
「くすくす、それは心強いですね」
「ふふ、リクだって心強いもん」
「それなら問題ありませんね」
「うん」
リクは不思議だ。
いつだって私が欲しい言葉をくれる。
私もそうなれるように、みんなの事をもっと観察してみよう!
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