[完結]愛しい君に花束を〜イケメン社長は、薄幸な少年を溺愛したい〜

りさあゆ

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       18、蓮


要さんと両思いになって、毎日楽しい。
そんなある日、僕は、お店の方でお仕事をしていると、1人のお客様が僕に声をかけてきた。

「あの、すみません。」
「はい!いらっしゃいませ!」
僕は、笑顔で対応する。
「少しお伺いしたいのですが。」
その人は、50歳くらい?の、背が高くてカッコいいおじさんだった。
ん?誰かに似てる?
そう思いながら、
「はい。どのような事でしょうか?」
「あ、えーと、あそこの一条ビルってわかりますか?」
「はい。わかりますよ。」
「そこで、先日社長室に伺う事があったのですが、そこに飾ってある花が、綺麗だったので、聞いたらこちらにお願いしてると聞いたので、、、あの、花はあなたが?」
「はい。僕がお世話させて貰ってます。」
「そうですか。良かった。あなたにお願いしたい事があるんですけど、お願いしてもよろしいでしょうか?」
「お願い…ですか?僕に出来る事なら。」
「あなたに、お願いしたいのは、花束なんです。私の妻にあげる花束を作って欲しいんです。」
「奥様にですか?」
「えぇ、明日結婚記念日なんです。」
「うわぁぁ!おめでとうございます!是非僕に作らせて下さい!奥様は、どんな感じの方ですか?」
「あぁ、ありがとう。妻は、そうだな。明るくて、優しくて、可愛らしい人だな。」
「素敵な奥様なんですね。かしこまりました!明日、作って、お待ちしております」
そう言って、細かい所など聞いた。
その人は、柔かに帰って行った。

翌日、いつものように要さんの会社に行き
店にもどり、昨日のお客様の花束に、取り掛かる。
「おっ?蓮、気合い入ってるな?」
「うん、だってね、凄く素敵な夫婦だなぁって思ったの。奥様の事凄く好きなんだなぁって。だからね、喜んで貰えるように頑張って作ってるんだ!」
「そうか、蓮なら、きっといい物が作れるよ。頑張って。」

僕は、どんな方かな?可愛らしい、優しい方をイメージしながら、作った。
「叔父さん!見て!出来たよ?どうかな」
「お?おぉぉぉ、可愛いな!凄いな蓮。なんか蓮の作る花束って、胸が暖かくなるなぁ。これなら喜んでもらえるさ。」
「本当?そうだと嬉しいなっ!」
叔父さんは、僕の頭を撫でて「大丈夫」と、言ってくれてホッとした。

それから、少しすると、昨日のお客様がお見えになり、対応する。
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました。少しお待ち下さいね。」
「ありがとう。」
僕は、花束を取りに行き、少し確認して、ドキドキしながら、お客様の待つ所まで行く。
「お待たせしました。こちらになりますがいかがでしょうか?」
「おっ・・・・」
お客様が、、、どうしよう?
オロオロしてると、
「あぁ、いや、あまりにも素敵で、なんて言っていいのか、わからなくなってしまった。ありがとう!こんな素敵な花束。きっと喜んでくれると思うよ。本当に、ありがとう。」
お客様は、少し目を潤ませて、お礼を言ってくれたので、僕もホッとした。
奥様が喜んでくれるといいなぁ。
そんな、優しく緩やかな日々を送っていた僕に、突然予期せぬ事が、起こる。



店が終わり、片付けをしている時に、突然腕を掴まれる。
僕は、ビックリして、その腕を掴んでいる人を見ると、お父さんだった。
「お父さん……」
「蓮、帰るぞ!」
と、お父さんが僕を引き摺るように、連れて行こうと、するので、僕は、怖くて
「叔父さん!叔父さん!」
と、叫ぶ。
叔父さんは、すぐに出て来てくれて、
「蓮!」
と、追いかけて来た。
「義兄さん!蓮をどこに連れて行くんですか!」
「うるさい!家に帰るだけだ!!」
と、お父さんが叫んで、叔父さんを蹴る。
「叔父さん!」
地面に蹲る叔父さんが心配で、僕は
「お父さん!僕、帰らない!」
と、腕を振り解こうとしても、僕の力は、お父さんには敵わない。
「帰るんだ!」
と、どんどん進んで行く。
「蓮、すぐに行くから!」
と、叔父さんが叫ぶ。
そのまま、家に着くと、お父さんは、僕にこれでもかと言うくらいに、叩いたり、蹴る。
僕は、身体を丸めて耐える。
(要さん。要さん。助けて。)
ずっと要さんの事だけを考えて、耐えた。
ある程度で気が済んだのか、部屋が静かになった。
「蓮、お前が悪い!お前がいるから、俺は駄目になったんだ!お前のせいだ!!」
お父さんが叫ぶ。

(僕が…いるから……?僕が居なくなれば、いいの?)
僕は、床を這いながら台所に行く。
包丁を手に取る。
それを首筋に当てた。

あぁ、最後に要さんに会いたかった。
大好きな要さん。
僕の愛しい人。
ふふっ、よぼよぼのおじいちゃんになるまで、一緒に居たかったなぁ~。
ごめんね。要さん。約束守れなくて。

その時、
「バタァァン!!!」
と、凄い音が聞こえて、ビクッとなった。
何?
「蓮!れーん!どこだ!!」
大好きな要さんの声が聞こえてきた。
ドタバタと音がする。
「いた!蓮!蓮……もう、大丈夫だよ。」
目の前に、要さんがいる。
嬉しくて笑う。
きっと涙が出ているのかな?
要さんがボヤけて見える。
夢じゃないよね?
要さんは、ゆっくり僕から、包丁を手から外す。
そして、抱きしめてくれた。
「蓮……蓮…怖かったね。俺と、一緒に帰ろう。ん?」
要さんは、そう言って僕を抱き上げる。

「蓮、遅くなってごめんよ。蓮は、何も心配しなくていいから。要さんと、一緒に行きなさい。お父さんは、大丈夫だから。叔父さんが、ちゃんと病院に連れて行くからね。」
お父さん……病院に行くの?
「蓮、お父さんは、お酒に飲まれてしまったんだ。だから、ね、ちゃんと治療してもらおう。」
「ん。」
そして、僕は要さんの腕の中で、意識を失った。
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