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本編
58.ハバネロ・ペッパー&ハラペーニョ・ペッパー ※R15グロ
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※このページは、流血、人食、人死の表現が有ります。
苦手な方はご注意下さい。
◆◆◆
じりじりと間合いを詰める男から漂う黒い瘴気が、僕の構える棒の先を撫でる。
すると、瘴気の触れた先が腐敗劣化したようにボロボロと零れ落ちた。
「うわぁ! 錆び落ちたぁ!?」
「ふくくくく」
僕は慌てて後退して間合いを取る。
ゲームでいう所の、ロングソードくらいの長さがあった鉄の棒が、ショートソードくらいの短さになってしまった。
「ぐぬぬぬ……不用意に近づけない……これでは攻撃ができない……」
「さー、近付くとどんどん棒切れが短くなっていくぞー? どうするー?」
男がニヤニヤしながら近付いて来る。
「……それなら!」
僕は作戦を変更する――そして、逃げる。
「なんだ、もうお終いかー? 今度は鬼ごっこにするのかー? まあ、いいか」
逃げる僕を男が直ぐに追いかけて来る。
僕はリアル鬼ごっこをする羽目になってしまった。
僕と男は森の中を木々を掻い潜りながら駆け走る。
「うわー! もう追いつかれた!!」
「おーおー、子豚ちゃん見た目に似合わず足はえーなー、でも追いつい――」
男が僕に追いつき瘴気を纏おうとした瞬間、僕は正面にあった木の幹を蹴り身体を翻して男に突進――その腹に重い一撃を食らわせる。
ゴキンッ
「――ぐっ、くはぁっ!!?」
やはり、鬼人族が力を使うには瘴気を纏わせるか直接触れる必要があるようだ。
早い速度での移動中では瘴気を纏うまでには僅かに時間差が有る。
そして、その時間差よりも僕の動きの方が早い。
(これならいける! 毎日欠かさずに続けていた、騎士団長に教わった剣術と鍛錬の成果だ!! 僕は自分の信念を信じる。『必ずみんなを助ける』揺るがない信念こそが、何にも勝る力だって教わったから!!!)
「ぐほ、げほ……おー、いってぇーなー、あー、口ん中切ったわー、くっそ…………ぺっ」
僕の重い一撃を受けても男は少しよろけて痛みに呻いただけで、着衣の下に防具を着けていた為、動けなくなる程の深手を負わせられてはいなかった。
男は着衣を捲りベコリと凹んだ防具を見て苛立った様子で血の混ざる唾を吐き捨てると、僕を鋭い目で睨みつける。
「……よくもやりやがったなー、この豚野郎ー……」
「ぶひっ!」
鬼人族に射竦められると僕はまた恐怖心で竦んで動けなくなりそうなので、そうなる前に逃げる。
逃げる僕をまた男が追いかけて来て、僕はカウンター攻撃を仕掛けるのだが、狙いがバレている状態では攻撃が当たらず躱されてしまう。
徐々に攻撃を打ち込んだ時に纏わりつく黒い瘴気に鉄の棒が腐食されていき、どんどんと短くなっていく。
やがて、鉄の棒が短くなりすぎて僕の手から零れ落ちる。
「ははっ そう何度も同じ手は通じねーよなー? これでお終いだ!」
もう僕は打撃を打ち込めないと思った男は黒い瘴気を辺りに放ち僕に迫ってくる。
油断した男に向かって、僕はローブで全身を覆い隠して黒い瘴気の中へと突進する。
「は? なんで――」
僕は瘴気の纏わりつくローブを回転しながら払い、勢い付いたまま隠し持っていた木剣を男の足に突き刺した。
ザシュッ
「――ぎゃああああああああああ!!?」
僕は普段から肌身離さず大事に持っていた騎士団長から手渡された木剣を、鬼人族との戦闘に備えて刃を鋭く変えて隠し持っていたのだ。
鬼人族の男の右足はぐしゃりと曲がり、切り裂かれて骨や肉が露になり大量の血が溢れ出している。
男は大声で叫び、右足を抱えて激痛にのたうち回る。
「……ぅ……うぅ……」
いくら命を脅かす敵とは言え、人を傷付けてしまった感触とその血濡れた光景に罪悪感と恐怖感が込み上げてきて、僕は手足が、身体がぷるぷると震えてしまう。
手にしていた木剣に伝う血が目に映り、僕は不意に木剣から手を放して落としてしまった。
そうしていると、今度は森の中からガサガサと草が擦れる音がして誰かが近付いて来る。
「あーら、随分と賑やかだと思って来て見れば、子豚ちゃんじゃない、見ーつけたー♡ うふふふふ」
そこに、現れたのは鬼人族の女だった。
「あ、兄貴! 助けてくれ!!」
「あ゛ぁ?」
「頼むよー、助けてくれよー!」
女は僕の姿を見てニコニコと不気味に笑っていたが、男の呼ぶ声にドスの利いた低い声で返して、苛立たしげに男の方に視線を向ける。
僕は二人のやり取りを見聞きして頭が混乱する。
(え? あにき? アニキって兄貴って事だよね? ……声凄い低かったし、男の人だったの!?)
