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本編
36.甘い誘惑・美味しい罠・謎の強制力
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シャン、シャン、とスポットライトの光を浴び僕は登場する。
そして、僕の身体は躍動する。
軽快なステップ、華麗なターン&ジャンプ、そしてバックステップからの豪快なバク転宙返り。
ジャジャン、と僕は決めポーズまでとっちゃうよ。
「ふふ、決まった…………」
僕は見事に大技を成功させた。
だが、辺りはシーンと静まり返っている。
それもその筈だ――誰もいないのだから。
「……まぁ、見てる人いないんだけどね。スポットライトと効果音も僕の脳内演出だし……」
例の暴走肉弾の一件から、従者達は僕を更に嫌厭して距離を置き、離宮にも極力近寄らなくなってしまった。
「……ちょっと寂しいけど、そのおかげで周囲を気にせず動き回れるから、いいんだ、気にしないんだ……」
それはさておき、日頃の涙ぐましい努力の甲斐あって、僕は飛躍的に進化を遂げていた。
「もう、あの思うように動けなかった身体はどこにも無い! あの頃の僕とは違う!! ……そう、僕は踊れる白豚王子に進化したのだ! 動けるデブってやつだ!! そして、僕の体型は何も変わっていないんだけどね!!!」
ドーンという効果音を背負って、僕は劇画タッチで決め顔をする。
「――って、いやいやいや、違うだろう! そうじゃない!! 白豚変わってないじゃん! 動けるようになった白豚じゃん!! 白豚脱却はどうした!?」
ピシッと空中を叩いて、僕は思わず自分でノリツッコミしちゃったよ。
運動だけではなく食事にも気を配っているのに、何故か僕はスイーツだけは我慢する事ができないのだ。
いつも、美味しそうなスイーツを目にすると手が勝手に伸びて、無意識に食べてしまっている。
お茶の時間に茶菓子を持って来た給仕係が僕に声をかける。
「第一王子、お茶のお時間です」
「……あ、ありがとう……えっと、その……す、すまないのだけど、ダイエット中だから、こ、紅茶だけで――」
ダイエットするから今後は茶菓子は要らないと言おうとして給仕係の方を向き、僕はチラッと用意された大量のスイーツを見た。
甘くて美味しそうなスイーツが、僕の目にはキラキラと光り輝いているように見える。
そして、次の瞬間、ハッと我に返った僕は驚きに素っ頓狂な声を上げてしまう。
「――ぶひっ!?」
僕が断ろうとしていた大量のスイーツが、きれいさっぱり皿の上から無くなっていたのだ。
(……なぁーぜぇー? どゆことー?? ホワァーイ???)
口の端に付いていたスイーツの欠片を、僕はペロリと舐める。
そう、僕は気が付くと大量のスイーツを全て平らげてしまった後だったのだ。
ある時は、フルーツサンドやパンケーキ等の甘い昼食を持って来た給仕係が僕に声をかける。
「第一王子、ご昼食をお持ちしました」
「……あの、ありがとう……す、すまないのだけど、や、野菜サンドとか軽めの――」
今度こそダイエットする為にスイーツを断るのだと意気込み、僕はチラッと美味しそうなスイーツを見てしまった。
甘くて美味しそうなスイーツが、僕の目にはやっぱりキラキラと光り輝いているように見える。
そして、また次の瞬間、我に返った僕は慄いて素っ頓狂な声を上げてしまう。
「――ぶひぃっ!?」
僕が変更して欲しいとお願いするつもりだったスイーツが、やっぱりきれいさっぱり皿の上から無くなっている。
(ウオォォォォ!? ノオォォォォォォォォォォ!!?)
