毒林檎に口づけを 〜白雪姫の悪役王妃と下僕猟師の話〜

胡蝶乃夢

文字の大きさ
2 / 9

二話.悪役王妃

しおりを挟む
 鬱蒼うっそうとした薄暗い森に面した北門をくぐると、暗がりからカラスが飛び立ち、足元をネズミが駆け抜け、姿の見えない獣の目が不気味に光った。
 広大な王城の端に位置するそこには、闇に覆われた禍々まがまがしい外観の離宮がそびえ立っている。
 日当たりが悪く、ひんやりと湿った空気がまとわりつく、いかにも悪役の根城といった雰囲気の場所だ。

 苔むした石階段を上っていき、王妃の待つ部屋の前に辿り着く。
 俺は深呼吸をし、邪悪な形相をしたガーゴイルのドアノッカーを叩き、重い扉を押し開ける。

「ただいま戻りました、王妃さま」

 仄暗ほのぐらい部屋に入ると、明かりの灯る窓辺に座り、王妃は分厚い魔法書を読んでいた。
 透き通るような雪花石膏せっかせっこうの肌、真っ直ぐに伸びた濡れ羽色の髪、燃えるように咲き誇る紅蓮華ぐれんげの瞳。
 それは、誰もが一目見て心を奪われる、目の覚めるような絶世の美貌だ。

 王妃は顔を上げて俺を見やり、流麗りゅうれいな所作で立ち上がって歩み寄ってくる。
 男のオメガである王妃は、俺よりも背が高く、一八五センチは超えているだろうか。
 引き締まった身体はスーパーモデル並みの体型で、一分の隙もない完璧な美しさなのだ。

 俺は目にするたび、そのりんとした高貴なたたずまいに見惚れ、ただただ見入ってしまう。
 王妃はそんなほうけている俺を見て、微かに妖艶な笑みを浮かべ、口を開く。

「戻ったか。それで、首尾しゅびの方は?」
「は、はい……これが証拠の品です」

 慌てて懐から小箱を取り出す。
 王妃の前で膝を突き、蓋を開けて中に収めた物を見せ、うやうやしく差し出した。

「獲物の心臓でございます。どうぞ、お納めください」
「ほお……」

 そこには、先ほど取ったばかりの新鮮な心臓が収められている。
 狩猟で獲った猪の心臓を抜き取り、白雪の心臓の代わりに用意したのだ。

 緊張で俺の心臓が早鐘を打つ中、王妃は小箱を受け取るとそれをじっと見つめた。

「よくやった。褒めてつかわす」
「……王妃さまのお役に立てて、これ以上の喜びはございません」

 王妃は満足そうに頷くと、奥にある壁掛けの鏡の前へと向かい、問いかける。

「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰だ?」

 すると、鏡の表面が水面の波紋のように波打ち、人影を映し出す。

『世界で一番美しいのは――紅蓮ぐれん王妃です』

 人影が鮮明になれば、王妃の姿が映し出され、魔法の鏡はそう答えたのだ。

「ふふふふふ……これで私の美しさを脅かすものは誰もいなくなった」

 王妃は嬉しそうに笑い、包みを取り出して俺に差し出す。

「それ、褒美だ。受け取るがよい」
「ありがとうございます」

 ジャラリと音を立てて両手で受け取った重い包みには、大量の金貨が詰まっていた。
 散財などしなければ、きっと一生悠々自適に暮らしていけるほどの大金だろう。
 だが、ここでシナリオ通りに退場するわけにはいかない。