「あらあら、どうしたのその足? まさか、こんなしょっぼい出来損ないにやられたなんて言わないわよね?」
「違っ……その豚野郎、毒がまったく効かないんだ! 普通なら薄い毒吸っただけでも直ぐにぶっ倒れる筈なのに……それに、異様に素早くて剣術まで使う! 見た目に騙されたんだよ!!」
「えー、そうなの? それじゃ、毒じゃなくて火で丸焼きにしちゃえばいいわね」
女改め兄が僕の方へと向き直り、辺りに禍々しい黒い瘴気を発する。
僕は落とした木剣を慌てて拾い上げて構える。
瘴気に触れれば兄の力で発火するのだろうと、間合いを取っていたが兄は僕ではなく辺りの木に触れ火を放った。
「え!? ……」
「周りからじっくり焼いて、美味しい焼き豚ちゃんにしてあげるわ」
慌てて僕は水魔法の呪文詠唱をして燃え上がる火を打ち消す。
『水の精霊よ、我が魔力を以てこの火を打ち消せ。【水球発射】』
「うふふふふ、なけなしの魔力いつまで持つかしらね? ほらほら、早くしないと火に囲まれちゃうわよ?」
僕は片っ端から水系の魔法呪文を唱えて火を必死に消していく。
『水の精霊よ、我が魔力を以てこの火に水を放て。【水弾連射】』
『水の精霊よ、我が魔力を以てこの場に大雨を降らせよ。【集中豪雨】』
『水の精霊よ、我が魔力を以てこの場に霧雨の壁を作れ。【霧雨防壁】』
少ない魔力で放つ小さな魔法でも沢山数を当てれば何とか火を消す事はできる。
それでも、鬼人族の兄に次から次へと発火されてきりがない。
(兄の方は僕が近付こうとすると何故か離れて行く……もしかして、濡れるのを嫌がってる? ……火だから濡れると力が使えなくなるのかな?)
