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本編
34.ぷにぷに・もちもち・マシュマロ
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僕は誕生祭の帰りに倒れていた所を、隣国の王子に助けられたのだと、従者達から伝えられた。
意識が無くなる直前、誰かが僕に声をかけてくれた事を、薄っすらとではあるが覚えている。
僕を心配してくれる人がいるのだと、それがすごく嬉しくて、救われた気持ちになれたのだ。
助けてもらえた事に感激して、僕はお礼をしたかったのだけど、隣国の王子はもう帰国してしまった後だった。
王族側からは既に謝礼をしているという事で、僕ができる事は特に無くて、少し残念に思った。
相手は友好国の王子だったので、僕はまたいずれ会う機会もあるだろうと、前向きに考える事にした。
次また会えたら、今度こそはちゃんとお礼を言って、それから、できたら友達になれたら良いなって、その頃の僕は考えていたのだ。
まさか、あんな事になるなんて思いもせずに――――……
◆
誕生祭の日に倒れて、その後、僕は一週間ほど寝込んでいたらしい。
意識が戻ってから体力が回復するまでにも、少し時間がかかってしまった。
その間、従者達からは今までと変わらず割と放置されていた訳だけど。
まぁ、そのおかげで前世の記憶やゲーム知識を整理できたので、良かったんだけどね。
僕は鏡の前に立って、日課になっているフェイスマッサージをしながら思考を巡らせる。
ムニムニムニムニ、モニモニモニモニ、ムニリムニリ、モニョモニョムニョーン
(要は悪役にならなければ良い訳だから、ゲームで白豚王子が行った悪事は一切しなければ良い! 悪事イベントには一切関わらなければ良いのだ! 主要キャラにも干渉しないようにすれば良いだけ! ……あれ? ……なんだ、考えてみたらこんなに簡単な事だったのか……全然、楽勝じゃんか!?)
あんなに思い悩んでいたのがバカバカしくなるくらい、簡単な事に思えてきて、僕は笑いが込み上げてくる。
「……ふっふっふっふっ……くっぷっぷっぷっぷっ……ぶっふっふっふっふ……」
声を抑えるのも忘れて、僕は不敵な笑い声を部屋に響かせていた。
部屋の前を通りかかった従者が、その声に気付いて訝しげな顔をする。
また、白豚王子が癇癪でも起こして暴れているのかと、部屋を覗き込んだ従者は戦慄する。
そこには、極めて凶悪で醜悪な暗黒微笑を浮かべて、何か良からぬ事を企てているように、不気味な笑い声を上げている白豚王子の姿があったのだ。
戦々恐々として、従者は思わず悲鳴を上げそうになるのを堪えて、逃げるようにしてその場を立ち去って行った。
従者は、どうか何事もありませんように、自分には火の粉が降りかかりませんように、トラウマになった黒狼王子とか出てきませんようにと、祈っていたのだった。
そんな事も露知らず、僕はご機嫌に妄想を膨らませていた。
「ふふふふふ、前世の記憶とゲームの知識を持つ僕には、破滅を回避する事など造作もない、容易い事なのだ! 大好きなゲームをやり込んで、何十何百も周回した僕は伊達ではないのだ!!」
(はっ! これが世に言うチートと言うやつでは!? チートな僕なんて無敵じゃないか? まさか、これから僕の時代到来しちゃう? 僕の無双ターンが始まっちゃう!? ……のは、なんかちょっと違うかな?)
僕はちょっと脱線したかなと思い、ほっぺたマッサージに集中して、ちょっと気持ちを落ち着かせる。
ムーニムーニ、モニョーンモニョーン、プニプニプニプニ、プニーンプニーン
(それにしても、むっちりもちもち肌が気持ち良くて、ずっと触っていられる)
モニュモニュ、ムニョンムニョン、プニンプニン、プルンプルン、プリーン
(うーん、この類稀な弾力、キメ細かい真っ白な表皮、極上の触り心地のマシュマロタッチ、魅惑のモチモチおモチ肌。感触だけなら随一! このお肌で天下も取れるのではなかろうか!? これがお肌界の金字塔なのでは!!?)