「何かご用向きの際は、このハンターになんなりとお申しつけください。これからも、誠心誠意お仕えさせていただきます。王妃さまのためなら、なんでもいたします」

 何かきっかけはないかと精一杯に言い募る俺へ目を向け、王妃は頷いて見せた。

「ふむ、その心がけ実によい。重用してやるとしよう」
「ありがたき幸せでございます……」

 用が済んでもなかなか立ち去ろうとしない俺に、王妃はいぶかしげな視線を向ける。

「……どうした? 今日はもう下がってよいぞ」

 王妃が手に持ったままの小箱が気になり、俺は恐る恐る指差していてみた。

「あの、つかぬことをお伺いしますが、それをどうされるのでしょうか?」
「これをどうするのか聞きたいのか? ふふふ……それはな、オオカミに食わせてやるのさ」

 意味深な笑みを浮かべる王妃の表情を見ていると、背筋に冷たいものが走る。

「オ、オオカミに食わせるのですか?」

 王妃は笑みを深めていき、強張る俺に語って聞かせた。

「ああ、そうだ。美人食いオオカミの名に相応しい、極上のものを食わせてやろうと思ってな。私が直々に手料理を振る舞ってやるのさ」

 王妃の手に持つそれが本当に白雪の心臓だったならば、父親に我が子の肉を食わせるということになるのだ。
 あまりにもおぞましく悪辣あくらつな所業に恐れおののく。
 しかしながら、王妃の美しすぎる暗黒微笑あんこくびしょうに、俺の目は釘づけになってしまう。

「そ、そうでしたか……王妃さまの手料理ともなれば、さぞやお喜びになるでしょうね。は、ははは……」

 王妃が悪役らしすぎて本当に軌道きどう修正できるのかなと不安になりつつ、俺は内心で涙目になりながら、乾いた笑いをこぼした。

「ふふふ、そうだろうとも。他の誰かに目を向けることなど許さん……」

 たのしげに笑う王妃の細められた切れ長な目には、剣吞けんのんな光が灯っているような気がした。
 世界一の美貌の座を奪われることへの怒りなのか、国王が他の者に気を向けることへの嫉妬なのかはわからないが、とんでもなく怖い。
 さすが、悪役王妃と言うべきか……俺はこのお方を悪役にはしたくないのだけど……前途多難だ……。

 内心で俺が頭を抱えているのをよそに、王妃が得意げに言った。

「それに、私はこう見えて器用なのだ。魔法料理も錬金術も得意だからな」

 それから、王妃はふと思いついた様子で俺を見る。

「ああ、そうだ。狩猟の獲物を持ってくれば、すべて買い取ってやろう。料理の食材や錬金の材料にもなるからな」
「ご厚意、感謝いたします。ではまた、後日すぐにお伺いさせていただきます」

 なんとか約束を取りつけることに成功し、俺は頭を下げてその場を後にした。

 ◆

 ――翌朝、早朝から獲物を狩り、俺は早々に王妃の元を訪ねた。

「おはようございます、王妃さま。上等なキジが狩れましたので新鮮なうちにお持ちしました。どうぞ、お納めください」

 朝早くから大釜で作業していた様子の王妃は、快く対応してくれた。

「よく来たな、ハンター。ほう、これは上等なキジだ。美しい羽根は素材に、脂の乗った肉は料理に使えるな。褒美はこれでよいか?」
「はい! こんなにいただけるなんて、十分すぎるくらいです。ありがとうございます!!」

 予想以上の報酬に驚きつつ、深々と頭を下げてその場を辞した。

 ――昼時、再び獲物を狩ってきた俺は、離宮の扉を叩く。

「こんにちは、王妃さま。見事なシカが狩れましたのでお持ちしました。どうぞ、お納めください」

 午前に続いての来訪に、王妃は僅かに眉を上げ、微かに驚きの色を浮かべた。

「おや、また来たのか、ハンター。見事な角シカが三頭か。丁度、角素材が欲しかったのだ。褒美はこれでよいか?」
「はい! 王妃さまのお役に立てて光栄です。褒美の金まで弾んでいただいて、ありがとうございます!!」