思い返すと僕には食べてしまった感覚があり、とても美味しかった覚えがある。
そう、またしても僕は気が付くと大量のスイーツを全て平らげてしまった後だったのだ。
またある時は、寝る前に食べる習慣のあった夜食を持って来た給仕係が僕に声をかける。
「第一王子、お夜食をお持ちしました」
「……あう、ありがとう……すまないのだけど、夜食はもう食べないから、要らな――」
今度こそはダイエットの為に断固として断るのだと意気込み、僕はスイーツを見ないようにした。
甘くて美味しそうなスイーツの香りが漂ってきて、僕はうっとりとしてくんくんと鼻を鳴らしてしまう。
そして、まさかの次の瞬間、我に返った僕は戦慄して素っ頓狂な声を上げる。
「――ぶっひぃっ!?」
見てしまうのがいけないのかと思い、見ないようにしていたにも関わらず、僕は大量のスイーツを平らげてしまい、皿の上からはきれいさっぱりスイーツが無くなった後だったのだ。
(……いや、もうこれ、ホラーじゃん……恐ろしい、なんて恐ろしいんだ、恐ろしすぎる……)
ぷるぷるぷるぷる、と僕は涙目で震えてしまう。
(……ああ、だけど甘いスイーツはやっぱり美味しい。めちゃくちゃ美味しい。行儀悪いけど指先に付いたキラキラをぺろぺろしちゃう……)
キラキラとした美味しそうなスイーツを目にするやいなや、僕は無意識の内に食べてしまい、我に返れば食べ尽くしてしまった後なのだ。
意図せずに、僕はこんな食生活が日々、繰り返されている。
これはもう、『謎の強制力』が発動しているとしか思えない。
(……ぐぬぬぬぬぬ、憎き謎の強制力め! 僕は絶対に負けないからなぁ!!)
フォークとナイフを握りしめ、完食し終えたスイーツの皿を睨み付け、僕は心の中でそう叫んだ。
給仕係は慣れた手付きで食べ終えた食器を速やかに片付け、そそくさと退室して行く。
話しかけようと思っても、まるで隙が無い。
(……僕、何もしないよ? ねぇ? ……)
ポツンと一人取り残されると、離宮は本当に閑散としていて物悲しい雰囲気になってしまう。
僕は気持ちを切り替えて、食べた分は消費してしまえば良いのだと思い、運動する為に離宮の外へと出かけて行く。
◆
一方、城務めをしている騎士達からは白豚王子への態度が少しずつ軟化している傾向にあった。
日々、ランニングしたり筋トレしたりと、身体を動かしダイエットに励む白豚王子の姿が離宮周辺で頻繁に見られるようになっていたからだ。
そして、僕の身体は躍動する。
軽快なステップ、華麗なターン&ジャンプ、そしてバックステップからの豪快なバク転宙返り。
ジャジャン、と僕は決めポーズまでとっちゃうよ。
「ふふ、決まった…………」
僕は見事に大技を成功させた。
だが、辺りはシーンと静まり返っている。
それもその筈だ――誰もいないのだから。
「……まぁ、見てる人いないんだけどね。スポットライトと効果音も僕の脳内演出だし……」
例の暴走肉弾の一件から、従者達は僕を更に嫌厭して距離を置き、離宮にも極力近寄らなくなってしまった。
「……ちょっと寂しいけど、そのおかげで周囲を気にせず動き回れるから、いいんだ、気にしないんだ……」
それはさておき、日頃の涙ぐましい努力の甲斐あって、僕は飛躍的に進化を遂げていた。
「もう、あの思うように動けなかった身体はどこにも無い! あの頃の僕とは違う!! ……そう、僕は踊れる白豚王子に進化したのだ! 動けるデブってやつだ!! そして、僕の体型は何も変わっていないんだけどね!!!」
ドーンという効果音を背負って、僕は劇画タッチで決め顔をする。
「――って、いやいやいや、違うだろう! そうじゃない!! 白豚変わってないじゃん! 動けるようになった白豚じゃん!! 白豚脱却はどうした!?」
ピシッと空中を叩いて、僕は思わず自分でノリツッコミしちゃったよ。
運動だけではなく食事にも気を配っているのに、何故か僕はスイーツだけは我慢する事ができないのだ。
いつも、美味しそうなスイーツを目にすると手が勝手に伸びて、無意識に食べてしまっている。
お茶の時間に茶菓子を持って来た給仕係が僕に声をかける。
「第一王子、お茶のお時間です」
「……あ、ありがとう……えっと、その……す、すまないのだけど、ダイエット中だから、こ、紅茶だけで――」
ダイエットするから今後は茶菓子は要らないと言おうとして給仕係の方を向き、僕はチラッと用意された大量のスイーツを見た。
甘くて美味しそうなスイーツが、僕の目にはキラキラと光り輝いているように見える。
そして、次の瞬間、ハッと我に返った僕は驚きに素っ頓狂な声を上げてしまう。
「――ぶひっ!?」
僕が断ろうとしていた大量のスイーツが、きれいさっぱり皿の上から無くなっていたのだ。
(……なぁーぜぇー? どゆことー?? ホワァーイ???)
