ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第12章・ヒナの国造り

息子への遺産

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リラは最終的に自分でケリをつけたいと言い、バッジをヒナに託して彼女の元から去ったのである。そしてある場所へと向かうリラをある男が呼び止めたのである。

「あら……ハル君……」

「何処へ行くんだよマイハニー……」

気さくな明るい感じの彼はWの部下でその中から元海兵を集めた『黒い海兵(ダーク・マリーンズ)』のメンバーの一人である大豆山ハル(おおずやま・はる)である。通路を歩くリラを一旦止めたのである。

「ハニー、どこに行くんだい?」

「もうけじめをつけたいの……」

そうリラは言うと氷付けになった左手をハルに披露したのである。

「わぁお……こりゃすげえな。それなら俺は止めらんねえ。それより“俺らの”息子はどうする気なんだよ?」

「あの子は……将志は……孤児院で何も知らずに生きてほしい……だからヒナさんにもけじめをつけるところを『見せたくない』の……」

「ああ、あの子か。ありゃあ、俺のタイプだよ。でも俺は君しかいないから付き合いはしないけどな!」

「もう私はけじめをつけるから好きにすれば良いわよ。」

「…………なあ。もうちょっとだけけじめをつけるのを考え直してみないか?このままけじめをつけても誰にも何も良いことはないし……だから少し考え直そうな!」

ハルはお調子者な表情から少し真剣な表情に変えてリラに何らかの説得をしたのである。しかしリラはブレない。

「あなたがそう言ってくれるのは嬉しいけど元々私は時間が……『時間がなかった』の……そのままいてもいつかは人生が終わる。どうせなら自分の納得できる終わり方をしたいわ……」

「そうか……それなら仕方ないな。でも将志……あいつのことだけはずっと忘れたらいけないからな……」

「勿論よ。“向こう”に行ってもあの子のことだけは絶対忘れないわ……あなたもあの子のことをたまには思い出してあげて……」

「ああ、もう“あいつに会える資格は既に無くした”けど将志のことだけはな……忘れないよぉ!!」

この時点で二人の関係と二人と将志の関係は明らかにならなかったが何らかの関わりがあることは伺えた。ハルの元を去ったリラはある鉄の扉を開けて中へと入っていく。そこは焼却炉であり、足場の下には大きな火の海が燃え盛っていたのである。熱い場所にいるためか手の氷が溶けて、左手が使えるようになったのである。持っていた銃を火の海に捨てると左の掌を見ると大きな切り傷があった。盾がわりにした銃でもろにダメージは防げたとはいえ、ヒナが切りつけたときの威力が強く、手が切れたようである。

「あの銃でも切り傷が出来るなんて強い剣ね……ヒナさん……本当にありがとう……そしてハル君と将志には幸せになってほしい……そして『W様の野望を打ち砕いてほしい』わ……」

そう言葉を発するとリラは火の海に向かってダイブしたのであった。ちょうどその時、リラの力を秘めたバッジからリラの生きた気力がなくなったのに気づいたヒナは目に涙を浮かべながらバッジを見ていたのであった。

「(必ず……将志君に届けるわ……)」

ヒナは戦いの傷が癒えぬ中、また一歩先へと進んだのであった。
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