 俺が満面の笑みでお礼を言うと、王妃は小さく頷いた。

 ――夕暮れ時、再び獲物を狩ってきた俺は、本日三度目の訪問をする。

「こんばんは、王妃さま。巨大なクマが狩れましたのでお持ちしました。どうぞ、お納めください」

 王妃の表情に明らかな困惑が浮かんだ。
 美しい眉が僅かに寄せられ、俺を見る目に疑問の色が宿る。

「日を置かずによく来るな、ハンター。約束通りすべて買い取りはするが、そんなに大量に持って来られても、消費も処理もしきれんぞ……それほど、急いで金が入用なのか?」
「あ……ええ、入用といえば入用なのですが……できるだけ早く目標金額を貯めたかったもので……忙しなくお呼び出ししてしまって申し訳ございません」

 王妃の動向が知りたかったのと、目的のために金が必要だったとはいえ、立て続けに獲物を持って来るのはさすがに迷惑だったかなと反省し、俺は肩を落とした。

 王妃は口元に手を当て、何か思案するような素振りを見せ、奥の部屋から大きな箱を持ってきて、俺に差し出す。

「まとまった金額を前払いしてやる。ほれ、受け取るがよい」

 大金貨の詰まった大きな箱を手渡され、俺は思ったのだ。
 王妃は誰に対しても冷酷で悪辣なわけではない。
 やはり、配下の者には優しいお方なのだと。
 嬉しくなって目元がじんわりと潤んでくる。

「ありがとうございます! このご恩は一生忘れません! 俺の生涯をかけて、王妃さまに恩返しさせていただきます!!」

 俺が大げさに感激する姿に、王妃はくすりと笑みをこぼす。

「うむ、私のために粉骨砕身して励むがよい」
「はい、もちろんでございます。では早速、用事のためにしばらく王都を離れますが、要件を済ませ次第、また狩猟の獲物をお持ちいたします」
「そうか、わかった……何かと騒がしいお前が来なくなると、ここもしばらく静かになるな……」

 王都から離れることを告げると、王妃の表情が僅かに沈んだ気がした。
 まるで、また静寂が訪れることを惜しむような……。
 王妃の姿が、俺の目には寂しげに映ったのだ。

「すぐに帰ってまいりますから! 早急かつ迅速じんそくに大至急、用事を済ませて戻ってまいりますから!!」

 前のめりになって強く訴えると、王妃は少し驚いた顔をし、次いで呆れたように笑ってぼやく。

「騒々しいやつだな……いいから、早く用事を済ませてこい」
「はい、行ってまいります!」

 力強く返事し、俺は急いで戻って来ようと決意したのだった。

 ◆

 通常なら一月以上は要する用事を、気合いと根性で早々に済ませ、結果的に十日余りで帰って来た。

「ただいま戻りました、王妃さま」
「戻ったか、ハンター――」

 背中と両脇に山盛りの荷物を抱えている俺の姿を見て、王妃が唖然とした顔をする。

「――それで、なんだその大荷物は?」
「王妃さまへのみつぎ物でございます。どうぞ、お納めください」

 俺はニコニコしながら荷物を広げて見せた。
 次々と取り出される品物の数々に、王妃の目が驚きに見開かれていく。

「……これ全部、私のために用意したのか?」
「はい。王妃さまの美貌を一層引き立てるため、各地から選りすぐりの美容品や宝飾品を掻き集めてきました」

 王妃は呆然とした表情で品々を眺め、やがて額に手を当てて呟いた。

「ハンター……お前は馬鹿なのか?」

 突然の言葉に俺はきょとんとしてしまう。

やぶから棒に何をおっしゃるんですか、王妃さま。知能は人並みだと思いますけど……お気に召さない品でもございましたか?」

 王妃は大きな溜息ためいきをつき、俺を見つめる目に困惑の色を浮かべる。

「はぁ……そうではない。急いで用立てた爵位を買えるほどの大金の使い道が、私への貢ぎ物というのは馬鹿げているだろう。それも、こんな貴重で高価な品ばかり……これでは、お前の取り分がまるでないではないか」

 王妃が心配してくれている様子に、俺は安心させようと思い、あっけらかんと笑って見せた。

「俺は森林を所有していますので、細々と生活する分には狩猟や野草でまかなえますから、大して金は必要ないんです。それに、王妃さまを彩り飾り立てること以上に価値ある金の使い道などございません」