僕は次第に魔力消費でくらくらと眩暈がしてくる。
「あらあら、子豚ちゃん出来損ないの割に案外頑張るのね。でも、そろそろ魔力切れに――」
ヒュンッ
咄嗟に身体を逸らして避けた兄の頬から、ツツーと血が垂れ滴る。
このままでは埒が明かないと思った僕は、兄の頭に狙いを定めて木剣を投げ放ったのだ。
(駄目だ、近付けないなら上手く投げればと思ったけど避けられた……)
先程まで笑みを浮かべていた兄の表情が強張り、頬の傷に触れて滴る血を手に取り見つめる。
兄の身体から濃く黒い瘴気が溢れ出して、辺りにバチバチバチと火花が散り火炎が吹き上がる。
濡れる事を嫌ってか僕から一定の距離を保ち続けていた兄が、僕に近付こうと歩み出す。
その表情は鬼気迫るものがあり、それを見た弟は兄の足に必死にしがみ付き、火炎の上がる森の中で訴える。
「兄貴! 待ってくれ、置いて行かないでくれ!!」
「あ゛ぁ? そんな足でこれからどうするって言うの? んん?」
「そ、それは……こ、こんな所に置いて行かれたら俺、焼き死んじまうよー! 俺達、血を分けたたった二人の兄弟だよなー? 俺を置いていったりなんてしねーよなー? な? な?」
必死に泣き付く弟を邪険そうに見下ろしていた兄は溜息を吐くと、表情を変え優しい微笑みを弟に向ける。
「ふぅ……ええ、もちろん。一人で置いて行ったりなんてしないわよ。可愛い、可愛い、アタシの大事な弟なんだから、ね? 可愛くて、可愛くて、本当に食べちゃいたいくらい……だから、これからもずっと、ずうっと一緒よ♡」
「ああ、良かった…………あ、兄貴?」
弟が助かったと安堵していると、兄の顔貌は異様に変化していく。
口がどんどんと裂けて広がっていき、奥まで無数に並ぶギザギザの歯が鋭く光り、弟に迫っていく。
「兄貴!? 兄貴、嘘だろ!! そんな――」
バックン グジャアアア バキバキ ボキボキ メキメキ ジュルルル
兄が弟の頭を呑み込むように食らいつき、異音を立てて咀嚼している。
到底、人の身体から発せられているとは思えないような音が辺りに響く。
「……!!? ……」
僕は余りにも残酷な光景に声も出せず、息を吐く事もできない程に恐怖して、只々立ち尽くしていた。
(……た、食べてる……人を食べてる……血を分けた弟まで……鬼だ……人を食べる鬼だ……これが、鬼人族なんだ……)
兄は弟を食みながら頭をしゃくり、ズルズルと弟の身体を全て呑み込んでいく。
グチュグチャ バキンボキン ゴリゴキュ ジュルジュル ゴックン
『んふふふふ……ああ、やっぱり美味しいわね。これで少しは力が回復するわ』
不気味に笑う兄は僕の目の前で更なる変貌を遂げていく。
苦手な方はご注意下さい。
◆◆◆
じりじりと間合いを詰める男から漂う黒い瘴気が、僕の構える棒の先を撫でる。
すると、瘴気の触れた先が腐敗劣化したようにボロボロと零れ落ちた。
「うわぁ! 錆び落ちたぁ!?」
「ふくくくく」
僕は慌てて後退して間合いを取る。
ゲームでいう所の、ロングソードくらいの長さがあった鉄の棒が、ショートソードくらいの短さになってしまった。
「ぐぬぬぬ……不用意に近づけない……これでは攻撃ができない……」
「さー、近付くとどんどん棒切れが短くなっていくぞー? どうするー?」
男がニヤニヤしながら近付いて来る。
「……それなら!」
僕は作戦を変更する――そして、逃げる。
「なんだ、もうお終いかー? 今度は鬼ごっこにするのかー? まあ、いいか」
逃げる僕を男が直ぐに追いかけて来る。
僕はリアル鬼ごっこをする羽目になってしまった。
僕と男は森の中を木々を掻い潜りながら駆け走る。
「うわー! もう追いつかれた!!」
「おーおー、子豚ちゃん見た目に似合わず足はえーなー、でも追いつい――」
男が僕に追いつき瘴気を纏おうとした瞬間、僕は正面にあった木の幹を蹴り身体を翻して男に突進――その腹に重い一撃を食らわせる。
ゴキンッ
「――ぐっ、くはぁっ!!?」
やはり、鬼人族が力を使うには瘴気を纏わせるか直接触れる必要があるようだ。
早い速度での移動中では瘴気を纏うまでには僅かに時間差が有る。
そして、その時間差よりも僕の動きの方が早い。
(これならいける! 毎日欠かさずに続けていた、騎士団長に教わった剣術と鍛錬の成果だ!! 僕は自分の信念を信じる。『必ずみんなを助ける』揺るがない信念こそが、何にも勝る力だって教わったから!!!)
