ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第13章・Wの野望

更なるキララの悪夢⑥

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しかし横須賀はすぐに立ち上がり、よそ見をするテルマに体当たりをしたのである。

「ぐっ……!!?」

心臓近くに体当たりをしたためにテルマは少し吐血をしたが、そこまで酷いダメージではなかった。テルマはまたバイオリンを弾くと彼の身体が光り、その光がカッターのようにシュッと横須賀に向かって飛んでいく。幸いか横須賀は避けたが風圧か何かで顔が切れて出血したのである。

「これは『真空波の音色(エア・カッター・サウンド)』です。演奏をすると風圧のカッターが相手に向かって飛んでくるのですよ。」

「しかし風圧だけで切れるとは……もろに食らったら重傷だな……」

「あなたの体当たりもなかなかでしたがね。」

「言うねえ…………」

しかし会館内では危険とあって外に出て戦うことに…………そしてキララは砂の池の上にある椅子に座り、他の人達は会館の横から見守ったのである。しかしこのキララの待機場所が悪夢を招くことになるとは誰も知る由は無かった。

「中で暴れて悪かったな……」

「いえいえ、会館内では喧嘩は頻繁にありますんで……」

謝罪らしき発言をする横須賀にテルマはフォローしたのである。そして二人の戦いは本格的になろうとしていたのである。


一方、この戦いを遠方から見ていた人物が二人いたのである。例のサブレーとドルメンである。和歌島は別の用事で出張中であった。

「ああ、なんか村の人と横須賀さんが戦っている。」

「本当に……だな。」

「しかし、サブちゃんは羨ましいですね。千里眼の能力で何をしなくても遠くが見えますから。」

「ドルさん……余計なもんまで見えるので役に立ちませんよ。望遠鏡で覗く方が気楽です。」

横須賀がいるので自分達は出番が無いと判断したのか二人ともヘラヘラ闘いを眺めていたのである。因みにドルメンの望遠鏡は高技術で製造されたものであり、百キロ先の光景は綺麗に見えると言うものである。


一旦回想は終わり、ヒナはキララに質問したのである。

「ところで悪夢って洗脳されたことで?」

「それもありますが……この後はさらにえげつないことが……」

「どんなこと?」

ヒナが質問をグイグイするとルミが苦言を呈した。

「ヒナさん、本人の心の傷に触れてしまうからこれ以上質問しちゃダメよ。」

するとキララは意外な発言をする。

「いえ、Wの正体を語る上で重要な出来事なので言わせてください。」

ルミは驚いたが納得をしたのである。キララは遂に悪夢の内容を語りはじめたのである。そして再び回想に……
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