ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第9章・世界の歪み

成長

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しかし竜太は洋明の話を聞いてあることに気がついた。

「(俺が成長しなけりゃヒナちゃんは助けられへんかもしんない!!)」

それに気がついた竜太はお祈りを始める。手を合わせて目をつむり、正座の体勢で何も喋らずじっとお祈りをするのだ。義和も洋明も同じ体勢でずっと喋らずに祈り、雰囲気は沈黙に包まれていたのだ。

「(成長して、成長して助けなくちゃ!!!!)」

誰かのために成長したいという考えを今まで全く抱きもしなかった竜太がここまで考えるほど仲間への思いを抱いていたのであった。

「(助けたい人がいます……僕に力をください!!)」

竜太は心からそう思うと突然身体が光ったように感じたのである。だが、お祈りしているので気づかないふりをしながら祈り続けていた。

「(………………)」

集中力を高めたところで突然洋明が竜太に話しかけたのである。

「お疲れさん。すごい集中力を見せていたね。これなら誰かを助けたい思いが必ず君の力になるよ。」

それを聞いた竜太は笑顔を見せた。だが少し疲れを見せてしまったのであった。

「お務めが終われば食事をしよう。」

建物内にある食堂のような部屋につくとそこで3人は食事をすることに。二人の夫人が手料理を施してくれたのだが母の味がすると竜太は喜んで食べていたのだ。

「本当においしい。親孝行もたまにはせなあかんな……」

「そやで。今世で縁あって親子になったんだからどんな親でも大切にな。」

悟り開いたような性格の二人に竜太は感激した。『ああ、こんな親なら……』とも考えてしまいはしたが……

「竜太くん。」

洋明が声をかけた。

「どうしましたでしょうか?」

「君は助けたい人がいるんだよね。」

「ええ、今丁度捕らえられていまして助けに行った際にここに来てしまいまして…………」

「もうすぐ新しい展開が起きる。その時に君の願いは少し違う形だが実現すると思う。まずは精進だな。」

「ありがとうございます。」

竜太は帰宅するときに二人に頭を下げて帰ったのであった。ただし家では老夫婦にそのことは話をせずただ何事もなかったかのように過ごしたのであった。


翌朝、竜太は早朝から昼まで老夫婦の親戚の漁業を手伝うと再び昼からは洋明達の元でお祈りをするのである。竜太はヒナのことを忘れられないのか記憶に残るヒナの言葉を少し呟いていた。

「今日も気合い入れとんな。」

「え、は……はいっ!!」

気合いを善和に見抜かれて少し照れてしまった竜太であった。
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