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第3章 秋
◆そして始まるダンジョンBBQ攻防戦
「あぁ~そういうことですね」
「まさか、知らずについて来てたのか?」
あちゃー、と額に手を当てるシヴァさん。
私はぶわっと顔が熱くなるのを感じながら、ぶんぶんと手を振った。
「ち、違いますって!虫の話に夢中になってただけで……お塩のことを、ほんのちょっと、ほんのちょーっと忘れてただけです!」
「それを“知らずに来た”って言うんだよ」
ぐうの音も出ない。
シヴァさんは残念なものを見る目をしたあと、ガチャ丸の頭をぽんぽんと撫でた。
「ガチャ丸、お前けっこう苦労してんだな」
「ちょ、ちょっと!やめてくださいよぅ!」
私は慌ててガチャ丸を引き寄せる。
「そんなことないよね?ね?ガチャ丸?」
「ギャギャァ……」
ガチャ丸は私を見て、シヴァさんを見て、それから――
ふうぅ、と大きなため息をついた。
え。
今、ため息ついた?
「もうやめとき。ガチャ丸困っとるやん」
モードさんが肩を揺らして笑う。
うぅ……ポンコツ扱いが定着してきている気がする。
私たちは今、ダンジョンの最下層――
かつて“ドブ”と言われたエリアの奥にある、岩清水が静かに染み出す一角に来ていた。
そこにあるのは、見慣れたサイズの透明な結晶。
「へぇ……野良の精霊石、初めて見ました。これで“ソルショア”まで行くんですよね?」
「そや」
このダンジョンに来た本当の理由。
それは――
塩を得るため。
野良の精霊石を起動し、海の街ソルショアへ繋ぐ。
塩さえ手に入れば、この土地の未来は大きく変わる。
「でも、光ってないですよ?」
「最初にかなり魔力食わせなあかんのや。ほら、触ってみ」
「触ったらどうなるんですか?」
「魔力覚えさすんよ。覚えたやつしか使われへん」
「なるほど」
私はそっと精霊石に触れた。
ひんやりとした冷たさ。
そして――すっと、手の奥から何かが抜ける感覚。
……調薬に似ている。
ポーションは魔力で練る。
だから生産量は魔力量に依存する。
つまり、優秀な薬師はもれなく魔力おばけだ。
(私は……まあ、その辺は誇っていいと思う)
私に続き、
ガチャ丸。
しーちゃん。
ウノ、ドス、トレス。
姫ちゃま。
念のためルゥも。
みんな順番に触れていく。
「これで登録完了やな。起動は明日の朝でええな?」
「うぃーっす」
「(コクコク)」
「はーい」
「ギャギャァ」
「プギッ」
「「「~♪」」」
「ブンブン」
「(キラリーン)」
全員の返事が揃う。
モードさんが振り返って言った。
「なら、今からキャンプの準備やな!」
その声を合図に、私たちはそれぞれやるべきことをするために散る。
もちろん、私は、ダンジョン最後の夜を彩る楽しいキャンプ飯の準備だ。
キャンプと言ったらもう、これしかないでしょう!!
特注のBBQコンロとルオスク産の炭を出す。ついでに七輪も。
七輪はモードさん専用にする予定。
そして、火起こしはウノちゃんに。
辺りはすっかり夜。
最下層なのに、空がある。
星がある。
月まである。
濃紺の空に、宝石箱をひっくり返したみたいな星。
天の川みたいな光の帯。
(ダンジョンなのに、外より空が綺麗ってどういうことなんだろう)
腐敗の地だった場所で、今は月光が黒土を照らしている。
(不思議だなぁ)
でも、そんな情緒は――
一瞬で吹き飛んだ。
「「「かんぱーい」」」
「乾杯(小声)」
「ギャギャァー」
「プギィ―」
カチン、とジョッキがぶつかる澄んだ音。
――ダンジョンBBQ開幕!
大人組はジョッキビール一杯だけ。
ちびっこチームは炭酸ジュース。
ウノ・ドス・トレスは、ジェイさんから純度の高そうな火属性魔石をもらって大はしゃぎだ。
姫ちゃまはというと、熱烈リクエストの甘露を独占中。
小さな体でちびちび味わっている様子から、相当お気に入りらしい。
そして、ルゥは――
「さすがに食べられないよね?」
私がそっと問いかけると、少し間を置いてから返事が返ってきた。
「残念ながら……我が主の期待には応えられそうもなく……」
その瞬間、刀身の輝きがほんのわずかに曇る。
「あ、いいのいいの!せっかく家族になったんだし、一緒にご飯が食べられたらいいなーって思っただけだから」
「……家族」
ぴかぁっ、と刀身の輝きが一気に増した。
(刀身は口ほどにものを言う……)
家族になってからというもの、ルゥの“表情”は本当に豊かだ。
光り方ひとつで、気持ちがだいたい分かるようになってきた。
もう少し話していたかったけれど――
じゅるり、と音がした気がした。
BBQコンロ前に、涎を垂らしそうな“大中小”の三つの影。
シヴァ。
ガチャ丸。
しーちゃん。
視線の先には、もちろん――厚切りベヒモス肉。
(このお肉、依存物質とか入ってないよね?)
