陽あたりのいいパティオ 〜ももとさくらは人類最強です〜

あかぎ さわと

文字の大きさ
5 / 93
第1章

鬼王神社の宝玉 5

しおりを挟む
 鎮守の森に隠れている親分は開いた口が塞がらなかった。
 何しろ誰もいない神殿の内部から神々しい光が放たれたのだ。

 ──親分は夢かと思った。

 仕方ないので左右にいて木にもたれて眠り呆けている一と二の頭を思い切り殴った。
「いってー」ほぼ二人同時に叫び目を覚ました。
 親分は満足だった、こりゃ夢じゃねえ御神体は本物の力を持っているに違いねぇ!
 そして幼稚園を見た、まだあちこち電気がついている。それに体育館からは楽しそうな笑い声すら聞こえてくる。

「早く寝ろよ、クソガキめ」


 体育館の中は、それはそれは、盛り上がっていた。枕が縦横無尽に宙を舞い、右へ左へ子どもが駆け回る。
 きゃーきゃー叫び声が響きわたり、敷布団もタオルケットもぐちゃぐちゃになった。
 そこに担任のみか先生が入ってくる。
「はいはい、みなさんもう終わり! 」

 ──子どもたちの動きが止まった。

 さくらも枕だけでは飽き足らずに、丸めたタオルケットを持ち上げていたが、動きを止めた。
 と、飛んでいた一個の枕が、みか先生の顔にあたった。
 ぼふ!
 きゃー! 再び騒々しくなる体育館。
 しかし、みか先生も負けてはいない、もう10年も幼稚園の先生をやっているのだ。
「うー…もう9時です。おとなしくねましょうね、じゃないと鬼が君たちを連れ去りにきますよ、怖ー」
『……』一斉に静かになる子どもたち。
「鬼王神社の鬼たちが、悪い子を連れていっちゃうんだからなぁ」おもいきり怖がらせるように叫んだ。
『…はーい』
 子どもたちは現金だ、みんないい子になる。
「じゃあ枕と寝具を元に戻してください」

 そんなみか先生をよそに、補助のまきこ先生がさくらのそばに来て、耳元で囁いた。
「さっきごんちゃんから電話があってね、今夜は大人しくして、静かに寝なさいと言ってたよ」──町中の誰からも権三は親しみを込めてごんちゃんと呼ばれていた。
 さくらは丸めたタオルケットを見た。
「さすがおじいちゃん、なんでもお見通しね」
「本当、見えてるみたい」
 しかし、さくらは思った。

 ──ごんちゃんが言っているのは、ほんとにこの事かしら…。

 片付けも終わって、子どもたちは各々の布団にちょこんと座る。
 みか先生はそんな園児たちを確認すると言った。
「お泊まり会楽しいですか? 」
『はーい』
「でも、もうおねんねの時間、さあみなさんご一緒に」
『おやすみなさーい』
 子どもたちと先生の声が揃った。

 体育館の照明が消されて、その後30分程して、幼稚園の全ての照明が消された。


 そんな幼稚園の様子を見て一が言った。
「電気が消えましたぜ親分」
「うむ」
「一気にいっちゃいますか」二が言った。
「アホウ、神社の御神体といえ、こんな巨大な宝石が、今まで盗まれずにいたのは何か訳があるに違いない、慎重にいけ、もう少し待ってからだ」
「おい一、もう少し待ってからだ、慎重だ」二が一に向かって言う。
「うむ、親分慎重にいけ」一が言う。
「うむ…って誰に向かって言ってんだ、俺が親分だぞ! 」
「へい」
「へい」
 と、親分は腕時計を見る。
「決行は11:00にする」
『了解』
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...