口の端に付いていたスイーツの欠片を、僕はペロリと舐める。
そう、僕は気が付くと大量のスイーツを全て平らげてしまった後だったのだ。
ある時は、フルーツサンドやパンケーキ等の甘い昼食を持って来た給仕係が僕に声をかける。
「第一王子、ご昼食をお持ちしました」
「……あの、ありがとう……す、すまないのだけど、や、野菜サンドとか軽めの――」
今度こそダイエットする為にスイーツを断るのだと意気込み、僕はチラッと美味しそうなスイーツを見てしまった。
甘くて美味しそうなスイーツが、僕の目にはやっぱりキラキラと光り輝いているように見える。
そして、また次の瞬間、我に返った僕は慄いて素っ頓狂な声を上げてしまう。
「――ぶひぃっ!?」
僕が変更して欲しいとお願いするつもりだったスイーツが、やっぱりきれいさっぱり皿の上から無くなっている。
(ウオォォォォ!? ノオォォォォォォォォォォ!!?)
思い返すと僕には食べてしまった感覚があり、とても美味しかった覚えがある。
そう、またしても僕は気が付くと大量のスイーツを全て平らげてしまった後だったのだ。
またある時は、寝る前に食べる習慣のあった夜食を持って来た給仕係が僕に声をかける。
「第一王子、お夜食をお持ちしました」
「……あう、ありがとう……すまないのだけど、夜食はもう食べないから、要らな――」
今度こそはダイエットの為に断固として断るのだと意気込み、僕はスイーツを見ないようにした。
甘くて美味しそうなスイーツの香りが漂ってきて、僕はうっとりとしてくんくんと鼻を鳴らしてしまう。
そして、まさかの次の瞬間、我に返った僕は戦慄して素っ頓狂な声を上げる。
「――ぶっひぃっ!?」
見てしまうのがいけないのかと思い、見ないようにしていたにも関わらず、僕は大量のスイーツを平らげてしまい、皿の上からはきれいさっぱりスイーツが無くなった後だったのだ。
(……いや、もうこれ、ホラーじゃん……恐ろしい、なんて恐ろしいんだ、恐ろしすぎる……)
ぷるぷるぷるぷる、と僕は涙目で震えてしまう。
(……ああ、だけど甘いスイーツはやっぱり美味しい。めちゃくちゃ美味しい。行儀悪いけど指先に付いたキラキラをぺろぺろしちゃう……)
キラキラとした美味しそうなスイーツを目にするやいなや、僕は無意識の内に食べてしまい、我に返れば食べ尽くしてしまった後なのだ。
意図せずに、僕はこんな食生活が日々、繰り返されている。
これはもう、『謎の強制力』が発動しているとしか思えない。
(……ぐぬぬぬぬぬ、憎き謎の強制力め! 僕は絶対に負けないからなぁ!!)
フォークとナイフを握りしめ、完食し終えたスイーツの皿を睨み付け、僕は心の中でそう叫んだ。
給仕係は慣れた手付きで食べ終えた食器を速やかに片付け、そそくさと退室して行く。
話しかけようと思っても、まるで隙が無い。
(……僕、何もしないよ? ねぇ? ……)
ポツンと一人取り残されると、離宮は本当に閑散としていて物悲しい雰囲気になってしまう。
僕は気持ちを切り替えて、食べた分は消費してしまえば良いのだと思い、運動する為に離宮の外へと出かけて行く。
◆
一方、城務めをしている騎士達からは白豚王子への態度が少しずつ軟化している傾向にあった。
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