念のため鑑定。
……問題なし。
ほっと胸をなで下ろす。
でも、油断はできない。
この三人を自由にしたら、コンロはベヒモス一色になる。
それだけは、絶対に阻止しなければならない。
当初は各自好きなものを焼くスタイルにしようと思っていたけれど、この三人を見て気が変わった。
「ちゃんとお野菜も食べてくださいね!いい?ガチャ丸もよ?」
「ギャギャッ!」
返事はいい。
しかし、信用してはならない。
このトリオ、ちょっと目を離すと肉まみれになる。
「あー!ノエル、もうそれでいいわ」
「え?超レアですけど!?レアっていうか、ほぼブルーですけど!?」
「表面炙るくらいでいいんだよ。効率よく食いてぇからな」
(食事に効率って言うなぁぁ!!)
私はぐっと深呼吸。
怒らない。
怒らないけど……譲らない。
炙った肉を皿に乗せ――そして、山盛りの焼き野菜もどさり。
「え?」
「“え?”じゃないです」
ニッコリ。
「野菜も“効率”に含めてください」
シヴァさんは苦笑しながら席へ戻った。
よし!まず一人。
残るは――
ガチャ丸はじーっと肉を見ている。
しーちゃんは鼻息荒く待機中。
あの目は完全に“肉一直線”。
どうやって自然に野菜へ誘導するか。
いかに違和感なく、バランスよく食べさせるか。
――BBQは戦場である。
戦の夜は、どうやら長くなりそうだ。
——————————————————
≪週2回、土・日更新+不定期≫
いつも読んでくださって、本当にありがとうございます。
ダンジョン編は、いよいよ明日が最終日です。
「◆冒険の終わり―ーそれぞれの日常へ」
よろしくお願いします。
「今日も良かったな」「続きが気になるな」と思っていただけたら、
“♡” や “応援” でそっと教えてもらえると、とても嬉しいです。
良い夜を。
また次回お会いしましょう。
「まさか、知らずについて来てたのか?」
あちゃー、と額に手を当てるシヴァさん。
私はぶわっと顔が熱くなるのを感じながら、ぶんぶんと手を振った。
「ち、違いますって!虫の話に夢中になってただけで……お塩のことを、ほんのちょっと、ほんのちょーっと忘れてただけです!」
「それを“知らずに来た”って言うんだよ」
ぐうの音も出ない。
シヴァさんは残念なものを見る目をしたあと、ガチャ丸の頭をぽんぽんと撫でた。
「ガチャ丸、お前けっこう苦労してんだな」
「ちょ、ちょっと!やめてくださいよぅ!」
私は慌ててガチャ丸を引き寄せる。
「そんなことないよね?ね?ガチャ丸?」
「ギャギャァ……」
ガチャ丸は私を見て、シヴァさんを見て、それから――
ふうぅ、と大きなため息をついた。
え。
今、ため息ついた?
「もうやめとき。ガチャ丸困っとるやん」
モードさんが肩を揺らして笑う。
うぅ……ポンコツ扱いが定着してきている気がする。
私たちは今、ダンジョンの最下層――
かつて“ドブ”と言われたエリアの奥にある、岩清水が静かに染み出す一角に来ていた。
そこにあるのは、見慣れたサイズの透明な結晶。
「へぇ……野良の精霊石、初めて見ました。これで“ソルショア”まで行くんですよね?」
「そや」
このダンジョンに来た本当の理由。
それは――
塩を得るため。
野良の精霊石を起動し、海の街ソルショアへ繋ぐ。
塩さえ手に入れば、この土地の未来は大きく変わる。
「でも、光ってないですよ?」
「最初にかなり魔力食わせなあかんのや。ほら、触ってみ」
「触ったらどうなるんですか?」
「魔力覚えさすんよ。覚えたやつしか使われへん」
「なるほど」
私はそっと精霊石に触れた。
ひんやりとした冷たさ。
そして――すっと、手の奥から何かが抜ける感覚。
……調薬に似ている。
ポーションは魔力で練る。
だから生産量は魔力量に依存する。
つまり、優秀な薬師はもれなく魔力おばけだ。
(私は……まあ、その辺は誇っていいと思う)
私に続き、
ガチャ丸。
しーちゃん。
ウノ、ドス、トレス。
姫ちゃま。
念のためルゥも。
みんな順番に触れていく。
「これで登録完了やな。起動は明日の朝でええな?」
「うぃーっす」
「(コクコク)」
「はーい」
「ギャギャァ」
「プギッ」
「「「~♪」」」
「ブンブン」
「(キラリーン)」
全員の返事が揃う。
モードさんが振り返って言った。
「なら、今からキャンプの準備やな!」
その声を合図に、私たちはそれぞれやるべきことをするために散る。
もちろん、私は、ダンジョン最後の夜を彩る楽しいキャンプ飯の準備だ。
キャンプと言ったらもう、これしかないでしょう!!