「ぐほ、げほ……おー、いってぇーなー、あー、口ん中切ったわー、くっそ…………ぺっ」
僕の重い一撃を受けても男は少しよろけて痛みに呻いただけで、着衣の下に防具を着けていた為、動けなくなる程の深手を負わせられてはいなかった。
男は着衣を捲りベコリと凹んだ防具を見て苛立った様子で血の混ざる唾を吐き捨てると、僕を鋭い目で睨みつける。
「……よくもやりやがったなー、この豚野郎ー……」
「ぶひっ!」
鬼人族に射竦められると僕はまた恐怖心で竦んで動けなくなりそうなので、そうなる前に逃げる。
逃げる僕をまた男が追いかけて来て、僕はカウンター攻撃を仕掛けるのだが、狙いがバレている状態では攻撃が当たらず躱されてしまう。
徐々に攻撃を打ち込んだ時に纏わりつく黒い瘴気に鉄の棒が腐食されていき、どんどんと短くなっていく。
やがて、鉄の棒が短くなりすぎて僕の手から零れ落ちる。
「ははっ そう何度も同じ手は通じねーよなー? これでお終いだ!」
もう僕は打撃を打ち込めないと思った男は黒い瘴気を辺りに放ち僕に迫ってくる。
油断した男に向かって、僕はローブで全身を覆い隠して黒い瘴気の中へと突進する。
「は? なんで――」
僕は瘴気の纏わりつくローブを回転しながら払い、勢い付いたまま隠し持っていた木剣を男の足に突き刺した。
ザシュッ
「――ぎゃああああああああああ!!?」
僕は普段から肌身離さず大事に持っていた騎士団長から手渡された木剣を、鬼人族との戦闘に備えて刃を鋭く変えて隠し持っていたのだ。
鬼人族の男の右足はぐしゃりと曲がり、切り裂かれて骨や肉が露になり大量の血が溢れ出している。
男は大声で叫び、右足を抱えて激痛にのたうち回る。
「……ぅ……うぅ……」
いくら命を脅かす敵とは言え、人を傷付けてしまった感触とその血濡れた光景に罪悪感と恐怖感が込み上げてきて、僕は手足が、身体がぷるぷると震えてしまう。
手にしていた木剣に伝う血が目に映り、僕は不意に木剣から手を放して落としてしまった。
そうしていると、今度は森の中からガサガサと草が擦れる音がして誰かが近付いて来る。
「あーら、随分と賑やかだと思って来て見れば、子豚ちゃんじゃない、見ーつけたー♡ うふふふふ」
そこに、現れたのは鬼人族の女だった。
「あ、兄貴! 助けてくれ!!」
「あ゛ぁ?」
「頼むよー、助けてくれよー!」
女は僕の姿を見てニコニコと不気味に笑っていたが、男の呼ぶ声にドスの利いた低い声で返して、苛立たしげに男の方に視線を向ける。
僕は二人のやり取りを見聞きして頭が混乱する。
(え? あにき? アニキって兄貴って事だよね? ……声凄い低かったし、男の人だったの!?)