 王妃は俺の言葉を聞くと、再び額に手を当てて首を振った。

「ハンター、お前……欲がないのを通り越して、よもや馬鹿だな……」
「王妃さまが一層美しく輝いてくださるなら、俺は馬鹿でもいいです」

 俺の屈託のない笑顔を見て、王妃は思うところがあるような複雑な表情を浮かべる。

「ふむ、お前はベータだろう。アルファでもないのに、随分と私の美貌に心酔しているようだが……ベータまでもとりこにして狂わせてしまうとは、やはり私の美しさは罪作りだな。ふふふふふ」
「はい、王妃さまは大変に罪作りな美しさでございます……」

 妖しげな王妃の微笑みに見惚れ、俺は頬を赤らめながら頷いた。
 王妃は非常に上機嫌になった様子で、俺の側まで歩み寄って来て囁く。

「ふふふ、実に気分がよい。その献身の褒美として、今回は特別に私に触れることを許してやろう。一か所だけ、好きな場所を選べ」

 予想外の言葉に、俺は目を丸くして固まる。

「!? ……お、俺のような者が王妃さまに触れてしまっても、よろしいのですか?」
「ああ、特別に許してやろう。お前はどこに触れたい?」

 妖艶な笑みを浮かべる王妃は、自らの身体に白い指先を滑らせながら、俺を誘惑するように囁く。

「よく目を奪われているこの紅い唇か? それとも平たい胸でも触ってみるか? 大胆に尻を撫でてみてもよいぞ?」

 王妃の婀娜あだっぽい仕草や声音に心臓が跳ね、俺は顔を真っ赤にして思わず生唾を呑み込んだ。

「ごくり……あ、あの、その白くて美しいお手に触れさせていただいても、よろしいでしょうか?」

 意を決してそう訊くと、王妃は拍子抜けしたような顔をし、次いでくすりと笑う。

「ふふ、つくづく欲のないやつだな。ほら、好きに触れるがよい」

 差し出された王妃の白い手を凝視し、俺は荷物から美容品を取り出す。

「ありがとうございます! では早速、用意した美容品でお手入れさせてください!!」
「うむ……ん? お手入れ?」

 今度は王妃が目を丸くした。
 俺は王妃の手を引いてイスに座らせ、テーブルに美容品の数々をズラリと並べ、意気揚々と美容施術を始める。

「まずは美容液でお肌を整え、保湿クリームを塗り込んで潤いを維持、血行促進のマッサージもしましょう。あ、ここのツボ肩こりに効くんですよ。最後の仕上げに、爪に今流行の爪紅つまべにを塗りましょう」

 ――俺は考えたのだ。
 世界一の美貌の座を白雪に奪われることで、王妃が悪役になってしまうのなら、王妃が世界一の美貌を維持し続ければ良いのだと。
 莫大な金が必要だったのも、国中から魅力を向上させるバフアイテムを掻き集めるためだった。

 本来なら、後々に白雪が入手する予定だった貴重な宝飾品・一点物の魅力アップアイテムも、俺がゲーム知識を駆使くしして先に入手してしまえば、王妃が世界一の美貌を維持することも可能になるはず!
 そう、俺は王妃を悪役にしないため、さらに美しく磨き上げることにしたのだ!!

