新聞屋という名の生活

市川 雄一郎

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第1章・新聞屋デビュー

第1区・新聞屋デビューした僕

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 ーーああ、あの時ちゃんと考えてから働くかどうか決断すべきだった・・・ーー

 僕は新聞屋に勤めて9年目となる三十路手前の男性だ。しかし成人後の大半を新聞屋に注ぎ、せっかくの人生を棒に振るってしまい後悔している・・・



 ーー9年前ーー

 2008年10月7日夜、前職を辞めて就職先を探していた僕だったが世間は甘くなく職は見つからない。勿論見つからないならまだいいが大学進学も視野に入れているだけでなく早く働かないと親に食べさせてもらえるとは思えない。だから早く見つけたかったがなかなか見つからないことに苛立ち、ある人物に電話したのである。


 「あ、もしもし俺です。」

 「よお!久しぶりやな!」

 「あのな・・・仕事見つからないねん!仕事見つからへんかったら自殺するしかない!!」

 「え!?ちょ・・・ちょっと待てや!!落ち着け!!」


 電話の相手は高校時代の友人であった外沢ほかざわという男であった。この時、焦りのあまり僕は自殺をほのめかしてしまったのだ。今思えば軽率な発言だったのだがこのときは将来の不安もあり、精神的に乱れていたのだ。


 「あかん!!あかんって!!分かった。新聞屋紹介したるわ!!」

 「新聞屋?新聞屋って休みないやろ。ええわ、そんなん!!」

 「休みは日曜日あるって!!あと仕事もやり易いしいい人ばかりやし!!」


 この時、外沢が紹介した新聞屋というのは隣町にある新聞店で彼自身が過去にアルバイトとして勤めていたという。その職場に話をつけておくというのだ。そしてその新聞店の電話番号を教えてもらい、少し時間が経ってから電話をかけたのであった。


 「もしもし、こんばんは・・・はじめまして。」

 「ぎょうさい新聞です。話は聞いているよ、外ちゃんの友人だろう?明日の朝10時に来てくれるかな?」

 「は・・・はい!ありがとうございます!」


 電話の相手は初老らしき男性の声であった。声を聞いて人柄の良さそうな感じで僕は安心してその職場に一度行くことにしたのである。



 ーー翌日ーー

 朝11時の面接に間に合うように早く起きて業済新聞の店舗へと向かい僕であった。時間は少し余裕を持っていたので到着すると事務所の中には初老の人がいたのである。


 「(この方が経営者なのかな?)おはようございます!はじめまして!」

 「・・・」

 「(え?)」


 なんと初老の男性は反応が薄かったのである。僕はキョトンとしていたが近くの席に少しふくよかな女性の事務員の人がいたので話しかけたのである。


 「はじめまして!」

 「はじめまして。北口きたぐちと申します。たしか外ちゃんの紹介で来たんやね?」

 「はい、そうです!」


 それでなんやかんやで話は盛り上がり、気が付けば面接時間となったのである。


 「あ、あの人が所長よ。」

 「(・・・え?あの人が!?)」


 事務所に入ってきたのはどう見てもアルバイトにしか見えない若そうな男性であった。



 【続】
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