陽あたりのいいパティオ 〜ももとさくらは人類最強です〜

あかぎ さわと

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第3章

鬼王神社の夏祭り 14(祭り当日)

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「たもっちゃん、二つちょうだい」
 どんとが、そんなたもっちゃんに声をかけた。
「あーどんとにいちゃん」
「よっ…」
「どんとにいちゃんなら、たこ二切れ入れちゃう、ちょっと待ってて」
「さんきゅー」
「へへへ、父ちゃんには内緒だよ」
「分かった」にこやかなどんと。
「じゃあ、ラムネ買って来るから焼いといて、頼むね」
「任せといて! 」
 どんとは手を振ると、別の出店へ走っていった。


 ──パッカーン!

 歯切れのいい音が備蓄倉庫の前で響き渡った。
 ごんちゃんが木槌で樽酒の蓋を割ったのだ。
 担ぎ手八十名ほどと、お囃子部隊十名ほどに加え、神馬家の面々が揃って、御神輿の前で輪になっている。
 ごんちゃんは、ひょっとこのお面を頭に乗せてひょうきんな衣装を纏っている。
 茂はオカメのお面を頭に乗せている──身長185センチのオカメは一種異様だ。
 ももとさくらは昨日と同じ白い作務衣姿だ。
 加えて、唇に薄く紅をさし、薄いアイシャドウをひいて、お団子頭にキリリと捻り鉢巻を締めたお顔は、べっぴんさんだ。

「無理せず、くれぐれも怪我のないよう宜しくお願いします! 」
 ごんちゃんがそういうと、樽酒を入れたマスを高々と掲げ、法被に白褌姿の屈強な男たちが声を揃える。

『よろしくお願いします』

 そして一気にマス酒を飲み干すと、御神輿に群がった。
「じゃア、担ぎ手は担ぎ棒を肩にのせて」
 マックが声をかける、と隊列を組む面々。
「イイかな、神輿上げェ」
『そいや! そい!』

 掛け声と共に御神輿が担がれ、置き台がよけられる。

「もも、さくら、行くよ」
 ごんちゃんが言う。

『はい! 』

 元気に挨拶した二人は茂とマックに抱き上げられ、乗り台に乗せてもらう。
 ももは前で、さくらは後ろだ。

 ──バッ!

 握り棒を掴み、扇子を広げる二人。
 誇らしげな鬼王の真っ赤な二文字。
 ──カチッカチッ!
 すみれおばあちゃんが火打ち石を叩くと、火花が散る。
 ピィーひゃらら、とん、とん、とととん、ピィーぴゃらぴゃらら…
 軽トラックの荷台に乗った、お囃子隊が太鼓に笛を奏でる。
「ゴー、御神輿いきまっせ」
 マックが声を張り上げる。

『そいや! そい! 』声が一際大きく響く。

そいや! そいや! そいや! …

 鬼王神社の大きな御神輿が動きはじめた。
「いってらっしゃーい」
 かえでがにこやかに手を振った。
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