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本編
22.王国最高峰の最高傑作
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一方、国王誕生祭の会場へと場面を戻す。
国王の凛とした美声に、来賓者達はうっとりと耳を傾け聴き入っていた。
「今年もこうして諸君等と一堂に会す事ができ、つつがなくこの日を迎えられた事を余は何よりも幸福に思う」
国王は王国中から集まった貴族や要人達へと労いの言葉をかけ、口上を述べる。
「諸君らの献身によってこの王国は支えられている。その功績に深く感謝の意を表する。また、余はこの王国に益々の繁栄と国民への祝福が齎される事を心より願っている」
国王が口上の締めに盃を掲げれば、来賓者達は一斉に声を上げて乾杯をする。
「アイス・ランド王国に栄光を!」
「「「アイス・ランド王国に栄光を!」」」
国王の所作に促され来賓者達が着席すると、司会係が注目を集めるようにと声を張った。
「皆様方、ご注目下さいませ」
会場の中央部へとスポットライトが当たり、司会係の姿が照らし出される。
「国王陛下より、今年も振舞われますは、王国の最高峰とされる菓子職人達が、丹念に丹念に丹精を込めて作り上げた最高傑作にございます」
司会係は丁寧ではあるが、大げさな身振り手振りで、それが如何に物凄い事なのかを懇々と語って聞かせる。
「各地より四季折々の最高品質の素材だけをこの日の為だけに取り寄せ、貴重な魔法でもって最高の状態に保存しておりました。そんな大変に貴重な品々を惜しげもなくふんだんに使った、贅を尽した至高の一級品。今日この日で無ければお目にかかる事も叶いませぬ、特別な国王誕生祭のバースデー・アイス・ケーキにございます」
今年も、用意されていた国王誕生祭のバースデー・アイス・ケーキが来賓者達へと振る舞われるようだ。
「まずは、その緻密に計算し尽くされた王宮菓子職人達の技を、光り輝かんばかりの造形美を、どうぞご堪能下さいませ」
毎年の事ながら、色々と趣向を変えて楽しませてくれる、国王誕生祭のバースデー・アイス・ケーキに来賓者達は胸を弾ませる。
司会係が指し示す場所には、いくつもの色取り取りのスポットライトが当たり、そこに輝く高く聳えるクリスタルのような氷像が出現する。
氷像に雷のような閃光が落ちたかと思えば、閃光は七色の花火になり氷像の周りを煌めき華やぎを添える。
花火はもくもくと七色の濃い霧に姿を変えて、高く聳える氷像を渦巻きながら覆い隠していく。
これでもかと目を引く派手な魔法の演出が繰り広げられ、それに合わせた臨場感のあるオーケストラの演奏が更に場を盛り上げていく。
「ご覧下さい! これがこの王国最高峰とされる菓子職人達による最高傑作!!」
司会係が力強く手を掲げ氷像の頂を指し示す。
来賓者達が目を向けると、氷像を覆っていた七色の濃い霧が散っていき、待ちに待った待望のバースデー・アイス・ケーキがその姿を露にする――
「これぞ、国王誕生祭のバースデー・アイス・ケー…………キ?」
――筈だが、本来そこに聳え立っているであろう場所に、想定していた姿形は無かった。
「「「???」」」
司会係は不思議そうに首を傾げ、来賓者達は茫然と見つめる。
高く聳える氷像があった場所から、視線を下げていき皿の上に目を向ける。
皿の上に掛かっていた霧が散れば、丸々としたシルエットが浮かび上がった。
「……げぷっ……」
そこにあったのは、皿の上で腹を丸々とさせて転がり、ゲップをする第一王子の姿だった。
国王の凛とした美声に、来賓者達はうっとりと耳を傾け聴き入っていた。
「今年もこうして諸君等と一堂に会す事ができ、つつがなくこの日を迎えられた事を余は何よりも幸福に思う」
国王は王国中から集まった貴族や要人達へと労いの言葉をかけ、口上を述べる。
「諸君らの献身によってこの王国は支えられている。その功績に深く感謝の意を表する。また、余はこの王国に益々の繁栄と国民への祝福が齎される事を心より願っている」
国王が口上の締めに盃を掲げれば、来賓者達は一斉に声を上げて乾杯をする。
「アイス・ランド王国に栄光を!」
「「「アイス・ランド王国に栄光を!」」」
国王の所作に促され来賓者達が着席すると、司会係が注目を集めるようにと声を張った。
「皆様方、ご注目下さいませ」
会場の中央部へとスポットライトが当たり、司会係の姿が照らし出される。
「国王陛下より、今年も振舞われますは、王国の最高峰とされる菓子職人達が、丹念に丹念に丹精を込めて作り上げた最高傑作にございます」
司会係は丁寧ではあるが、大げさな身振り手振りで、それが如何に物凄い事なのかを懇々と語って聞かせる。
「各地より四季折々の最高品質の素材だけをこの日の為だけに取り寄せ、貴重な魔法でもって最高の状態に保存しておりました。そんな大変に貴重な品々を惜しげもなくふんだんに使った、贅を尽した至高の一級品。今日この日で無ければお目にかかる事も叶いませぬ、特別な国王誕生祭のバースデー・アイス・ケーキにございます」
今年も、用意されていた国王誕生祭のバースデー・アイス・ケーキが来賓者達へと振る舞われるようだ。
「まずは、その緻密に計算し尽くされた王宮菓子職人達の技を、光り輝かんばかりの造形美を、どうぞご堪能下さいませ」
毎年の事ながら、色々と趣向を変えて楽しませてくれる、国王誕生祭のバースデー・アイス・ケーキに来賓者達は胸を弾ませる。
司会係が指し示す場所には、いくつもの色取り取りのスポットライトが当たり、そこに輝く高く聳えるクリスタルのような氷像が出現する。
氷像に雷のような閃光が落ちたかと思えば、閃光は七色の花火になり氷像の周りを煌めき華やぎを添える。
花火はもくもくと七色の濃い霧に姿を変えて、高く聳える氷像を渦巻きながら覆い隠していく。
これでもかと目を引く派手な魔法の演出が繰り広げられ、それに合わせた臨場感のあるオーケストラの演奏が更に場を盛り上げていく。
「ご覧下さい! これがこの王国最高峰とされる菓子職人達による最高傑作!!」
司会係が力強く手を掲げ氷像の頂を指し示す。
来賓者達が目を向けると、氷像を覆っていた七色の濃い霧が散っていき、待ちに待った待望のバースデー・アイス・ケーキがその姿を露にする――
「これぞ、国王誕生祭のバースデー・アイス・ケー…………キ?」
――筈だが、本来そこに聳え立っているであろう場所に、想定していた姿形は無かった。
「「「???」」」
司会係は不思議そうに首を傾げ、来賓者達は茫然と見つめる。
高く聳える氷像があった場所から、視線を下げていき皿の上に目を向ける。
皿の上に掛かっていた霧が散れば、丸々としたシルエットが浮かび上がった。
「……げぷっ……」
そこにあったのは、皿の上で腹を丸々とさせて転がり、ゲップをする第一王子の姿だった。
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