ヒナの国造り

第１７章・ステラガーデン死刑台編

宇宙会食⑦の２９ー４ 神田鉄英

　その頃、ある女性が神田家を探していた。


　「神田家はどこにあるのでしょうか？」


　女性は上品な雰囲気を醸し出しており、大人しい感じの女性である。


　「なかなか見つかりませんわ。学文路坂の叔父様の情報が間違えていたのでしょうか？」


　どうやらこの人物は学文路坂の血を引く女性のようだ。学文路坂といえばあの皇帝の・・・しかし。


　「さてどうしても神田さんのところへ・・・ってキャー！」


　すると女性の元に変な布団のような飛行物体が現れて女性の全身をくるんで締め付けるのであった。しかも女性は人気のない場所にいたため助けに来る人は皆無であった。



　ー同時刻ー

　神田一族の男女数名が家柄の話をしている途中にふと男性の方があることを思い出していた。


　「そういや今日、あの子来ないのかな？」


　「あの子？」


　「あの子って学文路坂さんの子よね？」


　「そうだよ。奏太そうたさんの姪っ子さん。」


　「あ、今日はそろそろ来るはずだったな。まだみたい。」


　「誰か、迎えにいかないか？」


　「勿論、俺が行くよ。」


　迎えに行く役に立候補したのは【神田かんだ友昭ともあき】である。するとそれを見ていた【神田英機ひでき】と【神田孝志たかし】も手を挙げた。すると・・・


　「ありがとうみんな。でも皆は大事な会議中だから俺が行く。」


　そう言ったのは神田氏長者の【神田大三郎だいざぶろう】の息子【神田圭佑けいすけ】であった。


　「圭佑、お前はやめておけ。僕が行くよ。」


　「何だよ、宣明のぶあき！？俺が行っちゃダメなのかよ！？」


　「だって圭佑は大切な本家の嫡流だよ。それなら分家の俺が行く！」


　「しかしな、俺が・・・！」


　迎えに行くのが誰かでもめる一族。すると・・・


　「じゃあ、俺が行く！これで決定！立候補したお前ら全員落選な！」


　(全員)『あ、ああ・・・！』


　突然全員を制止して迎えに行くのを決めたのは【神田鉄英てつえい】３２歳である。鉄英はそういうとそのまま出ていったのである。


　「蛍ほたるよ。鉄英、あいついつもそうだよな。」


　「佑都ゆうと・・・あいつは俺達一族のために頑張っているんだよな。」


　「ああ、鉄英様！親戚じゃなければ私の王子様なのに！」


　「(既婚者なんですけど！)」


　メロメロになる女性に対して心の中で突っ込む【神田佑都】さんであった。



　ーー

　人気のない場所で女性を締め付け続ける物体。すると鉄英がそれを見つけて助け出そうとするのであった。


　「(あの物体は！！そうか、襲われていたのか！！)」


　すると鉄英は服の右腕の裾をめくると腕が鉄パイプに変化したのでそれで物体を叩きつけたのである。すると物体は締め付けをやめて女性は無事解放されたのである。


　「ぷはぁ！助かった！・・・あれ？あの人は鉄英さん！？」


　女性は鉄英の姿を見ると目を輝かせていたのであった。一方で物体を右腕で叩いて倒した鉄英は女性を見ると何か気まずそうな表情を見せた。


　「(あ、あいつは！？)」


　「鉄英さ～ん！」


　「あ、バカ！俺はお前とはもう関わりはねえんだ！」


　「そんなこと言わないでくださいよ～！」


　女性は嬉しそうに鉄英を追いかけるのであった。