陽あたりのいいパティオ 〜ももとさくらは人類最強です〜

あかぎ さわと

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第4章

災害警報発令中 17

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 町立病院のベッドで目を覚ました教授は、窓に写る真っ赤な夕日を見ていた。ベッドは四つあるが他には誰もいない。
 そこに医師と警察官が入ってきた。
 医師は言った。
「具合はどうですか? 」
「ええ、もう、大丈夫です、えっとこれは必要ですか? 」
 ベッドの脇に置かれていたショルダーバッグをごそごそかき回すと保険証を取り出した。ショルダーバッグは防水のしっかりしたものだったので、ほとんど水が入っていなかった。
「あ、はい、受け付けに回しておきます」
「お金は銀行に預金しておりますので、必要ならばおろして来ます。御心配なく」
 と、横にいた警察官が医師から渡された保険証を見た。
「随分遠くから来られているようですが、保険証は去年更新されたようですね」
「ええ、妻に管理してもらって更新は間違いなく、住所も住民票に記載された自宅の住所です」
「この町にはどうして…」
「…」
「プライベートに関わる事ならばお答え頂かなくても結構ですが…」
「人を探してます」
「人探しですか…」
「はい、大切な人を…」
「そうですか…」
「じゃあ私は保険証を持って受け付けに行きますので、一週間ほど様子を見て体力を回復してから退院なさってはどうでしょう、感染症の疑いはなさそうだし、身元もしっかりしてそうですしね、では」
「あ、そうだ先生、一緒にいた男の子はどうしました」
 その質問には医師に代わって警察官が答えた。
「親御さんのところに帰しました」
「よかった、助かったんですね」
「ええ、ピンピンしてますよ」
 医師はそんな会話を聞くと、保険証を預かり微笑んで退室した。病室内は警察官と教授の二人だけになった。
「男の子はどこに住んでいるのですか? 」
「こういうのもなんですか、住田さん、えっと住田さんでよろしいんですね、保険証に書いてあった…」
「ええ、住田 登紀夫と申します」
「住田さんと男の子の関係がわからないと、お教えする事は出来かねます。なにしろプライバシーに関わる事ですので」
「なるほど、いや、分かりました」
「はい、お察し下さい。住田さん実は私はあの時パトカーに乗っていたのですが、一つお聞きしたい事があります」
「何でしょう? 」
「あの時、何があったのですか? 」
 教授はしばし考えると言った。
「わからんのです」
「分からない? 」
「ええ、私はカミングアウトする前にはこれでも大学教授をやっていましたから、物事を論理的に考える方なのですが、あの時どんと君と川に飲まれて、気がついたらここにいたんです」
「だけど、突然パトカーのボンネットに、なんていうか、現れていや落ちてきたんですよ、男の子と二人で、そのどんと君と住田さんが…」
「何が起きたかさっぱり、わしは川に飲まれて死んだと思っていました」
「川の中で意識を失ったと…」
「ええ、苦しくなってその先は全く…」
「そうですか…」
「あの状況で二人が生きているなど、全く説明がつかないんです、論理的に…」
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