「あらあら、どうしたのその足? まさか、こんなしょっぼい出来損ないにやられたなんて言わないわよね?」
「違っ……その豚野郎、毒がまったく効かないんだ! 普通なら薄い毒吸っただけでも直ぐにぶっ倒れる筈なのに……それに、異様に素早くて剣術まで使う! 見た目に騙されたんだよ!!」
「えー、そうなの? それじゃ、毒じゃなくて火で丸焼きにしちゃえばいいわね」
女改め兄が僕の方へと向き直り、辺りに禍々しい黒い瘴気を発する。
僕は落とした木剣を慌てて拾い上げて構える。
瘴気に触れれば兄の力で発火するのだろうと、間合いを取っていたが兄は僕ではなく辺りの木に触れ火を放った。
「え!? ……」
「周りからじっくり焼いて、美味しい焼き豚ちゃんにしてあげるわ」
慌てて僕は水魔法の呪文詠唱をして燃え上がる火を打ち消す。
『水の精霊よ、我が魔力を以てこの火を打ち消せ。【水球発射】』
「うふふふふ、なけなしの魔力いつまで持つかしらね? ほらほら、早くしないと火に囲まれちゃうわよ?」
僕は片っ端から水系の魔法呪文を唱えて火を必死に消していく。
『水の精霊よ、我が魔力を以てこの火に水を放て。【水弾連射】』
『水の精霊よ、我が魔力を以てこの場に大雨を降らせよ。【集中豪雨】』
『水の精霊よ、我が魔力を以てこの場に霧雨の壁を作れ。【霧雨防壁】』
少ない魔力で放つ小さな魔法でも沢山数を当てれば何とか火を消す事はできる。
それでも、鬼人族の兄に次から次へと発火されてきりがない。
(兄の方は僕が近付こうとすると何故か離れて行く……もしかして、濡れるのを嫌がってる? ……火だから濡れると力が使えなくなるのかな?)
僕は次第に魔力消費でくらくらと眩暈がしてくる。
「あらあら、子豚ちゃん出来損ないの割に案外頑張るのね。でも、そろそろ魔力切れに――」
ヒュンッ
咄嗟に身体を逸らして避けた兄の頬から、ツツーと血が垂れ滴る。
このままでは埒が明かないと思った僕は、兄の頭に狙いを定めて木剣を投げ放ったのだ。
(駄目だ、近付けないなら上手く投げればと思ったけど避けられた……)
先程まで笑みを浮かべていた兄の表情が強張り、頬の傷に触れて滴る血を手に取り見つめる。
兄の身体から濃く黒い瘴気が溢れ出して、辺りにバチバチバチと火花が散り火炎が吹き上がる。
濡れる事を嫌ってか僕から一定の距離を保ち続けていた兄が、僕に近付こうと歩み出す。
その表情は鬼気迫るものがあり、それを見た弟は兄の足に必死にしがみ付き、火炎の上がる森の中で訴える。
「兄貴! 待ってくれ、置いて行かないでくれ!!」
「あ゛ぁ? そんな足でこれからどうするって言うの? んん?」
「そ、それは……こ、こんな所に置いて行かれたら俺、焼き死んじまうよー! 俺達、血を分けたたった二人の兄弟だよなー? 俺を置いていったりなんてしねーよなー? な? な?」
必死に泣き付く弟を邪険そうに見下ろしていた兄は溜息を吐くと、表情を変え優しい微笑みを弟に向ける。
「ふぅ……ええ、もちろん。一人で置いて行ったりなんてしないわよ。可愛い、可愛い、アタシの大事な弟なんだから、ね? 可愛くて、可愛くて、本当に食べちゃいたいくらい……だから、これからもずっと、ずうっと一緒よ♡」
「ああ、良かった…………あ、兄貴?」
弟が助かったと安堵していると、兄の顔貌は異様に変化していく。
口がどんどんと裂けて広がっていき、奥まで無数に並ぶギザギザの歯が鋭く光り、弟に迫っていく。
「兄貴!? 兄貴、嘘だろ!! そんな――」
バックン グジャアアア バキバキ ボキボキ メキメキ ジュルルル
兄が弟の頭を呑み込むように食らいつき、異音を立てて咀嚼している。
到底、人の身体から発せられているとは思えないような音が辺りに響く。
「……!!? ……」
僕は余りにも残酷な光景に声も出せず、息を吐く事もできない程に恐怖して、只々立ち尽くしていた。
(……た、食べてる……人を食べてる……血を分けた弟まで……鬼だ……人を食べる鬼だ……これが、鬼人族なんだ……)
兄は弟を食みながら頭をしゃくり、ズルズルと弟の身体を全て呑み込んでいく。
グチュグチャ バキンボキン ゴリゴキュ ジュルジュル ゴックン
『んふふふふ……ああ、やっぱり美味しいわね。これで少しは力が回復するわ』
不気味に笑う兄は僕の目の前で更なる変貌を遂げていく。
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