特注のBBQコンロとルオスク産の炭を出す。ついでに七輪も。
七輪はモードさん専用にする予定。
そして、火起こしはウノちゃんに。
辺りはすっかり夜。
最下層なのに、空がある。
星がある。
月まである。
濃紺の空に、宝石箱をひっくり返したみたいな星。
天の川みたいな光の帯。
(ダンジョンなのに、外より空が綺麗ってどういうことなんだろう)
腐敗の地だった場所で、今は月光が黒土を照らしている。
(不思議だなぁ)
でも、そんな情緒は――
一瞬で吹き飛んだ。
「「「かんぱーい」」」
「乾杯(小声)」
「ギャギャァー」
「プギィ―」
カチン、とジョッキがぶつかる澄んだ音。
――ダンジョンBBQ開幕!
大人組はジョッキビール一杯だけ。
ちびっこチームは炭酸ジュース。
ウノ・ドス・トレスは、ジェイさんから純度の高そうな火属性魔石をもらって大はしゃぎだ。
姫ちゃまはというと、熱烈リクエストの甘露を独占中。
小さな体でちびちび味わっている様子から、相当お気に入りらしい。
そして、ルゥは――
「さすがに食べられないよね?」
私がそっと問いかけると、少し間を置いてから返事が返ってきた。
「残念ながら……我が主の期待には応えられそうもなく……」
その瞬間、刀身の輝きがほんのわずかに曇る。
「あ、いいのいいの!せっかく家族になったんだし、一緒にご飯が食べられたらいいなーって思っただけだから」
「……家族」
ぴかぁっ、と刀身の輝きが一気に増した。
(刀身は口ほどにものを言う……)
家族になってからというもの、ルゥの“表情”は本当に豊かだ。
光り方ひとつで、気持ちがだいたい分かるようになってきた。
もう少し話していたかったけれど――
じゅるり、と音がした気がした。
BBQコンロ前に、涎を垂らしそうな“大中小”の三つの影。
シヴァ。
ガチャ丸。
しーちゃん。
視線の先には、もちろん――厚切りベヒモス肉。
(このお肉、依存物質とか入ってないよね?)
念のため鑑定。
……問題なし。
ほっと胸をなで下ろす。
でも、油断はできない。
この三人を自由にしたら、コンロはベヒモス一色になる。
それだけは、絶対に阻止しなければならない。
当初は各自好きなものを焼くスタイルにしようと思っていたけれど、この三人を見て気が変わった。
「ちゃんとお野菜も食べてくださいね!いい?ガチャ丸もよ?」
「ギャギャッ!」
返事はいい。
しかし、信用してはならない。
このトリオ、ちょっと目を離すと肉まみれになる。
「あー!ノエル、もうそれでいいわ」
「え?超レアですけど!?レアっていうか、ほぼブルーですけど!?」
「表面炙るくらいでいいんだよ。効率よく食いてぇからな」
(食事に効率って言うなぁぁ!!)
私はぐっと深呼吸。
怒らない。
怒らないけど……譲らない。
炙った肉を皿に乗せ――そして、山盛りの焼き野菜もどさり。
「え?」
「“え?”じゃないです」
ニッコリ。
「野菜も“効率”に含めてください」
シヴァさんは苦笑しながら席へ戻った。
よし!まず一人。
残るは――
ガチャ丸はじーっと肉を見ている。
しーちゃんは鼻息荒く待機中。
あの目は完全に“肉一直線”。
どうやって自然に野菜へ誘導するか。
いかに違和感なく、バランスよく食べさせるか。
――BBQは戦場である。
戦の夜は、どうやら長くなりそうだ。
——————————————————
≪週2回、土・日更新+不定期≫
いつも読んでくださって、本当にありがとうございます。
ダンジョン編は、いよいよ明日が最終日です。
「◆冒険の終わり―ーそれぞれの日常へ」
よろしくお願いします。
「今日も良かったな」「続きが気になるな」と思っていただけたら、
“♡” や “応援” でそっと教えてもらえると、とても嬉しいです。
良い夜を。
また次回お会いしましょう。
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