ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第10章・団結に向けて

GUEST②

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不審な車掌はとりあえず無視して東口が身内事情の話を尚徳に打ち明けた。実の父親とは違う、父親のような雰囲気に心を許していたようだ。そんな東口と尚徳に一つの接点があり、学生時代にあるというのだ。


17歳の時に東口は兄の青山恭平(あおやま・きょうへい)と共にヒナの地元の近く(とはいえ少し離れている)に住み、そこで一時地元の学校に通っていたというのだ。そしてその学校にはヒナが通っていて同じクラスで付き合いもあったというのだ。ちなみに恭平は一人暮らしでは大変だと感じたのかわざわざ職場に頼んで弟の留学先の最寄の支社へ赴任させてもらうなどして弟のサポートできる環境を作るなど家族や人への面倒見が良い性格だ。彼は東口家の三男で父親の友人に跡継ぎの男子がいないことから生後すぐに養子となり、養親となった友人の長女と結婚したのである。恭平は現在は『ドーリン生活新聞』編集局長を勤めているという。話は戻り、留学してすぐに食堂で東口が食事をしているときに隣に座ったのがヒナであったという。ヒナは当時8歳であり、東口は教育指導の一環として留学したという。ただしヒナはそこが(ヒナから見て)異世界の分校とは思わず、ただの小学校だったと思っていたので東口の正体など知る由もなかっただろう。

「こんにちはー!」

「こんにちは!」

東口が声をかけるとヒナは明るく返事を返したのである。元からヒナはあまり警戒しない性格なのですぐに打ち解けたらしいのである。ヒナが小学生時代の思い出のなかに『たまに大人の人も交じっていたような気がする』と話をしていたのでその事だったのかと尚徳は理解したようだ。東口は3ヶ月間留学して将来的な上層部になった時のための指導役の勉強をしたという。

「ヒナちゃんは他の子と違い、気さくに話をしてくれるから僕も形見の狭い思いをせずにすみました。」

「こちらこそ仲良くしてくださりありがとうございました。」

「いえいえ、あと時々借りていたマンションに彼女がよく遊びに来てくれたことを昨日のように覚えていますよ。」

「そうでしたか。施設の外でも仲良くしてくださる方がいてくれたことは僕も感謝しています。」

ヒナは施設の仲間はたくさんいたが、他の同級生との交流をしていないと尚徳は思っていたので安心したようだ。ヒナの施設に門限があるため長くは遊べなかったが日曜日は少し長く遊んだりしていたので今でもヒナが東口のことを覚えている可能性は高いのだ。
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