「ハンター、この私がせっかく触れることを許しているのだぞ?」

 一心不乱に美容施術に集中していると、王妃は退屈そうにぼやき、俺にちょっかいをかけてくる。

「もう少し面白い反応をしたらどうだ……」

 王妃が長い脚を組み替え、足の指先で俺の脚をさすってくるものだから、俺は手元が狂いそうになって声を上げる。

悪戯おいたはお止めください! 爪紅がよじれてしまいます! お望みでしたら、足にもお手入れさせていただきますから!!」

 俺の言い草が気に入らなかったのか、王妃は目をすがめて胡乱うろんな視線を向けてくる。

「お前……この私にその反応というのはどうなのだ?」

 俺は顔を上げ、真摯な眼差しで王妃を見つめる。

「王妃さまだからこその大真面目な反応です」

 そう告げると、王妃はなんともいえない表情で嘆息たんそくする。

「ふぅ……まあ、よい。お前の手は暖かくて心地がよい。足にも頼むとしよう」
「はい、喜んでお手入れさせていただきます!」

 王妃から頼りにされることが嬉しくて、王妃をより美しくできることも楽しくて、俺は精一杯に磨き上げた。

「――ふう、完成です。我ながらいい仕事をしました」

 施術が終われば、丁寧に手入れした王妃の手足はさらに美しい輝きを放っていた。
 美容術を習得してきた甲斐があったと、渾身の出来栄えに自画自賛する。俺は大満足だ。

「ほう、これはなかなか美しいな」

 王妃も綺麗に仕上げられた指先を眺め、瞳を輝かせている。

「今の流行は淡い色なのですが、やはり王妃さまにはあでやかな色がお似合いです。真紅を選んで大正解でした」
「うむ、気に入ったぞ」
「お気に召していただけて何よりです」
「まったく、特別に私に触れることを褒美にしたはずなのに、これではまた褒美を増やさねばならないではないか」

 そう言いながら王妃は身体を寄せ、爪紅を塗った綺麗な指先で俺の顎をくすぐり、妖しげな視線で誘う。

「あ……あの、わざわざ色仕掛けのようなことをして篭絡ろうらくされなくても、俺は始めから王妃さまの味方です。王妃さまのためなら、なんでもしますから、お身体はもっと大事になさってください」

 擽る手を取って俺が身体を離すと、王妃は眉をひそめて俺を見つめた。

「む……金を渡しても貢ぎ物を買ってきそうだし、お前は一体何を望むのだ? なんだったら褒美になる?」
「王妃さまが美しく健やかであることが、俺にとって何よりの褒美になります」

 本心からそう告げれば、王妃は困り果てた顔をしてぼやく。

「まったく……何も欲さず、私の美貌が褒美になるなんて、お前は本当に変なやつだ」
「王妃さまが少しでも喜んでくださるなら、俺は変でもいいです」

 本当にそうなのだから仕方ないのだ。俺は開き直って笑って見せた。
 すると、王妃は魔法の鏡の前に立ち、いつものように問いかける。

「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰だ?」
『世界で一番美しいのは――紅蓮王妃です』

 当然、魔法の鏡には王妃の姿が映し出された。
 王妃は俺の方へと振り返り、自慢げに綺麗な指先で頬を撫で、胸を張って艶やかに笑って見せる。

「喜べ、ハンター。お前が丹念に手入れをし、一層輝く私は他の追随など許さない美しさだ。まぁ、当然のことではあるが。ふふふふふ」
「はい、王妃さまの美貌は何者にも勝る至高の美しさでございます」

 まさに輝かんばかりの美しさで、楽しげに笑う王妃の姿が嬉しくて、俺は胸がいっぱいになる思いで見惚れていたのだった。

 ◆
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!

水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。 それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。 家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。 そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。 ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。 誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。 「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。 これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞に応募しましたので、見て頂けると嬉しいです! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

悪役未満な俺の執事は完全無欠な冷徹龍神騎士団長

赤飯茸
BL
人間の少年は生まれ変わり、独りぼっちの地獄の中で包み込んでくれたのは美しい騎士団長だった。 乙女ゲームの世界に転生して、人気攻略キャラクターの騎士団長はプライベートでは少年の執事をしている。 冷徹キャラは愛しい主人の前では人生を捧げて尽くして守り抜く。 それが、あの日の約束。 キスで目覚めて、執事の報酬はご主人様自身。 ゲームで知っていた彼はゲームで知らない一面ばかりを見せる。 時々情緒不安定になり、重めの愛が溢れた変態で、最強龍神騎士様と人間少年の溺愛執着寵愛物語。 執事で騎士団長の龍神王×孤独な人間転生者

処理中です...