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敗戦、そして次の舞台

大エース

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5-0


よくあるスコアだと思うだろ?じゃあ、これ見てどう思うよ?

白鳳台中|000000=H0
鴻鵠学園|010004=H10

そう、俺達は白鳳台中はまだヒットがない。つまり、ノーノー喰らってるってことだ。

なぜかって?
それは、鴻鵠のエースがやばいからだよ。最速134㌔のストレートに、カーブとスライダーのキレ。県大会から通じて失点2だってさ。
俺なんか今日の2打席で1回もバットに当たってねえし。

まあ、そういうことで焦りが出て、俺らが6回に大崩れ。キャッチャーの俺もパスボールしたしね~。あっ、もう2アウトだ。俺の番か。

「劉生!せめてバットに当ててこい!」

ん?ああ、雄太か。アイツの名前は小橋雄太。俺の親友だな。そういえば、あいつだけヒット性のライナー打ってたな。
てか、せめてバットに当ててこい、って…

とりあえず、俺は「おう、当ててくら」って返しといた。

さて、何を狙うか……二打席とも、2球ストレートの後のカーブで空振り三振。まあ、今回もそう来るんだろうな。

  スパァァン

「ストライィク」

速……いやいや、次もこれが来るんだ。次は振る。

  キィィン

よし!初めて当たった。次はカーブなんだろ?

  キィィン
  パスッ

「ストライィク!」

えっ?ファールチップ?

ベンチからみんなが出てきた。そうか、終わったんだ。俺の三振で……

整列した。目の前にはあの新城がいる。

「5-0で鴻鵠。礼!」

「「ありがとうございました!」」

新城「君、リード良かったよ。俺の君が組んだら甲子園も夢じゃないんじゃない?」

はぁ?こいつ何言ってんの?

「お、おう。ありがとう…」

何故か涙が出てきた。
悔しい。なんだあの台詞は。負けた奴に言う言葉か?

ここから先は記憶があまりない。どうやらずっと泣きじゃくってたらしい。

この時、アイツの言葉の意味はまだ解らなかった。
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