などとまた脱線しながら、アホな事を考えているのが僕の常である。
フェイスマッサージをしながら、僕はふと鏡に映る自分の姿をまじまじと見つめる。
寝込んでいても相変わらず、丸々と肥え太ったままの自分の体型が気になった。
(悪役の白豚王子を脱却するには、白豚と称されるこの丸々と太り過ぎな体型も、どうにかしないといけないよね……)
前世では大の甘党でスイーツ大好きではあったけれど、身体を動かす事も好きだったのでダンスなども趣味にしていて、割と細身でスタイルは良い方だった。
僕は自分の丸々とした体型をじいっと見つめ、ダイエットしようと思い立った。
意識が無くなる直前、誰かが僕に声をかけてくれた事を、薄っすらとではあるが覚えている。
僕を心配してくれる人がいるのだと、それがすごく嬉しくて、救われた気持ちになれたのだ。
助けてもらえた事に感激して、僕はお礼をしたかったのだけど、隣国の王子はもう帰国してしまった後だった。
王族側からは既に謝礼をしているという事で、僕ができる事は特に無くて、少し残念に思った。
相手は友好国の王子だったので、僕はまたいずれ会う機会もあるだろうと、前向きに考える事にした。
次また会えたら、今度こそはちゃんとお礼を言って、それから、できたら友達になれたら良いなって、その頃の僕は考えていたのだ。
まさか、あんな事になるなんて思いもせずに――――……
◆
誕生祭の日に倒れて、その後、僕は一週間ほど寝込んでいたらしい。
意識が戻ってから体力が回復するまでにも、少し時間がかかってしまった。
その間、従者達からは今までと変わらず割と放置されていた訳だけど。
まぁ、そのおかげで前世の記憶やゲーム知識を整理できたので、良かったんだけどね。
僕は鏡の前に立って、日課になっているフェイスマッサージをしながら思考を巡らせる。
ムニムニムニムニ、モニモニモニモニ、ムニリムニリ、モニョモニョムニョーン
(要は悪役にならなければ良い訳だから、ゲームで白豚王子が行った悪事は一切しなければ良い! 悪事イベントには一切関わらなければ良いのだ! 主要キャラにも干渉しないようにすれば良いだけ! ……あれ? ……なんだ、考えてみたらこんなに簡単な事だったのか……全然、楽勝じゃんか!?)
あんなに思い悩んでいたのがバカバカしくなるくらい、簡単な事に思えてきて、僕は笑いが込み上げてくる。
「……ふっふっふっふっ……くっぷっぷっぷっぷっ……ぶっふっふっふっふ……」
声を抑えるのも忘れて、僕は不敵な笑い声を部屋に響かせていた。
部屋の前を通りかかった従者が、その声に気付いて訝しげな顔をする。
また、白豚王子が癇癪でも起こして暴れているのかと、部屋を覗き込んだ従者は戦慄する。
そこには、極めて凶悪で醜悪な暗黒微笑を浮かべて、何か良からぬ事を企てているように、不気味な笑い声を上げている白豚王子の姿があったのだ。
戦々恐々として、従者は思わず悲鳴を上げそうになるのを堪えて、逃げるようにしてその場を立ち去って行った。
従者は、どうか何事もありませんように、自分には火の粉が降りかかりませんように、トラウマになった黒狼王子とか出てきませんようにと、祈っていたのだった。
そんな事も露知らず、僕はご機嫌に妄想を膨らませていた。
「ふふふふふ、前世の記憶とゲームの知識を持つ僕には、破滅を回避する事など造作もない、容易い事なのだ! 大好きなゲームをやり込んで、何十何百も周回した僕は伊達ではないのだ!!」
(はっ! これが世に言うチートと言うやつでは!? チートな僕なんて無敵じゃないか? まさか、これから僕の時代到来しちゃう? 僕の無双ターンが始まっちゃう!? ……のは、なんかちょっと違うかな?)
僕はちょっと脱線したかなと思い、ほっぺたマッサージに集中して、ちょっと気持ちを落ち着かせる。
ムーニムーニ、モニョーンモニョーン、プニプニプニプニ、プニーンプニーン
(それにしても、むっちりもちもち肌が気持ち良くて、ずっと触っていられる)
モニュモニュ、ムニョンムニョン、プニンプニン、プルンプルン、プリーン
(うーん、この類稀な弾力、キメ細かい真っ白な表皮、極上の触り心地のマシュマロタッチ、魅惑のモチモチおモチ肌。感触だけなら随一! このお肌で天下も取れるのではなかろうか!? これがお肌界の金字塔なのでは!!?)
などとまた脱線しながら、アホな事を考えているのが僕の常である。
フェイスマッサージをしながら、僕はふと鏡に映る自分の姿をまじまじと見つめる。
寝込んでいても相変わらず、丸々と肥え太ったままの自分の体型が気になった。
(悪役の白豚王子を脱却するには、白豚と称されるこの丸々と太り過ぎな体型も、どうにかしないといけないよね……)
前世では大の甘党でスイーツ大好きではあったけれど、身体を動かす事も好きだったのでダンスなども趣味にしていて、割と細身でスタイルは良い方だった。
僕は自分の丸々とした体型をじいっと見つめ、ダイエットしようと思い立った。
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