ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第14章・日常へ戻る時

将志の隠された秘密とキララの再会②

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少ししてから部屋を出た将志とヒナはまた皆の元に集合したのである。なお、スクラッチタイガーはあのあとで湯入れ(やかん)の湯で氷が溶けたあとで身体を冷やしてうまく歩けないためM(マナコ)のサポートで温泉の方へとむかったのである。

「将志君……もらったバッジを身体に装備したら粉砕しちゃったよ……」

リンがバッジを付けた場所を指差して将志に言った。リンの足元を見るとバッジらしき粉が落ちているのを確認して将志は頷いた。

「良かったの将志君?」

ヒナがそう聞くと将志は頷いてから言った。

「お母さんの遺志は受け継ぎたかったけど俺にはもう受け継げないんだ……」

すると車から6人が降りてきたのである。直露はヒナを見つけると笑顔で声をかけたのである。

「おーい、ヒナちゃーん!!」

「直露さん!!久しぶり!!」

少し久しぶりの再会に二人は喜んでいたのである。キララは二人が喜び合うのを見て笑顔になっていた。そして偶然車の方を向くと……目の前には“懐かしいその人”がいた。

「は…………秦さ………ん?」

その瞬間、降りたクライサは驚きの表情でキララの方を振り向いたのである。

「き……キララ……ちゃん!?」

直露はすぐさまクライサとキララの方を向いたのである。

「(あの子……たしかクライサさんから死んだと聞いていた子なのか。まさか生きていたとは……)」

直露は安心したかのような笑顔を見せたのである。感動のあまりクライサの目は潤んでいた。いや……潤むどころか涙で溢れかえっていた。当然である……自分が死なせてしまったと思っていた愛しかった子が今、目の前にいるからである。


回想に入る。クライサは筋肉の異常に強い体格で刃物で刺そうとしたり切ろうとしても傷がなかなかつかないのでであった。

「俺は未来有望な子を死なせてしまった……ウエストよ……その剣で刺してくれ。」

クライサが友人のウエストに部屋のすみに置いている剣を指差して刺すように指示をしたのである。ウエストは顔をしかめながらもクライサの身体を刺したのだが……

“グサッ!”

「くっ!奥まで尖端が入らないか!?」

「なあ秦……もう止めよう。すでに22ヵ所も刺した傷ができているぞ。本当に死にたいのか……!?」

「当たり前だ!!だから刺せと言っているんだ!!もう一度やれ!!」

「分かった……いくぞ……」

“グサッ!”

しかしまたもや尖端が身体の中に入らなかった。クライサの体格は異常に固かった。自分の責任を実感しているからこそ生きるのが辛かったのだろうか。
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